ミュージカル『HEADS UP!』製作発表の模様をお送りします!
>相葉裕樹さんインタビュー!
Q ご挨拶をお願いします。
Aラサール石井この作品はミュージカルで、私がお芝居をやるようになって20年以上が経ちます。大学生時代にはミュージカル研究会に在籍していました。当時、小池修一郎さん、まだ高校生だった宮本亜門さんとミュージカルについて熱く語ったりしていました。その後、3人共ミュージカルをやると思ってたら、私だけお笑いに行ってしまい、回り道して演劇に帰ってきましたが、主に喜劇の演出をしてきました。「あの人は喜劇の人だ」とレッテルを貼られてしまったので、ミュージカルのオファーはやりたいのに一切来ないんです。だったら自分で作るしかない、と思って10年以上前からこのミュージカルを企画して、事あるごとに人に話してきました。
『HEADS UP!』はバックステージものというジャンルに入りますけど、普通のバックステージものは、お芝居が進行している裏の話が多いですが、私が企画したのは劇場にスタッフがやって来て仕込みをするという、観客の皆さんが普段見ることができないことを一幕使ってやって、二幕では芝居が終わってからバラして元の劇場に戻って終わり、というミュージカルを何とかやれないかと思っていました。
誰に話しても乗ってもらえませんでしたが、KAAT神奈川芸術劇場さんがやりましょうと言ってくれて、この企画が実現することになりました。神奈川でこのミュージカルを実現できた理由がもうひとつあって、ミュージカル研究会の後輩で私の演出で歌って踊っていたのが現・神奈川県知事の黒岩祐治さんです。黒岩さんが芸術で神奈川を盛り上げようという取り組みをやっている関係もあって、実現しました。
本来はKAAT神奈川芸術劇場で会見も開くべきところでしたが、チラシ撮影で使ったこの会場は哀川さんの家からすぐ近くなので、お嬢さんのMINAMIさんと歩いてこられました(会場笑)。
今日、メインキャストの皆さんが一同に集まっているのを見て、豪華だし分厚いなと感じたので、楽しくならないわけがないと思いました。
哀川さんの奥さんが社長をされていて、哀川さんに舞台監督役を引き受けてもらえるかと電話をしたところ、「いまこのタイミングで電話をもらえたのも運命ですからやりましょう」と、哀川さんに確認もせずに即決してくれました。「哀川にはやらせます。引くに引けない段階になってから言います」とのことで、後で聞いたら「俺は自殺する」と哀川さんは言ったそうですが、さっき楽屋で「俺、15年ぶりに舞台でバク宙したいんだけど」と提案していただいたので、みんなで「それは千秋楽だけにしましょう」と言いました(会場笑)。
舞台の上で輝いているものは見えるもの、その陰で支えてくれる人がいる、ということです。僕ら役者は千秋楽が終わるとバラシを見ずに打ち上げに行ってしまいますが、そのバラしをやっている人たちに光を当てます。見えるものは見えないものに支えられているんだ、ということをテーマにやっていきたいと思います。
哀川翔舞台監督の加賀美賢治役を演じます。ラサール石井さんが全てを語ってしまったので、一言だけ付け加えるなら、話をもらった時には全てが決まっていて、ミュージカルは初めてですし、舞台自体が2回目で、ほとんど素人に近いです。前回、ストレスで痩せすぎたくらい苦しんだので、ラサールさんからは「今回はそんなことはありません」と言われたので、その言葉に嘘はないだろうと思っています。ただ、自分も昔は歌って踊っていましたから、ただの舞台よりは得意なんじゃないかと自分で自分に言い聞かせています。一生懸命やらせていただきますので、優しい気持ちで見守ってください。
相葉裕樹新人舞台監督の進藤裕介役を演じます。仕込みからバラしまでをミュージカルにして歌って踊ってというのは僕も観たことがないので、とっても斬新なエンターテインメントになると思います。それをこの個性豊かなカンパニーで作れると思うと今からワクワクしています。演者側は仕込みもバラしもしたことはないので、これを機にスタッフさんの動きをくまなくチェックして役作りに活かしたいと思います。
