OKWAVE Stars Vol.1015は映画『ロボット修理人のAi(愛)』(2021年7月10日公開)主演の土師野隆之介さんへのインタビューをお送りします。
Q 本作主演の経緯をお聞かせください。
A土師野隆之介田中じゅうこう監督と出会ったのは、僕の事務所に来られたことがきっかけです。大人の役者を探しにいらっしゃった際に、この映画と主役の倫太郎の話をされて、その年代の俳優はいないかということで僕が紹介されました。その時の僕は中学2年生でした。実はこの映画は、その中学2年生のときから高校2年生までの僕の姿が映像になっているんです。また、そのような形での参加だったので、映画の台本を読ませていただいたのはだいぶ経ってからです。中学2年生の撮影のときは監督から「こういう表情を」と言われるままに演じていました。
Q では台本を読まれて倫太郎のキャラクターについてどう感じましたか。
A土師野隆之介倫太郎はすごく明るくてまっすぐで真面目です。倫太郎は暗い過去を持っているので、なぜ彼はまっすぐに育つことができたのだろうと思いました。監督にお聞きしたら「榛名湖の倫太郎の周りにいる大人たちの愛があったからだよ」と言われて納得できました。倫太郎の暗い過去を打ち消せるくらいに、周囲からの愛情を感じたのだろうなと理解しました。
そんな倫太郎と僕は境遇が全く違いますので、その違いを見せずに倫太郎になりきるために、いろんな人を観察しました。親がいない倫太郎が感じたであろう孤独や、周りに支えられて明るくまっすぐに育った姿をそうやって作っていきました。また、倫太郎は器用で、自分の本当の感情を見せないところがあります。僕もいやなことがあっても受け入れて明るく振る舞うようにしているので、倫太郎の奥底の本当の気持ちを抑えているところには共感できました。
また、倫太郎はメカの修理が本当に好きで、その修理の仕事には妥協したくないという信念も持っています。そんなところを演じられたらと思いました。
Q 榛名湖畔での撮影はいかがでしたか。
A土師野隆之介本当に雄大な自然でした。榛名湖で泳ぐシーンもあるのですが、東京では感じられないとても自然な環境だと感じました。
実は榛名湖で泳ぐのには水面と水中で許可を取る部署が違うそうで、そもそも榛名湖は普段は泳いではいけないそうです。実はこの撮影をした中学3年生の頃は平泳ぎの泳ぎ方も知らなくて、夏休みに姉に習って泳げるように準備をして撮影を迎えたんです。
Q ロボット修理人として関わる“AIBO”についてはご存知でしたか。
A土師野隆之介知っていましたが実際に触れるのは初めてで、「こんなにかわいいんだ!」と思いました。
芝居の中でびっくりしたことがあって、倫太郎がAIBOを置き忘れて、すずめちゃんのところにAIBOが帰ってくるシーンがあるのですが、そのときAIBOが偶然「落とさないでね」と喋ったんです。本当に感情があるように感じましたし、頭をなでたら愛らしく首やしっぽを振るのでとてもかわいかったです。
Q 共演者についてお聞かせください。
A土師野隆之介倫太郎の周りの大人役のみなさんが個性的で、それぞれに倫太郎に愛を注いでくださっているのを感じました。それと景色と音楽も美しくて、それらが組み合わさって、倫太郎が榛名湖畔で生きているんだという印象でいます。
すずめちゃん役の緒川佳波さんは初めての演技だと仰っていましたが、とても自信を持って演じていました。初めてだとは思えないくらいで、むしろ僕も影響を受けて引っ張ってもらっていました。普段の性格もかわいらしいところとサバサバしているところがあって魅力的な方でした。すずめちゃんをおんぶして山を歩くシーンがありますが、そんな経験はまずしないので楽しかったです。
Q 撮影で印象的だったことはありますか。
A土師野隆之介倫太郎がアルバイト中にすずめちゃんと初めて出会う場面で、倫太郎が猿のモノマネをするシーンを撮影しましたが、倫太郎のアルバイト先の大人役の亮王さんから「あれはもっといけたぞ」と言われてしまいました。亮王さんは喜劇俳優なので悔しかったのと刺激になったのとでとても印象に残っています。
Q 監督から言われたことで何か印象に残っていることはありますか。
