OKWAVE Stars Vol.1020は映画『土手と夫婦と幽霊』（2021年8月6日公開）主演の星能豊さんへのインタビューをお送りします。
Q 本作主演についてまずはお聞かせください。
A
星能豊この映画は「土手と夫婦と幽霊」という小説を書いた人が主人公という設定です。小説家が書いた話を小説家自身が映画の中で体現していきます。渡邉高章監督自身が映画を撮る前にその小説を書いていて、まずそれを読んでから脚本をいただいて演じることになりましたので、そのアプローチが面白いなと思いました。映画のパンフレットにその小説が載っていますので、映画をご覧になってから小説を読んでいただくとさらに面白く感じられると思います。
Q 役柄についてお聞かせください。
A星能豊小説家の役ですが、どんなときに小説のアイディアが浮かぶのか考えながら、家の近所の土手を歩いてみたりもしました。そういったものがにじみ出るといいなと思いながら演じました。
記憶を喪失した役だったので、正直、最初は難しいと思いましたが、渡邉さんは役者に寄り添ってくれる監督でしたし、どういう風に映画の中で漂っていけばいいのか悩みつつも楽しんで演じられました。
Q 「女」を演じたカイマミさんをはじめ共演者とのお芝居についてはいかがでしたか。
A
星能豊カイマミさんは僕も引き込まれるくらい素晴らしい役者さんです。共演していると、演じるというよりも、自然なリアクションが出るんです。本当は自分がメインで引っ張っていかなければならないのですが、逆に引っ張っていただいてばかりでした。
「髙橋」役の佐藤勇真さんとは、別の作品で知り合ってからプライベートでも仲良くさせていただいていたので演じやすかったです。映画の現場では初対面の方とあまり準備期間もなく撮影が始まってしまうことも多いですが、渡邉さんは役者同士も顔を合わせたことがあるような方をチョイスされているのだと思います。その掛け合わせを間違うと新鮮味がなくなってしまいますが、毎回役柄が面白いので、今回も新鮮な気持ちで演じられました。
Q 土手というロケーションについてはいかがだったでしょう。
A星能豊渡邉さんの監督作は、基本的には渡邉さんがそのときに住んでいる周辺で撮っているんです。生活圏の中で映画を撮られているので、プライベートな感覚もあって、そこが渡邉さんの作品の面白さでもあると思います。この映画の主なロケーションである川辺や土手というものは、もちろん僕の地元にもありますし、小学生、中学生の頃に好きな子と並んで歩いたような甘い経験もあれば、悩んでいるときにただ川を眺めているなんてこともあるので、人生の中で切っても切れない、原風景のようなところなのかなと思います。
Q 全体にシリアスな話の中で「ご飯が不味い」というシーンは独特な笑いがあります。
A星能豊渡邉さんの作品はご飯を食べるシーンがよくあります。食事シーンは生活の中で当たり前にやっていることですが、映画にすると面白い何かが出てくるので渡邉さんは楽しんで撮っていました。食べるシーン自体には独特の難しさがありますが、今回は、ご飯は実際にはもちろん美味しかったので、それを不味そうに食べるというのはなかなか難しかったです（笑）。カイマミさんが本当に不味そうに食べているので、僕はだいぶそれにつられて助けられました。最初は面白いシーンですが、重要なシーンでもあるので受け止め方はいろいろあるだろうなと感じています。
Q 映画祭で多数受賞されていますがご感想をお聞かせください。
A
星能豊どちらかというと海外の映画祭での入選が多かったのですが、いろんな映画祭で上映させていただいて、多くの方と知り合い、新しい作品の出演につながる機会にもなりましたし、ありがたいことです。今回、劇場公開ということで、できるだけ自分も足を運んで、観た方の感想を聞ければいいなと思います。
Q 星能豊さんからOKWAVEユーザーにメッセージ！
A星能豊小説家が書いた話を小説家自身が体現していく不思議な映画です。観終わったときに小説を読み終えたような感覚にもなると思いますので、楽しんで観ていただきたいです。この映画は夫婦のあり方を描いている作品ではありませんが、演じてみて、夫婦ってこんな感じなのかなと思う瞬間が何度もありました。この映画を観て夫婦とは何だろうと考えるのもいいですし、面白さや哀しさを感じるのも自由です。ぜひ感じたことを持ち帰っていただけたらと思います。
■Information
『土手と夫婦と幽霊』
2021年8月6日（金）よりアップリンク吉祥寺ほかにてロードショー
小説家の「私」は、葬式の帰りに「高橋」に誘われて、土手沿いに住む「女」の元に行く。「私」は目覚めると、帰る場所もわからず、「女」の家に居座ることになる。思い出せない記憶、不味い食事、ぬるい風呂……輝きを失ったこの世界にはルールがあった。
星能豊 カイマミ
佐藤勇真 小林美萌
監督・脚本・撮影・録音・編集： 渡邉高章
配給宣伝： アルミード
公式サイト： https://www.dotefufu.com/
Twitter： @dotefufu
Facebook： @dotefufu
(c)2021 zampanotheater
■舞台挨拶情報
8月6日(金)〜10日(火)まで、アップリンク吉祥寺での上映にて、渡邉高章監督、星能豊さん、カイマミさんが登壇。
横浜シネマリンでの上映では、 8月7日(土)、10日(火)に渡邉高章監督、星能豊さん、カイマミさん、8日(日)、9日(月)、11日(水)に渡邉高章監督、星能豊さんが登壇します。
■Profile
星能豊
石川県金沢市生まれ。
劇団研修生を経て本格的に俳優活動をはじめる。
出演作品がぴあフィルムフェスティバル、ながおか映画祭、うえだ城下町映画祭、福岡インディペンデント映画祭、おおぶ映画祭、福井映画祭など全国各地、海外の映画祭にて上映される。
2019年【湖畔の映画祭】にて『土手と夫婦と幽霊』（渡邉高章監督）主演俳優賞受賞。受賞を記念し、2020年、名古屋・シネマスコーレにて自身の特集上映が開催された。
東京での7年間の活動を経て、現在は石川県金沢市に拠点を移して活動している。
Hair Styling： TAKA (MAXBEAUTY GINZA)
Styling： カミフクモトジュン（tone）