Vol.624 俳優 青木玄徳(映画『闇金ドッグス5』インタビュー)

OKWAVE Stars Vol.624は映画『闇金ドッグス5』(2017年1月14日公開)主演の青木玄徳さんへのインタビューをお送りします。

Q 『闇金ドッグス』シリーズは本作で第5作を数えますが、シリーズが続いていることへのご感想をお聞かせください。

A青木玄徳僕が気にしているのは各回のキャッチコピーがいつまで続くのだろう、ということくらいですね(笑)。作品自体はラストファイナンスに来るお客さんがどんな人か、ということなので、話は無限大に作ることができると思っています。今回のキャッチコピーが「地獄の沙汰もゼニ次第」ということですが、第6作、7作と続けていくといつの間にかなくなっているかもしれません(笑)。

Q 今回の『闇金ドッグス5』の内容についてはどう感じましたか。

A映画『闇金ドッグス5』青木玄徳台本を読む前にプロデューサーさんから「今回は実際にあった話からインスパイアさせていただいている」とお聞きしていました。菅原大吉さん演じる沼岸とお母さんの話ですが、この実際にあった話を核心に置いています。第2作から忠臣バージョン、須藤バージョンとして続いていますが、須藤バージョンは第3作のイメージがあるだろうから、忠臣バージョンの話よりも軟らかくなるかと思いきや、こちらのほうが重くてもっとヤバイ話です。菅原さんたちの本当にあった話を軸に、ラストファイナンスがどう絡んでいくのかというこちらのオリジナルストーリーをぶつけていく展開となっています。実際にあったこの話は本当に悲しいです。

Q 須藤司を演じる上で、今回はどのようなところに重きを置きましたか。

A映画『闇金ドッグス5』青木玄徳『闇金ドッグス4』の最後に登場した、副島淳さんが演じるキヴィマキーという新しいキャラクターが今回から加わってきます。それによってラストファイナンスが3人体制っぽくなってくるんです。そこがいいなと思いました。忠臣と須藤の対比というよりも、忠臣の部下としての須藤という立ち位置なので、ここにもう一人加わってくれると僕自身、すごく動きやすくなります。3人体制になりかけているところにこの重い話だったので、ラストファイナンス側はフレッシュな気持ちで演じることができました。そのフレッシュさを上手くコミカルな方向に運ぼうとしました。菅原さんとの絡みは重い話なので、ラストファイナンス側ではリズム感をつけて、一旦お客さんを安心させてあげられる雰囲気を作りたかったです。話の中の陰と陽が上手く分かれて、最後に交わってカオスになったなと(笑)。いいバランスでできたと思います。

Q 痛快な回収劇にとどまらない深みのある話になりました。

A青木玄徳須藤が結婚していた相手の登場にはびっくりしました(笑)。面白い話と重い話のバランスが逆だったとしたら、面白い話の中に暗い話もあるということになってしまいます。あくまでも、この重い話の間に面白いことがあったということになっているので、そのさじ加減がすごいなと思いました。

Q 今回の芝居の中での気づきなどをお聞かせください。

A青木玄徳第3作と第4作の間には少し時間が経っている、と僕は受け止めていました。ですので、須藤は元ホスト、ということよりも、より闇金業者ぽさを出したいと思ったので、あまり動かない芝居をしようと思いました。あまり大声も張り上げず、ヘラヘラもしないように、抑えた演技をしましたが、元木監督の求めているものとも合っていたようです。身振りが大きすぎたり大声を出しすぎたりすると嘘っぽいなと思いましたし、抑えたあまり動かない芝居をすることで、より映画らしくなったと思います。いい意味での発見がたくさんありました。

Q 動かない芝居は難しくはなかったでしょうか。

A青木玄徳『闇金ドッグス3』の須藤の方が作り込んでいたので、今回の方がむしろ演じやすかったです。とはいえ、須藤は波乱に巻き込まれていくので、落ち着いてばかりはいられなくなりますが、ニュートラルな位置は少し抑えているので、より崩れていく姿も見せることができていると思います。

Q 今回は女性ではない債務者と向き合うことになりました。

A映画『闇金ドッグス5』青木玄徳ウィーメンダイヤルに電話をかけてきたのが沼岸、というのが謎ですよね(笑)。まずかけてこないですよね。だから「何でかけてくんだよ!?」というセリフがアドリブで出ました(笑)。こういうところに電話をしてくるのは男性の方が多いのだろうなと思いましたが、やっぱり何でラストファイナンスではなくウィーメンダイヤルの方なのかはいまだに謎ですね(笑)。でも、来てくれるお客さんの数だけ物語があるし、それによって須藤も変わっていくと思います。それと、ラストファイナンスという会社の中にもうひとつウィーメンダイヤルという別の会社のようなものがあるのが面白いとも思っています。ケンカの元だから本当はダメだと思いますし、須藤が力をつけてきて本当にケンカになったらそれも面白いと思います(笑)。

Q もう一人、重要人物として荒木宏文さんが演じていましたが。

A映画『闇金ドッグス5』青木玄徳貧困ビジネスの五条役で荒木さんが出演していますが、キャラクター設定をしっかり作ってきてお芝居しているなと、現場で見ていて感じました。言葉遣いもきれいでしたし、芝居のパターンをいくつ持っているかということが現場で出るんだなと感じました。最初に沼岸に五条が目をつけるシーンは優し気ですし、それが途中で豹変するような役は難しいのでなおさらですね。舞台のような稽古をしているならまだしも、映像の現場では出たとこ勝負のようなところがあるので、そこでああいう芝居が出せるのは実力があるなと。以前、舞台で共演してコンビ感のある役柄だったのが、今回は敵同士ということで、演じる際に少しだけ話し合いました。須藤も五条もどちらがいい人、悪い人でもないので、「上手くやらないと共倒れになるね」とお互いヒヤヒヤしながら臨んでいたところはありますが、長く一緒に演じてきたので不安もなくお互い信頼して演じられたのですごく良かったです。

