OKStars Vol.478 女優 安蘭けい

OKStars Vol.478は日本初演となる伝説のミュージカル『CHESS』に出演の安蘭けいさんへのインタビューをお送りします。

Q 『CHESS in Concert』を経てのミュージカル『CHESS』ですが、この話を最初に聞いた時のご感想は?

A安蘭けいいつかはやるだろうな、とは思っていましたので、いよいよだと思いました。

Q やはりミュージカルはコンサートとは別物でしょうか。

A安蘭けい違いますね。コンサートはマイクを持って楽曲を歌うので、ストーリーもありますが音楽を聴いていただくことがメインです。ミュージカルでは、独立して音楽を聴かせるのではなく、あくまでお話の中の音楽でないといけません。役として生きた中で歌にしなければならないので、意識は全然違いますね。

Q 今回のフローレンス役についてお聞かせください。

A安蘭けいミュージカルの方がより彼女のバックボーンが語られていると思います。フローレンスはハンガリー人で両親をハンガリー動乱で亡くしているという過去や、それに由来するフローレンスという人物の性格や考え方についてもより分かりやすくなると思います。私自身もフローレンスのことを理解しないといけないし、フローレンスへの想いというものを強く持って考えないといけないとコンサートの時よりも思います。

Q コンサートとのストーリー展開の違いはありますか。

A安蘭けい大まかには同じですが、コンサートではより簡潔にするために省略されていた人物も出てきますし、ストーリーも分かりやすくなっています。

Q 本作の魅力はどこにあると思いますか。

A安蘭けい安蘭けい私自身はチェスという競技にはあまり思い入れがないのですが、チェスという文化を知っている欧米の方たちは、その奥深いゲームを人生に重ねたりしているからこの物語が成立しているのだと思います。でも多くの日本人にとってはあまり馴染みがないと思いますので、日本でこの物語を演じるとどうなるのか考えてはいます。ただ、やはり物語よりも歌が注目されるとも思いますので、それがこの作品の一番の魅力にもなるだろうなと思います。とはいえミュージカルなのでストーリーがしっかりしていないと成立しないし、コンサートの時にはあまり語られていなかったチェスを政治になぞらえている部分などを私もちゃんと理解して取りかからないといけないなと思います。

Q 冷戦時代の東西のチェスプレイヤーの戦い、という作品ですが、この時代にこの作品を上演することについて思うところはありますか。

A安蘭けい冷戦時代はそんなに昔ではないし、世界中でそういう状況があると思います。日本も最近は安保法案などもあって、そもそも戦うということは何なのかを考えなければならない時期に差し掛かっていると思います。チェス競技も国と国というよりは結局は人と人とが対戦します。戦うことや戦う意味、人としての尊厳というものについてこの作品では描かれているので、この時代に上演される意味があるのかなと思います。

Q 共演者の方々について、石井一孝さん、中川晃教さんについてはいかがでしょう。

A安蘭けいまたご一緒できるのは本当に楽しみです。おふたりとも本当に熱いんです。むしろ暑苦しいほどなんですけど(笑)、この『CHESS』について語らせると1日じゃ足りないくらいの思い入れをふたりとも持っています。稽古場ではふたりともとても自由にやっているので、規則や概念に縛られていた自分がバカらしく見えることもあります。自分が思ってもいないような世界に思考を連れ出してくれるので、いつも刺激を受けていました。今回も新しい刺激がもらえるんじゃないかと思います。

Q 今回のアービター役の田代万里生さんについてはいかがでしょうか。

A安蘭けい万里生くんは何度か公演でご一緒しているので、よく知っています。万里生くんはしっかりしていて、石井さんと中川さんにはないちゃんとしたところがあるので(笑)、バランスを取ってくれるんじゃないかなという期待をしています(笑)。アービター役にはぴったりかなと思います。

Q 今回の歌についてはいかがでしょうか。

A安蘭けいコンサート版からは多少増えたりはしていますが、歌詞などはほとんど同じですね。「Heaven Help My Heart」という曲が好きな曲ですけれど、コンサート版で歌っている時とは違った状況で歌えると思うので、コンサート版の時よりもフローレンスの心情をより深く語れると思います。あの歌がどんな風になってどんな気持ちで歌えるのかが楽しみです。コンサート版は歌を聴かせるものですし、それがミュージカルになるとその役として歌うので全然違うものになりそうです。フローレンスは中川さんの演じるフレディから石井さんの演じるアナトリーに心が移りますが、今回のミュージカルではその移り変わるフローレンスの気持ちがより明確に表現できるのではないかと思います。その気持ちの部分を掘り下げたいと思います。

Q 全体を通して見どころになりそうなところは?

A安蘭けいみんなで歌う曲が結構出てきます。コンサート版ではみんながマイクを持って歌いますが、ミュージカルではどうなるのか今のところ全然想像がつきません。どんなセットや演出になるのか個人的にも楽しみなのでドキドキ、ワクワクしています。

Q 以前に『CHESS in Concert』で歌った時に何か気づきはありましたか?

