OKWAVE Stars Vol.1062は実話を基にした『ボブという名の猫2 幸せのギフト』(2022年2月25日公開)の原作者ジェームズ・ボーエンさんへのインタビューをお送りします。
Q 映画化第2弾という話を聞いた際はどう感じましたか。
Aジェームズ・ボーエン心から飛び上がるくらい嬉しかったです。いわゆるインディーズ映画だったのにたくさんの方の心に響いたことで、この2作目を作りたいと言われたときは本当に光栄に思いました。
Q ジェームズさんとボブの実話を基にしている本作ですが、映画としてのストーリーをどう受け止めましたか。
Aジェームズ・ボーエンこの映画は実話を基にしてはいますが、僕が「ボブという名のストリート・キャット」を書く際に協力してくれたギャリー・ジェンキンズが脚本を書いているので、僕がボブとの物語をどう表現したいのかよく分かっているし、とてもいい話を書いてくれたと思います。
Q ボブ自身も出演した本作ですが、撮影期間中は現場でご覧になられましたか。
Aジェームズ・ボーエンボブが撮影に参加している日は僕も毎回現場にいました。ボブのハンドラーではあるけれど、原作者が現場にいることはあまりないと思います。監督らがその場で意見を聞いてくれることもありましたし、僕の意見をたくさん聞いていただけたのかなとも思います。
ボブ自身は現場で気分がいい日もあれば機嫌の悪い日もありました。監督がボブに求め過ぎてしまう日は特に声を上げて抗議をしていました(笑)。でも、ボブは終始プロでしたよ。
Q スクリーンで観るご自分のストーリーをどう感じましたか。
Aジェームズ・ボーエン何とも説明し難いすごくシュールな感覚ではあるんです。一方で、僕らのストーリーをたくさんの方が読んで、そのメッセージを信頼して受け止めてくれていることを光栄に感じています。それが映画になったわけですから、映像を観れば尚更光栄にしか思えなかったです。
Q 前作から引き続きルーク・トレッダウェイが主演を務めましたが、ご覧になっていかがでしたか。
Aジェームズ・ボーエン外見を似せてくれてもいるし、奇妙な感じはします(笑)。ボブも不思議がっているところがありましたし、僕と見比べて初めて違いに気づくこともありました。ルークは優れた俳優であるし、素晴らしいミュージシャンでもあるので、いいお芝居をしてくれたと思います。
Q 映画の中で特に気に入っているシーンはいかがでしょう。
Aジェームズ・ボーエン自分が経験したことがいくつか再現されているんです。例えば、「ビッグイシュー」誌を路上で販売している時に政治家と遭遇するシーンがありますが、あれはボリス・ジョンソン首相がロンドン市長だった時に僕の身に起きたことを再現しているんです。それと、冒頭で出版社のパーティーから抜け出した僕とボブに児童文学作家のジャクリーン・ウィルソンさんが声をかけてくれたシーンもです。そのシーンにはジャクリーン・ウィルソンさん本人が出演して、全く同じやりとりを再現してくれているんです。その後、コベントガーデンの広場をルークが歩いていく場面で僕の本が売られている露店が出てきますが、そこは特に注目して見ておいていただきたいです。
Q ジェームズさんはホームレスの方々の支援活動もされているとのことですが、活動を通じて感じていることをお聞かせください。
Aジェームズ・ボーエン今回の物語はクリスマスを題材にしています。西欧のホームレスの人たちにとって、特にクリスマスシーズンは物理的にも精神的にも大変なんです。ホリデーシーズンなので支援も少なくなってしまいます。みんなでパーティーをやって楽しく騒ごうよという空気が充満している時期でもあるので、気持ち的にも苦しくなります。クリスマスをみんなが同じ気持ちで迎えられるわけではないということを、感じていただけたらいいなと思います。
Q 日本では長年ペットの飼育放棄問題があります。この映画ではボブを保護しようとする団体が出てきますが、ペットと飼い主のあるべき姿についての考えをお聞かせください。
Aジェームズ・ボーエン動物を飼う場合、動物たちは人間を頼っているのだから責任を持って飼わなければなりません。イギリスには「犬を飼うのはクリスマスだけではない。一生ものだ」という言葉があります。一生のお付き合いをしなければならないんです。この映画には英国動物虐待防止協会(RSPCA)という団体が出てきます。僕は今はチューバッカという名前のシー・ズー犬を飼っていますが、彼は無責任なブリーダーからわずか8週間ほどで違法に元飼い主に売られた上に、その飼い主は1週間で手放してしまったんです。RSPCAが保護して、それから僕の家にやって来ました。僕たち人間が子どもを産む権利があるのと同時にその子を育てる義務があるように、ペットを飼うということの意味を考えてほしいとお伝えしたいです。
Q ジェームズ・ボーエンさんからOKWAVEユーザーにメッセージ!
