OKStars Vol.496 番組プロデューサー/監督 佐渡岳利

OKStars Vol.496はPerfumeのワールドツアーを追った映画『WE ARE Perfume -WORLD TOUR 3rd DOCUMENT』(2015年10月31日公開)の佐渡岳利監督へのインタビューをお送りします。

Q 『WE ARE Perfume -WORLD TOUR 3rd DOCUMENT』 の企画の経緯についてお聞かせください。

A佐渡岳利僕はNHKで音楽番組を担当しているので、Perfumeとは「ポリリズム」の頃からの長いお付き合いです。Perfumeのメンバーが「MUSIC JAPAN」の司会をやっているので毎週のようにお会いしていたこともあって、初めての東京ドーム公演や初海外ツアーなど、節目ごとのドキュメントを手がけさせていただきました。それで今年はデビュー10周年、結成15周年ということで「何かやりませんか?」と声をかけさせてもらいました。これまではTVでのドキュメンタリー番組だったので、今回は映画でやりましょう、という話の流れになって、企画が進んでいきました。

Q では、今回の映画ではどう表現しようと思いましたか。

A『WE ARE Perfume -WORLD TOUR 3rd DOCUMENT』佐渡岳利僕はもともとTV番組を作ってきましたので、あまり「映画だから」というメディアの違いは考えずに、自分がやってきたやり方で、それを大画面でお届けする、という考えでした。やはり映画の画面の大きさと音響は迫力がありますので、ドキュメントですが、音楽シーンもそれなりに入れながら、と心がけましたね。

Q 今回のワールドツアー(Perfume WORLD TOUR 3rd)に同行されましたが、事前に何か撮影プランはありましたか?

A佐渡岳利会場も初めてのところばかりで、事前にどうなるかは予想がつかなかったんです。ですから、撮れるところを自然に撮っていこう、というスタンスでした。あまり作為的にならずに、起こったことをシンプルに記録するんだと思いながらやってました。

Q Perfumeのメンバーは撮られ慣れているのでしょうか?

A佐渡岳利撮っているこちら側が言うのもなんですけど、カメラが気になるんじゃないかなと思う時も多々ありました(笑)。でも、幸いにもメンバーとはお付き合いが長いので、割りとリラックスしてもらえていたんじゃないかな?怒られることもなく撮らせてもらいました(笑)

Q メンバーの明るい面がたくさん出ていましたが、メンバーの様子はいかがだったでしょうか。

A佐渡岳利ホテルの部屋に一人でいる時までは分かりませんが、3人とも明るくポジティブにやっていましたね。でも、楽しくやりながらも内心では、「うまくいくだろうか・・・」とか、いろいろ考えるところもあったと思います。感心したのは、楽しくするところと、集中することろのメリハリが、すごくしっかりできていたことですね。

Q 会場の雰囲気を監督はどう感じましたか?

A佐渡岳利台湾とシンガポールのお客さんは、僕も最初のPerfume WORLD TOUR 1stに同行していたので雰囲気も想像がつきましたが、アメリカは初めてなのでどうなるのか分かりませんでした。どんな反応だろうと思っていたら、まあ、ホットでしたね。想像以上で本当にびっくりしました。
アジアの会場では、前回の公演よりもレベルアップした自分たちを見せたいというところにメンバーの主眼が置かれていたと思います。アメリカは初めてだったので、L.A.公演の前はメンバーもとても緊張していましたね。ここで失敗したら次はない、という気持ちがあったのではないでしょうか。それが、フタをあけたら、会場の外にお客さんが長蛇の列を作って、開演前から大盛況で。メンバーも「こんなに人気があるんだ」とびっくりしていましたね。

Q 監督がとくに印象深かった公演は?

A佐渡岳利各会場それぞれの盛り上がり方をしていて、ロンドンのお客さんは踊ったり歌ったりしていましたし、N.Y.のお客さんはエンタテインメントに慣れているような、勘所が分かっている盛り上がり方でした。ですが、ひとつあげるとなると、やはりL.A.ですね。N.Y.も印象深かったですけど、L.A.は特に爆発的な盛り上がり方でした。本当に感動しましたね。

Q オフショットも豊富でしたね。

A佐渡岳利メンバーの車に同乗して行く先々に同行しました。L.A.では街中で映画に映っている人以外からも「あ、Perfumeだ」と言われることが何度かありましたけど、さすがに日本の街中とは違いますので、メンバーも伸び伸びできたのではないでしょうか。

Q 編集の段階ではどこにポイントを置きましたか。

A佐渡岳利僕が体験したワールドツアーをそのまま観客の方々にも体験してもらいたいなと思って編集しました。例えば、今回、ライブ後のダメ出し会議も初めて撮らせてもらいましたが、本当に長い時間、ずっと意見を出し合っているんです。マイクの置き方ひとつとっても、何度も修正を重ねていて、完成度を高める姿勢というのは一貫しているなと思いました。そんな、メンバーにかぶりつきの状態で、僕が感じたことを、お客さんにも目の前で起こっているように感じて欲しいということです。

Q このツアーを通じてメンバーに何か変化はありましたか?

