OKWAVE Stars Vol.671は『カーズ/クロスロード』(2017年7月15日公開)のアンドレア・ウォーレン プロデューサーへのインタビューをお送りします。
Q この作品のテーマはどのように決めていきましたか。
Aアンドレア・ウォーレンマックィーン自身の物語に立ち返りたいと思いました。マックィーンはアスリートです。アスリートの方はピークを迎えて、その後に自分がどうしていくのかを考えることは一般の方の人生よりも早くに訪れるものだと思います。肉体を酷使しますし、高いパフォーマンスで競技を続けるには年齢的にも限界が早くに来てしまいます。この点について入念なリサーチを行い、レーサーの方にも話を伺って、それを意味のある形で物語に盛り込んでいくという作業をしました。
Q 『カーズ』にもマネージャーとして携わっておりましたが、今回プロデューサーとして携わるにあたりどんなところを大切にしたいと思いましたか。
Aアンドレア・ウォーレン新しいキャラクターたちにこだわりました。マックィーンのキャラクターはこれまでの作品ではっきりしていますよね。そのなかでクルーズは意味のある形でマックィーンと関わらなければならないです。お互いに学び合い、お互いの道が交錯した時、変化があり、それぞれが自分はこうなっていくべきだと学んでいきます。ですのでクルーズは脇役ではありながらも独立してみんなが面白いなと受け止めてもらうためにはデリケートなバランスが必要でした。
Q 子どもだけではなく大人が観ても思うところの多いストーリーとなりましたが、その点についてのお考えをお聞かせください。
Aアンドレア・ウォーレン年齢に限らずアピールできる物語ということはいつも意識しています。この作品の本質にあるのは「変化」です。子どもにとっては引越しや転校といったものがそうでしょうし、大人は仕事や職場など、いろいろな変化があると思います。そういった変化が人生にとってポジティブなものになるということをこの映画を通じて伝えたいと思いました。新しいステージに踏み出せば新しく学べることがあるので、変化を恐れてはいけないということを、子どもも大人もこの映画の中から見出してもらえたらと思います。
Q キャラクターはとてもかわいく見えますが、レースシーンはリアルです。今回の映像面でのこだわりをお聞かせください。
Aアンドレア・ウォーレンレースシーンにはダイナミックさを出そうと思いました。キャラクターよりもアスリートであることを意識していたかもしれません。マックィーンは冒頭のレースシーンでは仲間たちと本当にレースを楽しんでいますが、そういう臨場感やダイナミックスさを感じてもらえるようにと思いました。レースから離れたゆっくり目なシーンではキャラクターの魅力が感じられるように、ということを意識しました。キャラクターに惚れる瞬間はレースよりもドラマのシーンなのかなと思います。チャーミングであることやおかしみがあること、心を温かくしてくれるような表現を意識しました。
技術的には新しいレンダリングの技術を使っています。それによって、リアリズム的な質感をもたらすことができるようになりました。反射であったり、ザラザラしたような質感、キャラクターが置かれている背景環境のディティールは、新しいシステムで作り込むことができました。『カーズ』シリーズの中でも本作は視覚的に豊かな作品になっています。挑戦したことでは、泥の表現ですね。サンダーホロー・クレイジー8・デモリションダービーというレースシーンのぬかるんだコースの表現は難しいのですが、素晴らしいスタッフに恵まれて作り上げることができました。
Q OKWAVEユーザーにメッセージをお願いします。
Aアンドレア・ウォーレンこの作品をぜひ劇場で観てほしいです。楽しいですし、感動が待っています。
■Information
『カーズ/クロスロード』
華々しく活躍してきた天才レーサー“マックィーン”は、これからも走り続けると信じていた。しかし、彼を待ち受けていたのは、最新テクノロジーを限界まで追求したストームをはじめとする新たな世代の台頭と、レース人生を揺るがす衝撃的な大クラッシュだった。夢の続きか、それとも新たな道か?思いがけない挫折を経験したマックィーンは、メーターたち仲間に支えられ、新たな相棒クルーズとともに“人生の岐路”(クロスロード)に立ち、運命の決断を迫られる。
監督:ブライアン・フィー
製作総指揮:ジョン・ラセター
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
http://www.disney.co.jp/movie/cars-crossroad.html
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■Profile
アンドレア・ウォーレン
共同製作。
サンタバーバラのリベラルアーツの大学であるウェストモント大学に学ぶ。『バグズ・ライフ』(98)のマーケティング・プロダクション・アシスタントとしてピクサー・アニメーション・スタジオに加入。その後、『モンスターズ・インク』(01)でアート部門コーディネーターを、『ファインディング・ニモ』(03)ではデジタル・ペインターを、『カーズ』(06)ではアート部門マネージャーを努める。『ウォーリー』(08)と『メリダのおそろしの森』(12)ではプロダクション・マネージャーを担当。短編映画『南の島のラブソング』(14)でプロデューサー・デビューを果たした。