Vol.1086 歌舞伎俳優 中村勘九郎(スペクタクルリーディング『バイオーム』について)

歌舞伎俳優 中村勘九郎(スペクタクルリーディング『バイオーム』)

OKWAVE Stars Vol.1086はスペクタクルリーディング『バイオーム』(2022年6月8日〜)主演の中村勘九郎さんへのインタビューをお送りします。

Q 本作のどんなところに興味を持たれましたか。

A中村勘九郎朗読劇としてお話をいただきましたが、台本を読ませていただいて、これは本当にリーディングなんだろうかと、稽古をしてみないと想像がつかないです。朗読劇自体、無観客での舞台収録の経験が一度あるだけなので、どんなものになるか想像できていないです。物語は上田久美子先生が書かれたものすごい内容でしたので、楽しみでしかないです。演出の一色隆司さんからは舞台機構や映像も使うと聞いておりますので、朗読劇の枠に収まるものなのか、どういうものになるのか期待が大きいです。

Q 朗読劇としての面白さについてはいかがでしょう。

A中村勘九郎以前に経験したのは大竹しのぶさんとふたりでしたが、井上ひさしさんの「十二人の手紙」が題材で、元々手紙で物語を語る作品だったので会話劇ではなかったんです。その時は本番での大竹さんが発するものにどう応えていくかというその場の楽しみがありましたが、事前の舞台稽古も場当たり程度でした。今回はどうなるのか、朗読劇が好きな方も苦手な方も楽しめる、摩訶不思議な舞台になる予感がしています。

Q 歌舞伎俳優としてのご自身を別のフィールドではどのくらい意識されるのでしょう。

A中村勘九郎歌舞伎は独特の手法がありますので、何かを持ち帰るのはなかなか難しいんです。あるとすれば場数と経験、度胸といったところでしょうか。ですので、中村勘九郎として成長していくことと、才能豊かな方々とご一緒させていただいていますので、それを楽しむということに尽きるのかなと思います。とくに今回は8歳の男の子と女の子を演じるのは今までにない経験です。

Q 声のお芝居が中心になることについてはどのようにお考えでしょうか。

A中村勘九郎身体とともに表現するものよりも難しいと思いますので、その部分は意識して取り組みたいです。ただ、このメンバーが揃っていて、身体を使わないお芝居はもったいないとも思います。朗読劇だと思ってお越しいただいたら、すごいものを見た、となればいいなと思っています。役柄の肉体から出てくるものが声です。今回は8歳の役ですが、あえて子どもっぽく演じなくてもいいと一色さんから言われていて、いろいろな可能性や引き出しをもって挑みたいと思います。子どもの純な心というものは大人になるにつれ、欲望などで段々となくなっていくものです。今回は特に、欲望にまみれた一族の話の中で演じることになりますので、僕の次男が同じ年頃ですので、子どもから出てくる言動というものをよく研究して臨みたいです。

Q キャストの皆さんが対照的な二役を演じられる作品ですね。

A中村勘九郎僕の役も対照的です。ルイは政治家一族の一人息子として育てられています。この一族は皆暴走していて、ルイが信じられるのは庭の木やフクロウしかいないということです。そんなルイへのギフトとして植物との対話ということになるのだと思います。ルイは家族から愛されていないということを本人も感じているので、居場所を求めているような、そんなところを表現していきたいです。
一方のケイという女の子は、ルイもまた暴走してしまいそうなところを冷静な目で止めてくれるような存在です。
二役を演じますが、ルイとケイの会話がほとんどなので、ひとりで8歳の子どもをどう表現するのかはとても難しい課題だとも思っています。

Q ルイ君のキャラクターについてお聞かせください。

A中村勘九郎ルイは家政婦のふきさんが注意する言葉には素直に謝るような間柄で、お父さんのこともすごく好きです。お母さんからは愛されていないと感じていて、お爺さんの威圧感に居場所がないとも感じていて、拠り所が植物ですし、むしろ植物になりたいくらいです。逆に親たちもルイの夜の庭に抜け出すような行動を悩んでいますので、この家族にお客さまはハッとさせられることも多いのではないかと思います。

Q この家の庭の植物は和と洋が混じっているとのことですが、ご自身はどちらがお好きですか。

A中村勘九郎僕自身は純和風、枯山水の庭が好きです。ルイは自然と一体になるような性格ですが、その点は僕は正反対な人間で、裸足で土の上に立つのも好きではないし、海よりもプールの方がいいというタイプなんです。お花を妻にプレゼントするのは好きですが、その後の小バエが気になってしまいますし(笑)。ルイよりも一族の他の誰かの方がよく似ている性格なので、まずはそこから直していかないといけませんね(笑)。

Q 中村勘九郎さんからOKWAVEユーザーにメッセージ!

