Vol.1045 女優 中村ゆり(映画『愛のまなざしを』について)

中村ゆり(映画『愛のまなざしを』)

OKWAVE Stars Vol.1045は映画『愛のまなざしを』(公開中)に出演の中村ゆりさんへのインタビューをお送りします。

Q 台本の印象はいかがでしたか。

A中村ゆりとても不思議なお話ですし、主人公の貴志が綾子に出会うことで救われているのか、それとも気がおかしくなっているのか、その曖昧さがいいなと思いました。出てくる人は皆孤独で、人はどこまでも愛を求めてしまうという、人間らしい映画だと感じました。台本を読んで、純粋に万田邦敏監督が作り上げる世界を観てみたいと感じました。

Q 物語の時間軸では既に亡くなってしまった妻・薫役を演じましたが、役どころについてどのように受け止めましたか。

A中村ゆり(映画『愛のまなざしを』)中村ゆり私のこの映画の中での出方は、非現実的というか。亡霊のようでもあり、仲村トオルさん演じる夫・貴志の幻想でもあるだろうし、彼の心の闇でもあれば、救いでもあると思うんです。そんな象徴的な人物なので、リアルに演じるということとは別で考えなければなりませんでした。また、監督には撮りたい世界がはっきりとあるので、私たち演じる側は、それに身を委ねようという気持ちでもいて、監督といろいろ話しながら作っていきました。ただ、私が考えなければならなかったのは、生きている頃の彼女のことです。映画の中にすべてが描かれているわけではないので、どんな気持ちだったのかを埋めていく必要がありました。彼女が亡くなる場面での監督の演出が、物語の中での薫の一連の流れとは異なっていて、まるで獣のように振る舞うことが求められていたので、より一層生きているときの彼女のことを考える必要がありました。現在の貴志が見ているのは何事もない薫なので、映画には映し出されていない薫が本当は辛かった時期も演じてみたかったなとは思います。

Q 万田邦敏監督が撮りたい世界や演出というものはどのようなものでしたか。

A中村ゆり監督は身体の動かし方、使い方をご自分で決めたい方です。私の中での理解とは必ずしも合っていない時もありましたが、私自身、言われたことは何でもやってみるタイプなので、全体を通したときにつながるのだろうなと思って演じていました。監督からの動きの指示は、監督のカラーで不思議な部分だと思いましたし、その通りにやってみるのは楽しかったです。

Q 夫・貴志役の仲村トオルさんとの共演はいかがでしたか。

A映画『愛のまなざしを』中村ゆりとても優しくて誠実な方でした。大先輩なのに誰に対しても真面目ですごく丁寧なので、ずっとそういう風に仕事をされてきたのだろうし、人格者なのだろうなと思います。トオルさんの優しさや繊細さは貴志役にぴったりだと感じました。杉野希妃さん演じる綾子が懐にひょいっと入ってこられるくらいなので、包容力がなければ貴志役は務まらないとも思います(笑)。私たちが演じた夫婦は生前は本音で話せなかったのだろうなと思いました。本気でぶつかることができていれば違った結果になったのかなと思います。逆に綾子が全力で貴志にぶつかってくるので、きっとそれを経てるからこそ、貴志は変わるのだろうなと感じました。

Q この映画での共感できるところなどお聞かせください。

A中村ゆり実際に共依存しているカップルも多いと思うんです。周りから「離れなよ」と言われても離れられない人たちもいますので、不思議な映画ですけれど実際にいそうな人たちが出てくる話でもあるなと感じました。その共依存から迎える結末には、私はむしろ救いを感じました。人の闇を綺麗事で済ませていないのがいいなと思いました。
それと綾子のように人を巻き込んでいくところにはたくましさを感じました。私は自分が窮地に立たされた時は自分自身を奮い起こすタイプだと思っていますが、彼女みたいに周りを巻き込んだり、嘘をついたりするタイプの人も実際にはいますし、しかも、そういう方は大抵色っぽいんです(笑)。本能全開でのアグレッシブな愛情の求め方は、共感を通り越して、うらやましくも感じる部分ではありますね(笑)。

Q 中村ゆりさんからOKWAVEユーザーにメッセージ!

A中村ゆりこの『愛のまなざしを』は言葉で説明するには難しい独特の世界観で、孤独な人たちが身を寄せ合っているようなとても映画的な作品です。自分に余裕がなかったり辛いときに“いい話”を観ると余計にひねくれてしまうこともあると思います。いま苦しい立場にある人には「自分だけではない」と感じられる、救われるような映画になっていると思います。

Q中村ゆりさんからOKWAVEユーザーに質問!

中村ゆり皆さんのここが一番だというサウナを教えてください。

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■Information

『愛のまなざしを』

映画『愛のまなざしを』全国公開中

貴志は、患者の話に耳を傾けてくれると評判の精神科医だが、6年前に亡くした妻・薫のことを想ってはむせび泣き、薬で精神を安定させる日々を過ごしていた。患者としてやってきた女・綾子は、治療関係を超えて貴志と気持ちが通じ合い、やがて貴志に寄り添うようになる。しかし綾子は、貴志の亡き薫への断ち切れない思いや薫との子供・祐樹の存在を知るや猛烈な嫉妬心にさいなまれ、独占欲がふくらむ。そして、前妻の弟・茂に近づき…。

出演: 仲村トオル 杉野希妃 斎藤工 中村ゆり 藤原大祐
監督: 万田邦敏
配給: イオンエンターテイメント 朝日新聞社 和エンタテインメント

公式HP: aimana-movie.com
Facebook: aimana.movie
Twitter: aimana_movie
Instagram: aimana_movie

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■Profile

中村ゆり

中村ゆり(映画『愛のまなざしを』)大阪府出身。
2003年から女優として活動を始め、『パッチギ!LOVE&PEACE』(07/井筒和幸監督)で全国映連賞女優賞、おおさかシネマフィスティバル新人賞を受賞。近年の映画出演作に是枝裕和監督作『そして父になる』(13)『海よりもまだ深く』(16)、『ディアーディアー』(15/菊池健雄監督)、『破門ふたりのヤクビョーガミ』(17/小林聖太郎監督)、『8年越しの花嫁奇跡の実話』(17/瀬々敬久監督)、『居眠り磐音』(19/本木克英監督)、『Fukushima50』(20/若松節朗監督)、『Arc アーク』(21/石川慶監督)、『DIVOC-12 海にそらごと』(21/斎藤栄美監督)など。
CX「SUPER RICH」に出演中。

https://alpha-agency.com/artist/nakamura/
https://www.instagram.com/yurinakamurawoori/

スタイリスト:道券芳恵


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