Q どこに注目してほしいですか。

A青木玄徳全部といえば全部ですが、絵の動きがすごくいいと思います。長回しが多かったですが、カット割りもしっかりしていて、自分でもすごくいい角度の表情を撮ってもらえたなと思います。役者としても嬉しいですし、そういう感動はなかなか無いです。あらためて、スタッフの方々への感謝の気持ちが湧いてきました。そこにお客さんも気づいてもらえたらなと思います。

Q 現場の雰囲気はいかがでしたか。

A青木玄徳スタッフの方々とも段々と仲良くなって、チームワークという雰囲気がすごくありました。そういうムードになるとこちらも演じやすくなりますが、クランクインしてすぐにそうなっていました。『闇金ドッグス4』で山田裕貴くんがそういう雰囲気を作っていたんだろうなと思います。そこもありがたいなと思いました。できることならまた同じチームでできたらなと思います。

Q 今後、須藤はどうなっていくと思いますか。

A青木玄徳今回、いいきっかけになったと思います。『闇金ドッグス3』から時間も経って、今回の物語での事件もあったので、須藤が人間的にもっと発酵していけばいいなと思います。元ホスト、みたいな部分よりも、人間として、怖いものを見たことのある雰囲気とか、陰が増えたらいいなと思います。

Q 青木さんご自身の2017年の抱負をお聞かせください。

A青木玄徳20代最後の年なので、何かやらかしてやろう、という気持ちでいます。2018年から人類は選別されていくという話を聞いたことがあって、火星に移住できる人を選別するそうです。自分は選ばれる側か考えても無理だと思ったので(笑)、荒れ果てた地球に残されたらどうするかと、まずは『マッドマックス』を観ました。準備は万全です(笑)。

Q 青木玄徳さんからOKWAVEユーザーにメッセージを願いします。

A青木玄徳『闇金ドッグス3』に主演させていただきましたが、この『闇金ドッグス5』ではさらにパワーアップした須藤司と僕自身を見せられると思います。内容も前回とは打って変わりましたので、ぜひ楽しんでいただけたらと思います。

Q青木玄徳さんからOKWAVEユーザーに質問!

青木玄徳この作品に出演しているから聞いてみたいのですが、皆さんご自身か周りの方で「闇金」にお金を借りたことのある方はいるでしょうか。

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■Information

『闇金ドッグス5』

映画『闇金ドッグス5』2017年1月14日(土)よりシネマート新宿他、公開

女性債務者から、絶大な信頼を得ているラストファイナンスの須藤司は、かつて、街金から金を騙し取るために、結婚離婚を繰り返し、戸籍上の名字を忘れてしまっている。そんなある日、銀行系のローン会社から電話が入り「あなたの奥様が借金をして飛んだ。夫であるあなたには支払の義務がある」と言われる。困り果てている司には、にべもなく、社長の安藤忠臣から客をあてがわれる。その客は大手電機メーカーの下請け会社でエアコンの設置業者の契約社員として働く沼岸光夫。ブラック企業では人扱いされず、冷遇の中必至にしがみついている。それはひとえに認知症を患っている母のため。だが、薄給で生活費もままならずラストファイナンスを利用している。沼岸の状況は悪くなるばかりで理不尽な理由で急に解雇されてしまう。そんな沼岸の前にNPO法人で貧困ビジネスを営む五条礼が現れ、申請が通った生活保護費を不正に搾取されてしまう。母の病も進行が早くなり、生活は究極に困窮する。藁をもすがる思いで、沼岸はラストファイナンスを再び訪れる。

青木玄徳
菅原大吉 美谷和枝 牧野ステテコ 蒲生純一 副島淳 / 荒木宏文
山田裕貴

監督:元木隆史
脚本:池谷雅夫
企画・配給:AMGエンタテインメント

公式サイト:yamikin-dogs.com

(C)2016「闇金ドッグス4&5」製作委員会


■Profile

青木玄徳

青木玄徳(映画『闇金ドッグス5』)2011年、ミュージカル「テニスの王子様 2ndシーズン」の氷帝学園・跡部景吾役でデビュー。「仮面ライダー鎧武/ガイム」の戦極凌馬役で大ブレイク。「牙狼<GARO>~闇を照らす者~」(13/TX)、映画『Mr.マックスマン』(15)、ミュージカル「リボンの騎士」(15)など多方面で活躍。主演を努めた「鎧武/ガイム外伝 仮面ライダーデューク/仮面ライダーナックル ロックシード版」(15)DVDはシリーズ初のオリコンDVDランキング首位を獲得。舞台「海峡の光」、「瞑るおおかみ黒き鴨」(主演)、「パタリロ」、映画『闇金ドックス3』(主演)、『コープスパーティー Book of Shadows』、『インターン!』、『Bros.マックスマン』などに出演。現在ドラマ「猫忍」にレギュラー出演中。今後の待機作に、映画『探偵は、今夜も憂鬱な夢を見る。』(2017年初春公開)、『くらわんか!』(2017年夏公開/主演)、舞台『里見八犬伝』など多数。

@tsunenori_aoki