小泉今日子、小林聡美、安藤玉恵、夏帆が四姉妹を演じる『阿修羅のごとく』公演情報が解禁

小泉今日子、小林聡美、安藤玉恵、夏帆が四姉妹を演じる『阿修羅のごとく』

昭和のヒットメーカー向田邦子の代表作のひとつで、阿修羅のごとく業を持ち、右往左往しながらも正直に生きる四人姉妹を描いた『阿修羅のごとく』が、長女・小泉今日子、次女・小林聡美、三女・安藤玉恵、四女・夏帆にて舞台化、ビジュアルならびに全キャストと公演情報が解禁され、キャストらからのコメントも到着しました。

『阿修羅のごとく』は、四姉妹の揺れる心の現実を「阿修羅」にたとえ、その生活の機微を繊細に、そして力強く描き出す、昭和を代表する脚本家である向田邦子の代表作のひとつです。1979年のTVドラマでは、和田勉の斬新な演出と、加藤治子、八千草薫、いしだあゆみ、風吹ジュンの共演で話題となりました。映画リメイク(2003、森田芳光監督)、商業演劇として二度の舞台化(2004、2013)と、本作はメディアを変えて平成の時代にも表現されてきました。
タイトルにある「阿修羅」とは、猜疑心が強く、争いを好み、互いに事実を曲げ、他人の悪口を言い合う。怒りの生命の象徴。仏教の世界では「たとえ正義であっても、それに固執し続けると善心を見失い妄執の悪となる」ということなので、いまのネット社会にも思い当たる節が多々あることでしょう。

今回の令和の『阿修羅のごとく』は、向田邦子脚本のセリフをほぼそのままに、シーンと登場人物を大幅にカットし、“四姉妹(を演じる女優)のバトル”に焦点を当てるとのこと。
本作の演出を担当するのは、『クラウドナイン』『海越えの花たち』などを演出、女優としても映画『愛しのアイリーン』(2018)でキネマ旬報助演女優賞を受賞するなど、話題作に欠かせない演劇界の二刀流、木野花。女性の内面を丁寧かつ大胆に表現する演出が特徴で本作品との相性は太鼓判と言えるでしょう。
脚色を担当するのは、2004年に『ワンマン・ショー』で第48回岸田國士戯曲賞を受賞、近年では『鎌塚氏、放り投げる』をはじめとする“鎌塚氏シリーズ”、『お勢、断行』の演出や「LIFE~人生を捧げるコント~」(NHKBSプレミアム)、映画『十二人の死にたい子どもたち』(2019)『アイ・アムまきもと』(2022年9月公開予定)の脚本などを手がける劇作家・演出家の倉持裕。名作のリライトに関しても折り紙付きの実力者が名を連ねます。

四姉妹には、奔放に生きようとする長女・綱子役に小泉今日子。近年では舞台『青空は後悔の証し』のプロデューサーを務めるなど、女優・歌手だけでなく幅広く創作活動を続けています。向田邦子原案ドラマへの出演等、向田作品とも縁の深い小泉今日子は、昨年開催された向田邦子没後40年特別イベント「いま、風が吹いている」でもナレーションを担当しています。
平和に、堅実に生きようとする次女・巻子を演じるのは小林聡美。現在、主演映画『ツユクサ』が公開中で、これまで『かもめ食堂』『めがね』など多くの映画や「すいか」「ペンションメッツア」などのドラマに出演するほか、「聡乃学習」などの著作も多数執筆しています。様々な作品であらゆるキャラクターを多数演じ分けてきた小林聡美だけに、過去に様々な女優が演じてきたタイプとはまた違う、新たな巻子を見せるのではないでしょうか。
女らしさを秘めつつも不器用に生きる三女・滝子役には安藤玉恵。映画『夢売るふたり』で27回高崎映画祭最優秀助演女優賞を受賞、「阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし」(NHK)では阿佐ヶ谷姉妹の美穂さんを演じています。映画監督、舞台演出家などの多くのクリエイターにから絶大な信頼を得る安藤玉恵が滝子の複雑さを表現します。
自由にそして必死に生きる四女・咲子役は夏帆。主演映画『天然コケッコー』で31回日本アカデミー賞新人俳優賞ほか多数の映画賞を受賞し、『海街diary』では39回日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞。今夏『さかなのこ』の公開も控える実力派。自身で写真集を企画するなどクリエイティブセンスも発揮する夏帆が咲子の儚さと大胆さを演じます。

四姉妹以外には岩井秀人と山崎一がそれぞれ2役を演じます。
岩井秀人が演じるのは、三女に父親の身辺調査を依頼される探偵の勝又と四女の恋人・陣内。岩井秀人は2012年NHK BSドラマ「生むと生まれるそれからのこと」で第30回向田邦子賞、2013年舞台『ある女』で第57回岸田國士戯曲賞受賞、現在は「いきなり本読み!」の企画・プロデュースも担当するなど、作家、演出家、俳優と多方面に才能を発揮しています。
山崎一は長女の不倫相手・貞治と次女の夫・鷹男役。『シャンハイムーン』『父と暮らせば』にて第26回読売演劇大賞で優秀男優賞、『十二人の怒れる男』『23階の笑み』にて第28回の同賞最優秀男優賞を受賞し、今年『みんな我が子-All My Sons-』、『シン・ウルトラマン』の出演を控えています。

