OKWAVE Stars Vol.1088は映画『きさらぎ駅』(2022年6月3日公開)主演の恒松祐里さんへのインタビューをお送りします。
Q 2ちゃんねる発の都市伝説を扱った本作にて映画初主演となりました。
A恒松祐里映画初主演というお話をいただいて、本当に嬉しかったです。この都市伝説のことは今回初めて知ったので、台本をいただく前に基になった内容を調べてみるとすごく怖い印象を受けました。だから映画も怖い内容になるのかなと思って、いただいた台本は人のいるところで読ませていただきました(笑)。台本には怖いところもありましたが、「ここはFPS(一人称視点)で撮る」といった撮影技法も書かれていて想像がしやすくて、伏線の回収の仕方など、お客さまにいかにこの映画を楽しんでもらうかが伝わってきたので、台本を読んだ後は撮影が楽しみになりました。
Q 撮影前にはどんな準備をされましたか。
A恒松祐里長回しが多い撮影でしたので、撮影前にリハーサルがあって、カメラマンさんや録音さんが映り込まないような動きも含め、みんなで練習をして本番に臨みました。少しでも失敗したら撮り直しになってしまうので、楽しかったですが、緊張感もある撮影でした。
撮影現場にはCGを担当された方もいらしていて、どんな映像になるかのイメージを見せていただけたので、想像しながら演じることができました。それと私は子どもの頃から何もないスタジオを家の中に見立てて想像しながらお芝居するようなレッスンを受けていたので、その経験も活かせて演じることができたと思います。
Q 堤春奈役について、どのように役作りをしましたか。
A恒松祐里春奈がきさらぎ駅に関わっていく後半は反射的なお芝居が求められていたので、その場で起こることに反応することを特に心がけていました。役柄としては、都市伝説が好きな役なので、私自身は普段は怖くて都市伝説とは距離を置いていましたが、準備期間から自分でも都市伝説のサイトを見て、役に近づくようにしていました。
Q 線路を歩くシーンが印象的です。
A恒松祐里長野県上田市でのロケで、廃線の線路やトンネルの中を歩かせていただきました。なかなか普段行けないところだったので興味深かったです。雰囲気もすごく良くて、線路を歩くのは『スタンド・バイ・ミー』みたいな気分でした。
私は大河ドラマ「真田丸」で真田信繁(幸村)の娘役を演じていて、上田市の市長さんが現場にご挨拶にお越しになった際には「当時もロケを見ていましたよ」と声をかけていただきました。撮休日には上田城も見学させていただいて、思い出深い地で撮影できて嬉しかったです。
Q 共演者との芝居についてお聞かせください。
A恒松祐里みんな素敵な方たちでした。佐藤江梨子さんとはあまり長い時間をご一緒できなかったのですが、すごく魅力的な方でした。話す言葉のセンスも素敵でもっとご一緒したいなと思いました。後半とくに関わりの多い本田望結ちゃんと一緒にお芝居を作っていくのも楽しかったです。
Q ホラー映画の現場についてお聞かせください。
A恒松祐里「緊張感と笑いは紙一重」と永江二朗監督は仰っていました。春奈がきさらぎ駅に関わっていく中で、怖いシーンの合間にはコメディタッチなシーンもあって、緩急があるのもこの作品の特徴です。他のホラー作品の主人公は怖がったり逃げていくことが多いですが、私の役は立ち向かっていく役なので、新たなホラーの主人公像なのかなと思いました。
また、監督は「ホラーは数学だ」とも仰っていて、間合いが0.1秒違うだけで観客が驚いたり驚かなかったりするからと、驚いた表情になるタイミングや、言葉を発する間合いを指示していただきました。観ていただくお客さまに、エンターテインメントとしてより面白くなればいいなという気持ちで撮影していました。そういったホラー映画ならでの間についての指示はありましたが、それ以外では自由に表現させていただける現場でした。
Q 都市伝説の舞台でもある遠州鉄道での撮影はいかがでしたか。
A恒松祐里遠州鉄道での撮影日に23歳の誕生日を迎えたんです。電車の中での撮影の時に、誕生日ケーキと共にお祝いをしていただいて、忘れられない思い出になりました。
遠州鉄道は電車の外装の赤い色もかわいいし、窓からの景色や乗り心地もいいので、そんな何も起きなそうな鉄道にまさかこんな都市伝説があるとはと改めて思いました。
Q 本作に携わって、新しい発見などはありましたか。
A恒松祐里監督はホラー作品をたくさん撮られていて、ホラーの間合いや、笑いを絡めた緊張が緩むタイミングなど、緩急が大事だということを現場で教えていただきました。それを踏まえて撮影をして、完成した映画を観て「このシーンはこうなるんだ」という発見が多くて、すごく勉強になりました。
それと今回、都市伝説にたくさん触れて、とくに日本の都市伝説はバッドエンドが多いので、幸せな結末の都市伝説があればもっと知りたいなと思いました(笑)。
Q 恒松祐里さんからOKWAVEユーザーにメッセージ!
