OKWAVE Stars Vol.662はAmazonオリジナル『東京ヴァンパイアホテル』主演の夏帆さんへのインタビューをお送りします。
Q 本作への出演オファーを聞いた時はどう感じましたか。
A夏帆園子温監督からまた声をかけていただいて、とても嬉しかったです。園さんの完全オリジナル・ドラマは初めてということで、その作品に出演できるのも嬉しかったですし、絶対面白い作品になるだろうなと思いました。
作品についてはヴァンパイアものというプロットとKという役柄のみでどんな作品になるのだろうと思いました。
Q 演じたKの役柄の印象はいかがだったでしょうか。
A夏帆最初にいただいた台本ではKのことは掘り下げて書かれていなかったので、その台本を読んだ限りではKのキャラクターを理解することができませんでした。今回の作品は、撮影が始まった段階で全て台本が出来上がっているのではなく、園さんが撮りながら書いている、という状況でしたので、Kというキャラクターも、撮り進めていく中で徐々につかんでいきました。
Q 撮影が始まるまでにどんな準備をしましたか。
A夏帆準備という準備をできずに撮影が始まってしまったので、現場で対応していくことが多かったです。アクションの練習も撮影前にはほとんど時間が取れず、撮影の合間を見て練習しました。ここまで本格的なアクションは初めてで、私は身体能力が高いタイプではないのでとにかく練習したくて。ただ、撮影と並行しながらの練習だったので、なかなか時間をとることができず、毎日不安でいっぱいでした。
今回は普通のアクションではなく、急所でなければ刺されても撃たれても死なないヴァンパイアなので、攻撃を受けてダメージを負っても戦うアクションが続きます。刀も銃も使うので、今までに観たことがないアクションになったと思います。
アクション監督を務められた坂口拓さんのアクションは独特です。振り付けのように決めたものではなく、現場の空気感やライブ感、リアルさをすごく大事にされます。ですので現場で作っていくアクションが多くて本当に難しかったです。
Q 撮影現場の様子はいかがだったでしょうか。
A夏帆毎日何が起こるか分からないなかでの撮影だったので、私だけではなく、他のキャストもスタッフも園さんも、みんなギリギリの状態でした。
ルーマニア・ロケ、豊橋での銃撃戦、新宿でのロケの後はヴァンパイアホテルのセットでの撮影でした。陽の光を浴びずに室内でずっと撮影をしていたので、だんだん時間の感覚がなくなっていき、現場は異様な雰囲気でしたが、その何とも言えないパワーが作品に表れていると思います。こんな現場は経験したことがないぐらい凄まじい現場でしたが、だからこそ今まで観たことのないエネルギーのある作品が出来上がったんだと思います。
Q そんな撮影の最中は何を拠り所にされましたか。
A夏帆現場に行ったら一緒に作っていく共演者とスタッフがいるので、それだけが拠り所でした。逆に現場にいない時が一番不安でした(笑)。3ヶ月ほどの撮影期間でしたが、今思えば夢のような、パラレルワールドに引き込まれていたような感覚です。
Q 撮影中はリフレッシュする機会はありましたか。
A夏帆常にこの作品の事で頭がいっぱいで、他の事を楽しむ余裕はありませんでした。空いている時間はアクション練習をしたかったので、私が休みでも、他の人の撮影があればアクションのスタッフも現場にいらっしゃるので、撮影の合間に手合わせをしてもらって練習していました。後悔はしたくなかったので、できることをしっかりやろう、という気持ちでした。
Q ルーマニア・ロケについてはいかがだったでしょうか。
A夏帆ルーマニア・ロケがクランクインだったのですが、組全体がほとんど準備の時間を取れずにルーマニアに旅立ってしまったので、本当に手探りの状態でした。でも、ルーマニアからスタートしたのが良かったのかなと思います。ドラキュラはルーマニアのトランシルヴァニア地方の発祥ですので、その地から始められたのがこの作品にとっても自分にとっても良かったと思いますし、作品によりいっそう説得力が生まれたと思います。
Q 撮影は順撮りだったのでしょうか。
A夏帆順撮りではありませんでしたが、園さんの現場は独特で、シーンとシーンのつながりをあまり意識せずにやる現場です。そこでは物理的なつながりさえも関係なく、観ている人に気づかせないくらいの勢いやパワーがあるんです。そのエネルギーはすごかったです。
Q 共演者とのやり取りで印象的だったことはありましたか。
A夏帆魅力的な役者さんが集まっています。でも、実際に絡みのある方は少ないんです。満島真之介さんとも、面と向かって対峙したシーンは少なくて。冨手麻妙ちゃんと一緒のシーンが多かったので、麻妙ちゃんの存在には本当に助けられました。お互いに不安だったので、話を聞いてもらったり、励まし合っていました。
