映画『私をくいとめて』が第30回日本映画批評家大賞にて【監督賞】と【主演女優賞】をダブル受賞

映画『私をくいとめて』

原作は綿矢りさ、監督・脚本は大九明子によりロングランを記録した映画『勝手にふるえてろ』に続き、両者が再びタッグを組み、主演にのんを迎えた映画『私をくいとめて』が第30回日本映画批評家大賞にて【監督賞】と【主演女優賞】のダブル受賞となった。

映画『私をくいとめて』は2020年12月18日より公開。脳内に相談役「A」を持つ31歳のみつ子が、悠々自適なおひとりさまライフを満喫していたある時、年下営業マン・多田くんと出会い、久しぶりに訪れた恋に戸惑いながらも一歩踏み出していくさまが描かれた。

【監督賞】の選考理由は「誰しもの心にある“ダーク”なところを描きながらも、それを弾けるようなポップさで昇華させる。『私をくいとめて』はまさに“今“を感じさせる、クオリティの高い大九監督の代表作になったといえるだろう。」との評価。
大九明子監督は『恋するマドリ』(07)で劇場長編デビュー。『勝手にふるえてろ』(17)、『美人が婚活してみたら』(19)、『甘いお酒でうがい』(20)などで女性の生き方や恋愛にスポットを当て続けている。

【主演女優賞】の選考理由は「脳内に相談役のAという存在を誕生させてしまった31歳のひとりの女性を、これほど説得力を持って演じ切ったのんの演技力は素晴らしかった」との評価。
のんは近年では劇場アニメ『この世界の片隅に』(16)主人公・すずの声や、YouTube Originalsドキュメンタリー「のんたれ」で『おちをつけなんせ』(19)の脚本・監督・編集・主演他を務めるなど、女優業にとどまらず活動の幅を広げている。

日本映画批評家大賞は、年間一定数以上の映画を見ている映画批評家たちの目だけで選んだ、作品や俳優、制作陣に贈られる日本で唯一の賞。1991年に水野晴郎が発起人となり、淀川長治、小森和子等、 当時第一線で活躍していた現役の映画批評家たちの提唱により誕生した。なお、アメリカでは映画批評家が選ぶ映画賞には「ニューヨーク映画批評家大賞」「ロサンゼルス映画批評家賞」「全米批評家賞」といった権威ある映画賞が並ぶ。
毎年1月1日~12月31日までに公開された作品が当該年度の選考対象作品。第30回となる2020年度の日本映画批評家大賞の授賞式は5月31日(月)を予定している。

映画『私をくいとめて』は全国上映中。都内では3月20日(土)より一週間、下高井戸シネマでの上映が決定している。また、4月14日(水)にDVDの発売が決定している。

受賞についてのコメント

大九明子監督賞。なんと畏れ多い。何かを作りたくて模索して、映画の道にたどり着いて以来私は、映画作りに夢中です。しかし撮りたいものが私の脳内にどれほど湧いたとて、それを形にしてくれるスタッフ、俳優がいなければ、1フレームたりとも作ることができません。私に、映画監督という立場を与えてくれる全スタッフ・俳優、そして何より、私の映画を観てくださる全ての皆様に感謝申し上げます。ありがとうございました。

のんこの度は、素敵な賞をいただき心から嬉しく思います。
演技をする事は私にとって生きる術で、これがなかったら自分は何者にもなれずにモヤモヤとした日々を送っていただろうなと確信しています。
そんな私が役を演じて賞をいただけるのは、こんなに幸福な事はないっていうくらいに嬉しい。明日からも元気に演技に励めそうです。
これからも楽しく、精進して参ります。
ありがとうございます。

日本映画批評家大賞からのコメント

【監督賞】大九明子監督について
とてもポップな感覚、そして誰も想像し得ないような映像の使い方。
大九明子監督はそんな稀有な映像センスを用いて、嫌味になることなく、ただただ新鮮で楽しい映画を生みだしてくれた。これは監督自身による脚本の良さももちろんだが、映画というメディアへの卓越した確かな手腕によるものだろう。
第30回の選考会では、大九監督の卓抜したセンスが多くの選考委員に響いた。誰しもの心にある“ダーク”なところを描きながらも、それを弾けるようなポップさで昇華させる。『私をくいとめて』はまさに“今“を感じさせる、クオリティの高い大九監督の代表作になったといえるだろう。

【主演女優賞】のんについて
役者はリアリティがあればそれでいいという訳ではない。
リアリティがありつつも、演劇的なところでも芝居を成立させる力を併せ持つ女優、のん。
特に今作は少し現実離れした難しい役柄だった。脳内に相談役のAという存在を誕生させてしまった31歳のひとりの女性を、これほど説得力を持って演じ切ったのんの演技力は素晴らしかった。
彼女は映画を観るわれわれの心を、スクリーンの向こうで悩む主人公みつ子に同化させ、見事に巻き込んでしまった。さらりと観客の応援を味方につけてしまう、のんの魅力と見事な演技に拍手を贈りたい。


■Information

『私をくいとめて』

2020年12月18日より公開中。

快適なおひとりさまライフに慣れ過ぎて、脳内に優秀な(?)相談役“A”が誕生した主人公=みつ子、31歳。会社ではちょっと変わり者だけど気の合う先輩に恵まれ、長らく彼氏は不在でも充実のソロ活を無理なくエンジョイ。居心地のいい自分だけの部屋に帰れば、ムダにいい声のAとの会話に忙しい。何かが足りないのは分かっているけど、決定的に不足しているものもない。
そんなみつ子のゆるゆるとした日常に突如舞い降りた、久々の恋!相手は真面目過ぎるくらい真面目な年下の営業マン=多田くん。でも20代の頃のようには進まない、30歳を超えた女のもどかしい現実が立ちはだかり……。

監督・脚本: 大九明子
原作: 綿矢りさ「私をくいとめて」(朝日文庫/朝日新聞出版刊)
出演: のん 林遣都 臼田あさ美 若林拓也 前野朋哉 山田真歩 片桐はいり /橋本愛 中村倫也
製作幹事・配給: 日活

公式HP: kuitomete.jp
公式twiter: @kuitometemovie

©2020『私をくいとめて』製作委員会


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