OKWAVE Stars Vol.627はマーベル・スタジオ最新作『ドクター・ストレンジ』(公開中)吹き替えキャストの樋口可南子さん、松下奈緒さん、そして三上哲さんのスリーショット・インタビューをお送りします。
Q 三上さんはベネディクト・カンバーバッチのいろいろな役を演じてきましたが、今回、マーベルのヒーローを演じてみていかがだったでしょうか。
A三上哲ドクター・ストレンジは成長してヒーローになる、という役柄だったので、今回は最初からヒーローだ、という感覚では演じなかったですね。弱かったり、耐えたり、葛藤したり、人間的なところが多い作品です。序盤のストレンジは上から目線ですが、そこもシャーロックのことは意識せず、カンバーバッチの今回の役を同じように表現しようと心がけました。
Q 樋口さん、松下さんは声優初挑戦とのことでしたが、演じてみていかがでしたか。
A松下奈緒本当に大変でした。難しかったですし、大きな挑戦をさせていただけたなと思います。普段は動きがある中で声を出しますが、声優さんのお仕事は声だけでいかに感情を届けられるかです。自分がお芝居しているのではなく、レイチェル・マクアダムスさんを通して、クリスティーンの声の芝居をするのは難しかったです。相手が目の前にいるわけではないので、距離感を取るのにも苦労しました。「大きな声で」と言われて出すと大きすぎたり、「小さな声で」と言われて出すと届かない、という加減が難しくて、全てがいい具合になって初めてOKが出る、新しい経験でした。
樋口可南子私も全く同じです(笑)。松下さんも同じことを思っていたことが嬉しいです。お芝居の世界と声優さんの世界は似ているようで全く違う世界だと感じました。芝居をなぞるだけでは通じない、三上さんだったら、三上さんが持っているものが出てくるんだと思いました。他の人が演じたらきっと全く別のドクター・ストレンジが生まれる。きっとそれくらい大きなことなんですよね。エンシェント・ワンは魔術の師匠という、存在感のある役なので、私が演じることで絶対に小さくしてはいけないと感じました。ストレンジさんが修行したように、私も頑張らなければと修行をしているような録音の日々でした。私はこのエンシェント・ワンという役が本当に好きで、予告を観た時から惚れ込みました。初挑戦の私が演じるのは申し訳ないと思いつつ、この役ができて本当に良かったです。
Q エンシェント・ワンは戦う場面も多いですが、演じられていかがでしたか。
A樋口可南子気持ち良かったです。掛け声とアクションで、カンバーバッチさんが飛んでいってしまうのですから(笑)、まさに魔術を使ったみたいでしたね。
Q 三上さんから見て、お二人の吹き替えの印象はいかがでしたか。
A三上哲樋口さんのエンシェント・ワンは優しさと強さがあって、不思議な存在感がありました。師匠!という感じと、奥行きがあって、普通の声優さんが演じてもああいう感じにはならないだろうなと思いました。松下さんのクリスティーンはチャーミングでした。特に困った時のリアクションがかわいかったです。シャーロックもイジワルをして困らせるのが好きですが、ドクター・ストレンジに困らせられているクリスティーンも素敵でした。とくに、病院のシーンでモップが倒れて驚いた時の声がすごく好きですね(笑)。
松下奈緒あのシーンも何十回もやり直したんです。声の高低だったり、映像を見て入れたり、見ずに入れたり、普段やっていることを振り返りながらやりました。
Q 三上さんのドクター・ストレンジの印象はいかがでしたか。
A松下奈緒私は「SHERLOCK」も大好きで吹き替えで観ていたんです。今回、同じく三上さんが演じられるとのことでしたので、お会いできることを楽しみにしていました。最初はシーンごとにキャストが集まって収録すると勘違いしていたんです(笑)。実際には一人で収録でした(笑)。三上さんの声は、カンバーバッチさんの上品さを体現されていましたし、素敵な声だと改めて思いました。映像と三上さんの声を確認していると自分の声の順番を忘れてしまうくらい引き込まれました。三上さんの声できっかけをいただいて、その後、英語に戻して自分の声を当てていったのですが、「こういう感じだから」と聞かせていただいた時には鳥肌が立ちました。声でキャラクターが生きている、ということはこういうことなんだというヒントをいただきました。
樋口可南子吹き替えの仕事をしなければ解らなかった声優さんの技をたくさん見させていただきました。これだけ苦労してわかったのですが、三上さんの声は心地よいですがそれだけではないんです。私は息継ぎに苦労しましたが、息継ぎも素晴らしくて、間も絶妙。しかも、力まずにベネ様の声をこんなに操れるのかという驚きもありました。改めて「声の豊かさ」を感じました。そういうプロの技術に惚れ惚れしましたし、尊敬しています。
Q いま世界的にアメコミブームで、『ドクター・ストレンジ』も大ヒットしていますが、作品世界についての印象をお聞かせください。
