OKStars Vol.451 菊池亜希子&中島歩

OKStars Vol.451はイマドキの結婚模様を描いた『グッド・ストライプス』主演の菊池亜希子さんと中島歩さんへのインタビューをお送りします!

Q 台本を読まれてどう感じましたか。

Aグッド・ストライプス中島歩台本だけ読むと、このふたりは大丈夫かなと思ったりはしました。俳優が立ってみてできる役柄の関係性が大事なのかなと思いました。

菊池亜希子そもそもこの結婚という題材はすごくリアルに私の身の回りで起こっていることなので、背中を押してあげる役目だという使命感を感じました。「いいんだよ、こういうきっかけで」と言ってあげたくなるような、出口が見えないカップルが周りに沢山いるんです。別れる理由はないけど付き合っていく理由もないというのが一番しんどいと思うので、妊娠というのは一大事件ですけど、結婚ということではラッキーな出来事なんだと思います。

Q 緑と真生の空気感がまさに4年間付き合ってきた間柄に見えました。そのあたりのことは岨手由貴子監督とどんな話をしましたか。

Aグッド・ストライプス菊池亜希子中島くんとは一緒にいるのが楽というか、あまり考えなくても大丈夫だと思ったんです。

中島歩考えなくても通じるとかそういうこと?

菊池亜希子人間って、「相手にこう思われたいとか気をつけて付き合わないといけない」とかあると思うんですが、中島くんに関してはそういうのが大丈夫な人だと思ったので、最初から言いたいことを言えるような関係性でした。ここまでずっと一緒にいることが多い役だったので、役者同士が思っていることを言えない関係だとしんどいですけど、中島くんとは日常の会話からいろいろ言える関係でした。

中島歩初めて手をつないだような間柄からいろいろなことがあり4年が過ぎて今に至っているので、その今だけを演じるとよそよそしく見えないかなという心配はありました。でも、この作品は台本にあるセリフをその状況で喋ればOKだったと思います。監督からは、セリフのキャッチボールで、そんなに早くセリフをぶつけないで、というような話はありました。なので、どういうふうに言うのかでふたりの関係性が見えてくるんだと思います。

菊池亜希子セリフが素晴らしかったです。そのセリフの掛け合いの中で表情にも変化が出てくるので、すごく意識して役作りをする感じでもなかったです。ああいうセリフを喋っていると、緑はだんだんふてくされるし、真生は戸惑いながら付いていく、という感じになるので、後で映像を見て「私、いつもこんなふくれっ面しているのかな?」と思ってしまいました。でも、ああいう表情を真生に見せるのも愛情なんだろうなとも思いました。映画の中で感情をぶつけあうシーンはほとんど無いし、触れ合っているシーンも実はあまりないんです。足をマッサージしてもらうくらいなので、そういうのも4年付き合ったふたりの感覚なんだろうなと思います。
真生がとんでもないことをしでかして家に帰って来た後のシーンが唯一、緑が真生を背中越しにそっと抱きしめる、ふたりが身を寄せ合うシーンですけど、いくら醒めた関係のふたりであっても隣で寝息を立てている背中があるというのが結婚なのかなと思いました。普通とは違う時間に帰ってきた相手であっても、隣で寝息を立てているということに安心感があるというあのシーンにはじんわりとくるものがありました。

Q その他に気に入っているシーンなどはありますか。

A菊池亜希子、中島歩菊池亜希子撮影は面白かったですけど、大変なことも結構あって、とくに緑が溝にはまるシーンです。極寒の中、夜中ずっと水に浸かって濡れていました。みんながバケツリレーで桶にお湯を入れて持ってきてくれるので、待っている間は手だけつけて寒さをしのいでいました。中島くんは水に濡れないので、待機中はヘラヘラしていて、私は結構ムッとしていました。でも、そういうことがあったので結果的に大事なシーンになりました。後、面白かったのは緑の実家での姉との乱闘シーン。反射的に歯ブラシを投げつけてしまったんですよ。

中島歩僕もあのシーンは好きですね。緑が部屋に来る前に、緑のお姉さんに緑の過去をいろいろ見せてもらうシーンとか。

菊池亜希子姉と真生が盛り上がっているんです。とくに地方出身者の方はみんな理解できると思うんですけど、人生の恥部みたいなものがあると思うんですけど、それを面白がってるんじゃないよと。だから歯ブラシを投げつけるのにも魂がこもってしまいましたね(笑)。

中島歩緑の過去をいろいろ見せてもらった時の感じが言葉にしづらいですけどいいんですよね。

菊池亜希子そこは女性と男性の違いですね。女性は学生時代の過去を見ないで、というのがあると思うんです。でもそこが男性にとってのツボみたいなので、女性には理解できないんですけど、変なところで愛を深められたりするんですよね。

