1956年にアメリカで発表されて以来、ハリウッド映画に多大な影響を与え、60年以上経つ今でも色褪せない、ロバート・A・ハインラインのSF小説にして猫小説としても名高い「夏への扉」が山﨑賢人主演、三木孝浩監督という『管制塔』の二人により映画化。『夏への扉 ーキミのいる未来へー』が2021年6月25日(金)より公開中だ。7月5日(月)には公開記念舞台挨拶が開催され、山﨑賢人と三木孝浩が登壇した。その舞台挨拶の模様を紹介する。
Q 撮影を振り返り印象に残っていることは?
A山﨑賢人僕はSF作品が好きで、SFの原点と呼ばれるこの『夏への扉』を映画化できると聞いて本当にワクワクしていました。三木監督とは10年ぶりにご一緒できて、本当に色々な縁や色々な方に支えられながら撮ることができました。近未来的な衣装もそうですし、昔のレトロな雰囲気を楽しみながら、本作で描かれる人間の愛や強さであったり、そんな中で清原(果耶)さん演じる璃子との冒頭の研究所でのシーンは特に印象的でしたね。
三木孝浩今まで観たことがないものを作るために、本当に大変でしたが、スタッフと知恵を絞って作品の世界観を作っていけたのが良かったですね。あと印象に残っているのが、夏菜さん演じる白石鈴が劇中である変化を遂げるシーンがあるんですが、感想を見ていると『特殊メイク』という声が多く上がっていたのですが、実は特殊メイクではないんですよね。最新の合成技術を使って、体は違う人で、顔は夏菜さんといことをしていて、試行錯誤しながら撮影できたのは楽しかったですね。
Q ご自分の周りからの反響は?
A山﨑賢人この作品で伝えたかった、『あきらめなければ失敗じゃない』というポジティブに前を向いていれば、良いことがあるかもしれないというメッセージをしっかり受け止めて、前向きになってくれている方が多くて本当に嬉しいですね。
三木孝浩原作ファンから褒めてもらえて嬉しかったですね。特に、原作には無い映画オリジナルの部分が良かったと言ってくださって、脚本で苦労した部分を褒めていただけるのは嬉しいですね。
Q 本作のタイトル『夏への扉』にちなみ、この夏にやってみたいことは?
A山﨑賢人キャンプがしたいですね!焚き火を見ながら無になって、お酒を飲みながらぼーとしたいですね。『何もしないをしにいく感じ』ですね。
三木孝浩コロナの影響もあって、毎年『阿波踊り』に言っていたんですが、去年は行けなくて、最近禁断症状のように、『踊りたい!』となっています(笑)。今年は帰れるかまだわかりませんが、踊りたいですね。徳島県民の血が湧いてくるんですよね。
Q 自身で感動したシーンは?
A山﨑賢人冒頭で璃子が宗一郎のことをこんなに想ってくれていたんだとわかるシーンや、藤木さん演じたロボットのピートの感情が芽生えていくシーン、宗一郎がまっすぐ生きていくなかで、色んな人が助けてくれるシーンなど感動しますね。
三木孝浩主人公の宗一郎の素直さや、優しさが、賢人君の性格がしっかり反映されているなと思いましたね。自分がどんなに苦境に立っていても、優しく声をかけて突き進む姿が、賢人くんに重なる部分があって素敵でしたね。
Q 撮影エピソードをお聞かせください。
A山﨑賢人撮影していて面白かったのは、過去と未来を行き来するので、未来では説得できていることがわかった状態で、過去に戻って説得するシーンなんかは、この時の感情ってどういう感じにすればいいか、三木監督に相談しながらやっていましたね。藤木さんが過去の宗一郎と現在の宗一郎を勘違いしていたのは面白かったですね(笑)。これはコメディシーンですか?という話になり盛り上がりました。
三木孝浩2回作品を観たら、実はここであの音が鳴っているとか、後半にこうなるのはここでこうなっているから、とか前半で色々仕掛けているのがわかると思いますね。
山﨑賢人僕は3回観ていますが、宗一郎が冷凍睡眠して過去のシーンがフラッシュバックするんですが、まだ経験していないはずの未来の話が出てきて、びっくりしましたね!今日監督に聞こうと思っていました!
三木孝浩1秒ないぐらい、本当に短くサブリミナル的に入れました。わざと気づかない程度に入れてますね。
Qこれから映画を観る方たちへのメッセージ。
A三木孝浩今は梅雨時期で鬱々としますが、映画を観たら爽快な気分になると思いますので、宗一郎のように『夏への扉』を開いてもらえたらと思います!
山﨑賢人この映画は近未来的なSFの面白さ、懐かしくレトロでチャーミングな要素もあり、色々な世代にも楽しんでもらえる作品だと思います。人間の真っ直ぐ生きていく力、助け合う力であったり、共感できる部分がたくさんあるので、とにかく1人でも多くの方に楽しんでいただきたい作品です!
■Information
『夏への扉 ―キミのいる未来へ―』
将来を期待される科学者の高倉宗一郎は、亡き養父である松下の会社で研究に没頭していた。早くに両親を亡くしずっと孤独だった宗一郎は、自分を慕ってくれる松下の娘・璃子と愛猫ピートを、家族のように大事に思っていた。しかし、研究の完成を目前に控えながら、宗一郎は罠にはめられ、冷凍睡眠させられてしまう。目を覚ますと、そこは30年後の2025年の東京、宗一郎は研究も財産も失い、璃子は謎の死を遂げていた。失って初めて、璃子が自分にとってかけがえのない存在だったと気づく宗一郎。人間にそっくりなロボットの力を借り、30年の間に起こったことを調べ始めた宗一郎は、ある物理学者にたどり着く。驚きの事実を知った宗一郎は、再び1995年へと時を超える。ただ、璃子を救うために。
山﨑賢人
清原果耶 夏菜 眞島秀和 浜野謙太
田口トモロヲ 高梨臨 原田泰造
藤木直人
監督: 三木孝浩
原作: 「夏への扉」ロバート・A・ハインライン(著)/福島正実(訳)(ハヤカワ文庫刊)
配給: 東宝 アニプレックス