OKWAVE Stars Vol.703はAmazonオリジナル「日本をゆっくり走ってみたよ~あの娘のために日本一周~」主演の濱田岳さんへのインタビューをお送りします。
Q 本企画についての印象をお聞かせください。
A濱田岳この企画について聞いて、吉本先生の原作も読ませていただきました。“大人の事情”もかみ合った、今しかできない企画なんだと思いました。吉本先生の漫画はほぼエッセイで、アクション満載の話ではありませんが、自分の弱い部分と照らして「あるある」とクスクス笑えるような作品です。今よく聞く“映像化”にははまらない作品だとは思いました。けれども、参加しているスタッフ全員を引き連れて日本一周するのは、映像業界を知らない人でもそのスケール感は伝わると思います。日常的な漫画を実写化するのにこれだけのパワーが必要で、それがかみ合って初めて観るにふさわしい映像になるのだと思います。32歳のおじさんがバイクで旅をして誰かに甘えたりする、というと誰が観たいのかと思ってしまうかもしれませんが、それをこれだけのスケールで描くから、リアルで笑える映像になります。役者の仕事を続けていく中で、こんな機会はないんじゃないかという気持ちで臨むべきだと思って、参加させていただきました。
Q 日本の素晴らしい景色が再発見できる作品ですが、気に入った場所はありますか。
A濱田岳話数的には少し先になりますが、北海道はそれまでと風景が変わるので、僕らもテンションが上りました。実際のところ、毎日の撮影の量が多いので、僕たちはそんなに旅をしているという感覚を持ちづらかったんです。第2話の道後温泉のような名所に行けばテンションは上がりましたが、道中は、社会科で習ったとおり、日本の70%は山ですし、特に最初の頃に撮影した西日本は地形も気候もそれほど変化がないんです。植物もそんなに変わらないのでバイクで走っていても「香川から徳島に来たぜ!」と思えるわけではありません(笑)。それが北海道に来たら、平地の抜ける感覚も本州では味わえない光景で、麦が色づく季節でしたのでビールのCMのようでした(笑)。宗谷岬がバイカーの聖地と言われていて、スーパーカブで名古屋からやってきたという女性が宗谷岬で涙を流している姿を見て、感極まるものがあるのだと、いい光景を見させていただきました。
Q 撮影中にはご当地のグルメを楽しむことはできましたか。
A濱田岳せっかく行けるのだから土地のものを食べたいなと思っていましたが、基本的にはいつもの撮影と変わらない日々だったので、実際にはお弁当ばかりでした(笑)。でも、少しでも撮影が早く終わった日は、行ける人を募って居酒屋でご当地メニューのようなものをいただいていました。
なかでも一番長く滞在した富山ではお魚を美味しくいただきました。北海道では撮影で食べたウニ丼が印象的でした。熊本と福島でそれぞれ馬刺しを食べましたが、全然違っていて、そんな些細な発見に喜んでいました(笑)。
Q 今回の撮影のためにバイクの免許を取られたとのことですが、バイクに乗られるようになって何か日常は変わりましたでしょうか。
A濱田岳撮影のために免許を取りましたが、それまでは興味も持っていなかったです。でも、久々にどこかに通って何かを取るということでしたので、教習所自体も楽しく感じましたし、その先には撮影が待っているので苦でもなかったです。
普段の撮影では安全への配慮もあってか、クルマでもなかなか運転させてもらえないんです。今回の企画ではバイクの運転と合わせて、風景も大事に撮っていただけました。初心者で日本全国を走ることができたのは最高の贅沢だと思います。運転していて本当に楽しかったです。この物語は吉本が埃をかぶっているバイクに久々に乗るところから始まりますし、道中はほぼ順撮りでした。バイクに乗っていた方からは、撮影の最初の頃と最後の頃で乗り方が見違えるようだと言ってもらえました。それも嬉しかったです。
Q 物語は女性に告白する自信をつけるために全国一周をする主人公の旅が描かれます。そんな自信の付け方をどう思いますか。
A濱田岳僕だったら全国一周なんてしないでしょうね。でも、そこがこの主人公の吉本のいいところだと思います。断腸の覚悟というほどでもないし、日本全国を回って何をするのかはずっと漠然としたままなんです。ただ、見方を変えると、強い人なんだと思います。一人で野営しながら日本一周するなんて僕にはできませんので、自分の強さに気づかずにそれができているので、僕には愛らしく見えていいなと思いました。
Q 主人公の吉本のように自分を変えたいと思ったことはありますか。
A濱田岳小さい頃からプラス思考だったので、大人になって振り返ってみると、たとえば「チビ」と言われて腹がたっても段々とそう言われることに居心地の良さを感じるようになったり、キャラのひとつと思うような思考だったのかなと思います。ラグビーをやっていた頃、対戦相手に留学生がいて「外国人ずるいな」と思ったことがあるくらいですね(笑)。
ずっとこの仕事を続けて来られたので29歳になったいまでは感じませんが、もう少し若い頃は「どうやったら重みが出るのだろう」「男としての格好良さはどんなものなんだろう」と思うことはありました。でもとくに変えずにここまで来てしまいましたね(笑)。
自分磨きって、人に堂々と言える何かを身につけることなのかなとは思います。
Q 各地で出会う濃いキャラクターを演じる共演者との芝居についてお聞かせください。
