OKWAVE Stars Vol.1073は映画『虹が落ちる前に』(2022年3月19日公開)主演の守山龍之介さんへのインタビューをお送りします。
Q 主演に決まった際にはどう感じましたか。
A守山龍之介事務所からこの映画のお話が来ていると聞かされて「出たいです」と伝えたら、オーディションではなくKoji Uehara監督から「直接お会いしたい」とのことで、新宿でお会いしたんです。待ち合わせ場所がかわいいカフェで、そこに現れたのは豹柄のダウンを着たちょっといかつい顔の監督で(笑)。そのカフェは満席だったので、「酒飲めるか」と言われて、向かいの居酒屋でハイボールを飲みながらお話をしました。そこでもこの映画の話は直接はしていなくて。多分、監督は話している時の僕の考え方や表情を見ていらしたのだろうなと思います。監督とお会いする前にマネージャーから「お前はもっと自分がどうしたいのかを出していった方がいい」とアドバイスされていました。それで、台本もまだ見ていないその席で「僕は主演したいです」という話をさせていただきました。ここでそういう話ができるのかを見ていただけたんだと思います。僕の芝居力ではなく、芯のところに何があるのかを見定めてくださったのだろうなと。主演に決まったという連絡を受けた時はすごく嬉しかったですし、監督と映画を一緒に作ることができるのがとても嬉しかったです。やるからには何か結果を残さなくてはと奮い立ちました。
Q では台本の印象はいかがでしたか。
A守山龍之介主人公・公平の考えていることがすんなりと入ってきました。ミュージシャンと役者は誰かに認められて広まっていく部分は同じですし、苦悩の仕方は違えど、同じような悩みもありますので、最初から共感できました。それと、台本ではラストシーンが白紙だったんです。監督は「俺だけが知っているが、事前には教えない」と仰っていて。公平と僕は重なる部分が多かったので、ラストシーンを撮った時、必ず僕の中に残るものがあると、僕自身の成長になると思いました。
Q 公平のキャラクターについてはどう受け止めましたか。
A守山龍之介公平はなよなよしているように見えて、仲間思いだし、現状を打破したいという芯の強さもあります。けれども、その芯の強さや自分の苦悩よりも、今いる仲間と楽しく過ごせばいい、という表面を大事にしてしまっています。それがあるきっかけを通じて、本当にやりたいことを大事にしないと今大事にしているものも失われてしまうことに気づいて、やっと一歩を踏み出していく、そんなキャラクターです。
Q 監督から演じる上で言われていたことなどはありましたか。
A守山龍之介監督は初めてお会いした時から僕の内面を見ていてくれていたと思います。だから役のことで何か言われることはなく、やり遂げるということを尊重してくださる、プロフェッショナルな方でした。最初のシーンを撮った際に「もう少しだけゆっくり話してほしい」と言われたくらいで、それ以外は僕が考えてきた演技プランで演じさせていただきました。僕がどう演じるか悩んでいる時は、寄り添って一緒にいいシーンにしていこうと導いてくださる方でした。
Q バンドメンバーら共演者とのお芝居はいかがでしたか。
A守山龍之介この映画は監督のご自宅のある大阪で撮影しました。バンドメンバー役や竜彦役の白磯大知さんら男性キャストはみんな監督の家に泊まっていたんです。バンドメンバー役の誰かが演奏の練習を始めたら自然とみんな集まって一緒に合わせたこともあって、本当にバンド活動をしているような環境でした。かなり特殊な環境だと思いますが、すごく役に入りやすくてありがたかったです。
現場はチームワークがすごく良かったです。バンドのドラマー役の板垣雄大さんは普段はすごくフラットな方ですが、そんな板垣さんが集中モードに入った時にはみんなそっとしているとか、そういう雰囲気を感じ取れるメンバーでした。
Q 公平は大きな争い事に巻き込まれてしまいますが、敵対する役の方たちとのシーンはいかがでしたか。
