ドイツを代表するクリスティアン・ペッツォルト監督の最新作『水を抱く女』が、3月26日(金)からの全国順次公開を前に、パウラ・ベーア演じる主人公ウンディーネなどの場面写真8点が公開された。
ベルリン国際映画祭銀熊賞(監督賞)を受賞した『東ベルリンから来た女』(13)をはじめ、『あの日のように抱きしめて』(15)『未来を乗り換えた男』(19)などで知られるペッツォルト監督が新作のモチーフに選んだのは“水の精”。「愛する男に裏切られたとき、その男を殺して、水に還らなければならない」という切ない宿命を背負った女の物語を、現代都市ベルリンに蘇らせた。本作は見事、第70回ベルリン国際映画祭・銀熊賞(最優秀女優賞)と国際映画批評家連盟賞(FIPRESCI賞)をW受賞している。
妖艶な主人公ウンディーネを演じたのは『婚約者の友人』(16/フランソワ・オゾン監督)や『ある画家の数奇な運命』(20/フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク監督)など名匠から愛される女優パウラ・ベーア。本作にて前述の2020年ベルリン国際映画祭・銀熊賞(最優秀女優賞)を受賞。なお、映画祭が2021年より性別による賞を廃止するため、20代半ばにして最後の「最優秀女優賞」受賞者となった。
今回解禁となった場面写真でも彼女の存在感が際立ち、フランツ・ロゴフスキ演じるクリストフとの甘い瞬間を切り取ったカットも公開。パウラ・ベーアとフランツ・ロゴフスキはペッツォルト監督の前作『未来を乗り換えた男』でも共演しており、このふたりについてペッツォルト監督は「彼らの相互作用には大きな信頼がある。これは今までに他の俳優コンビの間では感じたことはありません。彼らのあらゆる触れ合い、あらゆる視線、すべてが信頼と尊敬と信じられないほどの解放感に満ちています」と賛辞を贈っているほど。
『水を抱く女』は3月26日(金)より新宿武蔵野館、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開。
著名人のコメント
場面写真の公開に合わせて、各界の著名人から本作についてのコメントも寄せられている。その一部も紹介する。
黒沢清(映画監督)これは驚いた。ドイツ製ダーク・ファンタジーだ。
ベルリンの地縛霊が忽然とよみがえり、官能も恐怖も申し分なし。
こんなのがあったんだ。
池田理代子(劇画家・声楽家)チャイコフスキーに「ウンディーネ」を、ドヴォルザークに「ルサルカ」を作らせ、アンデルセンに「人魚姫」を書かせた、魅惑に満ちた『水の精』の神話。
永遠に人々を魅了してやまないウンディーネ(オンディーヌ)の物語が、二人の名優を得て、現代を舞台の映画として登場した。
水の中に消えていく彼女の姿が、恐ろしくも愛しく魅力的で、忘れることが出来ない。
竹中直人(俳優、映画監督)自分がいつかこの世を去る時…
心が張り裂けるくらいに何を自分の瞳に残せるだろう…
狂おしいくらいに確かだったもの…
それは一瞬だけ瞳に焼きついた《映像》なのかも知れない。
止めどなく涙が溢れてしまった。素晴らしい映画だった。
■Information
『水を抱く女』
2021年3月26日(金)より新宿武蔵野館、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開
ベルリンの都市開発を研究する歴史家ウンディーネ。彼女はアレクサンダー広場に隣接する小さなアパートで暮らし、博物館でガイドとして働いている。恋人のヨハネスが別の女性に心移りし、悲嘆にくれていたウンディーネの前に、愛情深い潜水作業員のクリストフが現れる。数奇な運命に導かれるように、惹かれ合うふたりだったが、次第にクリストフはウンディーネが何かから逃れようとしているような違和感を覚え始める。そのとき、彼女は自らの宿命に直面しなければならなかった・・・。
監督・脚本: クリスティアン・ペッツォルト
出演: パウラ・ベーア、フランツ・ロゴフスキ、マリアム・ザリー、ヤコブ・マッチェンツ
配給: 彩プロ
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