OKStars Vol.456は2015年6月20日公開の映画『KIRI―「職業・殺し屋。」外伝―』主演の釈由美子さん(キリ役)、そして久保田悠来さん(リョウ役)、文音さん(ルイ役)へのスリーショットインタビューをお送りします!
Q 『KIRI―「職業・殺し屋。」外伝―』出演に際しての作品の印象をお聞かせください。
A釈由美子私の役どころはプロの暗殺者集団に育てられた女性なので、台本を読んでいても胸が切なくなるほどの孤独と哀しさと、逃れられないような宿命を背負ったヒロインだと思いました。私はプライベートで古武道を習っていて、いつかまたアクションをやりたいなと思っていたので、今回こういうご縁をいただけて嬉しく思いました。
久保田悠来僕は先に原案の「職業・殺し屋。」を読ませていただいて、なかなかハードな描写だなと、その印象が強かったです。最初、こちらを映画化すると聞いていたので、台本を読んで、コミックスの方とはまた違う芯があると感じました。
文音最初に台本を読んだ時は、ストーリーの入り方に驚きがありました。どうしようもなく切ない状況に耐えぬいたキリに対し、私の演じたルイは、それに耐えられなかったという闇を抱えて生きている役だったので、共感を得る部分もたくさんありました。ルイがそうなってしまった気持ちが分かる部分も多いと感じました。
Q キリ、リョウ、ルイ、それぞれどのように役柄を捉えて演じたのでしょう。
A釈由美子キリは終始、何を考えているか分からない謎めいたヒロインなんです。最初にいただいた台本ではもう少しセリフも多くて、状況を説明するようなセリフもありました。リョウたちと最初に対峙するシーンでキリはこんなに喋らないのでは、と坂本監督に話したら、撮影当日に監督は久保田さんに「このキリのセリフ、リョウが喋って」と(笑)。そのくらい寡黙なヒロインですが、瞳の奥はいつも憂いていて、物悲しさを背負っているキャラクターにしようと意識して演じました。
久保田悠来釈さんの役と対比させるような色が出せればと思いました。リョウは昼は会社員、夜は殺し屋というキャラクターですので、人間的には飄々としているようにできればと。でも本人はプロとしてのプライドも持っているし、そういう芯の強いところも出していければと考えながら演じました。
文音すごく複雑な役でした。ルイはキリのことを姉のようにすごく信頼していて、絆で結ばれているけれど、一方で闇の部分を抱えている。ふたつのキャラクターが混在するような感じだったので、それを表現できたらと考えながら演じました。
Q 見応え十分なアクションを披露されましたが、どのような準備をされたのでしょう。
文音キリとルイは同じ訓練を受けてきたという設定なので、同じ型があるだろうという監督の意向で、監督の道場で一緒にリハーサルをしたんですよね。ルイとキリは動きが一緒なので、そういうところを合わせてから撮影に入りました。
釈由美子接近戦でナイフを使う、手数の多いアクションなので、身体で覚えろと言われました。動きはダンスのようで楽しかったですね。
文音トントントン、ドン!みたいな感じで身体とリズムで覚えればスムーズにできると言われて、そういう練習をふたりでしました。
Q お母さんである元祖アクション女優と言われた志穂美悦子さんから何かアクション指導を受けたりはしましたか?
