Vol.677 女優 ルー・ドゥ・ラージュ(映画『夜明けの祈り』)

ルー・ドゥ・ラージュ(映画『夜明けの祈り』)

OKWAVE Stars Vol.677は史実を基にした映画『夜明けの祈り』(2017年8月5日公開)主演のルー・ドゥ・ラージュさんへのインタビューをお送りします。

Q 医師マドレーヌ・ポーリアックの実話を基にした映画とのことですが、彼女のことはフランスでは知られた存在だったのでしょうか。

Aルー・ドゥ・ラージュいいえ、フランスでも全く知られていなかったです。彼女の日記があって、その日記に基づいてこの映画の脚本が作られたそうです。
ポーランドの修道院で起きた事件については、大きな驚きはなかったです。戦争中に修道女が襲われたのは非常に恐ろしいことですが、ソ連兵がそのような蛮行を行うことはよくあることだったということを知っていました。修道女たちの戦い、というこの映画の題材は非常に感動的だと思いました。

Q 映画の中で修道女たちが信仰と両立しない妊娠・出産を経験しますが、そのことをルーさん自身はどう受け止めましたか。

A映画『夜明けの祈り』ルー・ドゥ・ラージュ修道女たちは性的な暴力を受けて身ごもってしまいます。もともと修道女としてそういった行為そのものをしないと誓っています。それが暴力を受けて身体だけではなくその誓いや信条も侵されてしまいました。自分の母性とも向き合わなければならなくなります。自分が産んだ子どもへの愛情を感じて自分の手で育てていきたいと思う人もいれば、手放したいと感じる人もいて、母性を試されるという側面もあるのだと思います。

Q 医師マチルドを演じるにあたってどのようなことを心がけましたか。

A映画『夜明けの祈り』ルー・ドゥ・ラージュ映画の中で医師として医療行為も行うので、まずは助産師や医師から手ほどきを受けました。それから撮影に入る前にポーランドで一週間、リハーサルをしました。そこでポーランド人の女優さんたちと一緒に映画の世界を築き上げる作業をしました。アンヌ・フォンテーヌ監督とはずいぶん長く話し合いを重ねました。この役柄は時代背景としても私たちがいま生きている時代とはずいぶん違うので、どう演じたらいいのか監督と話し合いながら進めました。

Q アガタ・クレシャさんやアガタ・ブゼクさんらポーランド人の女優と共演されて、国際的な現場だったかと思いますが、撮影の様子についてお聞かせください。

Aルー・ドゥ・ラージュ言葉が通じないということは必ずしもコミュニケーションの妨げになるということではなかったです。言葉が通じないから大事なことだけを言い合ったりするので、却ってコミュニケーションはうまくいったと思います。アガタ・ブゼクさんは少しだけフランス語が話せたので、彼女とはよく話しましたし、彼女の演技から学ぶところもたくさんありました。私がみんなにフランス語を教えたり、他のみんなが私にポーランド語を教えてくれたりもしました。映画の中で私もポーランド語を話しているのですがあまり上手ではなかったので、それを聞いてみんな大笑いしていました。お互いの弱点をカバーするようないい雰囲気の現場でした。

Q ルーさんの演技には強い信念を感じます。その芯の部分は何でしょう。

Aルー・ドゥ・ラージュどんな人も宗教かどうかに関わらず、何かを信じる、という内面の気持ちが絶対に必要だと思っています。何を信じているかを見出していくということが生きていくことなんだと思っています。

Q アンヌ・フォンテーヌ監督の演出についてはいかがだったでしょうか。

Aルー・ドゥ・ラージュものすごく厳しかったです。それは映画を観ていただくとよく分かると思います(笑)。最初に会った時「花が開いていくように少しずつ繊細に変化していく役なんです」とピシッと言われました。アンヌ監督自身もすごくまっすぐな方ですが、「まっすぐに、淡々とこの役を演じてほしい」と言われ続けました。
監督から直接言われたことではありませんが、映画の中に出てくる「信仰は24時間の疑いと1秒の希望だ」という言葉が印象的でした。

Q ルーさんご自身が女優の道に進む上で、ご両親の影響などはありましたか。

Aルー・ドゥ・ラージュ両親は演技に関わる仕事をしていたわけではありませんが、子どもの頃に私が女優になりたいという願望を口にしたら、二人ともちゃんと話を聞いてくれたことを覚えています。「上手くいくかはわからないけれど、やるだけやってみなさい」と言ってくれる両親でした。

Q これから演じてみたい役柄や展望をお聞かせください。

A映画『夜明けの祈り』ルー・ドゥ・ラージュこういう役を演じたい、みたいな目標は自分の中で定めないようにしています。毎回、こんな役を自分が演じるんだ、という驚きがありましたし、演じてみたらいい体験になっているので、可能性の扉を閉ざしたくない気持ちが強いです。できるだけ、自分にとって難しい、チャレンジするような役を演じたいとは思います。

Q OKWAVEユーザーにメッセージをお願いします。

Aルー・ドゥ・ラージュこの映画は戦争を扱ってはいますが、最後に希望がある内容になっています。日本の方からすると異文化を扱った作品でもありますが、ぜひ好奇心を持ってこの世界に飛び込んでもらえたらと思います。

Qルー・ドゥ・ラージュさんからOKWAVEユーザーに質問!

ルー・ドゥ・ラージュあなたは何を心の拠り所にしていますか。

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■Infomation

『夜明けの祈り』

映画『夜明けの祈り』2017年8月5日(土)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次公開

1945年12月のポーランド。赤十字の施設で医療活動に従事するフランス人医師マチルドが、見知らぬシスターに請われ、遠く離れた修道院を訪ねる。そこでマチルドが目の当たりにしたのは、戦争末期のソ連兵の蛮行によって身ごもった7人の修道女が、あまりにも残酷な現実と神への信仰の狭間で極限の苦しみにあえぐ姿だった。かけがえのない命を救う使命感に駆られたマチルドは、幾多の困難に直面しながらも激務の合間を縫って修道院に通い、この世界で孤立した彼女たちの唯一の希望となっていく……。

監督&翻案:アンヌ・フォンテーヌ
出演:ルー・ドゥ・ラージュ(『世界にひとつの金メダル』)、アガタ・ブゼク(『イレブン・ミニッツ』)、アガタ・クレシャ(『イーダ』)
配給:ロングライド

yoake-inori.com

© 2015 MANDARIN CINEMA AEROPLAN FILM MARS FILMS FRANCE 2 CINÉMA SCOPE PICTURES


■Profile

ルー・ドゥ・ラージュ

ルー・ドゥ・ラージュ(映画『夜明けの祈り』)1990年4月27日、フランス・ボルドー生まれ。
クリスチャン・デュゲイ監督作品『世界にひとつの金メダル』(13)とメラニー・ロラン監督作品『Respire』(14/未)で、セザール賞の有望若手女優賞に2年連続でノミネート。そのほかの主な出演作にフレデリック・ルフ監督作品『女の子が好き』(11/未/フランコフォニー映画祭での上映)、ピエロ・メッシーナ監督、ジュリエット・ビノシュ共演作『待つ女たち』(15/未/イタリア映画祭での上映)などがある。