OKWAVE Stars Vol.554は映画『華魂 幻影』(2016年4月30日公開)主演の大西信満さんへのインタビューをお送りします。
Q 台本を読まれた印象はいかがだったでしょう。
A大西信満最初は驚きましたが、面白かったです。なぜ僕のところに話が来たのかなと不思議に思いましたが、今まで関わってきた作品とは一味も二味も違うこの作品がどういう映画になるのか純粋に楽しみでした。
Q 映写技師役について思うとことはいかがでしたか。
A大西信満映写室のシーンは、上野オークラ劇場という映画館を使って撮影しています。そこの映写室は、別の映画のロケで来たことがあったので奇遇な感じもありました。職業柄、映写技師は全く見たことのない仕事ではないですし、役の中でフィルムを扱うことができるのは嬉しかったです。
Q 様々な見どころがある作品です。
A大西信満人に語る上でジャンル分けがどうしてもなされますが、極力無くしてほしいと思っています。この作品の核にあるのは、シリアスで切ない物語。それと、終盤に映画館で起こる荒唐無稽な出来事のコントラストが激しいので、僕自身、脚本を読んだ時にその落差には驚きました。ただ、それが中途半端だったら不快だと思うかもしれませんが、やりきっているのでむしろ清々しく、とても映画らしい映画だと言えると思います。決して現実世界では見ることができない、人間の心の中にある欲望を過剰なまでに膨らまし立体化した佐藤寿保監督の気迫も感じました。
Q どんなところを大事に演じましたか。
A大西信満作り込むというよりは、素直に演じようと思いました。登場人物の中で平凡なのは自分だけなので、他の破綻した人とのコントラストをどう見せるかということでした。
役を演じる時は基本的には自分に寄せて考えるので、自分だったらどうするかということと、役の外的要因で探っていきます。今回は台本通りにシンプルに演じていきました。
スケジュールもタイトで佐藤監督の現場も初めてでしたし、未経験のジャンルだったのでどんな現場になるのだろうと不安な部分もありましたが、とてもスムーズに進みました。
監督の想いと僕の想いのズレがほとんどなく、とても自由に演じさせて頂きそれに対して監督もOKを出してくれました。
Q “華魂”という存在がもし実際にあったとしたらどうなるでしょう。
A大西信満実際にあったら社会は崩壊しますよね(笑)。でも、佐藤監督はそれを確信犯的に迷いなくやっています。キャッチコピーにある「映画バンザイ!永遠の愛」をテーマに、その“華魂”が炸裂する力強い作品に仕上がっていると思います。
Q 小劇場が閉館する最後の日の出来事として本作は描かれますが、役者として思うところはいかがでしょうか?
A大西信満経済と文化の両面で考えていかなければならない難しい問題だと思います。
何度も舞台挨拶をさせてもらった地方の劇場が閉館するというニュースをたびたび聞きますが、その度に劇場のスタッフの皆さんの顔が、一人ひとり思い浮かびます。この映画の設定はそういった意味でもリアリティがあるし、身近にも感じました。
初見ではそこまで気がつきませんでしたが、完成作を観て、実はそういったことも描いた話なんだと思いました。いまおかしんじさんの脚本は本当に深くて素晴らしいです。
Q 大西信満さんからOKWAVEユーザーへのメッセージをお願いします。
A大西信満先入観を何も持たずに、ただ素直に観てほしいです。ちゃんと伝わるだけの強さがある作品です。赤字が続いても映画館を通じて映画好きな人のために頑張って支えてくれている人たちへの鎮魂歌でもあり、エールでもあるので、この作品を通じていろんな現状を考えてもらえたら、この作品が何らかの意義を持つのだと思います。
■Information
『華魂 幻影』
2016年4月30日(土)新宿ケイズシネマほか、全国順次公開
閉館間近の映画館の映写技師の沢村貞一は、毎日狭い映写室からスクリーンを見つめ続ける日々を送っていた。ある日、画面に見えるはずのないものが見え出していた。黒ずくめの少女である。少女は何かを訴えるように沢村を見つめている。上映後、フィルムをチェックするが、少女などどこにも映っていない。
ある日、上映後の客席に幻影で見たあの黒ずくめの少女が目の前にいた。沢村は、少女を劇場の映写室の控え室でかくまう。上映中、ふと気がつくと、少女がいなくなっている。少女を捜すがどこにもいない。街をさまよう沢村。少女の幻影が沢村を誘う。少女に導かれるように、川原に来る沢村。沢村の失われた記憶が蘇る…。少女の頭に毒々しい色の花“華魂”が不気味に咲いている。
少女は一体誰なのか。沢村との関係は。
出演者:大西信満 イオリ 川瀬陽太 愛奏 吉澤健 真理アンヌ 三上寛 他
監督・原案:佐藤寿保
脚本:いまおかしんじ
音楽:大友良英
制作・配給:渋谷プロダクション
公式サイト:http://www.hanadama-movie.com/
R18
©華魂プロジェクト
■Profile
大西信満
1975年8月22日、神奈川県生まれ。
2003年 主演作『赤目四十八瀧心中未遂』にて映画デビュー。同作にて、毎日映画コンクールスポニチグランプリ新人賞、日本映画批評家大賞新人賞を受賞。代表作品に『実録・連合赤軍-あさま山荘への道程』(08/若松孝二監督)、『キャタピラー』(主演/11/若松孝二監督)、『さよなら渓谷』(主演/13/大森立嗣監督)がある。若松孝二監督作品に多数出演。映画『64 -ロクヨン- 前編/後編』(瀬々敬久監督)、『日本で一番悪い奴ら』(白石和彌監督)の公開を控える。