中島歩そういうところで愛おしくなりますよ。

菊池亜希子そういうズレが緑の実家に来る一連の流れで明らかになりますけど、そこで真生の表情が一歩大人の男っぽくなるんですよね。緑は逆に子供っぽくなっちゃっている。後でこのシーンを観て気づいたんですが、この後ふたりが帰ることになって、真生がついてきてくれた時に、味方はこの人なんだな、この人と家族になるんだなという嫁入り感のようなものが感じられるんですよね。さらにその後に緑の口元のピアスの跡のことを真生が言ってくれるセリフがすごく好きなんですが、そのことに今まで気づいていなかったのか、わざわざ言ってくれる優しさなのかはわかりませんが、そう言われることで緑はふてくされているのがバカらしくなるし、女子はああいう時に彼のことをまたひとつ好きになるのかなと思いました。

Q 真生はお父さんとは離れて暮らしていましたが、そのお父さんの家に行くシーンでは父親との距離感をどう演じましたか。

A菊池亜希子私の場合は、真生のお父さん役のうじきつよしさんとウマがあったので、真生そっちのけで盛り上がっちゃうのは台本を読んでいる時から相手との距離の縮め方として理想的だと思いました。緑の愛読書をお父さんも読んでいたことがわかるシーンは、言葉よりも表情で安心感や真生のことをより知る機会になるんだろうなと思いました。お父さんを通じて真生のことを知ってまたひとつ好きになるというのが、私には羨ましいなと思えました。

中島歩父と離れているというのは自分にはない感覚だったので、どういう思い出があったのかとかを具体的に作りました。それとうじきつよしさんという有名な方と僕自身の関係性をそのまま役の関係性にしようと思ったので、すごく僕はよそよそしく接していました(笑)。

菊池亜希子現場ではその空気感は面白いなと思ってみていました。

中島歩監督もそれでいいと言ってくれました。うじきさんの方は距離を縮めようとしてくれていたんですが、どう思われてしまったかはともかく、あえてそれをかわしていました(笑)。

Q 本作で結婚までの道筋を疑似体験されて、結婚までの道のりは何だと思いますか。

Aグッド・ストライプス菊池亜希子タイトルの『グッド・ストライプス』って良い平行線という意味ですけど、何となく一緒にいて生活していたとしても、結婚は節目なんだと思います。そこまでのお互いの方向を微調整していくような、手を取り合ってというのとは違いますけど、はぐれないようにするための目印を立てるイメージですね。監督も言っていましたし、セリフにも出てきますが、「俺としてはお互いの気持ちを尊重して…」「そんなおしゃれな会話はカフェででも話して」みたいなやりとりがありますけど、そんな綺麗事ではないんですよね。お互いの手を取り合って歩いて行こうというのにはちょっぴり違和感があります。

中島歩ストライプということでは、自分の性質を変えるのではなく、相手のことを認め合うことなのかなと思います。認められないと感情的になって衝突するんでしょうけど。ふたりは平行線だとしても、その過去の線を知ることで、相手の人間性を理解できるようになることで、初めて認めることができるようになったのかなと、完成した映画を観て感じました。

菊池亜希子結婚は決めなければならないことですよね。それを決められる人はすごいというか、生きることが器用だと思うんです。歳を重ねれば重ねるほど視野が広くなる分、選択肢も多くなって結婚を決められなくなるんだと思います。それを意思を持って決めるというのはこの世代にはリアルではなくて、いい意味で流されるとか、委ねるとか、あきらめるとか、それが今回は妊娠がきっかけだったということです。緑にはそういうあきらめがあったけど、結婚を決めてから強くなったと思います。選択肢を抱えたままだったら結婚はまだできなかっただろうし、でも結婚することが全ての正解でもないので、それを探すのもありですけど、緑のあきらめ具合はむしろ頼もしいんじゃないかなと思います。

中島歩真生の方は何も解決はしていないと思っていて、真生の両親が話し合っているのを真生が見ているシーンや、結婚式当日に父と電話で話す前後など、どういう気持ちなのかはっきりしないままでした。行動ではどう見えるのかわかりませんが、結婚を決めて一歩進んだとは気持ちの上では思えていないんです。

菊池亜希子いまもこうやってモヤモヤしていますけど(笑)、だからといって緑はそんな真生のことをしっかりさせなきゃとも思っていないんですよね。自分にも子どもができたし、真生は何か察してほしいという空気感を出してはいるけど、お腹の子どもによって大人にしてもらったのかなとも思いますね。

Q ちなみにご自身に結婚願望はありますか。

Aグッド・ストライプス菊池亜希子あります。そういう話したよね。

中島歩あったっけ?