A土師野隆之介c僕は子役からずっと演技をやってきましたが、この映画に主演するにあたって監督から「子役の演技が残っているから大人の演技をしなさい」と言われて、それをずっと意識していました。子役の場合、セリフをはっきりと大きな声で言うことが求められがちです。大人の演技はそこに感情を乗せるので、セリフがくだけたり、台本と少し違っていてもいいときもあります。そんな自然な演技を心がけて、僕自身、この映画を通じて子役から大人の演技に変わっていったのかなと思います。
実際、この映画を通じて演技するのが楽しいと感じたんです。子役のときももちろん楽しかったですが、今回は任されている部分がとても多くて、自分で解釈して倫太郎を作っていく作業ができたのが楽しかったのだろうなと思います。
Q ご自身の今後の目指すところをお聞かせください。
A土師野隆之介尊敬されるような人になりたいです。監督が「俳優である前に人として良くあれ」と仰っていたんです。実際、今回共演した大空眞弓さんとは「春日局」という舞台でご一緒させていただいていて、「覚えていますか」と声をかけたら「覚えてる、覚えてる。大きくなったね!」と本当に優しく接していただけて、こういうところなんだと感じました。人としての良さや優しさがにじみ出ていて、心から尊敬する気持ちになりましたし、自分もそういう人になりたいと思いました。
Q 土師野隆之介さんからOKWAVEユーザーにメッセージ!
A土師野隆之介この映画は夢と現実、過去、生と死が複雑に絡まっているので、人によって理解の仕方や解釈の仕方が違っていて本当に面白い映画になっています。コロナ禍が続く状況で日々ストレスも感じていると思いますが、映画館に来ていただいて、この独特の世界観に浸っていただけると一時そこから開放されると思います。老若男女どなたにも楽しんでいただける映画だと思います。映画を観終わった後に話し合っていただくのも楽しいだろうし、毎回新しい発見があると思います。監督がそれぞれの登場人物に映画に映らないサイドストーリーを設定しているとのことで、監督が思い描くサイドストーリーを想像しながら観ていただくのも楽しいと思います。
■Information
『ロボット修理人のAi(愛)』
2021年7月10日(金)新宿K’s cinemaほか全国順次公開
天才的な技能を駆使し、古い家電からロボットまで修理を請け負う工房で働く16歳の倫太郎。孤児として育った彼は、高校を中退しバイトをしながら深夜独学でロボットの勉強をしていた。そんな中、東京でひとり暮らし中の老婦人からAIBOの修正依頼が倫太郎に舞い込む。
亡き息子が遺したと言うAIBOは、音声装置とメモリーが壊れていた。
時を同じくして、倫太郎は発声障害のある14歳の少女すずめと出会う。
すぐに仲良くなったふたりは、依頼品のAIBOと共に20年ぶりに復活した榛名湖のダイダラ祭りへと向かう。湖には「甦りの伝説」があり、願いが叶うと亡くなった人が甦るという。その帰り道、AIBOがとある録画映像を映し出したことで、倫太郎も知らなかった過去が明らかとなっていく。
土師野隆之介 緒川佳波
大村崑 大空眞弓
監督:田中じゅうこう
配給:トラヴィス
©2021 GENYA PRODUCTION ROBOT REPAIRBOY
■Profile
土師野隆之介
2003年4月19日生まれ、神奈川県出身。
TV大河ドラマ「平清盛」牛若丸役、「水戸黄門最終回スペシヤル」など幼い時から雜誌、TVに出演。映画『ロックわんこの島』(11/中江功監督)では、300人を超えるオーディションで主人公の男の子役に抜擢。主な出演作に、映画『呪怨 黒い少女』(09/安里麻里監督)、『猿ロック』(10/前田哲監督)、『MONSTERS』(14/中田秀夫監督)、『最後の命』(14/松本准平監督)など。2020年、『ロボット修理人のAi(愛)』でブータンのドゥルク国際映画祭で最優秀主演男優賞、カンヌ世界映画祭で優秀若手男優賞(best young actor)を受賞した。
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