A三上哲この作品に出演するまで、アメコミ作品をあまり観ていなかったので、マーベル・シネマティック・ユニバース作品に初参加する新人のような気持ちで参加しました。この『ドクター・ストレンジ』に関してはあまりアメコミのような意識を感じずにやっていました。本作では徐々にヒーローになっていくという物語なので、ヒーローということはあまり意識しなかったです。
松下奈緒こんなにも主人公が人間らしくて、自分の大事なものを無くして初めて気づくということや、段々とヒーローになっていく過程を見ていけるのは新しいタイプの作品だと思いました。魔術の世界に行っても、そこから戻って来るのもいいなと思いました。魔術の世界に行ったきりになるのではなく、現実の世界に戻ってきてクリスティーンとも関わったりします。魔術の世界と現実の世界を行き来しているところが新しいですし、こういう世界観もあるんだなと思いました。
樋口可南子これまでマーベル作品を観たことがなく、今回こういうご縁があったので『アイアンマン』や『アベンジャーズ』を観ました。日本では考えられないアクションの連続で、「これを観てこなかったのか」ともったいない気持ちになりました。『アベンジャーズ』もみんな一見普通の人なのに、その人たちがヒーローになっていくところがとても面白かったです。私みたいな人がまだたくさんいると思うので、この『ドクター・ストレンジ』をきっかけに、いろんなマーベル作品を観ていただければ嬉しいです。
Q 魔術を使った戦い方も独特ですし、映像も驚かされますが、作品のご感想をお聞かせください。
A三上哲街がすごいことになるシーンは、僕は2Dで観たのですが、3Dだとどうなるのかすごく気になります。2Dでも十分にすごいですが、次は3Dで観ようと思います。
樋口可南子松下さんだけ3Dで観ているので私たちは出遅れた気分です(笑)。
松下奈緒戦いのシーンもありますが、ただ戦うだけではなく、映像でさらにプラスアルファされて、自分もそこにいる感覚になれますし、客観的に観ているのではなく、同じ場所に立って近くに感じられると思います。映像の迫力と美しさに驚かされました。
樋口可南子「目覚めなさい」というエンシェント・ワンのセリフが好きです。潜在的な力を持っているのに、視野を狭めてそれを見ていないことに対して、修行をし、他の眠っている能力を目覚めさせなさい、というメッセージです。私自身、ひょっとしたら自分の中に目覚めていない能力があるのかもしれないなと。「目覚めなさい」という何でもない言葉ですが、とてもいいなと思いました。
Q 今後のマーベル作品のシリーズでもきっと重要な役割をドクター・ストレンジは果たしていくと思われますが、ご自分の演じたキャラクターはどうあってほしいですか。
A三上哲ドクター・ストレンジはヒーローとしては新米なので、今後どうなっていくのか興味があります。ヒーローとしてどう活躍するのか、相棒のチャーミングな赤いマントもまた活躍するのか気になりますね。
松下奈緒クリスティーンは病院にいるので、ストレンジがどこか違う世界に行ってしまうと連れ出してもらわないと会えないので、今後のシリーズにストレンジが登場しても、たまには病棟にも来てほしいですね。
樋口可南子エンシェント・ワンはミステリアスな存在ですし、何度でも出てきそうですよね(笑)。
Q OKWAVEユーザーにメッセージをお願いします。
A松下奈緒マーベル作品を今まで観たことがない人にも楽しんでいただけますし、今までのヒーロー物とは違った部分があって、普通の人がどうヒーローになっていくのか、どういう壁にぶつかって、どう真っ直ぐになっていくのか、というメッセージも込められています。ストレンジとクリスティーンはどうなるのか、ということも頭の片隅に置いていてほしいです。映画館の大画面でご覧になっていただければと思います。
樋口可南子異次元と簡単に言いがちですが、その世界がリアルに感じられる素晴らしい映像なのでぜひ体験していただきたいです。三上さんのベネ様もそうですし、3Dなら吹き替えの方が観やすいと思いますので、ぜひ吹き替えと両方楽しんでいただきたいです。
三上哲映像も圧倒的ですし、人間ドラマとしても素晴らしいので、劇場で迫力のあるところで観ていただきたいです。僕らは時間をかけてこだわりを持って吹き替え版を作りましたので、ぜひ吹き替え版もお楽しみいただけたらと思います。
■Information
『ドクター・ストレンジ』
上から目線の天才外科医ドクター・ストレンジ。突然の交通事故で神の手を失った彼を甦らせたのは、魔術。厳しい修行により人智を超えた力を手に入れ魔術師となった彼は、“闇の魔術”の存在を知り、世界を滅亡から救う戦いに巻き込まれていく。だが、たとえ敵であっても、医者である彼に命を奪うことができるのか?大いなる葛藤を抱えたまま、いまドクター・ストレンジの本当の戦いが始まる!
監督:スコット・デリクソン
出演:ベネディクト・カンバーバッチ/ティルダ・スウィントン/レイチェル・マクアダムス/キウェテル・イジョフォー/マッツ・ミケルセン
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
© 2017 MARVEL