Vol.748 女優 平塚千瑛(映画『私は絶対許さない』)

平塚千瑛(『私は絶対許さない』)

OKWAVE Stars Vol.748は映画『私は絶対許さない』(2018年4月7日公開)W主演の平塚千瑛さんへのインタビューをお送りします。

Q 主演に決まった際のご感想をお聞かせください。

A映画『私は絶対許さない』平塚千瑛オーディションで選んでいただいてありがたかったです。2017年の2月にクランクインでしたが、その前の年の9月に私の初めての写真集を出させていただいて、週刊誌や新聞にたくさん取り上げていただいたのが目に止まったとのことで製作の方からオーディションのオファーをいただきました。その時点で実話を基にしていることと、脱ぐという条件をお聞きしていました。それで原作を読んでみたところ、もし今後私に子どもが生まれたらその子に同じことが起きるかもしれないし、性犯罪にここまで焦点を当てた映画はなかなかなかったので、女性としても、何かを伝えることを仕事にしている一人としても使命感に駆られました。それで「ぜひ演じさせていただきたいです」とオーディションでも伝えて、上京して整形手術を受けた後の葉子として主役に選んでいただきました。

Q 映画の中では葉子に男性が次々寄ってきますが、雪村葉子さん本人の印象などはいかがでしょうか。

A平塚千瑛私も雪村さんにお会いさせていただきましたが、人を惹きつける何かを持っているように感じました。ご本人は本当にこんな犯罪に巻き込まれたのかなと思うくらい明るくハキハキと振る舞われていて、でもどこか影のあるミステリアスな雰囲気のある魅力的な方でしたので、女性から見ても言い寄られてしまうのは分かりました。引き寄せられてしまうような魔性の雰囲気がありましたので、そこをお芝居で再現できるよう、できる限りのことをしました。

Q 雪村葉子さんの生き様についてはどう感じましたか。

A平塚千瑛性犯罪を受けながらも、自ら命を絶ったりせず、相手の命を奪うような復讐ではなく、性犯罪の辛さを自分のパワーに変えた雪村葉子さんの強さに共感を覚えました。言葉で言い聞かせるのではなく暴力で支配する父や守ってくれない母親、家族、自分の味方をしてくれる人間がいない環境の中で育ってきたので、幼いころから自分を守るのは自分しかいなかったのだと思います。15歳の時に葉子さんの身に起こった辛い経験が後に生き方を変えるきっかけになり、過去の自分に徐々に決別して行ったのだと感じました。その姿を見てこの強さはどこからくるんだろう、並大抵の精神力ではないと思いました。

Q 主観撮影という手法についてはいかがだったでしょうか。ご自身が意外に画面にいないのがなかなか衝撃でしたが。

A映画『私は絶対許さない』平塚千瑛映画主演も初めてでしたし、ここまでお芝居にどっぷりと浸からせていただくのも初めてでしたが、おそらくどの現場のテイク数よりも多かったと思います。カメラマンの高間賢治さんと私が同じ動きをして撮っていくので、本当に高間さんとは二人三脚のように取り組ませていただいて感謝しても感謝しきれないくらいです。今振り返ると、テイク数はとてつもなく多かったなと思います。5分のシーンを3時間くらいかけて撮ることもありました。全部が主観というのはこんなに大変だとは撮影前には思いませんでした。

Q とくに大変だったシーンなどはありますか。

A映画『私は絶対許さない』平塚千瑛初めて人前で脱ぐということもそうでしたし、風俗で働くシーンでは胸を鷲掴みされたりしたので、カットがかかった後にメイク室で一人で震えながら泣いたこともありました。それは緊張と不安と怖さからでした。性被害に遭われた方は男性に触れられるのも怖いと聞きますが、それ以上のことをされることは雪村さんにとっては耐えられないことだったのだろうなと思うと感極まってしまったんです。私にとってはその時々のお相手の俳優さんやスタッフさんに支えられて乗り越えられたシーンがたくさんありますので、皆さんに感謝しています。
それと、SM嬢になるシーンもそうですが、今まで自分が体験したことがない表現をするのはとても難しいことだと思いました。これまで演技には取り組んでこなかった自分を悔やむこともありましたが、その場で教えていただいて表現ができて、まずは良かったなとも思います。

Q 性的な被害をうける度に風俗の仕事に戻ってしまう葉子の行動について思うところは。

A平塚千瑛旦那さんと出会った時は自分に全く手を出してこなかったので、それまでずっと性に苦しめられてきたのに今度は自分から求めてしまう中で、どんどん旦那さんに自分自身を変えられてしまいます。雪村さんの気持ちは女性の私には分かります。風俗をやっている女性は疑似恋愛を演じなければならないと思うのです。相手の男性は一時の欲望のはけ口かもしれません。しかし中には一時だけでも生身の女性に触れて疑似恋愛に身を投じる方もいると思います。葉子さんは本当にお金の為だけに風俗をやっていたのか、生きていく上での哀しさや辛さ、淋しさを埋める為に葉子さんが帰る場所が風俗だったように思います。

