OKWAVE Stars Vol.723はミュージカル「HEADS UP!/ヘッズ・アップ!」演出のラサール石井さんへのインタビューをお送りします。
Q 2年ぶりの再演についてのお気持ちをお聞かせください。
Aラサール石井再演するなら早い方がいいなと思っていました。このタイミングでちょうど初演のキャスト皆さんのスケジュールが奇跡的に合ったのはとてもラッキーだと思いました。
Q 本作のアイデアはどこから生まれたのでしょう。
Aラサール石井役者には大道具の仕事をアルバイトでやっている人が多いんです。知り合いの若い役者はみんな大道具ができるから、舞台上で大道具を作る話をやったら面白いんじゃないかと思いました。トラブルがありながらも舞台を仕込む、という話を考えましたが、大道具にはバラシ作業もあるなと。それで、一幕で仕込んで、二幕でバラす、という素舞台で始まって素舞台で終わるというのも物哀しくていいなと思ったんです。でも、誰に話しても「それのどこが面白いの」と言われてしまい、なかなか企画が進みませんでしたけどね。
Q 初演の際の手応えについて改めてお聞かせください。
Aラサール石井初日から大ウケで最後はスタンディングオベーションでした。毎公演スタンディングだったので、皆さん喜んでいるんだということが伝わってきましたね。
Q 再演ということで、今回はどう見せていきたいですか。
Aラサール石井再演というと「初演が面白かったからまた行こう」という人も多いですから、初演と全く違っていてもいけません。名物料理を同じように出すように基本は変えませんでした。でも、できるだけブラッシュアップしてお見せしようと思っています。
Q 初演のメンバーがほとんど揃いました。
Aラサール石井いい意味でみんな変わらないですね。初演メンバーとはLINEのグループでこの2年間ずっと話していたぐらいみんな仲良しで。相葉裕樹君なんか『レ・ミゼラブル』に出演して成長したので、さらにいいものを見せてくれると思います。
新しく加わった人も、魅力的なメンバーが入ってきたので期待しています。
Q どのような演出スタイルでしょうか。
Aラサール石井僕は喜劇をやることが多いです。「バカヤロー!」と怒っていたら喜劇はできませんので、シビアで怖い稽古場ということはありえません。できるだけみんなの和を大切に、仲良くしようと心がけています。とくに今回の物語の性質上、スターシステムはありえませんので哀川翔さんだけを優遇するということもなく、稽古場に入ったらみんな同じように接します。風通し良く、誰でも芝居を良くするための意見が出しやすくするようにしています。中川晃教君をはじめ、いろんな意見を言ってくれるので、みんなもそれを聞いてさらにいいものにしようとしていますね。
Q 初演を通じて、構想段階から際立ったキャラクターなどの発見はありましたか。
Aラサール石井陰山泰さんが演じた照明担当の飯塚さんは地味な存在ではありますが、「高所恐怖症の照明」という設定であれだけ面白くなりましたし、そこに格好いい悲壮感のあるコーラスまでつきました。そのコーラスは裏で大空ゆうひさんや青木さやかさんなどメインキャストもやってくれているのでさらに魅力的なものになりました。
Q 今回初めて鑑賞する人たちに見どころをお聞かせください。
Aラサール石井最後の最後ですね。「仕込んで、バラして」というだけでも面白いですが、そこにプラスして中川君の演じる熊川さん(劇場付雑用係)の存在が大きな意味を持ってきますので、一番の見せ場になります。それと、今拓哉さんが演じた劇中劇の王様があんなに受けるとは思っていなかったです。王様がものすごい人気者になりましたので、今回も見どころになると思います。
この作品は2回、3回と観ると、仕掛けの部分の伏線や、舞台上のあちこちでいろいろなことが起きているので新しい発見もあると思います。
Q 舞台を題材とした作品にちなんで、いまの舞台を取り巻く環境についてどう捉えていますでしょうか。
Aラサール石井非常に盛り上がっていると思います。映像の世界の人気者がこぞって舞台に出演するようになって、舞台にもお金がかけられるようになりました。お客様も増えていますし、多様な舞台が生まれています。翻訳モノも面白いですが、これからは世界に通用するような日本の作品が出てくるのではないかと思います。
Q ミュージカル作品を作り上げるにあたっては、どのように構築をしていくものなのでしょうか。
Aラサール石井この作品を作る上で、ブロードウェイ作品をリサーチして歌と芝居の時間も測ったりしました。意外にも、一曲は長くても3分以内、しかもその間の芝居も1分以内ということが多いです。そういった感覚をつかんで、テンポよく物語と歌のバランスを取って、一番いい場面がより効果的になるような工夫を凝らしました。
Q ラサール石井さんからOKWAVEユーザーにメッセージ!
Aラサール石井初演の時にもお客さんのウケがすごく良かったので、再演がそれよりも劣るとは思っていません。自信を持って「面白いですよ」と言える作品ですし、ミュージカルとしてもいい作品になっていると思います。ミュージカル通の方にも、初めて観るという方にも楽しめる作品です。
Qラサール石井さんからOKWAVEユーザーに質問!
ラサール石井2018年5月にこまつ座で「たいこどんどん」という作品を演出します。五月舎という劇団で1975年に初演をされましたが、主演がなべおさみさんだということはわかっていますが、他に誰が出演していたのか調べても分からないんです。当時観劇された方やパンフレット等をお持ちの方がいたら、当時のキャストを教えてください。
■Information
ミュージカル「HEADS UP!/ヘッズ・アップ!」
2018年1月20日(土)富山公演 オーバード・ホール
2018年1月26日(金)・27日(土)長野公演 サントミューゼ 大ホール
2018年2月2日(金)~2月4日(日)大阪公演 新歌舞伎座
2018年2月15日(木)・16日(金)名古屋公演 刈谷市総合文化センター アイリス 大ホール
2018年3月2日(金)~12日(月)東京公演 TBS赤坂ACTシアター
ミュージカルファンなら誰もが知る“あの名作”が1,000回目の公演を終え、華々しく終了する、はず…だった。
しかし、主演俳優の鶴の一声で、某地方都市の古い劇場で1,001回目を上演することに!
さあ、現場はてんやわんや。舞台美術は廃棄済み、スタッフの人手も足りない、キャストのスケジュールも押さえていない…、さらに、舞台の総指揮を執るのはこの作品が初めて、という新人舞台監督!とんでもない条件の中でもスタッフたちは必死に幕を開けようと奮闘する。幸か不幸か、チケットは完売、つまり観客が待っている!!
舞台本番当日、新米“舞台監督”のデビュー作は問題山積!
果たして幕は無事に開けられるのか…。
哀川翔 / 相葉裕樹 橋本じゅん 青木さやか 池田純矢
今拓哉 芋洗坂係長 オレノグラフィティ 陰山泰
岡田誠 河本章宏 井上珠美 新良エツ子 外岡えりか
福永吉洋 大竹浩一 森内翔大 香月彩里 谷須美子 伊藤結花 小林佑里花
大空ゆうひ 中川晃教
脚本:倉持裕
原案・作詞・演出:ラサール石井
作曲・音楽監督:玉麻尚一
振付:川崎悦子
公式サイト:http://m-headsup.com/
Twitter:@KAATHEADSUP
企画製作:KAAT神奈川芸術劇場、石井光三オフィス
■Profile
ラサール石井
1955年10月19日生まれ、大阪市出身。
役者としてドラマ、映画、舞台に活躍中。演出家として作および演出作品も多数。