OKWAVE Stars Vol.724は大ヒット公開中の『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』来日会見の模様をお送りします。
登壇者:マーク・ハミル(ルーク・スカイウォーカー役)、アダム・ドライバー(カイロ・レン役)、ライアン・ジョンソン(監督)、キャスリーン・ケネディ(ルーカスフィルム社長)
Q まずはご挨拶をお願いします。
Aキャスリーン・ケネディこうしてまた東京に来られて、これほど興奮することはないです。
マーク・ハミル僕は高校時代に2年ほど日本に住んでいました。自分にとって特別なこの場所に戻ってくることができて嬉しいです。昨晩は日本のファンのみんなと触れ合えて最高でした。
アダム・ドライバー2年前にこの場所に来て、今回また同じ場所に立てて嬉しいです。「スター・ウォーズ」の根底のルーツは日本にあるので、この地にこの作品を紹介できることはとても嬉しいです。
ライアン・ジョンソン昨晩、「スター・ウォーズ」ファンの皆さんに会えて、この作品への期待感を感じることができましたし、それを見ている僕たちもワクワクしました。
Q 背景に描いているのは「スター・ウォーズ」と日本の浮世絵のコラボですが、ご覧になっていかがですか。
Aライアン・ジョンソン大変美しいです。先ほどアダムが話していたように、「スター・ウォーズ」のオリジナル三部作は日本の文化と非常に強い絆を持っています。こうして、ルークと新しい三部作のキャラクターが一緒に描かれていることも素敵です。アダムも「よく描けている」と言ってますよ(笑)。
アダム・ドライバー監督の仰る通りです(会場笑)。
マーク・ハミル皆さんご存知の通り、ジョージ・ルーカス監督は旧三部作を撮る時に黒澤明監督から強い影響を受けていました。『隠し砦の三悪人』がベースにありますし、ダース・ベイダーのマスクは武将の兜を思わせるものです。そういう日本の文化を継承しつつ、新しい「スター・ウォーズ」の世界を描いていて、非常に光栄に思っています。
Q 衝撃的、と言われる本作の見どころについてお聞かせください。
Aキャスリーン・ケネディこの映画の見どころは光と闇の間にある緊張感です。レイは非常に衝撃的な変身を遂げていきます。レイはルーク、あるいはカイロ・レンとの邂逅を経て、自分は何者なのかを探っていきます。それがこの映画で最も衝撃的なところでもあります。
Q マーク・ハミルさん、久々の日本はいかがですか。
Aマーク・ハミル今回はまだホテルから出てないけれど、日本は大好きなので来るたびに楽しんでいます。先ほどの質問に戻ると、自分にとって衝撃的だったのは、自分に役が回ってきたことですね。ジェダイになると、まさか年金のプランまでついてくることを知って安心しています(笑)。
Q 今回のカイロ・レンは予告編でもマスクを外している姿が多く見られます。そのことについてお聞かせください。
Aアダム・ドライバーお答えできません(会場笑)。内容について一切触れられない映画の宣伝をすることは非常に厳しいことなんです(会場爆笑)。でも、マスクそのものについてお話しさせていただくと、このマスクと私は愛憎関係にあります。『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』では、マスクは「スター・ウォーズ」という作品の象徴的なものだから、という理由だけではなく、なぜカイロ・レンがマスクを付けるのかについても語られていました。この仕事をいただいた時に、キャスリーン・ケネディさんからは「この映画にはいろんな人のアイディアが集約されている」と言われました。様々なアイディアのひとつに衣装があります。カイロ・レンがマスクを付けるのは何から隠れるためなのか、という理由もそうですし、見た目もそうです。それで実際にマスクをつけていると、不意に他人を驚かせてしまうこともありましたし、自分からは周りが見えづらいし、それで転んでしまうこともありました。話が長くなりましたが、僕が気にしているのは、カイロ・レンは宇宙でひげを剃るのか、その時にひげそりはあるのか、ということです(会場笑)。
Q 旧三部作と比べて技術的な面で驚いたことや新しい発見はありましたか。
Aマーク・ハミル仰るとおり、旧三部作をジョージ・ルーカス監督と撮っていた時代とは格段に進歩しています。ルーカス監督は当時「最も高額な予算がついたインディー映画」と言っていました。それだけ、予算や技術がない中でいろいろと想像力を膨らませて作っていったからです。それはそれでいい部分だったとも思います。それと同じで、技術が進化しても進化しすぎたことで、逆に昔に戻ろう、という風潮も一部あるような気がします。今回の『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』もなるべくセットを立てて、セットの上で撮影しよう、という試みがされていました。ただ、映画作りの過程がこれほどまでに大掛かりになっているという、スケールの大きさには驚かされました。セット、衣装、それだけでも何人ものスタッフがいて、ものすごく多様に分業されていて、自分もそんなモザイクのかけらのひとつなんだと思わされました。
