Vol.1039 鼓童・池永レオ遼太郎(鼓童創立40周年第二弾 鼓童×東京交響楽団「いのち」について)

鼓童 池永レオ遼太郎(鼓童創立40周年第二弾 鼓童×東京交響楽団「いのち」)

OKWAVE Stars Vol.1039は創立40周年を迎える鼓童のメンバー、池永レオ遼太郎さんへのインタビューをお送りします。

Q 池永レオ遼太郎さんご自身の音楽のバックグラウンドと鼓童参加のきっかけをお聞かせください。

A池永レオ遼太郎2歳からピアノを始めて、その後にはチェロを10年くらい経験しました。誰かに言われたからではなく、自分が音楽が好きだったから、他にもいろいろな楽器を演奏してきました。
その後、アメリカの大学に通っているときに鼓童の研修所があることを知って、修行したいなと思いました。過酷な環境に自分をおいて鍛え直したい、と思っていたんです。実際、研修所では過酷な日々を過ごしました(笑)。それを経てメンバーになり今に至っています。

Q 鼓童設立40周年について率直なご感想をお聞かせください。

A池永レオ遼太郎僕自身は10年も鼓童としての活動はしていませんが、鼓童の一員として40周年を迎えられるのは光栄なことです。その40年の間には、いろいろなメンバーが加わって進化してきたので、40年間を振り返るだけではなく、次の40年間でどんなことができるのか、僕を含め若い世代で何ができるのかをもっともっと考えていかなければならないと思っています。先輩たちが積み上げてきたことを継承することも大切ですが、彼らの功績を守るだけではなく、自分たちでも積み上げていきたいと思っています。

Q 鼓童創立40周年第二弾 鼓童x東京交響楽団 「いのち」公演については表題曲「いのち」の作曲と演出も手がけられるとのことですね。

A池永レオ遼太郎普段の鼓童のコンサートとは違ってオーケストラとの共演ですので、演出の面ではそれほど多くのことをするわけではないです。今回は、40分に及ぶ楽曲「いのち」の作曲と、他の演奏曲を選曲しました。これまでにオーケストラとの共演用に作られた石井眞木先生の「モノプリズム」、冨田勲先生の「宇宙の歌」、そして僕の書いた「いのち」という3つの曲による大きなコンサートとなります。

Q 「いのち」は40分に及ぶ楽曲とのことですが作曲はどの様に進めるものなのでしょう。

A池永レオ遼太郎「いのち」は6楽章に分かれていて、各楽章に僕なりのテーマがあります。作曲に関しては、自分の中から自然と出てきたものをまとめていくようなプロセスです。通常は、太鼓と笛を自分で演奏して、各パートのみんなから意見を聞きながら、メンバーの個性を生かして作り上げていきます。この「いのち」はフルオーケストラの中での鼓童の曲です。ですので、鼓童のパートだけではなく、オーケストラを含む全体像をイメージしながら作っていきました。すでにオーケストラのパートの譜面は渡してありますが、実際に音を合わせてみて初めて完成形になるという感触でいます。

Q 「いのち」というテーマについてお聞かせください。

A池永レオ遼太郎タイトルは最後に決めました。 もともと第5楽章の副題が「いのち」だったんです。そこまでに他の楽章も作っていて、この5楽章は2020年の4月に書き上げました。昨年3月、僕は鼓童のヨーロッパツアー中でしたが、イタリア公演の中止に始まり、その後の公演も続々中止。ツアー途中で帰国となってしまいました。その後、隔離、そして緊急事態宣言が出て、鼓童の活動もできなくなりました。みんなで集まれませんので、ひとりでいる時間が長くなりました。佐渡の自然に触れていると、草木は季節とともに成長し変化していくのが感じられますが、人間の社会は慌てていて、この先どう生きていくのかを考えざるを得ない状況でした。また、自分の周りで亡くなる方、子どもが生まれたという方もいて、いのちとは何なのだろうと考える機会にもなりました。その答えは分かりませんでしたが、それでも人は生きていかなければならないんだという思いが音符となって形になったのが第5楽章です。不確定な時代ですし、良い悪いという尺度では測れないことが世の中にはたくさんあります。僕たち鼓童は音楽を通じてどう生きるのかという摂理を描きたかったんです。音楽を通じて生きるということの意味を考える機会になればいいなと思いました。

Q 本番に向けてどのような準備をされていますか。

A池永レオ遼太郎これまでのオーケストラとの共演の経験を踏まえて、太鼓の音量や音の立ち上がりの強さのような、太鼓打ちにしか分からない要素を鼓童パートには入れています。果たしてそれがコンサートホールでオーケストラと共演したときにきちんと機能しているかを見るところからになると思います。そんな演奏面での調整をリハーサルで行って本番を迎えていきます。

Q 注目ポイントをお聞かせください。

A池永レオ遼太郎太鼓の公演、オーケストラの公演、というと身構えてしまうところもあると思いますが、単純にいい音楽を聴きに行くんだと気軽な気持ちで来ていただきたいです。自分でも、曲を書くときに難解なものではなく、誰が聴いても心地よい、元気になれたり、勇気づけられるものを目指していますので、そういう音楽の力を受け取っていただきたいです。それがあってはじめて、太鼓でこんな表現もできるんだというところにも気づいていただければいいのかなと思います。
それと、鼓童のメンバーは太鼓以外に笛など、さまざまな楽器を使いますので、そんなところにも注目していただければと思います。

