Vol.1057 村上淳、菜 葉 菜(映画『夕方のおともだち』について)

村上淳、菜 葉 菜(映画『夕方のおともだち』)

OKWAVE Stars Vol.1057は映画『夕方のおともだち』(2022年2月4日公開)主演の村上淳さん、菜 葉 菜さんへのインタビューをお送りします。

Q 本作のオファーの感想や台本の印象をお聞かせください。

A映画『夕方のおともだち』村上淳僕は役者デビューしてすぐの時期に山本直樹さんが原作の映画『ありがとう』に出演しているんです。それに、80年代から90年代の、山本直樹さんが一番多く描いていた時期の作品に触れてもいましたので、「夕方のおともだち」の内容は自然に受け止められました。この映画で描かれることになるSM表現も別作品で経験していますし、逆に廣木監督がこれまでに撮っていた“壁ドン”とか“頭ポンポン”を菜 葉 菜さんに僕がするのだったらどうしようかと考えていたと思います。

菜 葉 菜(笑)。廣木組の作品はいちファンとしてずっと観ていましたのでオファーは嬉しかったです。廣木さんが過去にSMを扱った作品があるのも知っていますし、廣木さんは何より人間を描いているのが特徴的です。ビジュアル的にはSMが目立っていますが、それだけではない映画になると確信していました。役者を始めてから廣木組の主演は目標の一つでしたので、この企画が来て本当に光栄でした。

Q ヨシオ、ミホのキャラクターについてはどのように受け止めましたか。

A村上淳ヨシオはそれこそどこにでもいそうで、素朴な人間なんだろうなと思いました。

菜 葉 菜いろいろな風俗の仕事を経験してきたミホの職業の部分は表現が難しいところもあると思いましたが、一人の女性としてヨシオと出会ってからの彼女の心情の変化や、ミホの人間性の魅力的な部分は原作を読んだ時から感じていました。SMの技術的なところはイブ様という女王様から習いましたが、感情の部分では共感できるところが多かったです。

Q ビジュアルとしてはSMシーンのインパクトがそれぞれに大きいです。

A村上淳特別なことはしていないです。SMの実技を2日間見学させていただいて、イブ先生の“ちょっと直視できない追い込み方”を見ることができたのが良かったです。それがあったので演じる感覚が掴めました。
ミホ女王様とのSMシーンは、ヨシオがかつてユキ子女王様から受けたプレイを演じているところがあります。SMクラブに通っているのに、プレイの時はミホ女王様に気を使っている。それもあって鞭を打たれて感じ入る芝居をするというよりも、シーンの一つ一つを面白いなとむしろ冷静に感じながら演じていました。だから僕の中ではこの映画はSM要素はそんなに多くないと思っているんです。

菜 葉 菜廣木組では衣装合わせの時に、シーンに合わせて、それこそパンツ姿があるならそれもその場で確認すると村上さんから聞いていました。Azumiさんと衣装合わせに行って、ミホ役に入る前の、素の私のままのSM衣装を着た時はすごく恥ずかしかったんです。それが現場では衣装やカツラで逆に気持ちが入るもので、SM衣装でも全然恥ずかしくなく、楽しんで演じられました。

Q 現場の様子などお聞かせください。

A映画『夕方のおともだち』村上淳早い段階から関わっていましたので、キャスティングの様子も聞いていましたし、主演を務めさせてもらうと、菜 葉 菜さんとのラブシーンでさえも俯瞰で見ることができて面白かったです。
例えば、ヨシオが大西信満くんともう一人の同僚とSMクラブに行ったことで“ドM”に目覚めることになるシーンですが、酔っ払い度合いの芝居は結構難しいんです。ヨシオは介抱がてらSMクラブに行くことになるのに、リハーサルでの大西君はあまり酔ってない芝居をしたので「それだとヨシオは帰っちゃうよ」と言いました。そうしたら今度はベロンベロンに酔っ払った芝居をしたので「それだとプレイできないよ」と。大西君は初日に緊張するタイプなのでそういう様子を見ることができたのが面白かったです。他にも、市長選の街頭演説を聞いてヨシオが笑い出すシーンは、街頭演説中の宮崎吐夢さんが怪しいおじさん過ぎて、僕自身、お腹がよじれるくらい可笑しかったのがそのまま出ているんです。