A文音オファーを受けてから撮影までの準備期間が短かったことと、別の撮影もあったので、今回は指導を受けられるタイミングがなかったです(笑)。
Q リョウのアクションにはワイヤーを使った技もありましたがいかがでしたか。
A久保田悠来これまでの経験があるからか、僕には事前のアクション練習はありませんでした。ワイヤーは紐が絡まないかという怖さはありました。でも、それよりも画面上でワイヤーが細すぎて見えないのでは、という虚しさが大きかったです(苦笑)。
釈由美子画面で見えないなら“エアー”でいいんじゃないかって話していましたよね(笑)。心の目で見なさいと(笑)。
Q 釈さんと久保田さんの本番でのアクション共演についてお聞かせください。
A釈由美子クランクインして2日目がクライマックスのバトルシーンの撮影でした。現場に慣れる前だったので、無我夢中でした。
実は撮影の時には、久保田さんと現場でほとんど会話をしていないんです。キリが乗り移っていて話しかけにくいオーラが出ていたんだと思います(笑)。冬の撮影だったので、現場には2箇所ストーブが焚かれていて、私たちは別々のストーブにあたって待機していました。敵対する関係だったので役柄上は良かったかなと思います。
久保田悠来僕は初日がそのシーンだったので、まだどうしたらいいのか戸惑っていたんですよ。
釈由美子その後の撮影でも、久保田さんが小宮有紗さんたちと楽しそうな会話をしていて、入っていきたいけど私はキリだしな、と思ってとどまっていました(笑)。
Q では釈さんと文音さんのアクション共演についてお聞かせください。
A文音アクションの動きは、思ったよりもスムーズにできましたね。道場のリハーサルで動きを事前に作って、修正や追加をしながらやっていきましたので、リハーサルができて良かったと思いました。何より怪我しないことが大事でしたので、すごく緊張感がありました。
釈由美子撮影自体は、朝から夜12時近くまでありましたので、最後は燃え尽きたボクサーみたいな感覚でした(笑)。
Q キリとルイの関係性の芝居はいかがでしたか。
A文音私は釈さんからの“話しかけないでオーラ”は感じませんでした。もちろん、シリアスな雰囲気を作ろうとしている時は空気感で分かりましたので、いい距離感でできたかなと思います。最後に撮影したシーンは真冬の真夜中で山梨の山奥という、サバイバルゲームのような状態で、しかも私は生足を出してコンクリートの上に寝転んでいないといけなかったんです。釈さんはカメラに映らないところで氷嚢にお湯を入れて足の周りに置いて毛布をかけてくれました。気を遣っていただきながらのラストシーンだったので、私自身、より感情が入りましたし、ルイにとってキリは本当にお姉ちゃんなんだという感じも出せて良かったです。
釈由美子生足は完全に坂本監督の趣味ですね(笑)。キリも身体にピッタリのスーツでしたけど、他の女性キャストはみんな生足だったり際どい衣装だったので、「監督、女の子の足を冷やしちゃダメですよ!」と、ついつい怒ってしまいました(笑)。
Q 久保田さんは、演じたリョウと小宮有紗さんの演じたメグミや水崎綾女さんの演じたシオリとの関係性はいかがでしたか。
A久保田悠来彼女たちは坂本監督の作品に出慣れていて、「監督は足から撮る」という話を聞かされていました(笑)。小宮さんとは初めての共演でしたが、「食べるのが大好きです!」と言っていたので好きな食べ物の話などでコミュニケーションを取っていました。
釈由美子そばで見ていて初共演とは思えないくらい息が合っていました(笑)。撮影後に小宮さんと監督と私とで取材を受けた際に、小宮さんが久保田さんの印象を聞かれて「すごく変態!」と言っていたんです。私の中では久保田さんはとても寡黙でクールで男前という印象だったので、イメージが崩されたと思いました(笑)。
Q 殺し屋を演じる上で、そういう心理はどのように自分の中に植えつけたのでしょう。
A久保田悠来いわゆる正義ではないですけど、敵に対する正義感はあるのかなと思います。リョウの場合は快楽という部分もあるので、そこを大事にしました。
文音ただ大量殺人をしているわけではないので、目的の部分をしっかり見てもらえるようにと思いました。
釈由美子キリの場合は正義でも悪でもなく、幼い頃から暗殺者集団に鍛えられてきたので、葛藤や負の感情はなく、淡々と、それこそ魚屋さんが魚をさばくような感覚で心を無にしている感覚でした。ただ、自分が守るべき存在のルイに対しては、自分の生命に代えてでも守るという気持ちで、温度差のメリハリはしっかりつけようと思いました。
Q 坂本監督の演出全般についてお聞かせください。
A釈由美子明るい方なので、どんなに現場がハードでみんなが疲れてきていても、雰囲気を盛り上げてくださっていました。それと、こんなに短期間でこんなにアクションが撮れたのでまさにミラクルだと思いました。
文音カット数も多いし、時間がすごくかかるはずなのに、すごい早さで撮影が進んでいくんです。さすがアクション監督だと思いました。
釈由美子早いだけでなく、照明もきれいで俳優をすごくきれいに撮ってくださるんです。
文音でもやっぱりエッチなんです(笑)。
釈由美子キリがアジトでひとりでトレーニングしているシーンは、最初は違う衣装だったのがタンクトップになり、しかも「釈さんが普段やっているトレーニングをやってください」と、あのシーンだけは完全アドリブでした。しかもカメラはすごく引いたところから撮影が始まったので、いつもやっている古武道のストレッチなどをやったのですが、仕上がりを見て、あんなに艶かしく撮られているとは思いませんでした…(笑)。でも、すごく印象的なシーンに仕上がりました。
Q OKWaveユーザーにメッセージをお願いします。
A釈由美子坂本監督演出のバリバリのアクションが一番の見どころですが、その中で戦っているキリの哀しさや憂い、儚さを感じてもらえたら嬉しいです。
久保田悠来美しく舞う女性陣。それに尽きます。
釈由美子それをセクシーな男性が支えてくださっています!
