Vol.1070 女優 井上小百合(シス・カンパニー公演『奇蹟』について)

女優 井上小百合(シス・カンパニー公演『奇蹟』)

OKWAVE Stars Vol.1070はシス・カンパニー公演『奇蹟』(2022年3月18日〜)に出演の井上小百合さんへのインタビューをお送りします。

Q シス・カンパニー制作舞台への出演が決まった時はどう感じましたか。

A井上小百合これまでの作品も観ていましたし、自分の目標の一つでもあったので、とにかく嬉しかったです。また、シス・カンパニーに所属して初めて事務所の制作舞台に出演するので、その喜びと同時にプレッシャーも感じました。事務所の先輩の八嶋智人さんからは「出たいと思っている先輩たちがたくさんいらっしゃる中で出演するのだから頑張らないとね」という言葉をいただきました。自分の成長する機会でもあるので毎日大事に稽古から積み重ねていこうという気持ちで過ごしています。

Q 台本の印象はいかがでしたか。

A井上小百合小説のような台本だったんです。セリフ以外のト書きもしっかり書かれていて、読み物のように読めました。その分、読み手目線では登場人物の声や表情を想像して楽しめますが、舞台上で役者が表現するにはどうやったら最善なのか、役者が舞台に立つ意味が問われる、ワクワクとドキドキがありました。
物語はミステリーではありますが、単なる謎解きとも違っています。劇作の北村想さんは「エンターテインメントではある。ミステリーで味付けしただけ」と仰っていて、いろんなものがふんだんに盛り込まれています。ジェンダーの問題など社会的な問題も盛り込まれているので、多様性のある作品だとも思います。観た方がいろんな受け取り方ができる作品になると思います。

Q 演じられるマリモ役についてお聞かせください。

A井上小百合マリモは物語の中でのポジショニングが難しい役柄です。彼女は善にも悪にもどちらにも取られるような印象があるので、どう表現したら最善なのか、私の中で葛藤があるんです。きっと彼女は純粋で周りの人のことをすごく信用していて、そういう環境の中で生きているからこそ善にも悪にもなってしまうところがあるのかなと。初めから陰があるような含みを持って演じるというよりは、彼女の言動は純粋無垢ゆえであることをもっと表現していった方が面白いんじゃないかなと思いながら稽古しています。観る人の解釈が分かれるので、それも楽しみにしていただけたらと思います。
また、過去と現在を行き来するような役柄で大人のマリモと中学生に上がったくらいのマリモを演じます。幼さの中にも、純粋無垢というだけではなく、未熟で知らないなりに大人と向き合っているという演出がついて、同じ幼さの表現でも色々あるんだとお芝居の奥深さを感じています。大人になった、幼い、という演じ方だけではなく、何を持ってどいう大人と関わってきたのか、という合間のことを考えながら役を作っています。

Q 北村想さん、寺十吾さんからはどのような話がありましたか。

A井上小百合北村想さんは「辻褄の合うものを作ってしまったらつまらないものになる」と仰っていて、単純明快なミステリーではなく、いろいろな伏線が張り巡らされていて、一つの答えにはたどり着かないような形です。北村想さんと顔合わせの際にお話しさせていただくと、想さんご自身もとても独特で、想さんの脳内をそのまま戯曲にしているような、これを演じたらどうなるのだろうと難しくも楽しさを感じました。寺十さんは役者に歩み寄ってくださる方です。ご自身も役者の顔を持っていらっしゃるので、「こうしてください」といった演出をつけるというよりは一緒に考えてくださいます。「だけども」というセリフを取り上げて、「このセリフの後には本当は何を続けたかったのだろうね」と問いかけて一緒に考えてくださることもあって、それも私にとっては斬新で楽しくて、これまでの稽古になかったくらい頭をすごく使っています。他のキャストの皆さんも「頭が疲れる」と仰っていて、寺十さんも「こんなのは初めてだ」と仰っています。迷いの森に迷い込む物語に私たちカンパニー全員が迷い込んでしまって、一緒に謎を解こうとしている感覚です。時には「想さんと話してみよう」とみんなでディスカッションすることもあって、劇作家さんとこんなに一つ一つを話し合う現場は初めてですごく新鮮です。北村想さんはいくつかの答えを提示しながらも「どう演じてもいいです」とも仰っていて、やりがいもプレッシャーも感じています。この座組みでなければまた違ったものになる可能性もあって、今集まった座組みだからこそできるものを、一つの事実に向かうというよりも私たちにできるものに向かって稽古をしています。

Q 稽古場の様子について改めてお聞かせください。

A井上小百合ワークショップのように皆さんがご自分のプランを持ち寄って、みんなでルービックキューブをやっているような感覚です。鈴木浩介さんは「役者同士のキャッチボールがしっかりできていないと成り立たない作品だ」と仰っていました。いろいろな解釈ができる分、自由にやってしまうとバラバラになってしまうので、「こう解釈できるからこうしてみよう」という役者同士の深い部分でのやりとりが大事なので、相手のことを考える時間も多いです。
私も「ここはこう思って演じてみました」と言うこともあれば、分からないところは「分かりません」と聞いてしまうようにもしています。以前に別の現場で「わかりました」と癖で答えてしまったら「本当は分かっていないのなら、ちゃんと分からないと言った方がいい」言われたことがあるんです。「年齢を重ねるとどんどん頼れなくなるからね」とも別の現場で言われたので、このカンパニーには素晴らしい頼れる役者さんたちが揃っているし、皆さんが支えてくださるし、意見を出し合えるありがたさも感じながら、皆さんに頼らせていただいています。

