OKWAVE Stars Vol.1025は映画『あらののはて』(2021年8月21日公開)に出演の髙橋雄祐さんへのインタビューをお送りします。
Q 出演の経緯についてお聞かせください。
A髙橋雄祐この映画の主演でプロデューサーの舞木ひと美さん以外はオーディションで選ぶとのことでオーディションに参加したのがきっかけです。
オーディション用にはシーンの一部を抜粋したもののみもらっていたので、大谷荒野役に選ばれてから台本を読みました。シーン数が少ないので20分くらいの短編になるのかなと思っていたら、70分ほどの作品になると聞いて、これは特殊な作品になるぞと思いました。物語自体は素敵だと感じました。不思議ちゃんと不思議くんの話ですし、僕は不思議くんを演じるんだとワクワクしました。
Q 荒野のキャラクターをどう受け止めましたか。
A髙橋雄祐自分から見て不思議だなと思う人っていますよね。100人いたらほとんどがこう反応するだろうなという逆をいくように行動や仕草を研究しました。とはいえ、長谷川朋史監督からは「あまり考えずに演じて」と言われましたので、現場ではあまり考えずに演じました(笑)。
荒野は不思議くんとはいえ、みんなどこかしら荒野の要素はあると思うんです。荒野のように女子の食べていたガムを食べてしまうのはかなり理解できない行動ですが、みんな何かしら理解できないことをしてしまうことはあると思います。
高校時代とその8年後を演じる上で、高校生がどんな行動や仕草をしているのかを観察しました。新宿の街なかにいる高校生たちの様子を見ていたので「高校生っていいな」と懐かしい気持ちになってしまいました(笑)。
Q 各シーン、カメラ位置が固定で長回しが多いのが特徴的ですね。
A髙橋雄祐演じる上ではやりやすくて、伸び伸びと演じられました。通常だとカットを割るので、同じ芝居を何回もする必要があります。それがカメラ位置を固定して長回しの撮影となると、俯瞰で考える必要がなく、もっと言えばどう動いたかを覚えている必要さえもないです。荒野としてずっといればいいだけでしたので、本当に演じやすかったです。
Q 相手役との芝居についてはいかがだったでしょうか。
A髙橋雄祐監督はずっと「ディスコミュニケーションが重要だ」と言っていました。不思議くんの役だったので、会話はしているけれど、心がちぐはぐ、というものを求められていました。自然な流れでセリフを発していますが、相手と心がシンクロしていなくていい、という芝居でした。相手が何を考えているか、どうしたいのかを考えないように演じました。
Q 風子とマリア、対照的な二人の女性についてはいかがでしたか。
A髙橋雄祐風子は舞木さんを当て書きしたと監督がおっしゃっていて、舞木さん自身も不思議ちゃんです(笑)。共演する上ではとても演じやすかったです。マリア役の眞嶋優さんは普段はキュートな一面もありますが、現場ではずっとマリアでいてくださったので、同じく演じやすかったです。お二人にはとても感謝しております。
Q 現場の様子はいかがだったでしょう。
A髙橋雄祐一度もピリッとした空気になることもない穏やかな現場でした。長谷川監督が穏やかな方なので、監督の人柄通りの現場でした。
Q 完成した映画を観てどう感じましたか。
A髙橋雄祐関係者で初号試写を観て、観終わってすぐ長谷川監督に「これはすごい映画です」と伝えました。そのくらい僕はこの映画が好きです。まさに映画でしか表現できないような作風がいいなと感じました。
Q この映画に携わっての気づきなどはありましたか。
A髙橋雄祐撮影前から誰にでも荒野のような不思議な要素はあると思っていて、演じてみてそれを再確認できました。心が通い合わない様子にコミュニケーション障害などと名前をつけるのは簡単ですが、そもそも人間は不思議な生き物だと思っていましたので、それを再確認できたのでむしろホッとしました。
Q 荒野の立場からすると、気づいたら女性二人に迫られていて、ご自分だったらどう受け止めると思いますか。
A髙橋雄祐荒野からすると「何で分かってもらえないのだろう」「どうしたらいいのだろう」という気持ちなんだと思います。マリアから白黒二択のように迫られますが、荒野的にはどちらでもないグレーだと思っているけれどそれが伝えられない。優柔不断ということではなく、そういう気持ちは自分でも感じることがあるので、荒野には共感できました。
Q 髙橋雄祐さんからOKWAVEユーザーにメッセージ!
A髙橋雄祐この映画は「観る」ものというよりも「体感する」ものだと思いますので、映画館で観ることをおすすめしたいです。ぜひご覧ください。
■Information
『あらののはて』
2021年8月21日(土)~9月10日(金)池袋シネマ・ロサにてレイトショーほか全国順次公開
25歳フリーターの野々宮風子は、高校2年の冬にクラスメートで美術部の大谷荒野に頼まれ、絵画モデルをした時に感じた理由のわからない絶頂感が今も忘れられない。絶頂の末に失神した風子を見つけた担任教師の誤解により荒野は退学となり、以来、風子は荒野と会っていない。
8年の月日が流れた。
あの日以来感じたことがない風子は、友人の珠美にそそのかされ、マリアと同棲している荒野を訪ね、もう一度自分をモデルに絵を描けと迫るが…
門真国際映画祭2020にて最優秀作品賞、優秀助演男優賞、優秀助演女優賞の三冠
うえだ城下町映画祭 第18回自主映画コンテストにて審査員特別賞(古廐智之賞)受賞
出演: 舞木ひと美 髙橋雄祐
眞嶋優 成瀬美希
藤田健彦 しゅはまはるみ
監督・脚本: 長谷川朋史
配給: Cinemago
公式サイト: https://runecinema.com/aranonohate/
Twitter: https://twitter.com/aranonohate
Facebook: https://www.facebook.com/rune.aranonohate
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■Profile
髙橋雄祐
1992年5月9日生まれ、新潟県出身。
『あいが、そいで、こい』(18/柴田圭佑監督)で主演。2020年は井筒和幸監督の『無頼』等8本が公開。2021年は戸田彬弘監督『僕たちは変わらない朝を迎える』や小平哲兵監督『初めての女』で主演する等、映画を中心に数多くの作品に出演。脚本と主演も務めた『still dark』がとよはし映画祭でグランプリを受賞するなど監督としても活躍中。
http://www.monopolize2008.com/profile/takahashi.html