菊池亜希子何回かリハーサルをした時に、これは一度腹を割って話をしないとダメだと思って、稽古の帰りにふたりでランチを食べながら結婚観について話し合いました。実年齢は中島くんが年下なのと、20代と30代の境目で結婚観がすごく変わるので、そういう話をしました。私は自分が食べる分は自分で稼ぐという考えが20歳くらいの頃からあって、世の中の女子が考えるような結婚して養われるという価値観はあまりなく、結婚は誰かと一緒に暮らしていくことだという価値観が一番シンプルなことだろうなと。一つ屋根の下で同じ生活をすることなんだと考えるようになりました。結婚して仕事をやめるとか、今までの自分の生き方を結婚によって変えるという考えはないです。でも緑と真生みたいにいつ自分がそうなるかわからないので、その時はその時に考えるんじゃないかなと思います。

中島歩結婚はいずれはしたいと思いますけど、壮大なスケールの話なので、今は何も実感が無いですね。家族を養っていくという覚悟の元、結婚が成り立つと以前は思っていましたけど、今は一緒に生活していくことだと思いますし、それには不安しかないです。この映画でも描かれていましたけど、些細な意識の違いとか、そういうのが気になるので。でも、先日、子どもを抱きしめている夢を見たんです。自分は子どもはほしいんだと思いました。それと老後ということを考えたら、面倒くさいこともあるだろうけど、絶対家族がいたほうが面白いし楽しいだろうなと思います。

Q菊池亜希子さん、中島歩さんからOKWaveユーザーに質問!

この映画のふたりは結婚するにあたってプロポーズをしていませんが、皆さんは結婚する時にプロポーズしたいですか?されたいですか?既婚者の方はしましたか?されましたか?

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■Information

『グッド・ストライプス』

2015年5月30日(土)より新宿武蔵野館ほか全国ロードショー

グッド・ストライプス自由奔放な文化系女子の緑(28才)と優柔不断なおぼっちゃまの真生(28才)。2人の交際は4年が経ち、いわゆるマンネリカップルになっていた。
8月、真生のインド出張が決まる。次に会えるのは3か月後になるというのに全く寂しそうじゃない緑。素っ気ない態度の緑に対して、ふてくされたままの真生はインドへと旅立っていく。
10月、慣れない土地で血迷った真生は、緑へ毎日メールを送っていた。その都度やる気のない返信はあったが、2か月目にさしかかると、ついに連絡が途絶えた。
そんなある日、緑は具合が悪くなりトイレへと駆け込む。「妊娠したかも」と気づいた緑。思いっきり泣きはらし、気持ちが落ち着いてから久しぶりに真生へメールを送った。
11月、真生がインドから帰国し、緑と病院に行く。そして真生の母・里江に緑を紹介するが、そのまま医師である里江に診察をしてもらう。「どうして5ヶ月も気づかなかったの?つわりは?出産はどこでするの?実家に帰るの?」と問いただされ、何も気づかず、全く何も考えていない緑に呆れる里江。
妊娠5ヶ月目に入っている事実に愕然とする2人は、「あ……結婚……する?よね」「…うん。どうして?」「いや……一応……」と、流れで結婚を決め、準備を進めていく。

菊池亜希子 中島歩
臼田あさ美 / 井端珠里 相楽樹 山本裕子 / 中村優子 杏子 うじきつよし ほか

脚本・監督:岨手由貴子
配給・宣伝:ファントム・フィルム
公式サイト:http://good-stripes.com/

©2015「グッド・ストライプス」製作委員会


■Profile

菊池亜希子、中島歩

菊池亜希子

1982年8月26日生まれ、岐阜県出身。
独特の存在感で女優としても注目を集め、2010年映画『森崎書店の日々』(10/日向朝子監督)で初主演。その後、『ファの豆腐』(11/久万真路監督)、『よだかのほし』(12/斉藤玲子監督)で主演を務め、その他『ぐるりのこと』(08/橋口亮輔監督)、『わが母の記』(12/原田眞人監督)、『深夜食堂』(15/松岡錠司監督)など映画への出演が続いている。また、著書として「みちくさ」(小学館刊)、「菊池亜希子のおじゃまします 仕事場探訪 20人」(集英社刊)を刊行。12年から年2回で発売している書籍「菊池亜希子ムックマッシュ」(小学館刊)では編集長を務め、累計32万部を超えるヒットシリーズとしてカルチャー好きの男女から強く支持されている。

http://www.tencarat.co.jp/kikuchiakiko/

スタイリスト:林 道雄、メイク:吉川 陽子

中島歩

1988年10月7日生まれ、宮城県出身。
美輪明宏主演の舞台「黒蜥蜴」のオーディションで200名の中から雨宮潤一役に選ばれ、2013年4月、同舞台で俳優デビュー。NHK連続テレビ小説「花子とアン」で仲間由紀恵演じる蓮子の駆け落ち相手・宮本龍一役で大抜擢され、人気を集める。14年には舞台「いきてるものはいないのか」に出演するなど、いま注目の若手俳優として期待されている。2015年4月から「黒蜥蜴」が上演され、9月には再演も決定している。

http://www.tencarat.co.jp/nakajimaayumu/

スタイリスト:林 道雄、メイク:竹下 フミ(竹下本舗)