Q 園監督の様子や演出についてお聞かせください。
A夏帆園さんの現場は台本通りに進んでいくのではなく、園さんのアイデアでどんどん変わっていくので、現場で対応していくのに必死でした。自分自身、何が正解か分からなくなり不安だったのですが、出来上がった作品を観て、やっぱり園さんはすごいなと思いました。
園さんは演出面では細かく指示を出すわけではないのですが、いるだけで緊張感が高まりますし、存在感がすごかったです。
Q 今回の出演を通じて何か新しい気づきはありましたか。
A夏帆出来上がった作品を観て、私はこんな表情もするんだとびっくりしました。意識して作ったわけでもないのに、今までに見たことのない表情をしていたので、これも“園マジック”なのかなと思いました。
あとは、もっと楽しんで演じられたら良かったのかなと思いました。もちろん園組に参加していることへの誇りと喜びは感じていましたが、大変さの方が上回ってしまい…。とはいえ撮影当時はギリギリの精神状態でそれどころではなかったですが(笑)。
どんなに経験を積んでも、現場が変わればまた新しい壁にぶつかりますし。焦らず一歩一歩頑張っていこうと思います。
Q 『東京ヴァンパイアホテル』はAmazonプライム・ビデオで配信されますが、新しいメディアについて思うことはありますか。
A夏帆女優を始めて10年くらいになりますが、ここ数年でどんどん変わっていっている印象です。デビュー当時はインターネット配信のドラマなんて無かったので、表現の幅も広がっていくのかなと思います。全世界の方が観ることができるので、広がっていくことに対して置いていかれないようにしないといけないなと思います。地上波のTVドラマでも長編映画でもない、どこにも属さない今までに観たことがないドラマになっているので、多くの人にまずは第1話を観てほしいと思います。
■Information
Amazonオリジナル『東京ヴァンパイアホテル』
2017年6月16日(金)よりAmazonプライム・ビデオにて見放題独占配信スタート
22歳の誕生日を迎えるマナミ。彼女を付けねらう謎の吸血鬼たちから、強大な力を持つKは彼女を怒涛の戦いの中で救おうとする。吸血族から狙われるマナミ、そして不思議な力を持つKはいったい何者なのか。物語は怒涛のアクションと銃撃戦で幕を開ける。
その日、若い男女ばかりがホテル・レクイエムに招待される。山田という謎の男と、奇怪な女帝とエリザベート・バートリがこのどぎつく美しい宮殿のようなホテルに住み、ホテルを取り仕切っている。招待された人々はホテル内で山田が主催する全国合コン大会に参加する若い男女たちだ。突如、山田が明日世界は滅び、このホテル内にいる人間だけが助かる道が残されていると宣言をする。どよめく人々。信じられない人々。
「ここにいる者たちが生き残る!我々の餌となって!」ホテルの下には広大な地下空間が広がり、人間はそこで愛を営み、人類を繁栄させ、女帝と山田ら吸血鬼コルビン族から永遠に食らわれ続けるしか存続の道がないのだという。
集められた若者一同は、完璧なシェルターであるホテルで地球と人類が滅亡するのを目の当たりにする。ホテルの外は死の灰で覆われた。絶望する者、ホテルの外へ出ようとする者、コルビン族の支配を覆そうとする者。そしてその支配に甘んじる者。そこへ、マナミを奪取しようとするKがコルビン族を滅亡させるべく乗り込んでくる。かくして、人類そして吸血鬼たちの存亡をかけた戦いが始まる。人類は生き残り続けることができるのか。マナミは何故コルビン族とドラキュラ族から狙われるのか?そしてKの運命は。
企画・制作:日活株式会社
総監督・脚本:園子温
8話・9話監督・脚本:久保朝洋 松尾大輔
8話・9話脚本:継田淳 碇本学
出演:夏帆 満島真之介 冨手麻妙 神楽坂恵 安達祐実 ほか
©2017NIKKATSU
□Amazonプライム・ビデオについて
Amazonプライム・ビデオは、数千本もの人気映画やTV番組、また、各賞を受賞したAmazonスタジオ制作による、オリジナル・ドラマ、子ども向けシリーズ、日本オリジナル作品を、Amazonプライム会員であれば見放題でご覧いただけます。また、現在プライム・ビデオは世界の200以上の国・地域で視聴可能です。
■Profile
夏帆
1991年6月30日生まれ、東京都出身。
2006年より映画やTVドラマ、舞台、CM、PVなどにて活躍中。2016年には第39回日本アカデミー賞優秀助演女優賞(『海街diary』)受賞。2017年は映画『22年目の告白-私が殺人犯です-』出演、TVドラマ「架空OL日記」(日本テレビほか)出演中。