A守山龍之介敵対する大崎兄弟の兄役の末松暢茂さんの芝居は震えるものがありました。何回かドライ(カメラ無しの始めから終わりまでのリハーサル)を重ねるうちにより狂気的になっていったので、こんな人と対峙するのかと、役を通り越して、ある意味構えずに演じることができました。そんな敵対する関係の役の皆さんともカットがかかると和やかに過ごすことができて、自分よりも先輩の方々もこちらを尊重してくださる、すごくいい現場でした。
Q 彼女役の畦田ひとみさんとのお芝居はいかがでしたか。
A守山龍之介新宿で監督と初めて会った際に、監督が畦田さんを呼んでくださったんです。そこでも僕とのバランスも見ていたのかなと思います。クランクインが「初めまして」ではなかったのは恋人役を演じる上ではありがたかったです。シーンを重ねるごとに距離感もより良くなっていったと思います。終盤の公平と珠江の二人が話し合うシーンは20分長回しだったんです。元々は長回しの予定ではなかったのを撮影期間中にそうすることにしたそうです。僕ら二人とも緊張しましたが、お互いに頑張ろうと言い合って、そこまでに積み上げてきた関係性があるので、公平に温かい気持ちを向けていた珠江の寂しさを受け取って、公平としていることができました。
Q 思い出深い出来事などはありましたか。
A守山龍之介クランクインの日の朝に虹が出ていたのが思い出深いです。これは何か起きるのではないか、という予兆のようなものを感じました。
Q 本作の主演を通じて新しい学びなどはありましたか。
A守山龍之介公平という役は僕そのものに近いです。映画の公平に比べると僕はまだ先が見えていませんが、公平が感じている結果が出ない焦りは僕にも当てはまっています。この映画を撮り終えた時、きっと僕の中に何か残るものがあるだろうと思って臨んでいました。僕自身の焦りやどういう姿勢でこれから役者として臨んでいくのか、生半可な覚悟では、自分の手から大切なものが落ちていくということをこの映画から感じ取れたのが大きな学びです。そうならないために、僕が大事にしている人たちを守るためにも、公平みたいにひたむきに夢を叶えるためにまっすぐ頑張ることが大切だと感じられました。
Q 守山龍之介さんからOKWAVEユーザーにメッセージ!
A守山龍之介この映画は役者やミュージシャン志望の方に限らず、何かを目指している人の背中を押せる作品だと思います。今悩まれている方、過去悩まれていた方はもちろん、今当てはまっていなくてもいつか寄り添える作品になると思います。ぜひ映画館でご覧いただいて大切にしていただけたら嬉しいです。
■Information
『虹が落ちる前に』
2022年3月19日(土)より新宿K’s cinema、アップリンク吉祥寺、横浜シネマリン、シネ・ヌーヴォほか全国順次公開
売れないバンドを続ける気の弱い主人公は、自分の現状に満足はしていないながらも、自分の周りには仲間や大切な彼女がいることに甘え、「当たり前」の毎日を過ごしていた。
ただ、心のどこかでそれがいつか無くなってしまうのではと感じていたが、気付かないフリをしながら…
しかしある日、事件に巻き込まれ全てを無くしてしまう。
今までの日常を取り戻せない事が分かってはいるが前に進む決断をし、『ある』曲を作り始める。
守山 龍之介 畦田 ひとみ
白磯大知 末松暢茂
梶田冬磨 昆竜弥 板垣雄大 田宮拓 バンダリ亜砂也
監督・脚本・衣装・音楽: Koji Uehara
配給・制作: BABY OWL
© 2021 「虹が落ちる前に」製作委員会
■Profile
守山龍之介
1994年6月3日生まれ、兵庫県出身。
俳優として映画、ドラマ、舞台、CM、MVに出演。本作主演にて門真国際映画祭最優秀主演男優賞(最優秀作品賞との二冠)。
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