Q 舞台上の見どころについてお聞かせください。

A井上小百合立ち稽古初日から舞台上のセットが組んであって、その状態で稽古をしていますが、セットがすごく動くんです。パズルのように動く装置の中で演じていますし、映像を駆使しているシーンもあるので、お客様からは場面転換なども面白いと思います。それと私は鈴木浩介さんの演じる楯鉾寸心(たてほこすんしん)という役が好きです。最初からすごい剣幕で喋ったりツッコミを入れたりボケたりしていて、演じる側はすごくエネルギーを使うと思いますが、観る側からはとても面白いんです。そこに寺十さんの演出が加わると、台本とはまた違っても見えてきて、セリフの言い方が変わるたびにさらにどんどん面白くなっていくので、完成形が私自身も楽しみなんです。他にも愛らしいキャラクターがたくさん出てきますので、楽しんで観ていただけたらと思います。

Q 井上芳雄さんの印象についてはいかがでしょう。

A井上小百合今回直接お会いするまでは“ザ・完璧主義者”なのかなと思っていたんです。それできっちりした固い方なのかなと思っていたら、ご本人は飄々とされていて、柔らかい雰囲気の素敵な方でした。もちろん、本読みの段階ですでに完璧で、噂に聞いていた通りのすごさでした。私もいつかそういう俳優になっていきたいと改めて思いました。
公開されている稽古場風景の動画で歌う場面がありますが、北村想さんは「エンターテインメントですので、サービス場面を用意しました」と仰っていました。私も参加していくすごく面白いシーンになりそうなので、ぜひ皆さんも楽しみに劇場にお越しいただければと思います。

Q 井上小百合さんからOKWAVEユーザーにメッセージ!

A井上小百合この作品は、ただ楽しいミステリーを解いていくというより、受け手にとっていろんな価値観や感情や解釈ができる多様性のある作品で、この時代に演じる意味を感じています。人との解釈や意識の違いがファンタジーの中でも現実世界で受け取れる物語になっています。カンパニー一同、お客様も交えて、迷いの森に入り込んでしまったような体験型の舞台になればと思います。ぜひ一緒に楽しめたらと思います。

Q井上小百合さんからOKWAVEユーザーに質問!

井上小百合美味しいお取り寄せグルメを教えていただきたいです。
お酒が大好きで、最近はもつ鍋の寄せ鍋を頼んで楽しんだので、これからの季節にお酒に合うお取り寄せをぜひお願いします。

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■Information

シス・カンパニー公演『奇蹟』

シス・カンパニー公演『奇蹟』東京公演:2022年3月18日(金)〜4月10日(日)世田谷パブリックシアター
(※3月12日(土)~17日(木)公演は中止)
大阪公演:2022年4月13日(水)〜4月17日(日)森ノ宮ピロティホール

男の名は、法水連太郎(のりみずれんたろう)。警視庁などのコンサルタントも務める私立探偵である。
そして、何かとこの探偵を支えてきたのが、高校時代からの親友で、現役の医師である楯鉾寸心(たてほこすんしん)だ。
ある時、探偵が残した「キキュウの依頼あり、出かける」との書き置きを見て、楯鉾は彼を追いかけ、深い森へと迷い込んだ。
そこで、傷を負い深い眠りについた探偵・法水を見つけ出したのだが、目覚めた探偵はあたりを見回し、こう口を開いた…
「誰だかワカラヌ私は、何処だかワカラヌここで何をしているのだ…」
探偵は、この”迷いの森“から何の依頼で呼び出されたのか…。一体、依頼者は誰なのか…。
記憶を失くした名探偵とその親友は、出口の見えない森の奥深くへ歩を進める…
そこに次々と現れる謎に満ちた人々は、現実なのか、はたまた忘却の記憶が生んだ幻なのか…

作: 北村想
演出: 寺十吾

井上芳雄 鈴木浩介 井上小百合
岩男海史 瀧内公美 大谷亮介

料金(全席指定・税込):
・東京公演:S席10,000円、A席8,000円、B席6,000円
・大阪公演:S席10,000円、A席8,000円
※小学生未満のお子様はご入場いただけません

お問い合せ:シス・カンパニー 03-5423-5906(平日11:00~19:00)

https://www.siscompany.com/kiseki/

企画・製作:シス・カンパニー


■Profile

井上小百合

女優 井上小百合(シス・カンパニー公演『奇蹟』)1994年12月14日生まれ、埼玉県出身。
2011年より20年4月まで「乃木坂46」一期生メンバーとして活躍。グループ在籍中の14年に舞台『帝一の國』に出演以降、『すべての犬は天国へ行く』、『愛のレキシアター ざ・びぎにんぐ・おぶ・らぶ』、『フラガール-dance for smile-』など、多くの舞台に出演。卒業後も、俳優としての更なる飛躍を目指し、舞台に積極的に出演している。最近の主な出演舞台に、『DISTANCE』、『カチカチ山』、『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』、『ゴールドマウンテン』などがある。

https://www.siscompany.com/management/artist.php?id=30
https://twitter.com/syr_1214
https://www.youtube.com/channel/UCmVJtdqSRFSsJb5hjHL4QKg

 

撮影: 加藤孝
ヘアメイク: 奥山信次(barrel)
スタイリング: 中川原有(CaNN)

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