A恒松祐里この『きさらぎ駅』は、元の都市伝説をご存知の方、ホラー好きな方、そして私のようなホラーが苦手な人でも楽しめる映画です。FPS視点での撮影も駆使して、観ている方もきさらぎ駅を体感できる作品です。観ている方が自分もきさらぎ駅にいたような感覚を味わって、次の展開では私の役と一緒にきさらぎ駅の謎に迫っていけます。映画を観るというより体感できる内容ですので、テーマパークやお化け屋敷に行くような感覚で、家族や友人と観に来ていただけたらと思います。
■Information
『きさらぎ駅』
大学で民俗学を学ぶ堤春奈は、卒業論文で十数年来、ネットで現代版“神隠し”と話題になっている都市伝説「きさらぎ駅」を題材に取り上げることにした。リサーチの結果、「きさらぎ駅」の原点となった書き込みの投稿者『はすみ』ではないかとされる葉山純子という女性の存在を知る。ようやく純子への連絡先を知り、数ヶ月にわたりメールでやり取りした結果、春奈はついに純子と会う約束を取り付ける。指定された場所は「きさらぎ駅」の舞台となった路線にある一軒家。春奈を出迎えた純子はどこか影のある雰囲気を持つ女性。部屋へ案内され、早速、ネットで噂される『はすみ』本人との真偽を確かめる春奈に対して、純子はどこか謎めいた笑いを浮かべながらも春奈の問いかけに静かに頷く。続けて、純子から「きさらぎ駅」にたどり着いた経緯、その後の出来事などを聞いた。その内容は春奈には到底信じられるものではなかったが、純子の話の中で春奈はなぜ純子だけが「きさらぎ駅」へたどり着くことができたヒントに気づく。純子と別れた春奈は自然に「きさらぎ駅」の舞台となった遠州鉄道の駅へ向かう。この選択が春奈の運命を大きく狂わせることになってゆく。
恒松祐里
本田望結 莉子
寺坂頼我 木原瑠生 瀧七海 堰沢結衣 / 芹澤興人
佐藤江梨子
監督: 永江二朗
配給: イオンエンターテインメント/ナカチカ
©2022「きさらぎ駅」製作委員会
■Profile
恒松祐里
1998年10月9日生まれ。東京都出身。
2005年、TVドラマ「瑠璃の島」で子役デビュー。映画『凪待ち』(19)で、おおさかシネマフェスティバル2020新人女優賞受賞。主な出演作にNHK大河ドラマ「真田丸」(16)、映画『散歩する侵略者』(17)、『虹色デイズ』(18)、『アイネクライネナハトムジーク』(19)、『スパイの妻』(20)、『タイトル、拒絶』(20)、NHK連続テレビ小説「おかえりモネ」(21)、Netflixオリジナルストーリー「全裸監督 シーズン2」など。
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スタイリスト: 武久真理江
ヘアメイク: 安海督曜