A中村勘九郎この『バイオーム』は、僕ら演じる側がどうなるのかワクワクしていますので、お客さまには今まで観たことのないものをお見せできると思います。今はまだコロナ禍ですし、戦争も起きています、そのような今だからこそ感じ取っていただけるものがある作品だと思います。上田さんが今だからこれを書いたんだと思います。ぜひお越しいただければと思います。

Q中村勘九郎さんからOKWAVEユーザーに質問!

中村勘九郎家の中で飾れる、手間がかからず、虫が出ず、観葉植物ではなく色鮮やかな植物のおすすめはありますか。

回答する


■Information

スペクタクルリーディング『バイオーム』

スペクタクルリーディング『バイオーム』2022年6月8日(水)~12日(日)東京建物Brillia HALL

その家の男の子はいつも夜の庭に抜け出し、大きなクロマツの下で待っていた。フクロウの声を聴くために…。
男の子ルイの父に家族を顧みるいとまはなく、心のバランスを欠いた母は怪しげなセラピーに逃避して、息子の問題行動の奥深くにある何かには気づかない。政治家一族の家長としてルイを抑圧する祖父、いわくありげな老家政婦、その息子の庭師。力を持つことに腐心する人間たちの様々な思惑がうずまく庭で、古いクロマツの樹下に、ルイは聴く。悩み続ける人間たちの恐ろしい声と、それを見下ろす木々や鳥の、もう一つの話し声を…。

出演: 中村勘九郎 / 花總まり 古川雄大 / 野添義弘 安藤聖 / 成河 / 麻実れい

作: 上田久美子
演出: 一色隆司

企画・制作・主催: 梅田芸術劇場
制作協力: NHKエンタープライズ

公式WEBサイト: https://www.umegei.com/biome/
Twitterアカウント: @BIOME_UMEGEI

料金: 限定2,000部プログラム付きS席11,000円、S席10,000円、A席8,000円、B席5,000円(全席指定/税込)
学生席3,000円(当日座席引換券/税込み)
※学生席の販売はネット会員・オンラインチケット・チケットぴあのみとなります。
※未就学児童のご入場はご遠慮ください。

ライブ配信※アーカイブ有: 6月11日(土)17:00公演
<英語字幕なし>配信視聴券:4,500円(税込)
<英語字幕あり>配信視聴券:4,500円(税込)
<英語字幕なし>配信視聴券(公演パンフレット郵送サービス付き):6,000円(税込)※送料別途必要。


■Profile

中村勘九郎

歌舞伎俳優 中村勘九郎(スペクタクルリーディング『バイオーム』)1981年生まれ、東京都出身。十八代目中村勘三郎の長男。
1986年1月歌舞伎座にて初お目見得。1987年1月歌舞伎座『門出二人桃太郎』の兄の桃太郎で二代目中村勘太郎を名乗り初舞台。2012年2月新橋演舞場『土蜘』僧智籌実は土蜘の精、『春興鏡獅子』の小姓弥生後に獅子の精などで六代目中村勘九郎を襲名。
歌舞伎にとどまらず、舞台『おくりびと』『真田十勇士』、大河ドラマ「新選組!」、映画『禅 ZEN』など幅広く精力的な活動を続けている。2019年NHK大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」に主役の1人である金栗四三役で出演。2021年12月にBSプレミアム・BS4Kで主演(中村仲蔵役)、ドラマ「忠臣蔵狂詩曲No.5 中村仲蔵 出世階段」が放映された。

 

Stylist: 藤長 祥平 / Syohei Fujinaga
ジャケット 67,100円、シャツ 36,300円、パンツ 41,800円
(セブン バイ セブン/サカス ピーアール 03-6447-2762)

ヘアメイク:中村優希子(フェリスヘアー)


関連インタビューとQ&A