Vol.595 舞踊家 シディ・ラルビ・シェルカウイ、武僧 ファン・ジャハオ(「sutra スートラ」)

OKWAVE Stars Vol.595は本場少林寺のスーパー僧侶×ダンス・アクロバット「sutra スートラ」の振付・演出・主演のシディ・ラルビ・シェルカウイさんと少林寺武僧のファン・ジャハオさんへのインタビューをお送りします。

Q 少林拳とのコラボレーションとのことですが、どういったところに魅力を感じたのでしょう。

Aシディ・ラルビ・シェルカウイ肉体的な動きが精神に影響するところです。少林拳の動きはダンスに近いです。それは、振付を通して肉体の声を拾う、ということです。それと、ダンサーはスタジオから出ると一個人に戻ります。ですが、彼らは共同体として生活をしているということにも感銘を受けました。

Q このコラボレーションについて、少林寺側としてどのように感じているでしょうか。

Aファン・ジャハオ新鮮なものをお見せできるチャンスだと思いました。こういったコラボレーションでは、新しい文化が生まれるいいきっかけになるのではと思います。

Q 作品としてはどのように作り上げていったのでしょう。

Aシディ・ラルビ・シェルカウイ最初は4人の武僧とコミュニケーションを取りながら練り上げ、それを次は8人に、と人数を増やしていきました。そして、子どもも加わりました。彼らがやっていることは伝統的なことですが、彼ら自身は21世紀に生きる人たちです。ですので、よりコンテンポラリーなものになったと思います。

ファン・ジャハオ意見を交換しながら楽しくやってこられました。少林拳の修行は、悪く言ってしまえば、それだけでは退屈なところもあります。ですが、今回の取り組みは、ゲーム感覚のようなものもありましたし、楽しくて、いまでは生活の一部にもなっています。

Q 舞台装置のこだわりについてお聞かせください。

Aシディ・ラルビ・シェルカウイ舞台美術はアントン・ゴームリーさんによるものです。箱を使ったパフォーマンスを舞台上で披露しますが、箱の中に入るパフォーマンスが出てきます。これには、個人的な空間という意味を込めました。その箱を動かしたり積んだり、時には倒したりということが起こる構成です。舞台上では何かと説明的になることが多いですが、この作品では、皆さんが観て感じる想像力の余白というものを残すことができたと思います。

Q 公演を各国で行ってきて、このコラボレーションから得た気づきなどはありますか。

Aシディ・ラルビ・シェルカウイ動きの違いと共通点というものには気づかされました。この作品では子どもが参加していますが、これは自由さの象徴です。そういう存在が全体に影響を及ぼすということも発見でしたね。

Q 2008年の初演から、初来日公演を迎えます。何か変化はあるでしょうか。

Aシディ・ラルビ・シェルカウイ,ファン・ジャハオ(「sutra スートラ」)シディ・ラルビ・シェルカウイ出演者が子どもを含め皆、大きくなりました(笑)。ですが、構成は全く同じです。

ファン・ジャハオ少林寺も変わってはいませんね。

シディ・ラルビ・シェルカウイ心境の意味では、死からまた何かが生まれる輪廻ということをずっと意識しています。舞台上では構築したものがしばしば壊れますが、またそこから何かが生まれます。物語は終わらない、ということです。
公演の準備をしている2008年に中国では四川大地震という大きな災害がありました。多くの家が倒壊してしまいましたが、すぐにそこから復興させようとする人たちの姿をニュースでしばしば見ました。そういったことが作品にも影響していると思います。

Q ちなみに東京も、Bukamuraオーチャードホールのある渋谷をはじめ、日々変化していますが、前回の来日から何か感じることはありますか。

Aシディ・ラルビ・シェルカウイ難しい質問ですね(笑)。ひとつ言えることは、変化するチャンスは与えられるべきということです。東京の町は大好きですよ。

ファン・ジャハオシディ・ラルビ・シェルカウイさんと「テヅカ」の公演の準備で東京にいた時に2011年の3.11震災がありました。この時のことはよく覚えています。

Q OKWAVEユーザーにメッセージをお願いします。

Aシディ・ラルビ・シェルカウイこの公演を楽しんでいただきたいです。

ファン・ジャハオ観に来ていただいて、ぜひ気に入っていただければと思います。

Qファン・ジャハオさんからOKWAVEユーザーに質問!