Aジェームズ・ボーエンコンニチハ!日本ではこの映画の公開がコロナで遅れてしまったと聞いていますので、忍耐強く公開を待っていただいていた皆さんに感謝を伝えたいです。そして今回初めて観る方も含め、劇場でぜひボブの格好良い姿を観ていただきたいです。
Qジェームズ・ボーエンさんからOKWAVEユーザーに質問!
ジェームズ・ボーエン僕らの物語を楽しんでいただけているか、まだまだ続きが見たいかお聞きしたいです。それとぜひネコとの楽しいエピソードも聞かせてください。
■Information
『ボブという名の猫2 幸せのギフト』
2022年2月25日(金)新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座ほか全国ロードショー
ボブ&ジェームズに最大の危機到来!彼らにはもう一つの、忘れられない“友情物語”があった。
ホームレスのストリート・ミュージシャンから一躍ベストセラー作家に転身を果たしたジェームズと、相棒のハンサムな茶トラ猫ボブ。出版社のクリスマスパーティーに出席した帰り道、路上演奏の違反で警察官に取り押さえられているホームレスの若者ベンを助ける。ジェームズは自暴自棄になったベンに、路上で過ごした最後のクリスマスの話を始める。
それは数年前のこと。ジェームズはボブとともに路上に立ち、日銭を稼ぐ日々だったが、その姿を動物福祉担当職員に目を付けられる。ボブと引き離される不安の中、次々と窮地に見舞われ、ジェームズは最も困難で苦しい選択を迫られることになり……。
原作: ジェームズ・ボーエン「ボブが遺してくれた最高のギフト」&「ボブが教えてくれたこと」(辰巳出版)
監督: チャールズ・マーティン・スミス
脚本: ギャリー・ジェンキンズ
出演: ルーク・トレッダウェイ、クリスティーナ・トンテリ=ヤング、ファルダット・シャーマ、アンナ・ウィルソン=ジョーンズ
配給: コムストック・グループ
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■Profile
ジェームズ・ボーエン
1979年サリー(イギリス南東部)生まれ。
幼少期にオーストラリアに移住。1997年、プロのミュージシャンを志しイギリスに戻るが、様々な困難に遭い路上生活者となる。バスキング(路上演奏)で生計を立てていた2007年春、野良猫のボブと出会い、ボブとの一風変わった「共演パフォーマンス」、演奏後のハイタッチが話題となり一躍有名に。その後、薬物依存の克服などを経て、「ボブという名のストリート・キャット」という本を執筆。世界中で大ベストセ ラーに。世界30か国以上で出版され、シリーズ累計発行部数が1,000万部を突破、実在のボブはメディアにも登場し、瞬く間に世界を魅了。ボブが本人役で出演した映画『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』(17)は、キャサリン妃も絶賛し、全世界で大ヒットを記録!2017年、親日家のジェームズとボブが初来日も果たし、孤独な青年の運命を変えた、一匹の猫との友情物語は人々に温かい希望と感動を与えた。
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