橋本じゅん大道具の久米長一郎役です。裏側を見せるということで僕も興味津々です。大胆に分かりやすく伝わればとても面白いものになるんじゃないかなと思っています。僕は大阪芸術大学でミュージカル専攻でした。でも、歌も踊りも最後まで残されていました。それでミュージカルは避けようと思って、バラシと仕込みもきついからスタッフも避けて、残った役者を選びました。今回は初心に戻って見過ごしてきたところをドンドン見ていきたいと思います。数年前にラサールさんと一緒にミュージカルに出ましたが、すごく難しくて「やっぱりミュージカルをやっちゃダメだ」と思いました。でも悔しかったので、その後も『ピーター・パン』のフック船長をやり続けて、今では「上手さは関係ない、心なんや。そこに音符がついてくる」と開き直っています。今回も大空祐飛さんや中川晃教さんの素晴らしい歌も用意されていますけど、僕や翔さんの心の叫びも用意されていますので(会場笑)、分厚い奥から、一矢、二矢と矢が飛んで来るような舞台を約束したいと思います。
入野自由アルバイトの大道具係、佐野慎也役を演じます。チャラチャラした格好をしていますが、いわゆるゆとり世代のような、夢もなくフラフラしている現代の男です。それが舞台を作る情熱的な皆さんと出会って僕の役がどう変わっていくのか、僕自身は真摯に情熱的に演じていければと思います。楽しい、明るいミュージカルになると思います。
大空祐飛女優の真昼野ひかる役ということで、私の衣装だけ何だか違う作品のような感じがしています(笑)。私はずっと舞台に出ていて、毎回裏方さんとの交流は心が温まります。彼らの支えがあって初日を迎え、千秋楽を迎え、最後のバラしまでしてくださるので、この方たちの細やかな心遣いが舞台をちゃんと進行させてお客様に喜んでもらえるんだと思います。さらに役者が舞台に気持ちよく立てるようにという心遣いも感じてきました。それがメインになるミュージカルですので、とても楽しみです。裏方にはお芝居と同じくらいのドラマがあると思いますので、それを今回お見せできるのはとても楽しみです。今回、裏方から見る女優といういつもと違う立場なので、面白く演じられたらと思います。ボリュームのあるキャストの中で私も個性を発揮してミュージカルを楽しみたいと思います。
中川晃教劇場スタッフ熊川義男役です。ラサールさんと初めて出会ったのは、香川照之さん、鈴木省吾さんと4人で伊坂幸太郎さんの「死神の精度」を演じた時で、四人芝居はその時が初めてでした。すごく大変だった舞台だったので、その後に再会した時には本当に同士のような気持ちでした。
ラサール石井自然にハグしましたよね。
中川晃教今回オリジナルミュージカルということですが、先日まで出演していた『ソング・ライターズ』という舞台ではミュージカルを作る若手作曲家の話だったんです。作っていく姿はお客様に見せる部分ではないですけど、一方で舞台上の芝居と同じくらい生命を注いで作っている裏方もまた、作品になりうるくらいのテーマが詰まっているなと、身を持って感じています。今回オリジナルのミュージカルですので、これ自体がいろんな作業を経て作られていくんだと感じています。出演者もいろんな方がいて異種格闘技のようなところもありますけど、刺激し合ってみんなでゴールに向かってひとつのものを作り上げていくパワーがあると思います。それを脚本を読みながら感じていますのでワクワクしています。お客様もどこかで自分も出演者だと感じられるところもあると思います。それと熊川には別名、劇場さんという呼び名がついています。そこも含め、役を深めていけたらと思います。
芋洗坂係長演出部の滝幸男を演じます。分厚い役作りに余念がありません。25年ほど舞台をやっていますが、ずっと石井さんの演出する舞台に出たいと思っていました。どこかで偶然お会いするたびにお願いしていました。昨年『アラジン』のジーニー役のオーディションに落ちて、その噂を聞いた石井さんが声をかけてくれたので、捨てる神あれば拾う石井あり、ということで精一杯できればと思います。高校時代は哀川翔さんに憧れて九州の片田舎で一世風靡セピアを全部コピーして踊っていました。憧れの存在の方と共演できて、私も痩せちゃうんじゃないかというくらいワクワクしていますが、痩せないように頑張ります。
ラサール石井芋洗坂係長はテンションというお笑いグループのほっそりとしたイケメンで踊りが上手くて、踊りをネタにしたコントをやっていました。それから何年も経って再会したら昔の面影が全くなくなっていてびっくりしました。それでも踊りのキレとリズム感は損なわれていないので、ぜひソロダンスを踊って欲しいと思います。
芋洗坂係長魂のダンスを踊りたいと思います!
