Vol.1047 坂田敦哉、渡部直也(映画『宮田バスターズ(株)-大長編-』について)

坂田敦哉、渡部直也(映画『宮田バスターズ(株)-大長編-』)

OKWAVE Stars Vol.1047は映画『宮田バスターズ(株)-大長編-』(公開中)坂田敦哉監督と主演の渡部直也さんへの対談インタビューをお送りします。

Q まず短編が作られてからこの「大長編」に至ったとのことですが、制作の経緯をお聞かせください。

A映画『宮田バスターズ(株)-大長編-』渡部直也2018年の福岡インディペンデント映画祭(FIDFF)にそれぞれ別映画で参加していて出会ったのがきっかけです。監督の『FIGHTING CAMERAMAN』がとても興味深くて、思わず話しかけたんです。その際に、おじさん役を若手が演じていたので、次回作で年配キャストが必要なら紹介しますよ、という話をしていたら、今回、自分に話が来たんです。

坂田敦哉短編の『宮田バスターズ(株)』企画は「車を突っ込ませたい」というものでした。自作のセットを作って、さらに自作の車を突っ込ませれば、多分、自主映画、学生映画では誰もやったことがないだろうという安直な発想だったんです(笑)。

渡部直也まさにその場面から考えて膨らましていった感じですね。

坂田敦哉伝えたいテーマや壮大な物語が先にあるわけではない独特の作り方だと思います。どうすれば話題になるか、という考え方なので、どうすればバズるかを考えているYouTuberに近い企画の立て方ですね。いつも、どうすればデカイことができるかと考えています。

渡部直也その中で、壁に車が突っ込む整合性を考えて、小さなオフィスならセットで作ることができるから、それなら中小企業だろうと。それでこの前会った渡部って人が社長っぽいな、というような積み重ねだったんですよね。

坂田敦哉そうです(笑)。まず発想があって、それを現実と折り合いをつけながら映画にしていくというプロセスです。できるものを集めてくる感じです。

渡部直也でも、自作できる規模がオフィスって、学生映画の規模ではないから、そのできることの範囲は広いとも思います。

Q では車が突っ込む短編を撮ってみて、手応えはいかがでしたか。

A坂田敦哉案外、車のところは受けなかったんです。でも、宮田社長のキャラクターや会社、宇宙生物といった設定の部分が受けて羽ばたいていったんです。それで、この「大長編」ではその会社のストーリー部分を掘り下げました。

渡部直也短編では満足できなかった、というところもありますよね。

坂田敦哉そうですね。あの規模のものを作るには経験不足だったので、もう一回やればさらにうまくなるだろうという取り組みでした。

渡部直也少年のようなアプローチ(笑)。

坂田敦哉そうなんです。少年の発想と大人の折り合いをいい感じにつけると映画になるという考え方です。

渡部直也次やればうまくやれるだろう、というのは体育会的な発想ですよね。

Q この「大長編」についてはどんなところに力点を置きましたか。

A坂田敦哉哀愁です。

渡部直也そして、滅びゆく人々の行く末ですね。僕も監督も歴史が好きで、監督は真田幸村をやりたいと。僕は河井継之助かなと。時代の変化に抗えない人たちがテーマでしたね。

坂田敦哉僕が子どもの頃によく観ていた2000年代の映画は、頑張ったけれど勝てはしなかった、といったビターエンドな映画が多くて、潜在的に影響を受けていたのかなと思います。

Q セットはホームセンターで材料を購入して手作りされたとのことですが、どのように進めたのでしょう。

A坂田敦哉僕と似た発想のスタッフがいて「これとこれを組み合わせると立つんじゃない」みたいなことを言いながら作っていました。一応、設計図は書くんですが、最後は発想ありきでどんどん作っていきました。

渡部直也だから立ててみたらとても重かったとか、トライアンドエラーでしたね。でも、そのダイナミックなやり方がうまくいくことも多かったですよ。

Q 演じる上ではいかがでしたか。

A渡部直也セットで本物を作っていただけたので、演じる側のテンションは全然違いました。しかも、その作ったセットを壊してしまうので、一発勝負です。失敗したらやり直しができないので、スタッフも含めた全員が「やるぞ」という緊張感があってよかったです。ドラマ部分では、時代の流れに飲まれていく会社の社長としての機微を演じられました。

坂田敦哉ドラマ部分は切ない話にしたかったです。

渡部直也社長は会社の行く末を分かっているところがあって、それでも抗えない、というところを社員が喜んでいる後ろから表情で表現しましたし、それを撮っていただけたのもよかったです。

Q 宇宙生物とのバトルシーンは臨場感があっていいですね。

A映画『宮田バスターズ(株)-大長編-』渡部直也僕の演じた社長は後ろにいることが多かったですが、ユリ役の大須みずほさんら若手が頑張ってくれましたね。

坂田敦哉宇宙生物は動かないので撮るのは大変でした。人が着ぐるみで演じているのではなくアニマトロニクスなのでタイミングなどが難しかったです。

Q 撮影を振り返ってエピソードなどお聞かせください。

A映画『宮田バスターズ(株)-大長編-』渡部直也ユリが橋を走るシーンで上がる花火はスタッフが一緒に走りながらやっているんです。

坂田敦哉花火を持って走れば、画面に一緒に映るのではないかという安直な発想ですけど、うまくいきましたね。

渡部直也アナログでうまくいったところですね。CGではない遠回りなところが、かえってダイナミズムや人間らしさを生んでいるんじゃないかなと思います。

坂田敦哉でも僕としてはそれを意識していたのではなくて、むしろ最善を尽くしていたんですよね(笑)。

渡部直也それでいえば、ポスターの僕は毎回ジャンプしていますから。6回くらいやったのかな。

坂田敦哉合成したりするのよりも、実際にやる方が楽しいし、それが映画作りの醍醐味なのかなと思ってやっていました。ポスター撮影ではスタッフがレンガを何度も積んでいましたがみんな楽しんでやってくれていました。

