【OKWAVE Stars編集部の映画レビュー#1】『唐人街探偵 東京MISSION』

『唐人街探偵 東京MISSION』

「OKWAVE Stars」の新たな試みとして、OKWAVE Stars編集部スタッフが映画の見どころを紹介する【OKWAVE Stars編集部の映画レビュー】、第1回は映画『唐人街探偵 東京MISSION』(2021年7月9日より公開中)です。

■作品紹介

『唐人街探偵 東京MISSION』『唐人街探偵 東京MISSION』は中国の名門芸術大学である中央戯劇学院出身のチェン・スーチェン監督による探偵を主人公とした推理、アクション、コメディが満載のエンターテインメント作品。2015年公開のシリーズ第1作『唐人街探案』はタイ・バンコクを舞台に興行収入8億2,300万元(約140億円)を記録。2018年公開のニューヨークでの騒動を描いた2作目『唐人街探案2』は興行収入33億9,700万元(約576億円)を記録する大ヒットとなり、世界各国で劇場公開されました。そしてシリーズ3作目にして、初の日本公開となる本作の舞台は、日本・東京。中国の探偵コンビに加え、日本の探偵、タイの探偵も揃い、ヤクザ絡みの密室殺人事件解決のミッションに挑むことになります。

本国・中国では旧正月2021年2月12日(現地時間)に公開されると、初日に約10億1,000万元(164億円)の興行収入を記録、公開4日間で興行収入30億元(約490億円)と、中国最速となる興行収入30億元突破記録を達成。また、『アベンジャーズ/エンドゲーム』(19)が持っていた全世界オープニング興行収入首位の座を超える歴代No.1記録となりました。

物語は1作ごとに事件を解決していく構造のため、本作から観ても楽しめるし、シリーズ全作を観たくなることでしょう。
本シリーズの特徴は、中国のスター俳優、ワン・バオチャンとリウ・ハオランの共演にて、世界中のチャイナタウンで難事件を解決していく姿が描かれること。
日本が舞台である本作は、中国のスター俳優2人に加え、日本人キャストやアジアの俳優が集結。前作からの出演となり、本作のメインキャラクターの1人でもある日本人探偵・野田に妻夫木聡。さらに、今回の事件の依頼人であり、ヤクザの組長・渡辺役には三浦友和。渡辺と敵対する組織の秘書役の長澤まさみはジョン・ウー監督作品にも出演し、中国でもファンが多いとのこと。さらに染谷将太、鈴木保奈美、浅野忠信と、日本映画でもこれだけ顔を揃えるのは簡単ではないであろう豪華俳優陣が出演。さらにアジアの俳優陣からはタイの元刑事の探偵として、『映画 モンスターハンター』などハリウッド映画にも活躍の場を広げているアクションスター、トニー・ジャー、香港映画界の重鎮アンディ・ラウが友情出演するなど、多彩な顔ぶれとなりました。

監督・脚本を務めたチェン・スーチェンは、日本でも劇場公開されたロウ・イエ監督『スプリング・フィーバー』(10)に出演するなど、元々は俳優でしたが、2014年『北京愛情故事』(未)から本格的に監督に転向し、本シリーズでヒットメーカーとしての地位を確立しています。

撮影は、コロナ禍前に関東各地で行われたとのこと。渋谷のスクランブル交差点のセットは栃木県足利市に、空港のセットは名古屋市にそれぞれ設けるなど、大規模ロケが敢行されたそう。新宿・歌舞伎町、秋葉原の電気街、東京タワー、そして横浜中華街など日本の観光地としてお馴染みの場所も多数登場します。相撲や剣道を取り入れた乱闘シーン、コスプレのような日本のカルチャーを意識したシーンや、『シャーロック』シリーズを彷彿させる推理シーンも。探偵を主人公とした推理を主軸に置きながら、様々なシーンがスピーディーに展開される138分が楽しめることでしょう。

