5月20日閉館のアップリンク渋谷、最後の新作興行作品はドキュメンタリー映画『裏ゾッキ』

映画『ゾッキ』『裏ゾッキ』

公開中の映画『ゾッキ』の製作の舞台裏を描いた、篠原利恵監督のドキュメンタリー映画『裏ゾッキ』公開日が5月14日(金)に決定し、5月20日(木)に閉館するミニシアター「アップリンク渋谷」の最後の新作興行作品となる。また、『裏ゾッキ』は“交互上映のルーツ”であるアップリンク渋谷、伏見ミリオン座、刈谷日劇から『ゾッキ』との交互上映をスタートし、ミニシアター中心に全国50館への拡大を目指すという。

竹中直人、山田孝之、齊藤工が共同監督を務めた映画『ゾッキ』は、ありふれた日常をシュールに、いじめられっ子やはみ出し者、完璧でない人間の姿をくだらなくも愛おしく描いたヒューマンコメディ。出演者には吉岡里帆、鈴木福、松田龍平らが名を連ねる。
『裏ゾッキ』は、2020年1月の『ゾッキ』撮影準備から2021年4月の全国公開、撮影地・愛知県蒲郡市の凱旋上映までの500日間を追いかけたドキュメンタリー映画。『ゾッキ』の出演者でもある松井玲奈がナレーション、竹原ピストルが主題歌を務めている。
当初は、竹中直人、山田孝之、齊藤工の各監督や映画人たちのものづくりの裏側と、映画が来たことで大騒ぎになる町、奮闘する市民の姿を追いかけ、両者の絡み合いを描くドタバタコメディを想定していたという。それが、新型コロナウイルスの感染拡大により、コロナ禍の緊急事態宣言下における人々の困惑や葛藤が加わり、映画に町の未来を託した、市民たちの私生活が窮地に追い込まれていく。その混乱の中で突きつけられたのは、「いま、映画は必要なのか」という問いかけ。コロナ禍以来、“不要不急”という言葉が使われるようになった中で、これまで当たり前にあった映画の存在をも改めて考えさせられることになる。

また、『裏ゾッキ』は26年の歴史に幕を閉じ閉館するミニシアター「アップリンク渋谷」の最後の新作興行作品となる。アップリンク渋谷は東京のインディペンデントカルチャーの中心地のひとつでもあったが、やはりこの新型コロナウイルスの影響により、同館の設備投資のタイミングで存続が困難になったと発表された。

プロデューサーをつとめた伊藤主税ならびに山田孝之は2019年10月、映画本編の魅力と、裏側にある映画人の情熱を一緒に届けようと、アップリンク渋谷で『デイアンドナイト』(藤井道人監督)と、その舞台裏を捉えた『TAKAYUKI YAMADA DOCUMENTARY No Pain, No Gain』(牧有太監督)の交互上映イベントを行なっていたが、『裏ゾッキ』の企画はこのイベント内で生まれたという。


■Information

『ゾッキ』今日も地球は<秘密と嘘>で回っている。

公開中

ある女は<秘密は大事に、なるべくたくさん持て>と助言する祖父が告白した、秘密の数に腰を抜かす。
ある男は、あてがないというアテを頼りに、ママチャリで‟南”を目指す旅に出る。
ある少年は、成り行きでついた<嘘>をきっかけに、やっとできた友達から‟いるはずのない自分の姉”に恋をしたと告げられ、頭を悩ませる。
ある青年は、今は消息不明の父と体験した幼い日の奇妙な出来事を思い出していた。
そして日々なんとくアルバイトに勤しむひとりの少年は、‟ある事件”が海の向こうの国で起きたことを知る。
楽しくて、切なくて、優しくて、懐かしくて、不思議な、自分だけの特別な秘密。
ラストに待ち受けている、寄せ集められた小さな話たちの奇跡的な出会いとは

吉岡里帆 鈴木福 満島真之介 柳ゆり菜 南沙良 安藤政信 ピエール瀧 森優作 九条ジョー(コウテイ) 木竜麻生
倖田來未 竹原ピストル 潤浩 松井玲奈 渡辺佑太朗 / 石坂浩二(特別出演)/ 松田龍平 / 國村隼

監督: 竹中直人 山田孝之 齊藤 工
原作: 大橋裕之「ゾッキA」「ゾッキB」(カンゼン刊)
配給: イオンエンターテイメント

公式サイト: zokki.jp

©️ 2020「ゾッキ」製作委員会

『裏ゾッキ』ばらばらの世界をつなぐのは、法螺(フィクション)だったーーー。

ドキュメンタリー映画『裏ゾッキ』2021年5月14日(金)よりアップリンク渋谷・伏見ミリオン座・刈谷日劇ほか 全国順次公開

竹中直人・山田孝之・齊藤工の3人がメガホンを取り、漫画家・大橋裕之の短編集を実写化する異色の映画、「ゾッキ」。制作がはじまる2020年、ひときわ喜んだのは、ロケ地である愛知県・蒲郡市の人々だった。蒲郡では8年前から印刷屋さん、パン屋さん、居酒屋さんなど、町の有志が立ち上がり映画誘致の活動を続けていたが、今回念願かなって蒲郡市も巻き込み、映画「ゾッキ」を市民総出で全面バックアップすることになったのだ!
平穏だった蒲郡という場所で巻き起こる、数々のハプニング。豪華キャスト・スタッフによる一筋縄ではいかない映画制作。そして、素人集団がどうにか映画を盛り上げようと奮闘する姿。その模様を追った「裏ゾッキ」は、ひとつの映画に寄せ集まった人々の”裏側”を描く物語。・・・のはずだった。
ロケ終了後に世界中に襲いかかったコロナウイルスの猛威。4、5月には緊急事態宣言が発令した。映画館が2ヶ月の休館するのは戦後初めての事態だった。映画を生業にしていた監督陣の生活も一変した。例にもれず蒲郡の町も悲鳴をあげ、映画に心をくだいてきた人々は、それぞれの苦境に追い込まれる。さらに2021年3月の公開直前、コロナウイルス第二波が世界を襲う。目標にしてきた「作品を届けること」がおびやかされる今。ひとつの映画とともに重なり合った人々の現在進行形の記録。

撮影・編集・監督: 篠原利恵
出演: 蒲郡市の皆さん、竹中直人、山田孝之、齊藤工 ほか
ナレーション: 松井玲奈
主題歌: 竹原ピストル「全て身に覚えのある痛みだろう?」(ビクターエンタテインメント)
配給:イオンエンターテイメント

公式サイト: https://ura.zokki.jp

©2020「裏ゾッキ」製作委員会


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