Q 「スター・ウォーズ」は日本文化とのつながりが深いということですが、そのことで何か未公開の情報がありましたら教えてください。
Aキャスリーン・ケネディ皆さんご存知のようにジョージ・ルーカス監督は黒澤映画の影響を受けています。『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』では直接的なものというよりはいろいろな意味での影響を受けていると言えます。私は日本に来るたびに日本のアートの美しさに惹かれます。同時に「スター・ウォーズ」の影響を受けたマンガなどを見せていただくのですが、どれも素晴らしく、常々、日本と「スター・ウォーズ」の関係の深さを感じています。
Q キャリー・フィッシャーさんが亡くなってしまって、「スター・ウォーズ」ファミリーにはどんな影響が及んでいるでしょうか。
Aライアン・ジョンソン彼女の今回の演技は大変美しいものです。それ自体がレイア姫への素晴らしいトリビュートになっていると思います。撮影している当時はまさかこれが最後になるとは我々も思っていなかったですし、スクリーンでキャリー・フィッシャーさんを観てきた方、彼女からインスピレーションを与えられてきた方、皆さんが喪失感を抱えていると思います。彼女の今回の演技を見てもらうことで、少しでも悲しさが薄れることを願っています。
マーク・ハミルキャリーと出会った時は19歳だったから、本当に彼女とは唯一無二のかけがえのない存在でしたし、それはきっと皆さんも同じだと思います。誰もが彼女を愛していたと思います。自分の中では今でも彼女が生きているのではと思っています。今回、素晴らしい演技を披露していますし、そんな映画を観てしまうと、余計に彼女が今も近くにいるんじゃないかという気にさせられます。これが彼女の遺作になってしまったことで、映画自体がどこか感傷的な作品として覆われてしまうのは残念なことですので、彼女がモットーとしたように毎日を精一杯楽しんで生きる、ということを、皆さんも感じてもらえたら、彼女も嬉しく思ってくれるのではないかと思います。ルークとレイアの関係のように、僕らは口論することもよくあったけどすぐに仲直りもして、実際の兄妹のように過ごしてきたので、本当にかけがえのない存在です。
Q 今回、ライアン・ジョンソン監督に任せた決め手は何だったのでしょう。
Aキャスリーン・ケネディライアン、ちょっと向こうに行っていて(笑)。
ライアン・ジョンソン耳をふさいでおくよ(笑)。
キャスリーン・ケネディライアン監督は素晴らしい経験をしたと思います。最初に彼と話したのは3年くらい前だったと思います。非常に長い期間をかけて、脚本も書いてくれましたし、念入りに準備もしてくれました。そしてライアン監督とパートナーを組んだプロデューサーのラム・バーグマンさんが私たちに素晴らしい経験をさせてくれました。個人的にも、ルーカスフィルムとしても、そしてディズニーとしても、彼が監督を務めて私たちと一緒にやっていけるということは、将来に渡って非常に明るくファンタスティックなことだと思います。これから彼がどんな映画を撮るかは今時点では全くの白紙です。でも、本当にすごいことをしてくれると思いますし、2018年新年早々にアイデアを出し合ってブレインストーミングを行う予定です。
「スター・ウォーズ」が40年に渡ってこれだけ愛されてきたのにはいろいろな要素があると思います。そういうものを大切にこれからも「スター・ウォーズ」を作っていきたいです。
Q 最後に、伝説のジェダイが姿を消したことと、カイロ・レンがダークサイドに堕ちたことに何か関係はありますか。
Aライアン・ジョンソン会見の最後にMCがネタバレを引き出そうとするなんて巧いですね(笑)。それはぜひ映画を観ていただければと思いますので、僕から答えるのはやめておきます。
■Information
『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』
『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』のその後を描く、誰も観たことのない衝撃の 「スター・ウォーズ」。ついにフォースを覚醒させたレイと、ダース・ベイダーを継ごうとするカイロ・レン。伝説のジェダイ、ルーク・スカイウォーカーの出現は何をもたらすのか?そして、“光”と“闇”の間で揺れ動く二人を待ち受ける“衝撃の運命”とは?
キャスト:マーク・ハミル、キャリー・フィッシャー、アダム・ドライバー、デイジー・リドリー、
ジョン・ボイエガ、オスカー・アイザック、ルピタ・ニョンゴ、アンディ・サーキス、
ドーナル・グリーソン、アンソニー・ダニエルズ、グウェンドリン・クリスティ、
ケリー・マリー・トラン、ローラ・ダーン and べニチオ・デル・トロ
監督・脚本:ライアン・ジョンソン
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
公式サイト:http://starwars.disney.co.jp/movie/lastjedi.html
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