Q 今後の目指すところや抱負などお聞かせください。

A鼓童 池永レオ遼太郎池永レオ遼太郎この「いのち」公演の後には、「鼓童ワン・アース・ツアー〜童」がありますし、11月25日(木)〜28日(日)にはBunkamura オーチャードホールでの「鼓童創立40周年記念公演」も予定されています。
鼓童としても自分としても、太鼓や日本の音楽ということだけにとらわれずに、自分たちが望むままの表現を突き詰めていきたいです。自分たち生み出す側が本当に楽しんでいて、全力でやっているということがお客さんに伝わるのが一番いいことだと思います。お客さんからのこんな鼓童を見たいという要望ももちろんあると思いますが、そのバランスは大事にしながらも、自分たちのやりたいことを突き詰めていきたいです。
コロナ禍になって1年以上経って、段々と公演を再開していますが、まだまだお客さんとの距離が以前と比べると遠いです。僕らは皆、公演を通じて、お客さんにはもっと近いところで太鼓の音色や持っているパワーを伝えていきたいという気持ちでいます。無観客でもオンライン配信で世界中に配信できる良さはありますが、やはり音楽はお客さんと作り上げる良さがありますので、今のメンバーみんなのモチベーションはお客さんの前で作り上げていきたいという気持ちです。

Q 池永レオ遼太郎さんからOKWAVEユーザーにメッセージ!

A池永レオ遼太郎この「いのち」公演は石井眞木先生の「モノプリズム」、冨田勲先生の「宇宙の歌」、そして僕の書いた「いのち」という、鼓童のこれまでとこれからを表している公演になっています。僕は自信を持って皆さんに聴いていただける曲だと思っていますし、太鼓と曲のパワーを感じていただけるとも思います。緊急事態宣言も解除され、気持ちの上でも堂々と来ていただけると思いますので、ぜひパワーを受け取ってほしいです。僕らもお客さんのパワーを受け取りたいです。

Q池永レオ遼太郎さんからOKWAVEユーザーに質問!

池永レオ遼太郎僕らはツアーで世界中を回ってきました。僕自身、旅が好きです。来年には海外ツアーが予定されていて、今から待ち遠しいです。皆さんは、気軽に海外旅行ができるようになったら、まず最初にどこに行きたいですか。僕は公演で訪れる予定ですが断然、パリです。

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■Information

鼓童創立40周年第二弾 鼓童x東京交響楽団 「いのち」

鼓童創立40周年第二弾 鼓童×東京交響楽団「いのち」2021年10月30日(土)ミューザ川崎シンフォニーホール

鼓童では初となる、鼓童メンバーによるオーケストラ楽曲「いのち」(池永レオ遼太郎 作曲)の世界初演となる舞台。また、約半世紀前に生み出された、現代音楽の巨匠・石井眞木作曲「モノプリズム」を5年ぶりに再演。40周年の節目に次世代の若いメンバーに継承し、新たな創作の糧へと繋げます。
そして、世界的作曲家・冨田勲が鼓童に書き下ろした「宇宙の歌」が奏でる広大無辺な世界観に浸る、1日限りの贅沢な共演が40周年企画として実現。
鼓童ミュージックアドバイザーであり、日本を代表する指揮者・下野竜也氏と東京交響楽団の皆様との「いのち」の響きをどうぞお楽しみに。

演出: 池永レオ遼太郎(鼓童)
指揮者: 下野竜也
演奏: 東京交響楽団、太鼓芸能集団 鼓童

https://www.kodo.or.jp/performance/performance_kodo/30250


■Profile

池永レオ遼太郎

鼓童 池永レオ遼太郎(鼓童創立40周年第二弾 鼓童×東京交響楽団「いのち」)1990年11月1日生まれ、アメリカ・ミシガン州出身。
幼少期よりクラシック音楽を学び、太鼓は大学1年生よりアメリカ、コーネル大学の学内活動で始める。2013年研修所へ入所。2016年より鼓童メンバーとなる。舞台では主に太鼓、笛を担当。旋律楽器も得意とし作曲や演出にも力を注ぐ。2017年の「アース・セレブレーション」で「鼓童若手連中」を初演出。2018年にはフランスの太陽劇団の招聘により「Kodo Next Generation」としてパリで再演を行った。その後も数々の公演の演出や 作曲にも携わっている。舞台での演奏以外では2020年から「鼓童ハートビートラヂオ」を立ち上げ、現在もメインMCを務めている。その他にデジタル音楽や新しい時代に合わせたコンテンツ作りにも力を入れており、映像制作、SNS展開など幅広い分野でも活躍。ネイティブな英語を生かした海外オーディエンス向けの発信も積極的に行なっている。2021年は鼓童創立40周年 鼓童x東京交響楽団「いのち」で演出、そして鼓童として は初のオーケストラ楽曲の作曲にも挑戦をするなど鼓童の次なる世代を牽引する期待も高い。

https://www.kodo.or.jp/about/member/ryotaroikenaga


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