OKWAVE Stars Vol.1098は映画『ディスコーズハイ』(公開中)岡本崇監督へのインタビューをお送りします。
Q 本作が初長編となりました。
A岡本崇短編映画を数本撮ってきて、少しずつ長尺の作品を撮るようになって、本作が初長編となりました。最初に企画したときは40分ほどの想定だったんです。経験豊富なキャストの方も参加していただけることになり、長編映画として劇場公開することを目標にしました。自分がファンでもある秦千香子さんに主題歌を歌っていただけることになって、その歌を歌うライブシーンから逆算して台本を作っていきました。登場人物はほとんどが当て書きですが、各人物のエピソードを考えていくうちに自然と長編になっていきました。
Q 登場人物は当て書きとのことですが、キャスティングはどのようにされたのでしょう。
A岡本崇この映画に着手した時期にコロナ感染拡大が起きてしまって、オーディションは動画を送っていただく形で行いました。一緒に映画を作っていく上で面白そうな方、という基準でメインキャストを決めて、そこからは自分が好きな方にダメ元でオファーしていって、キャストが固まっていきました。
Q コロナ禍では撮影も苦労されたのでは。
A岡本崇コロナ禍の中で撮影時期を延期することもありましたが、少し収まりそうだという時期を見越して、必要最小限の人数での撮影を行いました。
映像素材が必要な都合もあって、最後のライブシーンを初日に撮影しているんです。初日でラストシーンですから役者の皆さんはテンションの作り方が難しかったと思います。そもそも、2020年の9月は楽器を持って外を歩いているだけで変な目で見られることもありましたし、人を集めて撮影をするためにライブハウスを借りるのも大変でした。フェイスシールドやマスク、検温と、撮影よりもコロナ予防の方に神経を使うような現場でした。結果的には、観客役の方の人数は抑えながら満員に見えるように撮ることができたかなと思います。
Q 劇中の音楽も素敵です。
A岡本崇映画祭で上映したものからは再編集をしていて、音楽も追加しています。ボーカル曲以外は完成した映像を見ながら作っていきました。ほとんどの映画は、ピアノやストリングスが中心となる映画音楽が多いですが、僕はギターが専門なのでギターから始まるような曲を目指しました。
Q 音楽業界を舞台にしながらもより広いテーマ性を感じました。
A岡本崇音楽業界は才能や結果が求められる世界ではあるし、僕自身もそのような中で長く続けてきましたが、やはり「好き」でなければ続けられないと思っています。才能があると言われている人も結局は好きだから続けてこられたのを見てきているので、そういうものを描きたいと思いました。それと、コロナ感染拡大が本格化した際には、音楽などの創作活動はいらないものだと言われる時期もあり、自分の中でもやる気が失われていくような感覚もありました。この映画は、自分が本当に音楽が好きなのか、映画を撮ることが好きなのか、それを再確認する意味もありました。
Q 撮影現場の様子などお聞かせください。
A岡本崇シーンの間のようなところはこちらの考えを伝えましたが、自分基準で考えてしまうと広がりがないと思ったので、役者の皆さんの考えをできるだけ取り入れていくようにしたいと思っていました。一方で、ミュージシャンの方にも出演してもらっていて、彼らは演技経験豊富ではないので、実演して見せながら進めていきました。
Q オフビートな笑い満載ですが、その部分はいかがでしたか。
A岡本崇元々そういったものが好きなので台本に入れていました。関西人の多い現場だったので、笑いの要素には役者の方々も反応良く演じられていました。シリアスなシーンより笑いやギャグのところは苦労なく進められました。
Q 印象的な撮影エピソードはありましたか。
A岡本崇誕生日のシーンが印象に残っています。ミュージシャンの後藤まりこさんが大声でちょっと過激な言葉を叫ぶのですが、撮影していた木造の古民家の壁が薄かったからか、その叫び声が周囲に聞こえてしまったようで、通報されかけてしまったんです(笑)。2、3回叫んでもらっているうちに周りがザワザワとし始めたので、スタッフに説明に走ってもらって事なきを得ました。
Q 本作に携わって、新しい発見などはありましたか。
A岡本崇映画製作においては短編と長編では全然違うと感じました。短編を何本か撮った先に長編があったとしても、長編を撮らないと分からないことがあるというのが発見でした。同時に皆さんが真剣に取り組んでくださっているということに感動もしました。僕の脚本や演出に対して真摯に向き合ってお芝居をしてくれたり、スタッフとして関わってくれたことに本当に感謝しています。やって良かった、作って良かったという気持ちがすごくあります。
Q 岡本崇監督からOKWAVEユーザーにメッセージ!
A岡本崇この映画は音楽を題材にしていますが、芸術創造活動以外の普段の生活にも当てはまる内容だと思います。「好き」ということが僕の人生の中で大きなテーマなので、どんなささいなことでも、「好き」という気持ちがあれば、大抵のことを乗り越えられるんだと思ってもらえたらいいなと思います。それと、僕も音楽活動を長く続けてきたので、こんな音楽をやっているんだということを知ってもらえたら嬉しいですし、たとえ好きではないジャンルの音楽でもいい音楽だと思ってもらえたらさらに嬉しいです。
Q岡本崇監督からOKWAVEユーザーに質問!
岡本崇僕はものをよく無くしてしまうので困っています。とくに財布はこれまでに10回くらい落としたり置き忘れたりして無くしてしまっているんです。
皆さんが財布を無くさないようにどう予防しているのか知りたいです。
■Information
『ディスコーズハイ』
音楽事務所ヤードバーズに叔父のコネで入社した瓶子撫子(へいし・なでこ)。
売れっ子バンドを次々と排出する同僚の別久(べつく)とは違い、彼女の担当するバンド「カサノシタ」はデビュー以来鳴かず飛ばず。
おまけに極度のあがり症で自身も会社のお荷物扱い。
次回作の予算もロクに下りず、自らの手でMVを制作し、その反応次第でリリースを検討という事態に。
まさに崖っぷちの現状にも関わらずメンバーの危機感及びやる気はゼロ。
それでも撫子は別久への対抗心を燃やし、なんとか結果を出そうと奮闘するのだが…。
田中珠里 下京慶子 後藤まりこ
監督・脚本: 岡本崇
音楽: ウパルパ猫 德田憲治 (スムルース) 3markets[ ]
主題歌: 「いつかバンドがなくなったら」秦千香子(ex.FREENOTE)
公式サイト: https://plisila.wixsite.com/mysite
Twitter : raidiochandesu
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■Profile
岡本崇
奈良県出身。
2008年頃からインディーズバンド界のMV制作黎明期を支える。2017年より本格的に映画制作を始め、短編映画『ロック未遂』が福井駅前短編映画祭2018でベストアクトレス賞を受賞。2021年、『ディスコーズハイ』では神戸IFFにて奨励賞、日本芸術センター映像グランプリにて発掘賞を受賞。その他多数の入選作を持つ。
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