Vol.1043 バイロン・ハワード、ジャレッド・ブッシュ、シャリース・カストロ・スミス(『ミラベルと魔法だらけの家』について)

バイロン・ハワード、ジャレッド・ブッシュ、シャリース・カストロ・スミス(『ミラベルと魔法だらけの家』)

OKWAVE Stars Vol.1043はディズニー・ミュージカル最新作『ミラベルと魔法だらけの家』(2021年11月26日公開)バイロン・ハワード監督、ジャレッド・ブッシュ監督、シャリース・カストロ・スミス共同監督へのインタビューをお送りします。

Q 本作は魔法という要素が加わった大家族の物語ですが、大家族のことをどのように描こうと考えましたか。

Aディズニー・ミュージカル『ミラベルと魔法だらけの家』バイロン・ハワードこの映画は5年前から始まった企画ですが、その時点で家族モノでいこうと決めていました。家族というものは複雑ですよね。自分のことを一番に支えてくれるのも家族ですが、家族ならではの悩みや問題もあります。自分のことをちゃんと見てもらえていないと感じることもあるだろうし、家族のことを本質的なところまで見ることができていないこともあります。そんな要素を物語に込めました。さらに魔法という要素が出てきますが、家族の中で果たす役割というものがありますので、その役割というものにこのマドリガル家のひとりひとりが持つ魔法の性質をつなげて表現しています。家族の中で自分の存在感がなかったとしても、だからといって家族の中で自分が必要のない存在ではないんだということを描きたいと思っていました。ミラベルは自分の家族が完璧な存在だと思っていますが、実はそうではなかったということに気づいて、家族の中での自分の居場所を見つけていく、そんな共感が得られるようなキャラクターにしていこうと思いました。

Q 家自体が魔法の生き物のようで、木々や花々が溢れた部屋も出てきますが、物語のほとんどがその家の中で進行します。その点ではどんな工夫をされましたか。

Aディズニー・ミュージカル『ミラベルと魔法だらけの家』シャリース・カストロ・スミスその点は本当に大きな挑戦でした。ディズニー・アニメーションにはバディものでふたりが世界に冒険に繰り出す作品が多いのでロケーションがどんどん変わっていくのも特徴です。今回は家族モノですので、家の中で多くのことが起きるということにしたかったんです。家自体が歴史やそこに住む人の夢や記憶を持っていて、家族の存在感を家が守っているとも言えます。そこで、家族にとっての飼い犬のような存在として家そのものを描き出しました。家自体が家族の誰かにとくに好意を寄せたり意見を言いたくなる、という設定を作ったらアニメーターたちはすごくワクワクして取り組んでくれました。もちろん、家自体が家族のメタファーにもなっています。

Q バディものというと『ズートピア』もまさにそうでしたね。今回はディズニー・ミュージカルということで、コロンビアがロケーションとして選ばれ、ラテン音楽がベースになっています。音楽面での狙いや工夫についてお聞かせください。

Aディズニー・ミュージカル『ミラベルと魔法だらけの家』ジャレッド・ブッシュ5年前に企画が始まったときは『ズートピア』も製作中でした。僕もバイロンも子どもの頃から音楽に取り組んできたので、次回作は音楽モノかミュージカルにしようと話していました。僕は『モアナと伝説の海』に脚本で関わっていたから、同作の楽曲を手掛けたリン=マニュエル・ミランダとも接点がありました。バイロンも監督作『塔の上のラプンツェル』でミュージカルアニメーションを体験済みです。自然な形で僕らとリンとで新しい音楽を作っていこうという話になりました。ラテンアメリカを舞台にすることも自然な流れで決まっていきましたが、同じ南米でも国によってかなり違いがあるので、多様な視点、多様な家族が見られる場所を探した結果、コロンビアに行き着きました。コロンビアは音楽やダンスなどの文化、食べ物に関しても多様です。この物語のテーマにぴったりだったので、コロンビアの文化を反映した、いろんな音楽を作ることができました。

Q 本作を製作したことで、皆さんも家族についての新しい発見はありましたか。

Aディズニー・ミュージカル『ミラベルと魔法だらけの家』バイロン・ハワード僕たちも自分の家族については知らないことがあるとよく話していました。僕の場合は、東海岸におばが住んでいて、ある時「あなたのお母さんの剣が私の家にあるんだけど」と連絡が来て、「剣って何」と思わず聞き返したエピソードがあるんです。その剣は母が以前にフェンシングをやっていたときのもので僕はそれを全然知らなかったんです。母はそういうタイプに見えないこともあって、たまたま知ったその出来事がこの作品を作る大きなヒントにもなりました。母の知らない面を知っていくということがこの作品には反映されています。

ジャレッド・ブッシュ僕はいまのようなクリエイティブな仕事がしたくて、仕事を見つけるよりも前にワシントンD.C.からL.A.に引っ越そうとした時、母が僕の背中を押して応援してくれたんです。「良い親を持ってよかった」と、その話を僕の姉にしたところ、姉は黙り込んでしまったんです。姉は若い頃に体操選手として活躍していましたが、実は姉本人はアートが大好きで、親からは得意なスポーツを推されて、自分の好きなことがやれなかったそうです。姉の知らない一面を知ったのと、そんな姉の経験があったから自分の時には親が考えを調整してくれたのかなと、家族のことをさらに知る機会になりました。

シャリース・カストロ・スミス私の母は移民で、いろいろな苦労をしながら私を育ててくれました。この映画に関わるまではそんなヒロイックな一面だけで母のことを見ていました。この映画に携わって、実際にどうだったのかと考えるきっかけになりましたし、私自身、この製作の途中で子どもが生まれて母になったので、なおさら家族のことへの関心が高まりました。

Qバイロン・ハワード監督からOKWAVEユーザーに質問!

バイロン・ハワード皆さんは家族のことをどのくらい知っていますか。聞いてびっくりしたような家族の話を聞かせてください。

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■Information

『ミラベルと魔法だらけの家』

ディズニー・ミュージカル『ミラベルと魔法だらけの家』2021年11月26日(金)より全国ロードショー

魔法の力に包まれた、不思議な家に暮らすマドリガル家。家族全員が家から与えられた“魔法のギフト(才能)”を持つ中で、少女ミラベルだけ何の魔法も使えなかった。ある日、彼女は家に大きな”亀裂”があることに気づく。それは世界から魔法の力が失われていく前兆だった。残された希望は、魔法のギフトを持たないミラベルただひとり。なぜ、彼女だけ魔法が使えないのか?そして、魔法だらけの家に隠された驚くべき秘密とは…?

監督: バイロン・ハワード(『塔の上のラプンツェル』、『ズートピア』)、ジャレド・ブッシュ(『ズートピア』(共同監督、脚本)、『モアナと伝説の海』(脚本))
共同監督: シャリース・カストロ・スミス
脚本: ジャレド・ブッシュ、シャリース・カストロ・スミス
製作: イヴェット・メリノ、クラーク・スペンサー
音楽: リン=マニュエル・ミランダ (『モアナと伝説の海』)
配給: ウォルト・ディズニー・ジャパン

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