劇場は、四方向に客席を設置し、ステージを囲む形で観るセンターステージ形式。女優たちの生々しい戦いに立ち会うような(格闘技!?)臨場感ある空間を目指すとのこと。
今回解禁されたビジュアルは、写真の周りに大宮エリーによる、四人の女優それぞれをイメージして描いた華やかな色彩の花の絵画とのコラボレーションとのこと。

『阿修羅のごとく』はモチロンプロデュースにて、2022年9月9日(金)~10月2日(日)シアタートラム(東京都世田谷区)で公演。兵庫公演も予定されています。

演出・キャストコメント

木野花【演出】 ドラマ「阿修羅のごとく」はリアルタイムで観ていました。お茶の間という枠を超えて、日常を揺さぶられた感じで衝撃でした。
“阿修羅”は誰の中にも潜んでいると意識したのもその時です。ドラマの中で役者達が、一歩も引かずに火花を散らしている。その気にさせる何かがこの作品にはある。
それを覗いてみたい。怖いもの知らずで今回乗ってみようと覚悟しました。そして心強いことに、この挑戦に打って付けの怖いもの知らずの顔ぶれが揃いました。
一筋縄ではいかない魅力を秘めつつ癒される、最強の四人姉妹。こんな姉妹が観たかった! 遠慮なく体当たりでぶつかっていこうと思っています。
何が飛び出すかしかと見届けて頂きたい。

小泉今日子大好きな向田邦子作品を舞台で演じることができるなんて!生きててよかったです。
信頼している俳優たち、尊敬している演出家とともに作り上げることができるなんて!生きててよかったです。
私は3人姉妹の末っ子として育ちましたが、今回は長女役。長女の立場から3人の妹たちを眺めたとき、どんな思いが心に生まれるのか。
敏感に心を研ぎ澄まして稽古に臨みたいと思っています。

小林聡美
もはや伝説といっていい向田邦子の「阿修羅のごとく」を、木野花さんの演出で、小泉さん、安藤さん、夏帆さんという素晴らしい俳優のかたがたと作り上げる時間を想像するだけで、気絶しそうです。
40年以上前に書かれ、これまでも何度となく映画や演劇となった作品ですが、今、この世界観をどうやって表現していくことになるのか、楽しみです。

安藤玉恵 「木野さんの演出で、向田作品の舞台で、阿修羅のごとく、四姉妹のお話で…」最後まで話を聞かずに「やりたいです‼︎」と言った記憶があります。
その日から興奮しちゃって、向田さんのエッセーをめくる指にも気持ちが入ってしまっています。今まで黙っているのがツラかった(笑)。 真夏の稽古、熱くなりそうです。

夏帆 数年ぶりの舞台で今からとてもそわそわしています。
この作品のお話をいただいたときに、これは絶対にやりたい…!と胸が高鳴って、また舞台の世界に飛び込んでみようと、覚悟を決めました。
稽古に向けて、きりりとリズムカルな向田さんの言葉たちとどう向き合っていこうかと想像する日々はとても楽しいです。
初舞台のときにとてもお世話になった木野花さんの演出のもと、頼もしい先輩方の背中を追いながら、精一杯がんばります。

岩井秀人 ど偉い俳優さんたちと一緒に出ることになったなあと、感慨に耽っております。
思えば引きこもり時代に見ていたのが「やっぱり猫が好き」でして、小林聡美さんの演技だか遊んでるんだか分からない自由すぎる挙動に目を回しておりました。
やがて「俳優になってみたい」と引きこもりから脱出して30年ほど経ち、こんな場に呼ばれるとは。
共演者の皆さま、軒並み「どうやってるんだか分からない」人たちばかりで、俳優フェチとしては稽古見学だけで済ませたい心持ちですが、めちゃくちゃ楽しもうと思っております。

山崎一 出演が決定してとても嬉しかったですね。だって、このメンバーで向田邦子さんの「阿修羅のごとく」をやるんですよ!笑 しかも演出が木野花さんですからね。
今からワクワクしてます。台本を読んで感じたのは出てくるキャラクター全員が愛おしいく感じたこと。 観に来てくださるお客様もきっとそう感じてくれると思います。
そうなるように、頑張ります!


■Information

モチロンプロデュース 『阿修羅のごとく』

【東京公演】2022年9月9日(金)~10月2日(日)シアタートラム
※兵庫公演予定あり

とある日、三女・滝子の、話したいことがあるという連絡により、四姉妹が集まることに。
数日前、70才を迎える父親が愛人らしき人物といるところを目撃した滝子は、興信所に父の身辺調査を依頼したのだ。
四人は、母親に知られることなく父に浮気を解消してもらうための作戦を練る。そんな姉妹だが、実は自身の生活にもそれぞれ悩みを抱えていた。
長女・綱子は仕事先の妻子ある男性と不倫関係、次女・巻子は夫の浮気の予感にもやもやした日々を過ごし、三女・滝子はその堅い潔癖さで男との出会いもなく、四女・咲子はボクサーの彼との不安定な生活に疲弊していた。
ままならない現実をあたふたと、それぞれの業を抱えて正直に生きようとする四姉妹の闘いの日々は続く、阿修羅のごとく・・・

作: 向田邦子
脚色: 倉持裕
演出: 木野花
出演: 小泉今日子 小林聡美 安藤玉恵 夏帆 ・ 岩井秀人 山崎一

公式HP: https://otonakeikaku.net/stage/2420/
お問い合わせ: 大人計画03-3327-4312(平日11:00〜19:00)
主催: (有)モチロン、(有)大人計画
企画: 大人計画


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