OKStars Vol.467 女優 三根梓

OKStars Vol.467は西伊豆を舞台にしたよしもとばななさん原作の映画『海のふた』(2015年7月18日公開)に出演の三根梓さんへのインタビューをお送りします!

Q 『海のふた』の出演について、まずはご感想をお聞かせください。

A三根梓最初にお話を聞いた時は、昔からよしもとばななさんの大ファンだったので素直にすごく嬉しかったです。ですが、自分が演じることを考えると、ばななさんの作品の世界観や登場人物たちの繊細な心の揺れの部分を表現することへのプレッシャーに身が引き締まる思いもありました。

Q 原作を読まれたご感想は?

A三根梓すごく優しい、穏やかな空気が流れる作品だと思いました。読んでるだけで、波の音や砂を踏む音、心地よい風が感じられて、心がほっとする作品だと感じました。

Q 演じたはじめちゃんの人物像をどう受け止めましたか。

A『海のふた』三根梓原作と台本を読み込んで、「はじめちゃんノート」を作ることから始めました。そのノートに原作や台本を読んで感じたはじめちゃんの性格や物事への感じ方や考え方を書き込んでいきました。真っ直ぐで陰りがある、とか些細なことでも書き込みながら人物像に落としこむようにしていました。けれども、考えても考えてもはじめちゃんの世界の見え方がストンと落ちてこなかったので、現場に行って掴むしかないと思いました。火傷の痕をメイクしてもらって、お芝居の中でまりちゃんとやり取りする中で、やっと少しずつはじめちゃんを自分の中に落としこんでいけたかなと思えるようになりました。だいぶ苦労しました。

Q はじめちゃんの性格の自分に近いところとそうでもないところをお聞かせください。

A三根梓はじめちゃんには火傷の跡がありますが、傷跡があるから自分が特別だと思っているような女の子ではないけれども、傷跡があるからこそ人よりも考えることが多かったとも思いますし、感じ取るものも多い女の子だと思います。すごく繊細で、多感な女の子でもあるし。私もどちらかと言うと気にしやすいタイプなんですけど。はじめちゃんは特別な体験を持っているので、そこは違うなと思いました。

Q はじめちゃんとまりの距離感が徐々に縮まっていきますが、現場でまりを演じた菊池亜希子さんとはどんな風に芝居を作っていったのでしょう。

A三根梓はじめちゃんは最初は大切なおばあちゃんを亡くしてしまった悲しみで心が塞ぎこんでしまっているので、その悲しみを大事にしようと思いました。あまり距離感は考えすぎずに、毎回その場でまりちゃんの存在を受け止めて、素直に感じたことを伝えるようにと思いました。菊池さんもまりちゃんとしてそこにいてくれたので、言葉のやり取りがなくても視線や表情で、ちょっと傷ついている時に支えになってくれるような、そういうやり取りを大事に演じるようにしました。素直なやり取りの中で距離感も変わっていったのかなと思います。
撮影は台本の順番通りではなかったので、感情の変化なども想像して膨らませることを大切にしながら演じるようにしました。

Q 菊池さんとの共演のエピソードなどお聞かせください。

A『海のふた』三根梓共演は初めてでした。私の中での菊池さんはすごくおしゃれで、ムック本の編集長をされていたり、すごく格好いいお姉さんというイメージで。演技でもカメラが回った途端にその場に溶け込んでしまうような立ち姿だったり、掛け合いでははじめちゃんの感情を引っ張り出してくれるような、頼もしいお姉さんでした。でも、撮影が終わってホテルに戻ると、売店でかわいらしいぬいぐるみを買って相棒にしていたり、一緒に温泉に入って話をしている時に、ずっと目を閉じていて「あれ、寝ちゃっている?」と思うようなお茶目な一面など、かわいらしい面もあったので、ますます好きになってしまいました。

Q 『海のふた』の裏主役とも言えるかき氷ですが、まりのこだわりの逸品、実際に食べましたか?

