劇団☆新感線春興行 いのうえ歌舞伎≪黒≫BLACK『乱鶯(みだれうぐいす)』製作発表の模様をお送りします。
登壇者(敬称略):いのうえひでのり、倉持裕、古田新太、稲森いずみ、大東駿介、清水くるみ、橋本じゅん、高田聖子、粟根まこと
Q まずはご挨拶をお願いします。
Aいのうえひでのり昔はいかにも時代劇らしい商業演劇がたくさん上演されていました。僕も田村正和さんがやっていた「眠狂四郎」のような時代劇が大好きで、そういう商業演劇をやりたい、ということでいのうえ歌舞伎をやってきました。今回は“BLACK”ということで、いつもより若干大人っぽい、少しビターな味わいのあるようないのうえ歌舞伎を作ろうと思いました。劇団☆新感線というと少年マンガ的な作品が多いですが、今回はもう少しリアルな時代劇をやってみたいと思っています。今までは平安時代や戦国時代を扱ってきて戦っているか説明しているかだったので(笑)、今回は江戸時代で市井の生活の情感も描き出したいと思います。
倉持さんはセリフを面白く書かれるのと、シュールな印象もありましたが、数年前に演出された「鎌塚氏」シリーズを観て、その作品のテイストは劇団☆新感線にも合うなと思ってお願いしました。
倉持裕いのうえさんからお話をいただいて、周囲からは「意外だ」と言われましたが、僕自身は「待っていました」という気持ちで嬉しかったです。嬉しすぎて筆が進んでしまったのか、今日お会いした古田さんから開口一番「出番が多すぎるよ」とクレームをいただいてしまいました(笑)。
劇団☆新感線はエンターテイメントで伝えるというところが魅力です。間口が広いですし、憧れていました。
脚本を書いていた時は「つまらん」と言われないようにと、楽しみながらもそういうプレッシャーはありました。
『乱鶯』というタイトルは、春に鳴く鶯が夏になっても鳴いているのを老鶯(おいうぐいす)と言うそうです。今回の話は引退した盗賊がもう一度重い腰を上げて復帰するということで、すごく合うんじゃないかと思ってつけました。
Q キャストの皆さんから、意気込みや役柄などお聞かせください。
A古田新太鶯の十三郎を演じます。倉持君がバカなせいで、ものすごくセリフが多いです(会場笑)。言っておきますが私はセリフ覚えが悪いです。「今回は立回りはそんなに多くない」って言っていたのにオープニングから大立ち回りです。本当に殺してやると思いましたが(会場爆笑)、稲森いずみさんに迷惑をかけないようにセリフは覚えていこうと思います。ただ、旬が過ぎた人間、という役については大丈夫です(笑)。新橋演舞場での公演は光栄ですが、責任も重大だと感じています。お客さんをたくさん入れられればと思います。
稲森いずみ居酒屋「鶴田屋」の女将・お加代を演じます。お話をいただいた時に一瞬で新人のような気持ちに戻りました。7年ぶりに劇団☆新感線の皆さんとご一緒させていただけるのを嬉しく思いました。
古田さんとは初共演です。お会いする前の印象はちょっとだけ怖い方なのかなと思っていましたが、温かみがあって素敵な方だと思いました。
大東駿介御先手組組頭の小橋勝之助を演じます。十三郎の恩師の息子ということで、古田さんと行動を共にすることが多い役です。僕自身は劇団☆新感線は5年ぶりで、古田さんとは今回初めてです。先ほど控室で早速古田さんに「お前、今日の格好イキってるだろ?」と洗礼を受けました(笑)。橋本じゅんさんには「お前の髪型、風も吹いてないのに何でなびいとんねん」と(笑)。こんなにいいホテルで、僕の服装が絶対に正しいはずなんですけど、僕が間違っているかのような空気を出してくるので新感線、怖いです(笑)。
舞台での時代劇は初めてで、ちょんまげも初めてなので新鮮な気持ちです。
清水くるみ「丹下屋」の女中・おりつを演じます。舞台2回目で劇団☆新感線に参加させていただいて嬉しいですけど緊張もしています。劇団☆新感線はこの仕事を始めた時に、最初に観た舞台だったので、何で自分がここにいるのだろうと今も不思議な感じです。TVカメラも多いし、事務所の偉い人たちも来ているのですごい所に来てしまったと思っています。
>稲森さん、21歳の清水さんにアドバイスするなら?