MINAMI衣裳助手の朝倉まきを演じます。首からメジャーを下げていますけど、間違って持って出てきたわけじゃありません。お話をいただいた時は、豪華なメンバーに光栄だと思いました。いつもは歌手として活動しているので、お芝居は初めてですが足を引っ張らないように頑張ります。台本の第一稿をあっという間に最後まで楽しく読んでしまったので、面白い分厚い舞台になると思います。
青木さやか(本会見にはパネル登壇)2作目のミュージカルになります。実力派の錚々たる方々と共演させていただき光栄ですし、今から大変緊張しています。
Q 内容についてお聞かせください。
Aラサール石井1,000回で終わるはずだった舞台公演の1,001回目を主演俳優の一声で行うことになって、地方の劇場で舞台が行われます。中川晃教さんの演じる劇場さんが待っていて、そこにトラックでスタッフがやってきて仕込みが始まります。その時にはミュージカルらしいナンバーもあります。大道具の積み荷がなかなか届かないなどのトラブルが起きます。タイトルの「HEADS UP!」はアメリカの舞台用語で「上、気をつけろ」という意味です。それと「頭を上げてクヨクヨせずに生きていこう」という意味もあるので、そういうタイトルにちなんだ楽曲もあります。それと、舞台にはパンチというカーペットのようなものが引かれるんですが、それを一幕では実際に引いて、二幕では剥がします。
哀川翔僕も昔はパンチを引いてその上で踊っていたけど、それをやるの?
ラサール石井それを引きながら歌ったり踊ったりします。それを毎日しんどくなさそうな顔でやります(笑)。
Q 歌と踊りにも期待していますが、バク宙をやるという発言もありましたが?
A哀川翔今回は歌って踊って芝居をするという、今まで自分が歩いてきたことに再度挑戦するような試みも出てくるので、そうなるとバク宙のひとつくらいやった方がいいんじゃないかという気持ちが芽生えてきました。15年以上やってませんけど、やればできるんじゃないかというのが自分への評価です。楽屋裏では「千秋楽だけ」と寂しいことを言われましたが、できれば全部やりたい気持ちはあります。
ラサール石井そこは振付師と相談しましょう。
哀川翔そうなんですよ。川崎悦子さんは僕が一世風靡セピアになる前の劇男一世風靡に入ってストリートパフォーマンスを始めた頃からの振付の先生なんですよ。
ラサール石井「前略、道の上から」を振りつけたのも川崎先生です。
哀川翔だから、自然と「やれ」と言いそうじゃない?僕は今回の振付が「川崎悦子」と書いてあってすごくびっくりしました。
ラサール石井僕も20年くらい一緒にやっているので、これも縁だなと思いました。
Q 裏方さんの仕事の道具を使ったような踊りや歌があるのでしょうか。
Aラサール石井あります。照明の人の歌だったり、MINAMIちゃんは衣裳スタッフだけど若手女優で本当は舞台に立ちたいと思っている役です。それで大空祐飛さん演じる女優役の衣装をそっと着て歌うシーンもあります。
それとこの作品自体にも裏方さんがいますので、何らかの形で彼らにスポットが当たるようにもしたいと思っています。それと仕込みとバラシの実作業は演出部役の役者ではない本当の演出部の人にやってもらわないといけないので、舞台上に出てくることにはなります。
■Information
ミュージカル「HEADS UP!」
2015年11月13日(金)~23日(月・祝)KAAT神奈川芸術劇場ホール
ミュージカルファンなら誰もが知る“あの名作”が1,000回目の公演を迎え、華々しく終了するはず…だった。が、主演俳優の鶴の一声で、某地方都市の古い劇場で1,001回目を上演することになった!しかしながら、当然、舞台美術は廃棄済み、キャストも足りない、スタッフも人手不足。さらには新人舞台監督のデビュー作でもあった。
とんでもない条件の中でもスタッフたちは、必死に幕を開けようとする。…幸か不幸か、チケットは完売、つまり観客が待っている!!
果たして幕は開けられるのか…。主演俳優が「1,001回目」にこだわった理由とは…?
出演:哀川 翔
相葉裕樹 橋本じゅん 青木さやか 入野自由
大空祐飛 中川晃教
脚本:倉持 裕
原案・作詞・演出:ラサール石井
作曲・音楽監督:玉麻尚一
振付:川崎悦子
料金(全席指定・税込)S席10,000円 A席8,500円 B席6,000円 C席4,000円
U24チケット/5,000円(24歳以下) 高校生以下割引/1,000円(高校生以下) シルバー割引/9,500円(満65歳以上)
※シルバー割引、U24、高校生以下割引はチケットかながわの電話・窓口で承ります(前売のみ・枚数限定)。
チケットかながわ 0570-015-415(10:00~18:00)
窓口:KAAT神奈川芸術劇場2F(10:00~18:00)
http://www.kaat.jp/
公式サイト:http://www.m-headsup.com/
企画製作:KAAT神奈川芸術劇場