菜 葉 菜私は他の人の芝居を俯瞰で見て楽しむ余裕なんてなかったです。撮影期間中に2日ほど出番のない日があって、廣木さんが「見にくればよかったのに」と後で仰っていましたが、自分の役のことでいっぱいいっぱいで行けなかったくらいでした。念願の廣木組の嬉しさで気負ってしまっていたので、今のお話を聞いて村上さんはやっぱりすごいなと。廣木さんも村上さんも、緊張しながら現場に入ってくる私のことを分かって見守ってくださっていました。段々とほぐれていくことも分かってくださっていましたし、そのままの自分でいられたので、とても感謝しています。

Q 印象的だった撮影エピソードについてはいかがでしょうか。

A村上淳菜 葉 菜さんとのラブシーンはやはり印象的でした。肌と肌が触れ合っていると、言葉以上のものがお互いに伝わるんです。本番の一番いいところで“火照り”が感じられたのが良かったです。廣木さんはそういうものを撮りたいのだと思います。とても難しいことを要求されますが、一方で高揚感のようなものが自然と出せるようにしてくれるし、それはアットホームな雰囲気作りといったものとは全く別物です。実際のところ、役者からすると、芝居だとバレてしまうすごくイジワルな位置にカメラを置いて撮っているんです。「5センチ、カメラ位置を上げるか下げられないですか」と現場でも聞いたくらいです。アクションシーンで実際には当たっていなくてもアクションが続いていくことでそこに感情が乗っていくように、演技ではなく、感情が動いて頬がほんのり紅潮しているシーンになっています。

菜 葉 菜ミホが初めて素になるシーンですし、私もとてもいいシーンになったと思います。ラブシーンでは途中でカメラが寄ったりするものですが、ずっと同じ位置で撮っていて、完成した映像を観ると、その時の臨場感や二人の感情の流れが感じられて、ずっと同じ位置から一通りを撮っていたからこそ生まれたものだと感じました。他の作品にはあまり観られないラブシーンになったと思います。

村上淳廣木さんのカメラの置き位置はマジックのようでもあるし、撮影監督の鍋島淳裕さんはサラッと撮っているようで肉薄するようなものがあります。総合芸術としての面白味がすごく詰まった作品になったと思います。

菜 葉 菜映像もお話も押し付けがましくないですね。廣木さんがこの原作をすごく好きだという気持ちが、完成した映画を観てよく分かりました。

Q OKWAVEユーザーにメッセージ!

A映画『夕方のおともだち』村上淳R18が付くくらいですから見え方はそれ相応のものになっていますが、R18だと思って観るとこの映画はむしろヒューマンドラマです。大人になるにつれ、あるいは世の中の状況の中で後回しになってしまうような感情を廣木さんは最優先して撮っています。それがスクリーンに映っている映画ですので、ぜひ観ていただければと思います。

菜 葉 菜癒しと爽やかな人間ドラマが描かれていて、観る前の気持ちとは違った感情になると思います。怖いもの見たさで来ていただいて構いませんので、ぜひたくさんの方に観ていただきたいです。

Q村上淳さん、菜 葉 菜さんからOKWAVEユーザーに質問!