稲森いずみそのままでいればきっと新感線の皆さんが導いてくれると思いますよ。
橋本じゅん盗賊・火縄の砂吉を演じます。新感線で時代劇をやる時、主役以外はスニーカーを履いていたりもしますが、今回はそうではないらしいと。いのうえさんの時代劇に挑戦するんだぞという気持ちが楽しみです。大東君以外は優しく導いていこうと思います(笑)。でも、そんな感じでいつ誰が来てもいいのが新感線です。みんなでいのうえさんが目指す時代劇を楽しんで作っていこうと思います。新橋演舞場に恥ずかしくないものにしつつ、やっぱり新感線だなと思えるものを、お客様を集めて楽しいものを見せたいと思います。
>古田さん、橋本さんはいのうえ歌舞伎としては久々の共演ですね。
古田新太橋本さんがどう考えているかはわかりませんが、とりあえず僕は橋本さんとの絡みのシーンでは下ネタを入れていこうと思います(会場笑)。入れられる所には何でも盛るだけ盛って、それを削って最後は新橋演舞場にふさわしいものにしようと思います。
高田聖子「丹下屋」という呉服屋の女将・お幸を演じます。今回はBLACKということでどういう意味だろうと聞いたら「ブラックコーヒーだよ」と。劇団☆新感線と言えば甘いんだか辛いんだか何でもありでしたが、そんな劇団がブラックコーヒーを目指すというので、苦味が際立ったら良いなと思っております。
粟根まこと「鶴田屋」主人の勘助を演じます。居酒屋の店主ということで、稲森いずみさんと夫婦の役が光栄で、唯一の楽しみです。だから十三郎のロマンスがどうなるのかもちょっと楽しみです。いのうえ歌舞伎で江戸中期を扱うことは今までありませんでしたし、登場人物も江戸弁で話す人ばかりで、劇団☆新感線では珍しい、初めての試みです。BLACKということで全く笑いが無いのかといえばそうでもなくて、そこそこ笑いもあります。劇団☆新感線は押し付けがましい笑いが多いのですが、倉持さん独特の飄々とした笑いがあるので、そこも楽しんでいただければと思います。
Q 義賊を題材にする物語の着想はどこから生まれましたか。
A倉持裕いのうえさんから参考に挙げてもらったのが『許されざる者』などでした。昔ヤンチャだった人が重い腰を上げる、というのが格好いいなと思っていました。
Q 劇団☆新感線らしさを意識されましたか。また、新橋演舞場という会場を意識はされましたか。
A倉持裕新橋演舞場については時代劇をやるにふさわしいと思いました。脚本は劇団☆新感線の持っているケレン味を出したいと思いましたので、僕なりに考えて、立ち回りも溜めて溜めて出す、というようなやり方にしました。ただ、新感線らしさを意識し過ぎると偽物になってしまうので、そこは自分なりに書きました。多少地味でもいのうえさんが派手にしてくれるだろう、という信頼もありました。
いのうえひでのり新橋演舞場の舞台機構を意識した書き方をしている部分もあるので、いろいろ使いたいと思います。
Q 本格時代劇をやりたいと思った理由と劇団☆新感線としてどういうものを見せたいですか。
Aいのうえひでのり普段のいのうえ歌舞伎は中島かずき君が脚本を書きますが、少年マンガのファンタジー的な傾向が多いです。そういうものも面白いですが、リアルさや生活、情感のある話もやってみたいなと思っていて、今回いいタイミングで倉持君に頼むことができました。新感線ぽさについては、昨年、歌舞伎NEXT「阿弖流為<アテルイ>」を市川染五郎さんらと上演した時に、「歌舞伎役者が演じれば歌舞伎になるんだ」と仰っていました。実際、歌舞伎以外の何物でもなかったです。逆に劇団☆新感線の役者が演じれば何でも新感線らしくなるんじゃないかと思います。
Q 本作に触れて、セリフなどをどう感じたかお聞かせください。
A稲森いずみ江戸のチャキチャキした女将なので、古田さんとの掛け合いがリズムのある面白いシーンになったらと思っています。
古田新太所詮やっている人間は新感線なので、新感線になるだろうなと思います。なので、僕はなるべく下ネタを入れようと思います(笑)。
Q清水くるみさんからOKWAVEユーザーに質問!