A三根梓菊池さんが本当に削ってくれた出来たてのをいただいたのですが、本当にふわふわで、糖蜜のシロップのかき氷は初めて食べましたが、本当に甘くて、シンプルだけどとてもおいしかったです。みかん水も搾りたてのこだわりの味がして、これもまりちゃんらしいなと思いました。
かき氷屋さんはすごくおしゃれで、いろんな形の食器やよくわからないような置物もあって、すごくまりちゃんに愛されているもので作られているんだとすぐに分かったので、すごく落ち着ける好きな場所でした。

Q かき氷については何か個人的な思い出などありますか?

A三根梓実は『海のふた』の撮影前まではかき氷よりもアイスクリーム派でした(笑)。でも、この撮影の時に削りたてのかき氷をいただいてからは東京に戻ってからも、かき氷の看板が出ているお店でついついかき氷を頼んでしまったり、かき氷が好きになってしまったのが自分の中でも面白いなと思いました。

Q なぎ堂に追加してほしいシロップはありますか?

A三根梓まりちゃんだったら、本物のメロンを使ったシロップとか、よくわからないこだわりのシロップを作るだろうなと思います。でも私はやっぱりいちご味が好きです。

Q 西伊豆での撮影全般で思い出深いことはありますか。

A三根梓撮影の終盤に、夜に山の中の神社で撮影する日があったんです。その時に足を虫に噛まれてしまって、翌日には噛まれていない方の倍くらいに腫れてしまいました。映像的な影響はありませんでしたけど、とにかく痛痒くて大変でした。でもこれは土肥のことを忘れないでね、というメッセージなんだと思い込むことにして、自分をクールダウンさせていました。その時は辛かったですけど、いま思い返すと愛おしい出来事だったと思えます(笑)。

Q 海に入るシーンが印象的ですが、その時のエピソードをお願いします。

A三根梓実は泳ぐのは得意ではないんです。結構深いところでの撮影が多かったので、私は立泳ぎができなくて大変でした。菊池さんは立泳ぎができてすぐにプカプカ浮かぶこともできていたので、力の抜き方や浮き方を菊池さんに手取り足取り教えてもらいました。はじめちゃんがまりちゃんに支えられながら海に入るシーンもあるんですけど、そのシーンがよりリアルなシーンになっているなぁと(笑)。撮影していたのが5月末でまだ少し肌寒かったので、コンテナにお湯を張っていただいて、海水に浸かった撮影の後はすぐにそのお湯の中に飛び込んでいました。

Q まりは自分でかき氷屋のなぎ堂を作っていきましたが、そういう姿をどう見ましたか。

A『海のふた』三根梓できあがった映画を観て、まりちゃんが男らしい感じでお店を作っていた姿にびっくりしました。本格的だし、体育会系のような姿だったので、普段の菊池さんとは全然イメージが違って。私は不器用なので木を削ったりするようなことはしたことがありませんが、まりちゃんの姿を見て何か作ってみたいなと思いましたね。

Q 撮影全般で何か新しく気づいたことなどはありましたか。

A三根梓それぞれの現場で何かしら新しい気づきがありますが、『海のふた』の現場では、あまりイメージを頭で固めすぎないことと、心を柔らかくして感じたことを大切にして演じることが大事なんだと気づけたことが一番の収穫でした。考えすぎて頭がいっぱいいっぱいになって周りが見えなくなったり違う芝居を求められた時にできなくなるということを痛感させられて、そのことに気づけたのが良かったです。監督から「いっぱい考えてきたのはわかったから、一回頭を空っぽにしてやってみたら?」と言われたのがきっかけです。空っぽにするのは怖かったですけど、素直に監督の言うことに委ねてやっていくうちにそのことに気づくことができました。

Q 今後の展望などお聞かせください。

A三根梓作品を観た方の心の底から感情が溢れ出してくるようなそういうお芝居ができるようになりたいと思っています。それが希望や勇気、役柄によってはもしかしたら絶望かもしれませんが、観た方の価値観や生き方への良いスパイスになれればいいなと思っています。あまりイメージに囚われずにいろんな役柄を通して、観た方が笑顔になったり元気になるようなパワフルな作品にチャレンジしていきたいです。

