OKWAVE Stars Vol.583は映画『花芯』(2016年8月6日公開)主演の村川絵梨さんへのインタビューをお送りします。
Q 本作は瀬戸内寂聴さんの原作ですが、作品についての印象はいかがだったでしょうか。
A村川絵梨園子という主人公に私自身心惹かれました。選択の仕方や生き方、男性に対する気持ちや家族の中での在り方など、ちょっと共感するところもありました。作品はこの主人公の話でもあるので好きだなと思いました。
Q 園子のキャラクターに共感するところもあるとのことですが、園子をどう捉えているのかお聞かせください。
A村川絵梨園子は客観的に物事を見て足掻かずに受け止める強さを持っていて、そういう自分の中で受け止めたり、選択して生きていく強さに共感します。園子には芯があって、それでその生き方を選んだ結果、どんどん孤独になっていきますが、その孤独さえも孤独と感じずにいられる、そういう強さに魅力を感じますね。
Q 本作出演の経緯についてお聞かせください。
A村川絵梨安藤尋監督から「ぜひこの役を」とお話をいただきました。女性の半生をさらけ出しながら描いていくという役を私にイメージしてくださったのが嬉しかったです。これから30代に向けて私自身、ひとりの女性としてどうあるか考えていた時期だったので、園子のような大人の女性を演じられることも嬉しかったです。それと同時に、演じたことのない雰囲気の役でしたし、いろんなチャレンジもあったので自分にできるかなという不安はずっとありました。周りからの後押しもあって最後はやろうと決断しました。監督とは以前にお会いしたことがあって、その時には実現しなかったお話について監督が「いつか絶対に形にしたい」と言ってくださって、その時の熱い握手が印象深かったです。そこからそんなに期間を置かずにお話をいただいたので、それも嬉しかったですね。
Q どんな準備をして臨みましたか。
A村川絵梨撮影に入るまで役に向き合う時間があったので、園子の考えに思いを巡らせて過ごしていました。園子の自由さや“背中のホックが外れている感じ”をどこまでできるか最後まで戦っていたところはあります。私はきちんとして見られがちなのですが、園子はどちらかといえば、きちんとはしていない、ちょっと気の抜けたところがあるので、そういったところを意識していました。
Q ちなみにご自身と園子の共通点は何かありますか。
A村川絵梨私は昔から結婚にあまり夢を見ていないところがあって、今でも結婚なんてしたくないと思っているところがあります。園子も「結婚なんて契約のようなもの」と言っているので、そこは共通点だと感じます。
Q 現場の様子をお聞かせください。
A村川絵梨園子は口数が少ないので、私も口数が減って、しっとりとしてしまっていました。共演シーンの多かった安藤政信さんは声をかけてくださって私の力を抜こうとしてくださいました。林遣都さんも、身体を重ねるシーンの時も私がどう見えるかを気遣ってくださいました。
Q 監督の演出についてはいかがだったでしょう。
A村川絵梨監督は私に関しては「何も演技しないで」と削ぎ落としてくださいました。昭和の女性を演じるにあたって昭和の作品をたくさん観ましたが、どの女性も言葉の抑揚が現代の女性ほどなく、そういう時代の所作や話し方を監督と話して意識しました。
Q 演じていて大変だったシーンはありますか。
A村川絵梨喪服姿で妹と話して、歩いていくシーンです。その時は監督の仰っていることにうまく応えられなくて戸惑いました。映画の中で唯一、園子が和服ではないんです。いつも園子は和服を着ていたので、洋服姿や、そのシーンでのニコッと笑うしぐさも普段の園子にはなく、今思えばそれが理由だったと思います。
Q ちなみに普段は和服は着られますか。
A村川絵梨これまでほとんど着たことは無かったです。この作品でちゃんと着る機会ができて良かったです。これを機に着付けを習いに行きたいです。
Q 本作出演を通じて得た気づきなどはあるでしょうか。
A村川絵梨初心を思い出すような気持ちになりました。以前に主演を演じたのは10代で、まだ女優の仕事を自分で選んだという自覚もない頃でした。どちらかと言えば当時は歌を歌っていた4人組のひとり、という感覚でした。役者としての自覚を持って戦うという意識を持つようになってからの主演の作品でしたので、それまでの自分への戒めだったり、出会いへの感謝だったり、映画や役者としての向き合い方も、ここからがスタートだという気がしました。女性としては飛び込むような役を演じましたので、今まで怖がっていた壁のようなものをちょっと超えた気もしますし、ここからまたスタートだとも思っています。
Q では今後のビジョンについてはいかがでしょう。
A村川絵梨どんな作品と出会うことができるのか自分でも楽しみです。これからも映画やドラマ、舞台といった枠にとらわれずに、役と向き合って、自分の居場所を見つけていけたらと思います。
Q 村川絵梨さんからOKWAVEユーザーにメッセージをお願いします。
A村川絵梨この映画は観ていて考える部分も多いと思います。戦後の時代背景での、こういう女性の生き様を見て、男性はどう感じるのか、女性はどう感じるのか、見に来ていただいた方々とお話してみたいです。そういう話しがいのある作品だと思います。男女の違いについても描かれているので、その点についても話せると思います。昭和20年代の物語ながら、現代の考えに通じる部分もあると思うので、共感してもらえるところもあるのではないでしょうか。ぜひ観ていただけたらと思います。
■Information
『花芯』
「きみという女は、からだじゅうのホックが外れている感じだ」
それが園子の恋人・越智の口癖であった。
園子は、親が決めた許婚・雨宮と結婚し息子をもうけていたが、そこに愛情はなかった。
ある日、転勤となった夫について京都へ移り住んだ下宿で越智と出会い好きになってしまう。
生まれてはじめての恋に戸惑いながらも、自身の子宮の叫びは次第に大きくなり抑えられなくなっていく。
村川絵梨 林遣都 安藤政信
藤本泉 落合モトキ 奥野瑛太 / 毬谷友子
原作:瀬戸内寂聴「花芯」(講談社文庫刊)
監督:安藤尋
配給・宣伝:クロックワークス
R15+
(C)2016「花芯」製作委員会
■Profile
村川絵梨
1987年10月4日生まれ、大阪府出身。A型。
2002年、ダンス&ボーカルユニット「BOYSTYLE」で歌手デビュー。2004年に映画『ロード88 出会い路、四国へ』で主演し、翌2005年NHK連続テレビ小説「風のハルカ」ではヒロインを務め注目を集める。
近年の主な映画出演作に『僕たちは世界を変えることができない』(11)、『僕達急行 -A列車でいこう-』(12)、『人生、いろどり』(12)、『ポプラの秋』(15) など。
http://artist.amuse.co.jp/murakawa/
ヘアメイク:フジワラ ミホコ(LUCK HAIR)
衣装協力:銀座いち利