OKWAVE Stars Vol.706は映画『ブレイブストーム』(2017年11月10日公開)W主演の大東駿介さん、渡部秀さんへのツーショットインタビューを送りします。
Q 本作の基となっている「シルバー仮面」「スーパーロボット レッドバロン」についてはご存知だったでしょうか。
A渡部秀名前自体は知っていましたが、僕が生まれる前の作品です。「レッドバロン」の映像を見るとゴテゴテしていてロボコンのようなキャラクターで、これをどう現代によみがえらせるのだろうなという期待と、紅健という元の作品にもいたキャラクターをどう作っていこうかと、台本が届くまでいろいろと考えていました。
大東駿介僕も名前くらいしか知らなかったです。最近は、大人が過去の番組を振り返る番組が多いので、子どもの頃好きだったウルトラマンなどをそういう番組で見ると、子どもの頃には気づかなかったメッセージ性にも気づかされました。この「シルバー仮面」も痛みを伴う作品で、ヒーローだから必ず正しいとか絶対に勝つ、というお約束のようなものに縛られていない作品で、敵にも敵の言い分があったりします。そこが「シルバー仮面」の魅力だと感じたので、今回やるなら僕がシルバー仮面に変身する時も完璧なヒーローではなく、生身の人間がスーツを着ることでの痛みや、心にも迷いが出るし、正しいことは本当は何なのかと、そういう人間ぽさが出せると面白いなと思いました。
Q 素晴らしいスタッフが集まって、熱い想いがヒシヒシと感じられる作品ですが、おふたりはそういった想いをどう受け止めましたか。
A渡部秀岡部淳也さんに尽きますよね。すごく純粋に面白いものを作ろうという熱意に「お力を貸します」という思いでした。撮影が始まる前に岡部さんと話した時に、過去の作品でどんなことをやってきたかとか、この作品ではこうしたい、という明確なビジョンをお話しされました。紅健は世界を救うような大それたことは自分には無理だというタイプです。ボクサーとしては一流ですが、兄との過去があって、人生に落胆しています。それがひょんなことから未来人と出会い、兄からはレッドバロンに乗れと言われて翻弄されていきます。ですので、むしろ普通の人に近いと思います。岡部さんからは、そんな青年が急に選ばれた、という部分をうまく出してほしいとのことで、現場でもお話ししました。
大東駿介お話をいただいた時に僕は大阪で舞台に出ていて、岡部さんがわざわざその舞台まで足を運んでくださったんです。その時はまだやるかやらないか決める前だったのに、岡部さんはシルバー仮面のスーツやレッドバロンなどの資料を机にバーッと並べたんです。
渡部秀岡部さんの作戦勝ちですね(笑)。
大東駿介その時点で熱意を感じたし、そこに遊び心や童心、希望のようなきらめきを感じて、僕らが本来やりたいことはこういうことなんだろうなと感じました。大人になるといろんな現実が前に出ますが、それよりも「こういうことがやりたい」という、岡部さんのおもちゃ箱をひっくり返したような遊び心を優先して動いていて、そこに一切妥協もなく、挑んでいく姿勢が信頼できました。だから一緒にやりたいと思いましたし、この役を演じようと思いました。
Q 渡部さんはボクサー役、大東さんは2050年から来た未来人ということで、それぞれ役作りについてお聞かせください。
大東駿介あるよ!めっちゃやったよ(笑)。
渡部秀ボクサー役ということではもちろんパンチの速さや重さもあるけれど、それよりも型を大事にしました。ちゃんとボクシングをやっている人のように見せなければならないので、大事なところでそのポージングを出せるようにしたり、今回のアクションはボクシング・アクションが多かったので、技術面ではそういったトレーニングをしました。内面では突然世界を救えと言われた時の反応や、兄弟の過去の部分を考えて役作りしました。
ボクシングは初めてで、トレーニングは3日間くらいです。
大東駿介すごいポテンシャルだな、という印象でした。3日でよくやったなと思いますよ、ボクシングだから上半身裸だし、すごいなと思いました。
僕の“2050年の役作り”は、今とは環境が違いますし、冒頭、僕はミサイルに追いかけられるところから始まります。当たり前にあったものが無くなるというのはどういうことかとずいぶん考えました。タイムスリップものを演じる時は、時間を巻き戻したり過去をやり直す時は同時に大きな歪みや悲しみが生まれるんじゃないかといつも思っています。僕は物理学が好きなので、物理学の視点でどうなのかを考えるようにしていて、ご都合主義にならないように心がけています。過去に戻ってやり直すということは何かを失うということです。今回は、家族を置いてきぼりにして過去に戻るので、その悲しみを忘れないようにしようと思いました。SFだからこそ、自分の中でリアリティを持って考えてから臨むようにしました。
Q シルバー仮面のスーツは着用していかがでしたか。どのような造形になっているのでしょうか。
A大東駿介この映画の製作のブラストの特殊造形チームがスーツを制作していますが、とにかく優秀でした。岡部さんの遺伝子を継いでいて美意識も高いです。スーツを着るとどうしてもサイズが大きくなってしまいます。それが僕は好きではなかったので、やるならちゃんと自分の体に馴染んだものにしたいと思って、スーツの衣装合わせは5、6回はやって体に馴染むまで調整してもらいました。彼らには体に馴染んでも動きが制限されるのは美意識に反するというポリシーがあって、非常にこだわってスーツを作り上げてもらいました。スーツには汚れている部分がありますが、その“汚し”の付け方にも、どういうことがあったから傷がついているのかといったことも緻密に一緒に考えてもらいました。
スーツは暑いこと以外は何も問題がなかったです。閉所恐怖症ではないけれどマスクを付けると、本番を終えてカットがかかると息が切れるんです。それは怖かったですけど楽しかったです。ブラストは職人さんの集まりでいいチームでした。ところで、仮面ライダーの時はマスクかぶる機会はあった?
