OKWAVE Stars Vol.694は舞台『オーファンズ』に出演の細貝圭さんへのインタビューをお送りします。
Q 作品の印象をお聞かせください。
A細貝圭翻訳劇なので、シェークスピア作品のようなすごく難しいものなのかなと思っていました。でも『オーファンズ』は台本を読んでいてもすごく真っ直ぐに作品の世界に入ることができましたし、最初に読んだ時はほろっと涙が出てしまいました。必ずしもハッピーエンドというわけではないですが、ハロルドによってトリートとフィリップは救われていくので、今までとは確実に違う二人になっていくのだろうなと、そういう余韻がある作品だと感じました。
Q 演じるトリートのキャラクターをどう受け止めましたか。
A細貝圭毎日を必死に生きていて、愛情をもらえずに育った中で、弟のフィリップを育てるために、もしかしたらいろんな犯罪に手を染めているのかもしれません。悪いことだと分かっていてもフィリップと自分が生きていくにはそれしか方法が見つからないのだと思います。でも、トリート自身は真っ直ぐだし、人間らしい人物という印象です。
Q トリートとご自身の共通点などはありますか。
A細貝圭フィリップへの愛情があって、ハロルドの登場で自分からフィリップが遠ざかってしまう時に感じるもどかしさには共感します。僕も同じシチュエーションならそうなりますし、そこは多くの人が共感できるところなのかなと思います。
Q 役柄をどう作っていくのでしょう。
A細貝圭トリートにはとくに特別なアプローチはないですね。佐藤祐基くんは弟役ですが、実際には僕より一つ年上なんです。何度か共演した事があり信頼できるので、助けられる部分が多いです。本読みの段階から加藤虎ノ介さんも包み込むような温かいハロルドを演じていらっしゃるので、二人に導かれているところもあります。二人がいてくれると心強いので自分はフラットにやらせてもらっています。
Q 三人劇ということでの難しさはいかがでしょう。
A細貝圭大変なんだろうなと分かってはいましたが、演じてみるとやはり大変です(笑)。ひとりひとりが担うウェイトもそうですし、シーンの歯車がちょっとでもおかしくなると大崩れしてしまうので繊細に積み上げていかなければならないし、それを3人だけで積み上げていくのは大変だと痛感しています。
Q 稽古の様子をお聞かせください。
A細貝圭本読みを4日やって立ち稽古に入っています。作品は7場に分かれていて、1日1場ずつ、初めから台本を持たない状態で始めて、動きをつけてもらいながらシーンを繰り返しています。マキノノゾミさんの演出は、その時の心情も導いていただけるし、すごく丁寧なので分かりやすいです。
Q 作品のキーになるのはどんなところでしょう。
A細貝圭やはりハロルドの存在です。ハロルドが現れたことでトリートにとって当たり前だと思っていた日常の歯車が狂っていってしまいます。フィリップにとってはハロルドとの出会いで新しい知識を得て世界が拓けていくし、ハロルドは正しい愛情で接してくれるので大きく変化していきます。
Q トリートとしての見どころはいかがでしょう。
A細貝圭ずっと強がって突っ張って生きてきた人間が少しずつ心を開いて、いろんなことを覚えていきます。最後にはずっと押し殺していた感情が爆発してしまうのが切ないです。ハロルドとフィリップがあまりにも仲が良いので、自分はいらないんじゃないかと思って、クローゼットにしまっていたお母さんのコートにくるまるシーンがあります。トリートはそれまでそんな事はしたことがなかったんです。そんなことまでしてしまうほどの心情の変化を大事に演じていきたいと思います。
Q 細貝圭さんからOKWAVEユーザーにメッセージ!
A細貝圭『オーファンズ』は今までに様々な役者さんたちが演じてきた作品ですが、きっとこの座組みならではのカラーが出ると思います。様々な年代の方に受け入れてもらえる作品だと思います。疑似の家族の、それぞれの葛藤や嫉妬、気持ちが通じ合う場面もあり、いろんな感情の渦が入り乱れていますのですごく見応えがあります。繊細だからこそ、みんなが
普段忘れかけているものが見える瞬間があると思います。いろんな方に観ていただきたい
です。
■Information
『オーファンズ』
兵庫公演:2017年10月14日(土)・15日(日)兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
東京公演:2017年10月18日(水)〜22日(日)草月ホール
フィラデルフィアの廃屋で暮らすトリートとフィリップの孤児兄弟は、凶暴な性格の兄トリートが臆病な弟フィリップを外界に出さずに支配し、トリートの稼ぎだけで生活をしていた。そこに、やくざ者のハロルドが迷い込んできて、彼もまた孤児だったことから、3人に疑似家族のような日々が訪れる。
ハロルドはかつて自分がされたことを返すかのように、若い二人にさまざまな事を教えていく。フィリップの中でトリートの存在は少しずつ薄れていき、やがてトリートは孤独感にさいなまれてしまう。
孤児(オーファン)との共生によって再生する孤児たち(オーファンズ)の物語の向かう先とは・・・。
出演:細貝圭 佐藤祐基 加藤虎ノ介
作:ライル・ケスラー
翻訳:小田島恒志
上演台本・演出:マキノノゾミ
共同製作:サンライズプロモーション東京/兵庫県立芸術文化センター
■Profile
細貝圭
1984年10月10日生まれ 東京都出身。
幼少期から14年間米国で生活し、2008年にミュージカル「テニスの王子様」でデビュー。以後、舞台「戦国BASARA」(10~13)やTVドラマ「海賊戦隊ゴーカイジャー」(11~12・EX)など、多数の舞台や映像作品に出演。そのほか、バンド「ココア男。」のメンバーとしての音楽活動(10~12)や、ゲームアプリ「あんさんぶるスターズ」(14~)のアフレコなど、活躍の場は多岐にわたる。主な出演作品は、【舞台】「マルガリータ~戦国の天使たち~」(14)、「新・幕末純情伝」(16~17)、「パタリロ!」(16)、「デルフィニア戦記」「剣豪将軍義輝~星を継ぎし者たちへ~」(17)、【映画】「新宿スワン」(15)、【TVドラマ】「サヨナラ、えなりくん」(17・EX)など。