文音アクション映画ですが、その中にはラブストーリーや家族愛など、ヒューマンなドラマが入ってきます。アクションも見どころですが、ヒューマンな部分も見どころになっている作品です。
Q釈由美子さん、久保田悠来さん、文音さんからOKWaveユーザーに質問!
『KIRI―「職業・殺し屋。」外伝―』にちなんで、皆さんにもし心の闇のような部分があるのなら、それについて聞かせてください。
■Information
『KIRI―「職業・殺し屋。」外伝―』
2015年6月20日(土)池袋HUMAXシネマズほかにて公開
キリはプロの暗殺者として育てられた。ボスからの依頼を受け任務を遂行する日々。そのキリには守る存在があった。それは妹のように可愛がっているルイだ。ルイもキリと共に暗殺者として育てられたが、厳しい訓練にルイは徐々に心のバランスを崩していく。そして凄惨な事件に巻き込まれ母親を喪い、ルイも声と右手を失う。ルイを守りきれなかったキリは、復讐を誓い犯人を捜していた。
キリは、闇の殺人請負サイト「殺し屋。」に目をつける。ケイとアヤコが管理するこのサイトでは、提示された依頼料より最も安い金額で競り落とした人物が殺人を遂行できる逆オークションが行われていた。殺し屋として暗躍するのは、ワイヤー使いのリョウ、締め技を得意とするシオリ、刃物仕込みのシューズを使うメグミたちだ。倒すべき犯人はこの中にいるのか?キリの監視は続く。
ある日、殺人請負サイト「殺し屋。」に新たな依頼が入る。しかし、落札者はルールを無視しターゲット以外の人間も惨殺。遺体の両目は潰されていた。
その手口こそ、キリが長年捜しつづけた敵(かたき)の手口であった。犯人は一体誰なのか?
キリの復讐が始まる!
釈由美子
久保田悠来 文音
水崎綾女 小宮有紗 荒井敦史 月岡鈴
村野武範(友情出演) 大西結花 倉田保昭
監督・アクション監督:坂本浩一
原案:西川秀明「職業・殺し屋。」(白泉社「ヤングアニマル」連載作)
製作・配給:東映ビデオ エクセレントフィルムズ
公式サイト:http://kiri-movie.com/
©2015 東映ビデオ/エクセレントフィルムズ
■Profile
釈由美子
1978年6月12日生まれ。
「週刊ヤングマガジン」ミスキャンパスグランプリに選ばれ芸能界デビュー。「修羅雪姫」「スカイハイ」「リトル・マエストラ」「相棒-劇場版III」など多くの映画や、「7人の女弁護士」「ほっとけない魔女たち」など数々のTVドラマに出演。
現在、NHK-BS1「実践!にっぽん百名山」で司会のほか、BS12「未来展望~トップリーダーの集い~」でMCを務めるなど活躍の場を広げている。総合古武道(正伝十二騎神道流)二段、温泉ソムリエ(3つ星)を取得。
http://ameblo.jp/yumiko-shaku/
久保田悠来
1981年6月15日生まれ。
2007年デビュー。2013年「仮面ライダー鎧武」の呉島貴虎・仮面ライダー斬月役として出演し人気を博す。主な出演作品にTVドラマ「警部補・杉山真太郎~吉祥寺署事件ファイル」、映画『アサシン』『牙狼〈GARO〉~蒼哭ノ魔竜~』、2015年公開の映画では『新宿スワン』『内村さま~ずTHE MOVIE エンジェル』、『マックスマン』、『忘れ雪』等がある。
http://ameblo.jp/kubotayuki0615/
文音
1988年3月17日生まれ。
元祖アクション女優・志穂美悦子の娘であり、本作で本格アクション映画デビューを果たす。2008年映画『三本木農業高校、馬術部』でデビュー、第32回日本アカデミー賞新人俳優賞受賞。その後、ニューヨークへ演劇留学し、2014年再復帰。主な出演作品に映画『FASHION STORY -Model-』、TVドラマ『SAKURA~事件を聞く女~』など。