■見どころ紹介

『唐人街探偵 東京MISSION』海外作品で日本を舞台にしているとなると、気になるのは日本の描かれ方。
『唐人街探偵 東京MISSION』は、ワン・バオチャンとリウ・ハオランの演じるタン・レンとチン・フォンの2人が日本人探偵・野田からの事件解決の協力依頼により東京に向かう機内から始まります。そして、空港到着直後からの冒頭のド派手なアクションシーンは、往年の香港映画を思わせる日本にはない描き方だと思わせるでしょう。他にも、日本のコスプレカルチャーを取り入れたコスプレパレードのシーンなど、日本を舞台にしながら映像表現的には私たち日本人にとっても新しい発見があるような表現が多い印象です。
そんな演出や映像表現の一方で、終盤に明らかになる、主要な登場人物の過去に関して、作り手側が日本の歴史を理解していないと難しい題材を扱っていて、これがクライマックスの人間ドラマを良い方向に作用させていたので、日本のことをよく知っていらっしゃる方々が製作陣にいるのかなと感じました。
そういう意味で、きちんと日本を描いて、さらにそれを面白くデフォルメしているので、違和感なく、自分たちの再発見ができるのかなと思いました。
あ、あと渋谷のスクランブル交差点のシーンはセットとのことで、再現度合いと、実際のスクランブル交差点にあるものを演出上も使って表現しているので、見どころだと思います!

そして作品そのものの見どころですが、テンポ感がとにかくよいので飽きるところ無しです。目まぐるしく変わっていく状況の変化や、コメディシーンなど、アトラクションに乗った気分で138分を楽しめると思います。

何より、ワン・バオチャンとリウ・ハオランの2人と妻夫木聡のやり取り。さらにトニー・ジャーが加わって4人になると、日本語、中国語、英語が飛び交います(妻夫木聡さんは要所要所に中国語も披露されています!)。作中ではイヤホン型の自動翻訳機をみんなつけているので言葉が通じる、ということになっていますが、そのやり取りを鑑賞すること自体が、アジアを感じたり、心の豊かさのようなものを感じるようになるのではないでしょうか。もちろん吹替版には吹替版の良さがありますが(前田剛さん、神谷浩史さん、浪川大輔さん素晴らしいです!)、オリジナル版でグローバルな感覚を感じるのが、外国になかなか行けないいまの時代にはいいなと思います。


■Information

『唐人街探偵 東京MISSION』

『唐人街探偵 東京MISSION』2021年7月9日(金)より公開中!

国際的に事件を解決してきたチャイナタウンの探偵コンビ、タン・レンとチン・フォンは、日本の探偵・野田昊から難事件解決への協力を依頼され、東京に飛ぶ。今回のミッションは、東南アジアのマフィアの会長の密室殺人事件で、犯人として起訴されたヤクザの組長・渡辺勝の冤罪証明。タイの探偵で元刑事のジャック・ジャーも参加し解決を試みるが、殺された会長の秘書である小林杏奈が何者かに誘拐される事件が発生。そこに事件解決率100%を誇るエリート警視正・田中直己、謎の指名手配犯・村田昭も絡み、事件は複雑化。さらに、世界の探偵が愛用するアプリ「CRIMASTER(クライマスター)」の事件解決率世界ランキングに載る探偵たちが、このニュースを聞いて東京に集結。探偵世界ランキング・第1位で正体不明の「Q」の登場により、さらなる混乱が巻き起こる。

出演: ワン・バオチャン リウ・ハオラン 妻夫木聡 トニー・ジャー
長澤まさみ 染谷将太 鈴木保奈美 奥田瑛二 浅野忠信 シャン・ユーシエン 三浦友和

監督・脚本: チェン・スーチェン (『北京愛情故事』(原題)、『唐人街探案』(原題)、『唐人街探案2』(原題))
配給:アスミック・エース

公式HP: detectivechinatown-movie.asmik-ace.co.jp
公式twitter: @TGtantei_movie

©WANDA MEDIA CO.,LTD. AS ONE PICTURES(BEIJING)CO.,LTD.CHINA FILM CO.,LTD “DETECTIVE CHINATOWN3”


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