Vol.643 俳優 伊藤淳史(映画『ねこあつめの家』インタビュー)

OKWAVE Stars Vol.643は映画『ねこあつめの家』(2017年4月8日公開)主演の伊藤淳史さんへのインタビューをお送りします。

Q 人気アプリを基にした映画ですが、映画化の企画を最初に聞いたときはどう感じましたか。

A伊藤淳史最初にこのお話を聞いた時はまだ台本がなくて、企画書を見せていただいても内容の想像がつかなかったです。アプリのことは知っていましたが、これがどう映画になるのだろう、というのが最初の印象でした。でも、上がってきた台本を読んだら、アプリのような“ねこあつめ感”もちゃんとあります。何よりも、ねこがかわいいだけの映画になってはいけないと思っていたので、人間模様や人生が丁寧に描かれていて、これは面白くなるなと思いました。

Q ねこがたくさん出てきますが、撮影は大変でしたか。

A伊藤淳史始まる前は僕も心配していました。台本を読むと最初は1匹で、それが2匹来て、どんどん増えて、「佐久本の周りはねこだらけである」とト書きにあるんです。「画面の中に本当にネコは収まってくれるのか」と不安になりました。でも、本当に優秀なねこたちで、こちらの希望通りにちゃんと居てくれて、びっくりしました。僕自身は犬を飼っていて、ねこは犬よりも人間との距離を大切にするのかなと思っていました。でも、すごく近くまで寄ってきてくれるし、全然大変ではなかったです。待ち時間も一緒に戯れて癒やされましたし、忽那汐里さんもねこがお好きで一緒に遊んでいました。人間のように位置を正確に合わせる、ということはもちろんありませんが、それでもどこかに行ってしまうようなこともなくフレームの範囲内に居てくれました。

Q ねこの良さは感じましたか。

A伊藤淳史感じましたね。犬とねこを自宅で飼ってる知人がいますが、その2匹とも仲が良いそうです。僕は犬を2匹飼っていて、軽い気持ちでは飼えないと思っているので、ちゃんと100%の愛情が注げると思えたら、ねこを飼うのもいいなと今回の撮影を通して思いました。

Q 演じた小説家・佐久本のキャラクターについていかがでしたか。

A伊藤淳史小説家という職業は役者と似ているなと思いました。どちらも自分自身から出てくるものです。役者は現場に行ってからは監督や共演者と作っていくものですが、いわゆる準備期間は一人で考えますし、なかなか他人には相談しにくいものです。そういうところは小説家と似ているなと思います。

Q 佐久本はスランプの小説家とのことですが、伊藤さんご自身はそういった経験はありましたか。

A伊藤淳史僕自身はあまりそういう壁を感じずにやってきました。役者の仕事は基本的には台本があって、存在するものを演じるので、止まってしまう、ということはありませんが、小説家は「書けない」と本当に止まってしまいます。もちろんシーンのことをいつも考えていて時には追い込まれることもあります。それを壁やスランプだと言われればそうかもしれませんが、始まったら終わるものだ、という思いがどこかにあって。答えが出なくても、演じてみたら、監督の反応もありますし、共演者もいるので、自分のイメージ通りにすべてが進むことはありませんし、逆にそれで進んでいくこともできるので、結果的に立ち止まることはないです。

Q 木村多江さん、忽那汐里さんとの共演はいかがでしたか。

A伊藤淳史多江さんが演じたペットショップ店主の寺内は、台本時点で僕がイメージしている多江さんとは違う役だと思っていましたが、現場ではさらにその数倍上をいくキャラクターを作って来られました。意外な芝居をされていたのでびっくりしました。佐久本は自分から何かするというよりも相手から影響を受ける役だったので、佐久本という人間を作ってくれたのは多江さんと忽那さんでしたね。忽那さんの演じたミチルは優しい顔をして結構厳しいことを言うキャラクターだったので、忽那さんの良さが出ていて、芝居をしていて僕も楽しかったです。感情的に厳しいことをぶつけてくるよりも、サラッとキツイことを言ってくるのは、佐久本という人間を動かす方法として編集者としての長い付き合いの中で出てきたものなのかなと。ミチルが佐久本に抱いていた気持ちや、佐久本の姿勢が変わっていくことに説得力を持たせてくれたと思います。

Q 大久保佳代子さんとの共演はいかがでしたか。

A伊藤淳史大久保さんの演じた不動産屋の猿渡は「こういう人いるだろうな」と思える面白いキャラクターでした。現場での大久保さんは真面目な方だという印象です。監督の指示に忠実に演じられていましたので、皆さんがイメージするような大久保さんとは違った一面が見られました。今回初めての共演でしたが、面白いし、すごく素敵な方でした。そんなところが猿渡のリアルさにもつながっているのかなと思いました。