ファン・ジャハオ皆さんはカンフー映画では何が好きですか?

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■Information

「sutra スートラ」

「sutra スートラ」

【東京】2016年10月1日(土)14:00、19:00、2日(日)13:00 Bunkamuraオーチャードホール
【名古屋】2016年10月5日(水)愛知県芸術劇場 大ホール
【北九州】2016年10月8日(土)北九州芸術劇場 大ホール

世界で唯一の本家少林寺の鍛え抜かれた武僧19名による一糸乱れぬ群舞と迫力のアクロバット、華麗な舞台演出、弦楽・パーカッションアンサンブルによる躍動感あふれるライブ演奏、舞台ファンのみならず、大人から子供まで幅広い観客を魅了し、世界各国で空前のヒットを続ける「sutra スートラ」。
ダンス界で今最も注目を浴びるシディ・ラルビ・シェルカウイ(森山未來出演 舞台「テヅカ」、「プルートゥ」演出)が、実際に少林寺に2か月もの間滞在し、現在も厳しい戒律に沿って修行を続ける現役の武僧たちとともに、国や文化の違いを超えて創り上げたパフォーマンスである。
ステージ上で変化し続ける驚愕の舞台セットは、現代美術界で最も権威ある賞のひとつ、英ターナー賞受賞作家アントニー・ゴームリーが手掛けた。最高のスターたちが結集する超一流のエンターテインメントダンス作品が、遂に待望の初来日を果たす。

※今回の東京公演は、海外のツアー公演では代役のダンサーが務めた主役を、シディ・ラルビ・シェルカウイが務め、自ら主演ダンサーとして踊る特別版となります。

出演:シディ・ラルビ・シェルカウイ、少林寺武僧、弦楽・パーカッションアンサンブル
演出・振付:シディ・ラルビ・シェルカウイ
主催:株式会社パルコ、株式会社テレビ朝日

入場料金(全席指定・税込):S席9,800円、アクロバットシート(特典付き)12,000円
※3歳未満のお子様の入場は不可

☆10月1日(土)19:00公演後、シディ・ラルビ・シェルカウイ×森山未來スペシャル・アフタートーク開催
※公演チケットをお持ちのお客様が対象。本編終了後、約20分間。

http://www.parco-play.com/web/play/sutra2016/

Photo (C)Hugo Glendinning


■Profile

シディ・ラルビ・シェルカウイ

シディ・ラルビ・シェルカウイ,ファン・ジャハオ(「sutra スートラ」)ベルギー、アントワープ生まれ。父親はモロッコからの移民でイスラム文化の下に育つ。アンヌ・テレ サ・ドゥ・ケースマイケルが指導するPARTSで学び、アラン・プラテルのル・バレエ・C・ド・ラ・Bで振付家として作品を発表。異文化への深い造詣と敬愛をベースに、多国籍なキャストやスタッフ、ライブ演奏を用いた創作で知られ、ピナ・バウシュに続くダンスの最前線で活動してきた舞台芸術界のスターとして屈指の人気と実力を誇る。
日本では首藤康之との共演作「アポクリフ」(10)をはじめ、森山未來主演の舞台「テヅカ」(12)、「プルートゥ」(15)の演出・振付も手がけ、大きな成功をおさめた。2014年には札幌国際芸術祭および東急シアターオーブで「BABEL」を上演。30代前半にして日本でも熱狂的な人気を誇るダンサー・演出家の一人。

ファン・ジャハオ

少林寺武僧。「sutra スートラ」に出演する僧侶たちのリーダー。少林寺では、各国の首相や大統領など、多くの重要な来賓の前でも拳法実演を行う。また、少林拳の促進を目的として、高僧とともに各地を行脚する。森山未來主演の舞台「テヅカ」(12)にも出演している。