A濱田岳1日の撮影の量が多くて、しかも定住せずに移動していくので、どうしても疲れが溜まっていきます。そこに旅をしていない元気いっぱいの、濃いキャラクターを演じる気満々のゲストが次々とやってくるんです。これは大変だと思いつつも考え方を変えて、空手の百人修行のように倒しても倒しても強い人が次々と出てくるんだという考えで臨みました(笑)。
吉本を演じる僕と撮影クルーは全国一周することが目的なので、道中にそれほど波風が立たなくてもいいと思っていました。でも物語には起伏がないといけないので、無事に撮影を終えてみると、素敵な先輩たちと若い元気な後輩たちのおかげで撮影が無事終わったんだなと思います。
芝居的には吉本は巻き込まれ系のキャラクターなので、寅さんのように行く先々で問題を起こしていたらもっと大変だっただろうなと思います。皆さんが振り回してくださる立場だったので、僕は受け身の芝居で演じることができたのでノンストレスでした。
Q 吉本の恋愛に対する姿勢で共感できるところはいかがでしょう。
A濱田岳僕と吉本の考え方は違いますが、吉本のようにメールに一喜一憂する気持ちは理解できます。旅の後半で、本仮屋ユイカさんが演じる恵理さんと吉本の回想場面が出てきます。栃木でしばらく滞在しての撮影でしたが、僕らは撮影後に飲食店を探しに行くのがすっかり習慣づいていて、その僕らの旅の感覚にはどこか“猛者感”がにじみ出ていて本仮屋さんは「普通の撮影隊とは違う」と面白がってくれました。それで食事にも付いてきてくれて、各地の旅の話を面白がってくれました。お店の場所を伝えるので連絡先を交換していたので、後日、本仮屋さんからメールをもらったのですが、その時に吉本と同じ気分になってしまいました(笑)。普通に仕事の内容なので絵文字いっぱいのメールでもなんでもないのですが、本仮屋さん演じる恵理さんの太陽のような笑みが浮かんで、吉本の気持ちがちょっと分かった気になりました。
それと、第2話のフェリーで出会ったとっつぁんが、その後も度々出てくるのですが、彼が度々核心を突くようなことを言ってきます。そのたびに吉本は言い訳をしていて、やっぱり吉本はちょっと変わっているなと演じながら思いました。
Q 独楽回しも披露されていましたが、実際にやってみていかがでしたか。
A濱田岳独楽回しの協会の方から教えていただいて、練習して撮影に挑みました。その協会の方からは「芸能人の方でここまで独楽の手載せが上手な方は特技の欄に書いていいですよ!」とやたらと褒めていただきました。
Q ちなみにご自身の特技などは?
A濱田岳趣味的なものはとくにないですが、料理は得意ですね。「釣りバカ日誌」の時は撮影でお世話になった舟屋の方からよくお魚をいただいたので、小さい頃から魚をさばいていて、それが活かせて良かったと思いました。父が漁師だったので、いつも家に魚があって、見様見真似で下ろしたりしていたんです。ですので、魚料理はいろいろ作ることができます。
Q 濱田岳さんからOKWAVEユーザーにメッセージ!
A濱田岳この作品は地上波向きではないのですが、本当に日本を一周しているドラマや映画はこのご時世ではなかなか見ることができません。それを純粋に楽しんでいただけると思います。物語は、濃いキャラクターが出てくるので、毎回違うお話が楽しめます。終盤の回では吉本が探偵のようなことをやっていて、同じクルーが撮ったとは思えないような感じにもなっています。それも楽しみにしていただければと思います。
Q濱田岳さんからOKWAVEユーザーに質問!
濱田岳皆さんは本当に旅に出たことはありますか。
よく「自分探しの旅に出る」なんて言いますが、本当に旅に行ったという話を周りで聞いたことがないので結構懐疑的です(笑)。
■Information
Amazon オリジナル「日本をゆっくり走ってみたよ~あの娘のために日本一周~」
スカイツリーの麓から大荷物を乗せたバイクで走り出した男、吉本浩二32歳、職業マンガ家。宇都宮で恵理と交わした約束は「お誕生日までに日本を一周して宇都宮に戻ってきます、だから…」
それから3日で富士山までやってくるが、ろくにテントも張れず、広げた日本地図に不安になるばかり。三重で大学時代の先輩夫婦、佐田と美幸を14年ぶりに訪れた吉本は、マイホームを持ち、すっかり立派な「お父さんお母さん」となった2人を目の当たりに。富士山で出会ったおしゃべりなキャンパーにも「なんで日本一周?」と聞かれた吉本は、泊まっていけばという佐田の誘いを断り、まだ慣れないテントでじっと恵理の写真を見つめる。果たして日本一周して強くなった姿で恵理のもとに戻れるだろうか…?日差しの中、伊勢志摩の海を望み、吉本のバイクは走り出す!
出演:濱田岳/本仮屋ユイカ/山崎紘菜ほか
原作:吉本浩二「日本をゆっくり走ってみたよ~あの娘のために日本一周~」(『漫画アクション』双葉社刊)
脚本:前田司郎
監督:湯浅典子/藤井道人/北川瞳
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■Profile
濱田岳
1988年6月28日生まれ、A型
俳優としてTVドラマ、映画、CMに活躍中。NHK連続テレビ小説「わろてんか」武井風太役として出演中。NHK「超入門!落語 THE MOVIE」案内役、NHK BSプレミアム「アナザーストーリーズ運命の分岐点」ではナレーションを担当。KDDIのauのCMに金太郎役で出演中。