A安蘭けいミュージカルの公演をする前にその曲をコンサートで歌うのは初めての経験でしたが、楽曲がどれもシングルカットできそうなくらいにいい曲だったので、逆にそれがミュージカルになった時にどうなるのだろうと当時は思いました。コンサート版の時はあまりミュージカルの曲だとは思わずに歌っていたので、今回役を通して歌った時の方がおそらく発見することは多いだろうなと思います。

Q OKWaveユーザーに安蘭けいさんからメッセージをお願いします。

A安蘭けい本当に楽曲が素晴らしいミュージカルで、世界中でコンサート版がミュージカル版よりも多く上演されているくらいです。今回ミュージカル版の日本初演に出演するという責任を感じていますが、国と国の戦い、人と人の戦いやつながり、価値観の違いといったものが、チェスのゲームを通じてうまく表現されているので、深いものを感じ取れると思います。コンサート版を観た方にはもっと深くストーリーを伝えられる作品になっていると思いますし、観ていない方には今までに聴いたことがないようなABBAのメンバーの方が作った素晴らしいミュージカルナンバーの数々を味わっていただけたらと思っています。そしてこの『CHESS』という作品の壮大なストーリーを通じて今生きている人の価値観や尊厳を感じてもらえればと思います。

Q安蘭けいさんからOKWaveユーザーに質問!

安蘭けい皆さんにとっては秋というと何が思い浮かびますか?私にとっては自分の誕生日です(笑)。それとキンモクセイです。

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■Information

ミュージカル『CHESS』

舞台は米ソの冷戦時代。イタリアのメラーノでチェスの世界一を決める選手権が開催される。時の世界チャンピオンはアメリカ合衆国のフレディ。傍らには、彼のセコンドを務めるフローレンスがいる。
対戦相手はソビエト連邦のアナトリー。チェスの天才フレディはフローレンスの忠告もむなしく、記者会見で対戦相手を罵り、記者達から非難をあびせられる。天才チャンピオンの成功と孤独に苦しむフレディ。
一方、アナトリーは共産主義のソビエト連邦という国家を背負ってチェスをプレイすることの重圧に苦しんでいた。
競技場には、彼らの世界を冷徹に支配するアービターが待つ。
精神的に追いつめられたフレディは試合を放棄、それによりアナトリーが不戦勝で新たな世界チャンピオンとなる。葛藤の中で、敵味方であるはずなのに恋に落ちてしまうフローレンスとアナトリー。しかしアナトリーには故郷に残してきた妻と子供がいた。
フローレンスは 1956年のハンガリー動乱で親を失くした孤独な身の上だ。アナトリーは亡命を決意する。
1年後、再びチェスの世界選手権がタイのバンコクで開催される。世界チャンピオンであるアナトリーは出場者としてフローレンスと共にこの国に来ていた。そしてこの地に、テレビ業界に転身したフレディ、アナトリーの妻スヴェトラーナも現れる。試合を前にKGB(旧ソ連国家保安委員会)、CIA(米国諜報機関)の思惑も交錯する。彼らの人生はどのような軌跡を描いていくのか……すべてを賭したゲームが始まる。

【作曲】ベニー・アンダーソン、ビョルン・ウルヴァース
【原案・作詞】ティム・ライス
【演出・訳詞】荻田浩一
【音楽監督】島健
【出演】安蘭けい 石井一孝 田代万里生 中川晃教 他 (五十音順)

【東京公演】
東京芸術劇場 プレイハウス 2015年9月27日(日)~10月12日(月)

チケット料金:S席12,000円、A席10,000円、B席8,000円(全席指定・税込・未就学児童入場不可)
U-25当日引換券5,000円 ※25歳以下対象(公演当日要証明書。梅田芸術劇場・チケットぴあのみ販売)

お問い合せ:梅田芸術劇場 0570-077-039(10:00~18:00)

東京公演主催:テレビ朝日

【大阪公演】
梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ 2015年10月19日(月)~10月25日(日)

チケット料金:12,000円(全席指定・税込・未就学児童入場不可)
U-25当日引換券5,000円 ※25歳以下対象(公演当日要証明書。梅田芸術劇場・チケットぴあのみ販売)

お問い合せ:梅田芸術劇場 06-6377-3888(10:00~18:00)

大阪公演主催:朝日放送

企画・制作・主催:梅田芸術劇場

http://www.chess-musical.jp/


■Profile

安蘭けい

安蘭けい91年、宝塚歌劇団に首席で入団。06年、星組男役トップスターに就任。
09年に退団後も『エディット・ピアフ』『MITSUKO』『アントニーとクレオパトラ』『next to normal』『幽霊』『レディ・デイ』などの舞台に主演。『サンセット大通り』『アリス・イン・ワンダーランド』の演技で第38回菊田一夫演劇賞を受賞。近年では映画やドラマにも活動の幅を拡げている。
9月にミュージカル『CHESS』、12月に『漂流劇 ひょっこりひょうたん島』への出演が控える。

http://www.horipro.co.jp/arankei/