渡部秀人によってはありますけど、僕はなかったんです。
Q 完成した作品を観て、印象的なシーンについてお聞かせください。
渡部秀行っちゃいましたね。僕は、タモト清嵐くん演じる光三がメカをいじっているシーンが好きです。ああいう影の功労者がいいんです。彼がシルバースーツのメンテナンスをしていますが、こういうドタバタとした展開の中で緻密に支えてくれているので、そういうシーンは色気があっていいなと思いました。物語自体はあっという間ですが、1つ1つのシーンを密にキャラクターのいろんな面を描いている作品で、中でも僕はそのシーンが好きです。
大東駿介この映画全体では映像がきれいだなと思いました。CGもそれ以外のところもそうです。今回、カメラマンをはじめ、技術部の人たちの多くがハリウッドで活躍されている日本人の方たちなんです。しかもカメラマンの方は同い歳で同じ堺市出身です。同じ土地で青春時代を過ごした者同士で、彼の作る美しい映像の中で演技ができて幸せでした。ヒーロー物にとどまらない空気感を彼が切り抜いてくれました。
シーンで言えば、山本千尋ちゃん演じるはるかがめっちゃ強いです(笑)。テレポーテーションなどのサイキックができて、ノーCGでアクションもこなして、やっぱり女は強い、ということですね(笑)。
Q OKWAVEユーザーにメッセージ!
A渡部秀分かりやすい作品ではあるけれど、メッセージ性もあるし、もしかしたらこれから遠くない未来にこうなってしまうかもしれないという現実味もあるので、この作品を通していろいろなことを考えてほしいです。何より、大人が一生懸命になってこういう大きな作品を作り上げたのでぜひ隅々まで楽しんでほしいです。
大東駿介僕らの父親世代かそれ以上の世代が知っている作品が基になっているので、お子さんを連れてでもいいですし、いろんな年代の方に観に行っていただきたい作品だと思います。「シルバー仮面」と「レッドバロン」を今やる意味を僕は感じましたし、海外でも人気が高いそうなので、日本がやろうとしているエンターテインメントが詰まっている作品だと思います。
■Information
『ブレイブストーム』
2050年、地球人類は滅亡していた。
極わずかに残された人類の中、春日5人兄弟は過去に時間移動し、侵略者キルギス星人を地球侵略開始前に抹殺することを計画。
奪取したキルギス星人の巨大ロボット設計データ。そして、宇宙人探知グラス、サイキック能力、強化スーツ・シルバー、3つの力を手に、2015年の過去へ移動する。
過去へ到着した春日兄弟は、ロボット工学者・紅健一郎へ接触し、巨大ロボット・レッドバロンの製造を懇願する。
紅健一郎はロボット製作を同意するが、一つの条件があった。健一郎の弟、紅健は望むこと無く、レッドバロン操縦者として地球存亡のカギを握る壮絶な戦いに巻き込まれてゆく。
エイリアン VS 強化人間
巨大ロボット VS 巨大ロボット
東京を舞台に、壮絶なバトルが開始される!
大東駿介 渡部秀
山本千尋 タモト清嵐 春日光一 壇蜜 松崎悠希 藤田富
泉谷しげる 寺脇康文 吉沢悠 他
プロデューサー・脚本・編集・監督:岡部淳也
配給:株式会社プレシディオ
©albatross japan
大東駿介
1986年3月13日生まれ、大阪府出身、A型。
役者としてTVドラマ、映画、舞台、CMに活躍中。
TX「フリンジマン」出演中。
今後の出演作に、Bunkamuraシアターコクーン「プルートゥ PLUTO」(18年1月7日~28日東京公演・2月ヨーロッパ公演・3月大阪公演)、映画『曇天に笑う』本広克行監督(18年3月21日公開)、『YOU達HAPPY映画版ひまわり』(18年夏公開)など。
https://www.shunsuke-daitoh.com/
渡部秀
1991年10月26日生まれ、秋田県出身。
2008年「第21回ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」準グランプリ受賞。2010年、「仮面ライダーオーズ」で主演を果たし、同作で映画初主演を飾るなど現在も俳優として活躍中。主な出演作に連続テレビ小説「純と愛」、ドラマ「科捜研の女16」、映画『進撃の巨人』『シュウカツ』など。テレビ朝日系「科捜研の女Season17」に橋口呂太役で出演中。
今後の出演作に映画『仮面ライダー平成ジェネレーションズFINAL ビルド&エグゼイドwithレジェンドライダー』『シュウカツ2』『おみおくり』など。
http://artist.amuse.co.jp/artist/watanabe_shu/
Twitter: @shu_wa1026