Q ではOKWaveユーザーにメッセージをお願いします。

A三根梓『海のふた』は田舎でのゆったりした生活と、だからこそ直面してしまう過疎化のような問題も丁寧に描かれています。そんな中で迷いながらも自分と向き合って、新たな一歩を踏み出そうとする女性ふたりの姿が描かれています。そんなふたりの姿を観ていただいて何かを感じて皆さんの一歩踏み出す力になれたら嬉しいなと思います。
とても穏やかな空気が流れている作品なので、心と体がじんわりするような心地良さが感じられると思いますので、たくさんの方に観ていただけたら嬉しいです。

Q三根梓さんからOKWaveユーザーに質問!

三根梓夏におすすめの食べ物は何ですか?

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■Information

『海のふた』

『海のふた』2015年7月18日(土)より新宿武蔵野館ほか全国ロードショー

ふるさとの西伊豆の小さな町に帰ってきたまり。酒屋の元彼・治に気が付いたまりは、大声で声をかける。閑散とし寂れてしまった町の中をふたりで歩きながら、戻った理由を語り出す。
「この景色が好きで、ついついここに帰ってきちゃった。私ね、この海の傍で、かき氷屋を始めることにした」。驚く治。舞台美術の仕事をしていたまりは「結局、私が本当に誇れるのは、かき氷を嫌いにならなかったことなんだなぁって」と、この町でかき氷屋で生きていくことを宣言する。
店舗を探し出し、自らペンキを塗り、家具を配置し、改装をし始める。ある日の朝、母から、大学時代の友人の娘であるはじめちゃんが、しばらくうちに滞在することになったから面倒をみてくれ、と頼まれる。はじめちゃんは顔に火傷の痕が残り、また一緒に暮らしていたおばあさんを亡くしたばかりで、心に傷を抱えていた。
朝、まりは台所ではじめちゃんを見つける。珈琲にお湯を注ぎながら、急に泣きじゃくり始める。呆気にとられたまりに対して、泣き止んだはじめちゃんは「発作みたいなものなの。哀しみが竜巻みたいに急にやってきて、急に去っていくの」とまたお湯を注ぎ始める。「我慢することは出来ないけれど、去った後は泣いたことなんて忘れるくらいスッキリ」と笑ってみせる。
まりの開店準備中のお店にはじめちゃんを誘う。サトウキビを叩き切るまりは、大鍋で糖蜜を丁寧に作る。「煮出して、圧搾して、手間はかかるけどおいしいよ」。
翌日、開店準備を整えた店内。メニューには、糖蜜、みかん水、エスプレッソだけ。自分が本当にいいと思えるものだけしか出したくないというこだわりのメニュー。そしてはじめちゃんがお客さん第一号。「おいしい」と声をあげる。「糖蜜のかき氷なんて初めて食べるのに懐かしい味がする」。そしていよいよ開店となるのだが…。

菊池亜希子 三根梓 小林ユウキチ 天衣織女 鈴木慶一

監督:豊島圭介
原作:よしもとばなな
かき氷監修:石附浩太郎
配給・宣伝:ファントム・フィルム

http://uminofuta.com/

©2015 よしもとばなな/『海のふた』製作委員会


■Profile

三根梓

三根梓1991年12月21日生まれ、佐賀県出身。A型。
知人の紹介で中学生の時に福岡のモデル事務所に所属。この頃から女優を志す。その後、大学進学のため東京へ上京、現在の事務所へ所属。映画『シグナル ~月曜日のルカ~』(12/谷口正晃監督)で初主演に大抜擢される。さらに、テレビ朝日系ドラマスペシャル「死と彼女とぼく」(12)でドラマ初主演を務める。その後はドラマを中心に、「八重の桜」(13/NHK)、「三匹のおっさん~正義の味方、見参!!~」(13/TX)、「ダンナ様はFBI~愛のミッション~」(14/NHK)、「平成猿蟹合戦図」(14/WOWOW)、「三匹のおっさん2~正義の味方、ふたたび!!~」(15/TX)など話題作への出演が続いている。

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