村上淳SNSではTwitterが10年くらい前、Instagramが8年くらい前に人気になりました。言葉、写真と来て、次は何が来ると思いますか。

菜 葉 菜『夕方のおともだち』に因んで、皆さんは男女の友情はあると思いますか。

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■Information

『夕方のおともだち』

映画『夕方のおともだち』2022年2月4日(金)よりTOHOシネマズ六本木ヒルズ、大阪ステーションシティシネマほか全国順次公開

ヨシダヨシオは寝たきりの母親と暮らし、市の水道局に勤める一見真面目な男。一方で筋金入りの”ドM“な一面を持ち、夜な夜な街で唯一のSMクラブへ通いつめ”女王様“ミホからお仕置きを受けている。
しかし、ここのところどうもプレイに身が入らない。その理由はヨシオには分かっていた。ヨシオをこの世界に目覚めさせ、突然目の前から姿を消してしまった”伝説の女王様“ユキ子が忘れられず、いつもどこかでユキ子の残像を追いかけながら暮らしていたからだった。
そんなある日、明るい太陽のもとミホと埠頭で釣りをしていると、思いもしない所で彼女を見かけ、ミホを置き去りにしてユキ子を必死に追いかける。ヨシオがたどり着いた果てにあるものとは…。そしてヨシオとミホに待つ結末とは?

村上淳 菜 葉 菜
好井まさお 鮎川桃果 大西信満 木口健太 田中健介
日向寺雅人 坂本つとむ 宮崎吐夢/田口トモロヲ Azumi(Wyolica)/烏丸せつこ

監督: 廣木隆一
原作: 「夕方のおともだち」(山本直樹著/イースト・プレス刊)
配給: 彩プロ

https://yugatanootomodachi.ayapro.ne.jp/

©2021「夕方のおともだち」製作委員会


■Profile
村上淳、菜 葉 菜(映画『夕方のおともだち』)

村上淳

1973年7月23日生まれ。大阪府出身。
『ぷるぷる 天使的休日』(93)で映画デビュー。『ナビィの恋』(99)、『不貞の季節』(00)、『新・仁義なき戦い。』(00)の3作品で、第22回ヨコハマ映画祭・助演男優賞を受賞。 以降、数多くの映画・ドラマに出演。近年の主な出演作に、『新宿スワン』シリーズ(園子温監督/15、17)、『グラスホッパー』(瀧本智行監督/15)、『パンク侍、斬られて候』(石井岳龍監督/15)、『母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。』(大森立嗣監督/19)、『ある船頭の話』(オダギリジョー監督/19)、『初恋』(三池崇史監督/19)、『鳩の撃退法』(タカハタ秀太監督/21)、『島守の塔』(五十嵐匠監督/21)などがある。
廣木隆一監督との出会いは、当時ストリートカルチャー誌のモデルだった村上淳が、TBS番組「素敵な恋をしてみたい」内のミニドラマ『スケートボード』(藤井フミヤ監督)で演技デビューを飾った作品の監督補として参加していたのが監督との出会いであった。あれから30年近くもの間に、『不貞の季節』『ラマン』『PとJK』『ここは退屈迎えに来て』など10作品以上の監督作品に参加しながらも、本作でようやく廣木監督作品初主演、そして芸能生活30周年にあたる記念すべき作品となる。

https://www.decadeinc.com/jun-murakami/

菜 葉 菜

2005年映画『YUMENO』で主演し本格的に女優デビュー。以後、『夢の中へ』(園子温監督/05)、『孤高のメス』(成島出監督/10)、『ヘヴンズ ストーリー』(瀬々敬久監督/10)『64-ロクヨン-』(同/16)、『百合子ダスヴイダーニヤ』(浜野佐知監督/11)、『ラストレシピ~麒麟の下の記憶~』(滝田洋二監督/17)、『後妻業の女』(鶴橋康夫監督/16)など多数の話題映画に出演。『どんづまり便器』(小栗はるひ監督/12)でゆうばり国際ファンタスティック映画祭最優秀主演女優賞を、近作では主演作品『赤い雪』(甲斐さやか監督/19)で第14回Los Angeles Japan Film Festival 最優秀俳優賞を獲得した。最新作は『モルエラニの霧の中』(坪川拓史監督/21)、『ホテルアイリス』(奥原浩志監督/22)などがある。

http://www.t-artist.net/nahana.html


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