渡部直也監督をはじめスタッフがみんな10代、20代だし、みんな造形が大好きだからいいですよね。

坂田敦哉それがちゃんと活かされて、派手な形になればテンションも上がるんです。

Q この映画を作り終えて新しい気づきなどはありましたか。

A坂田敦哉気づいていない状態から始まっていますから、すべてが気づきでした。

渡部直也映画製作の段階やその手前にも気づきはありましたね。ご縁があって宮崎美子さんに出演していただいて、ノリノリで参加していただけました。映画祭を廻った中で知り合った方が整音をしてくださったり、僕らが動いていく中でできていくご縁によって映画のクオリティも上がっていくというのが、インディーズ映画の面白さなのかなと感じました。それと、本物の火を見たときのリアクションは、こんな風に驚くものなのかと。役者は型にはまりがちなので、本物を使って演じると、全く違う表情になるのがお芝居の段階での発見でした。2年近く作品を作っていましたのでいろいろと気づきだらけでしたね。

Q コロナ禍は映画製作に影響はありましたか。

A坂田敦哉むしろ家から出られなかったので、その間に自分たちで作ったり、編集の時間も取れたのでスムーズに進みました。

渡部直也トラブルが遭っても楽しんでいました。よく「来た球を打ち返しましょう」という会話をしていて、僕らは現場で事件が起きるとむしろ楽しくなるんです。いろいろなトラブルがありましたけど、何か起きるたびにどうそれを活かすかという発想でいました。

Q 映画を作るモチベーションの源泉についてお聞かせください。

A坂田敦哉子どもの頃に観た「ドラえもん」の「超大作特撮映画『宇宙大魔神』」というドラえもんたちがSF映画を撮る回を観て、自分も撮りはじめて、そのまま今に至っています。映画が遊びみたいなものだったので、遊びの延長でいまも続いています。

Q OKWAVEユーザーへのメッセージ!

A映画『宮田バスターズ(株)-大長編-』坂田敦哉見どころはタンクくんです。

渡部直也僕らは市民権を与えていませんが(笑)、監督がやたらと推していて一番演出も厚かったんです。

坂田敦哉これはドラえもんファンだったからなのかなあ。もちろん、ドラマ部分も観ていただきたいです。

渡部直也短編版では仕掛けやギミックの面白さでしたが、今回は総合版ですからね。すべてがパワーアップしていますし、肩凝らずに楽しんでいただけると思います。

Q坂田敦哉監督と渡部直也さんからOKWAVEユーザーに質問!

坂田敦哉渡部直也皆さんが長年続けている趣味や創作や、ずっと続けていることが仕事につながっている、というものはありますか。

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公開初日舞台挨拶レポート

映画『宮田バスターズ(株)-大長編-』公開初日となった11月20日(土)、池袋シネマ・ロサにて主演の渡部直也さん、共演の大須みずほさん、佐田淳さん、山本愛生/もっちゃんさん、そして坂田敦哉監督の登壇による初日舞台挨拶が満席の中行われました。本作は監督の実家周辺で撮られたことや、スタッフ2人が瞬間接着剤が手についたままセットに触れてしまい、はがすのが大変だったというエピソードや、キャストらもチラシなどの制作を手伝ったことなどの裏話が和気藹々とした雰囲気の中、語られました。坂田監督からは、何度も追撮を繰り返して完成に漕ぎ着けたことやスタッフ・キャストへの感謝が語られ、最後は渡部直也さんの発案で三本締めで締めくくられました。


■Information

『宮田バスターズ(株)-大長編-』

映画『宮田バスターズ(株)-大長編-』池袋シネマ・ロサにて上映中

「大変な時代になったもんだ。」
突如地球を襲った“宇宙生物の飛来”。
人々の安全を守るべく、長きに渡り宇宙生物と戦い続けてきた駆除会社「宮田バスターズ(株)」
そんな彼らの均衡は“テクノロジーの進歩”により崩れ始める…。

渡部直也 大須みずほ 佐田淳 ユミコテラダンス 山本愛生
栗原駿 水野祐樹 吉見茉莉奈 瀬良大智 佐波太郎 茶谷優太 職業怪人カメレオール
宮崎美子

監督・脚本・撮影・編集・特殊造形: 坂田敦哉

https://miyata-gogo.com/
https://twitter.com/MIYATA5050

(c)映像製作団体友


■Profile
坂田敦哉、渡部直也(映画『宮田バスターズ(株)-大長編-』)

坂田敦哉

1999年生まれ、大阪府出身。
自ら監督・脚本・撮影・照明・編集・特殊造形を兼ねるスタイルで自主映画製作に臨んでいる。

https://twitter.com/SAKATSU311

渡部直也

1983年、広島県生まれ。
早稲田大学在学中に稲門シナリオ研究会に所属。自主映画を制作、出演。2016年に主演作『食卓』(小松孝監督)がぴあフィルムフェスティバルPFFアワード2016グランプリを受賞。

https://twitter.com/Beyanso


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