A『WE ARE Perfume -WORLD TOUR 3rd DOCUMENT』東京国際映画祭舞台挨拶佐渡岳利どこか変わったかというよりも、むしろ変わっていないんですね。昔から温かい人柄とか雰囲気は本当に変わりません。でも、プロフェッショナル度はすごく高まっていると思います。プロとしてのスキルがすごくアップしているから、より物事を客観的に、冷静にジャッジできるようになってますよね。
先日の日本武道館の公演も観ましたが、またすごい内容になっていて、成長が全然止まらないんです。「少しでもいいものを」という気持ちで、15年間着実に一歩一歩成長していて、停滞がないですし、どこまでいくのだろうと思いますね。間違いなく次のステップは世界の中でどれだけやれるのかになってくると思いますので、日本のアーティストでどこまでいけるのか、それこそ世界中の人がPerfumeのことを知っているところまでいければいいなと思います。

Q 日本語の歌でここまで世界に通じるのも素晴らしいですね。

A佐渡岳利彼女たちのパフォーマンスは歌だけではなく、ダンスなど総合的な芸術になっているので、その部分はすごく外国向きかもしれませんね。でも、外国の方々は、普通に日本語で歌ってました。
L.A.やN.Y.には、アメリカのエンタテインメント業界の方もたくさん観に来られていて、注目の高さが伝わってきましたね。音楽は国境を越える・・・ってことでしょうか。ありきたりですけど(笑)。

Q 日米同時公開についてご感想をお願いします。

A佐渡岳利びっくりしましたし、嬉しいですね。細かいニュアンスをどこまで外国の方に理解してもらえるかはわかりませんが、人が一生懸命努力している姿は万国共通だと思うので、3人の想いがしっかり伝わるといいなと思います。

Q 主題歌の新曲「STAR TRAIN」についてはいかがでしょうか。

A佐渡岳利中田ヤスタカさんには、完成一歩手前の映像を観てもらい作っていただきました。だからワールドツアーはもちろん、中田さんが最初にPerfumeと関わり始めた頃から今に至るまでの全てが集約されていて、映画の内容がそのまま表現されたような、本当に素晴らしい歌だと思いました。メンバーもデモを聴いた時には泣いちゃったと話していましたけれど、僕も聴かせていただいた時にはグッときましたね。中田さんだからこそできた歌ですよね。映画の主題歌は作品との距離感がいろいろありますけど、「STAR TRAIN」は映画とPerfumeにジャスト・シンクロしていて大感激でした。

Q 佐渡岳利監督からOKWaveユーザーにメッセージをお願いします。

A佐渡岳利Perfumeのステージには最先端のテクノロジーがあったり、緻密に構築されたダンスがあったりと、完成度が高くて「クール」な印象がありますが、それをパフォーマンスしているPerfumeの3人はすごく人間味が豊かで、熱い情熱を持った人たちで、一生懸命に努力しています。あのクールなアウトプットには、そんな彼女たち自身が内包されていて、だからこそ、それが人々の胸を打つんだと思います。まさにその情熱の部分をこの映画から感じ取ってもらえるといいですね。

Q佐渡岳利監督からOKWaveユーザーに質問!

佐渡岳利皆さんは劇映画ではなく、ドキュメント映画を映画館で観るということを、どんなふうに受け止めたり、感じたりするでしょうか。

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■Information

『WE ARE Perfume -WORLD TOUR 3rd DOCUMENT』

『WE ARE Perfume -WORLD TOUR 3rd DOCUMENT』2015年10月31日(土)よりTOHOシネマズ 新宿ほか全国ロードショー

結成15周年、メジャーデビュー10周年を迎えるアニバーサリーイヤーとも言うべき2014-15年の「Perfume WORLD TOUR 3rd」、「SXSW2015」での、海外の丸2ヶ月間に亘る活動に密着。アジア、ヨーロッパ、アメリカなど、世界を駆け巡りながら、彼女たちの音楽、最新テクノロジーを掛け合わせたLIVEパフォーマンス、そして、これまであまり見せることのなかった舞台裏へも完全密着。パフォーマンスの影にあるひたむきな姿、喜びや苦悩、葛藤までも描き出す。さらに、音楽シーンにとどまらず、ファッション、ポップカルチャー全般に影響を与え、ワールドワイドに活動をする彼女たちの現在進行形の“今”を目撃することで、今日まで3人が歩んできた足跡を感じ、その想いは未来へもつながっていく。歩みを止めることなく進化し続けるPerfume。彼女たちの“今”がここにある。

出演:Perfume(a-chan、KASHIYUKA、NOCCHi)
監督:佐渡岳利
音楽:中田ヤスタカ(CAPSULE)
主題歌:Perfume「STAR TRAIN」(ユニバーサルミュージック)
配給・宣伝:日活
公式HP:www.we-are-perfume.com

(C) 2015“WE ARE Perfume”Film Partners.


■Profile

佐渡岳利

佐渡岳利1990年NHK入局。現在はNHKエンタープライズ・エグゼクティブプロデューサー。音楽を中心にエンタテインメント番組を手掛ける。主な担当番組は「紅白歌合戦」「MUSIC JAPAN」「スコラ坂本龍一 音楽の学校」「岩井俊二のMOVIEラボ」「Eダンスアカデミー」などがある。また、これまでにNHKで放送したすべてのPerfumeドキュメント番組をプロデューサーとして手掛けており、初の映画となる本作では監督を務める。