Vol.1090 俳優/コミュニケーション表現家 阿部百衣子(映画『頭痛が痛い』について)

阿部百衣子(映画『頭痛が痛い』)

OKWAVE Stars Vol.1090は映画『頭痛が痛い』(2022年6月3日公開)にて映画初出演かつW主演を務めた阿部百衣子さんへのインタビューをお送りします。

Q 映画初出演の本作でW主演を果たされました。

A映画『頭痛が痛い』阿部百衣子オーディションで守田監督に選んでいただきました。選ばれてもちろん嬉しかったですが、オーディションではもう一人の主役の鳴海役を想定して臨んでいたので、いく役に選ばれたことには驚きもありました。映像作品自体への出演が初めてなのに主演させていただくので、緊張もしましたし、撮影期間も必死でした。

Q 台本についてはどう受け止めましたか。

A阿部百衣子いくが抱えている悩みは私自身が当時抱えていたことと共鳴するような、共感できるところがたくさんありました。
新国立競技場が建設中だった2018年の世界が描かれたこの映画が、コロナ禍でいろいろな価値観が変化していく中でどう解釈されるのか、興味深いですし怖くもあります。

Q いくの役どころをどのように作っていきましたか。

A阿部百衣子守田監督からは「阿部さんの思ういくを演じてください」と言われていました。台本上、いくのバックグラウンドはあまり書かれていなかったのと、私自身が心配性なので、「こう考えていますが大丈夫でしょうか」と都度、監督に聞きながら臨んでいました。監督は「そう思うならそれでいこう」と私の思ういくを尊重してくださりいました。

Q 鳴海役のせとらえとさんとの共演はいかがでしたか。

A映画『頭痛が痛い』阿部百衣子撮影は2018年の12月から間隔を空けながら2019年5月までの長期間で、順撮りでした。お互いに最初は待ち時間もぎこちなかったんですが、映画の進行に合わせるように、私たち自身も少しずつ仲良くなっていくような感覚でした。

Q 撮影現場の様子はいかがでしたか。

A阿部百衣子ダークな題材を扱ってはいますが、現場は和気藹々としていました。守田監督の初監督作品で、私もせとらさんも映画初出演なので、みんなが右も左も分からないまま、ガムシャラに取り組んでいました。一致団結しているパワーを感じましたし、すごく熱量のある現場だったと思います。

Q 思い出深い撮影エピソードなどはありますか。

A阿部百衣子森での撮影が2月にありました。寒い季節の夕方から夜中にかけての撮影で、とにかく寒かったです。10分くらいの長回しを4、5テイク撮っていて、スタッフさんも震えながらマイクを持っていたり、みんな必死でした。
そのシーンの撮影は関東の北部で行いましたが、愛知県にお住まいの監督のお父さまが送迎の車を出してくださったんです。いろいろな人が関わっていることも思い出深いです。

Q いくが抱えている生き辛さを演じてどう感じましたか。

A阿部百衣子いくは、自分が外から見られている「こうでなければならない」という偶像のようなものを彼女自身が作ってしまって、自分で首を絞めながら生きてしまっているような子です。私はそんな彼女に共感できるところが多かったので、演じる上では、いくが表でやっていることと、裏で思っていることの葛藤を表現できるといいなと思いました。
この映画の中でいくに起きることは、鳴海に振り回されているようで、やっぱりいく自身に振り回されているのかなとも思います。泥くさく生きることと向き合っているふたりなので、私自身、映画を観て何度も思うところもあります。

Q 本作を通じて新しい発見などはありましたか。

A阿部百衣子当時の自分に通づるところが多い映画です。逃げ出したいことや、一方でガムシャラに向き合わなければならないことがあって、そんな当時の自分や世界を結晶にしたような映画なので、映画出演を通じて救われたような、昇華したところがありました。今はこれまでの自分がスクリーンに映っているような感覚で観ることができていて、これをきっかけに前に進んだのかなと思っています。

Q 俳優として活動する他に、「コミュニケーション表現家」としても活動されています。

A阿部百衣子コロナ禍で人と会うことが難しくなって以来、人との溝も大きくなっていると思ったのがきっかけです。私は多摩美術大学で演劇を学んできたので、演劇の基礎をもとに人との対話を手助けするというワークショップを始めました。たとえば、一対一のペアで少し近めに座って3分間目を合わせたまま会話はしない、といったワークに取り組んでいただきます。目を見るだけで相手に対する観察、自分自身への観察ができるので、会話をしなくても分かることがある、といったコミュニケーションの原点を体感していただいて、何を大切にすればいいのかを考えていただける機会になればと思っています。

Q 今後の抱負をお聞かせください。

A阿部百衣子俳優としてもっと多くの作品に関わって、自分の身体を通して何かを伝える存在でいたいと思います。

Q 阿部百衣子さんからOKWAVEユーザーにメッセージ!

A阿部百衣子世の中、生きているだけで不条理なことも辛いこともあります。歳を重ねるごとに弱音を言えなくなりますし、自分に嘘をつかなければならないこともあると思います。そんな風に苦しんで、葛藤されている方には特に観ていただいて、自分だけではなかったんだと思ってもらえたら嬉しいです。私は誰かの力になれたらという思いでお芝居を始めましたので、その一歩になれればと思います。

Q阿部百衣子さんからOKWAVEユーザーに質問!

阿部百衣子この映画では、「黄色」が主題としていろいろなところに出てきます。皆さんは黄色という色にどんなイメージをお持ちでしょうか。

回答する


■Information

『頭痛が痛い』

阿部百衣子(映画『頭痛が痛い』)2022年6月3日(金)よりアップリンク吉祥寺ほか全国順次公開

東京五輪に向けた新国立競技場の建設が進む 2018 年の東京。不登校気味の高校生・鳴海はライブ配信を行うことにより、行き場の無さを埋めようとする。鳴海の同級生・いくはいつも明るく振る舞う反面、形容しがたい憂鬱な気持ちを吐き出せずにいた。ある日いくは、梶井基次郎の『檸檬』のように、自分の遺書を赤の他人の家に投函することで憂鬱を晴らそうとする。その遺書を読んだ鳴海と、フリージャーナリストの直樹は、いくが発するSOSを感じ…

出演: 阿部百衣子 せとらえと
脚本・監督: 守田悠人
配給: アルミード

公式サイト: zutsugaitai-movie.com
Twitter: https://twitter.com/eiga_zutugaitai
Facebook: https://www.facebook.com/zutsugaitai

(c)KAMO FILMS


■Profile

阿部百衣子

阿部百衣子(映画『頭痛が痛い』)1996年2月21日生まれ、愛知県出身。
8~10歳アメリカ在住。多摩美術大学演劇舞踊デザイン学科卒。自身を救ってくれたのは映画や演劇であった経験から、同じように苦しむ人の力になりたい、自ら命を終わらせる人を一人でも減らしたい、という想いから俳優を志す。舞台出演作に、シラカン「永遠とわとは」、U-33project「むむちゃん」など。本作で映画初出演にして初主演。

https://abemoeko.myportfolio.com/
https://twitter.com/bemokosan
https://www.instagram.com/bemokosan/?hl=ja


関連インタビューとQ&A