Q 佐久本が引っ越した郊外の一軒家が舞台ですが、実際に現地でのロケはいかがでしたか。

A伊藤淳史すごく気持ち良かったです。撮影は8月の終わり頃からでまだまだ暑かったですが、風が吹けば心地良いですし、部屋の中でゴロゴロしているシーンも心地良かったです。映画の設定だけではなく、実際に多古町(千葉県香取郡)で撮影していて、そういうところもリアルでいいなと思いました。家も古くていい味を出していて、時間の流れ方も普段と違って良かったです。

Q 伊藤さんご自身はリフレッシュしたい時はどうされていますか。

A伊藤淳史いまは子どもと過ごすことですね。どれだけ疲れて帰ってきても一緒にいると癒やされます。僕が朝早くて夜遅いと起きていないこともありますが、横にいるだけで疲れが吹き飛びます。でも、家ではセリフが一切覚えられなくなりました(笑)。台本は近所のカフェで読むようになりましたが、気づかないうちにセリフが口から出ていることもありますね(笑)。

Q 伊藤淳史さんからメッセージをお願いします。

A伊藤淳史この映画はねこのかわいさを存分に味わってもらえますが、それだけではなく、一人の人間の成長をハートフルに描いた作品となっています。人は一人で生きていくのは難しいです。佐久本はねこたちやミチルや寺内との交流を通じて変わっていくので、観ている方もそういう気持ちになっていただけたらなと思います。自分の悩みを誰かに相談してみようかなと思える作品になっていますので、ぜひ劇場に足を運んで感じてもらえたらと思います。

Q伊藤淳史さんからOKWAVEユーザーに質問!

伊藤淳史ねこを飼っている方には、ねこの魅力をお聞きしたいです。
ねこを飼っていない方は、この映画に触れてねこを飼ってみたくなったかをぜひお答えください。

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■Information

『ねこあつめの家』

2017年4月8日(土)公開

若くして新人賞を受賞し、一躍人気作家となった小説家、佐久本勝。現在は大スランプ中で、ヒマに任せてエゴサーチをしては、さらにドツボにハマる毎日。担当編集者のミチルは、そんな佐久本を励ますが、若さあふれる熱血アドバイスは、逆に佐久本には苦しいだけだった。ある夜、不思議な占い師から予言を受け、おかしな不動産屋の勧めで、佐久本は、多古町という片田舎の古民家に逃げるように移り住む。しかし、場所は変われど暮らしは変わらず、生活は下降線をたどる一方。編集長の浅草には見放されたようだ。途方に暮れて縁側で庭を眺めていると、猫がふらりとやってくる。しばし見つめあう一人と一匹…。しかし、ほどなくして、猫は庭から出て行ってしまう。猫にも見捨てられたと落ち込むが佐久本だったが、どうしても猫が気になり、 ペットショップの店主・寺内からアドバイスを受けて庭作りを始める…。こうして、若き小説家の「ねこあつめ」の生活が始まった。

出演:伊藤淳史、忽那汐里、大久保佳代子、木村多江、田口トモロヲ
監督:蔵方政俊

公式HP:nekoatsume-movie.com
公式Twitter:@nekoatsumemovie

(C)2017 Hit-Point/『映画ねこあつめ』製作委員会


■Profile

伊藤淳史

1983年11月25日生まれ。千葉県出身。
『鉄塔武蔵野線』(97/長尾直樹監督)で映画初主演を果たし、その後、映画やドラマで幅広く活躍。2015年公開された『映画 ビリギャル』(土井裕泰監督)で第39回日本アカデミー賞優秀助演男優賞を受賞した。高い演技力と表現力を持ち合わせた実力派俳優。主な出演作に『独立少年合唱団』(00/緒方明監督)、『海猿』(04/羽住英一郎監督)、『西遊記』(07/澤田鎌作監督)、『フィッシュストーリー』(09/中村義洋監督)、『踊る大捜査線 THE FINAL新たなる希望』(12/本広克行監督)、『ボクたちの交換日記』(13/内村光良監督)、『チーム・バチスタ FINAL ケルベロスの肖像』(14/星野和成監督)、『ボクは坊さん。』(15/真壁幸紀監督)、NHK連続テレビ小説「とと姉ちゃん」(16)、湊かなえサスペンスドラマ「望郷/海の星」(16/TX)、「大貧乏」(17/CX)など。公開待機作に、『吉田類の「今宵、ほろ酔い酒場で」』(6月10日公開)、『一茶』がある。