清水くるみ私は『orange-オレンジ-』に出演しましたが、少女漫画の実写映画化について皆さんはどう思いますか?そのことをテーマに大学でゼミ論文を書いているので皆さんに意見をいただきたいです。
■Information
2016年劇団☆新感線春興行
いのうえ歌舞伎≪黒≫BLACK『乱鶯』
物語の始まりは江戸時代、天明五年の春。
鶯の十三郎は盗賊の頭ながら、人を殺めず、盗られて困る者からは決して盗まないことで、その名を知られていた。しかし悪事を企む北町奉行所の与力、黒部源四郎の差し金もあり、子分に裏切られて一味は皆殺しの目に遭ってしまう。
十三郎自身も瀕死の傷を負うが、その命を救ったのが幕府目付の小橋貞右衛門と、居酒屋鶴田屋を営む勘助お加代夫婦だった。
それから七年。
勘助を病で亡くした後、ひとりになったお加代を助けて十三郎は板前の源三郎と名乗り鶴田屋を繁盛させていた。そこに現れたのが火縄の砂吉という盗賊を追っているという御先手組組頭の小橋勝之助。
勝之助が自分の命の恩人・貞右衛門の息子であることを知った十三郎は、彼に手柄を立てさせようと、砂吉が大店で押し込み強盗を企てている情報をつかみ、男まさりの女将のお幸や女中のおりつが働く大店の呉服屋・丹下屋に自ら潜入することを思いつく……。
作:倉持裕
演出:いのうえひでのり
出演:古田新太 /稲森いずみ 大東駿介 清水くるみ
橋本じゅん 高田聖子 粟根まこと/山本 亨 大谷亮介 他
東京公演:2016年3月5日(土)~4月1日(金)新橋演舞場
チケット(発売中):1等席13,000円、2等席8,500円、3階A席6,500円、3階B席3,500円、桟敷席14,000円、桟敷御膳付桟敷席17,000円/チケットぴあのみで販売
チケットホン松竹(10:00~18:00):0570-000-489、03-6745-0888
チケットWEB松竹(24時間受付):
・PC:http://www1.ticket-web-shochiku.com/p/
・スマートフォン:http://www1.ticket-web-shochiku.com/sp/
・携帯:http://www.ticket-web-shochiku.com/
お問い合わせ:新橋演舞場03-3541-2600(10:00~18:00)
主催・製作:松竹 ヴィレッヂ
大阪公演:2016年4月13日(水)~30日(土)梅田芸術劇場メインホール
チケット(発売日2016年2月28日(日) 10:00~):S席13,800円、A席10,500円、B席7,500円、ヤングチケット2,000円(22歳以下/チケットぴあのみ取扱い)
お問い合わせ:キョードーインフォメーション0570-200-888(10:00~18:00)
北九州公演:2016年5月8日(日)~16日(月)北九州芸術劇場大ホール
チケット(発売日2016年2月27日(土) 10:00~):S席13,000円、A席9,000円、ユース席3,500円(24歳以下・要身分証提示・劇場のみ取扱い)、高校生チケット1,500円(土・日公演のみ/高校生限定・枚数限定・劇場窓口前売のみ取扱い)
お問い合わせ:北九州芸術劇場093-562-2655
公式サイト:http://www.midareuguisu.com/
(C) 2016 いのうえ歌舞伎《黒》BLACK『乱鶯』/松竹・ヴィレッヂ・劇団☆新感線