Q 女性から見て、被害に遭われてしまったからこそ、同じようなことを引き寄せてしまうことはあるのでしょうか。

A平塚千瑛最初の性被害を受けた後に、葉子は自傷行為をして死のうとしても死にきれなかった側面があるので、そんな時には「なるようになれ」という気持ちになってしまうのも理解できます。一度そういう行為をされたことを認めてしまえば、その後の早田さんとの関係は、むしろ自分に優しくしてくれるので受け入れてしまう気持ちも理解できるんです。そういう意味では早田さんのような相手だったのが葉子にとってまだ良かったのだと思います。

Q 完成した映画を観てどのように感じましたか。

A平塚千瑛1年前の撮影でしたので、完成した映画を観た時は自分のつたない演技にむしろ恥ずかしくなりました。これからはもっといい演技ができるようにしようという気持ちになりました。今回、主観撮影ということで、私が画面に出ているのは鏡越しだったり、西川可奈子さんが演じている過去の葉子から見た客観的な姿の時だけです。逆に葉子が今どんな姿なのかを観ている側もいい意味で忘れてしまうので、葉子が見ている世界を自分自身が体験できるように作られていると感じました。
当時の私の精一杯の技量が全て詰まっているので、ありがたいですし、それでインドのノイダ国際映画祭で審査員特別賞をいただいたのもありがたい気持ちでいっぱいです。性犯罪が多いインドの国際映画祭で審査員特別賞をいただけたので、認められた気持ちが強いです。

Q 本作主演を経て、何か気づきや発見はありましたか。

A平塚千瑛平塚千瑛ベテランの俳優さん、女優さんに囲まれて、「演技を盗む」という言い方をしますが、ここまで勉強になる現場はないと思うくらいいろんなことを学ばせていただきました。これは裏話にもなりますが、高速道路のサービスエリアで撮影している時に、隆大介さんと東てる美さんが演じる夫婦が喧嘩を始めるシーンで、サービスエリアに来ていたお客さんが本当に止めに入るくらいの演技をお二人がされて、「ああ、これが本物の演技なんだ」と思いました。通行人を巻き込むくらいのお二人の芝居を目の当たりにして、私もそういう女優さんになりたいと思いました。
宮沢りえさんのような女優になりたいですけれど、まずはたくさんの映画や舞台に出て経験を積んで日々勉強をさせていただいています。

Q 平塚千瑛さんからOKWAVEユーザーにメッセージ!

A平塚千瑛歪んだ愛情を与えられた葉子が「この人と一緒にいてはいけない」と気づいた瞬間の心理状況や、生まれ変わらなければという心境の変化が芽生える場面は女性の皆さんにはぜひ観ていただきたいです。純情無垢だった女の子が、SM嬢になってムチを振るようになるまでに成長していく姿も観ていただきたいです。男性の皆さんにもこの映画を観て考えていただきたいです。

Q平塚千瑛さんからOKWAVEユーザーに質問!

平塚千瑛もしあなたならどういう復讐の仕方を思いつきますか。
男性の方は自分の娘だったらと考えてみてください。

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■Information

『私は絶対許さない』

映画『私は絶対許さない』2018年4月7日(土)~テアトル新宿にて公開ほか全国順次

東北地方の田舎で育った中学3年生の葉子は、メガネに化粧っ気のない素朴な女の子。厳格な父と、女々しく意地悪な母と、優しいがどこか他人事の様に接する祖母と、小さな弟と妹に囲まれて平凡に暮らしていた。あの日までは……。
年末、若い男達に無理やり輪姦されたのだった。
元旦に全身傷だらけで帰宅した葉子を待ち受けていたものは、冷たく突き放す家族と親戚だけだった。体のみならず、心もズタズタにされ、天涯孤独の様な気持ちだった。ひょんなことからレイプ犯の一人である若者の養父・早田と出会い、援助交際という名の契約を交わす。どうせ私は傷物なんだから……。
冬休み明けの学校でも、瞬く間に輪姦された噂は広まり、イジメが始まった。その間も援助交際でコツコツと大金を稼ぐ葉子。一刻も早くこの地獄から自力で抜け出すために。そしていつか、あの男達に復讐するために……。
高校卒業後、大都会東京へ。
すぐさま全身整形し、昼間は真面目な学生、夜は学費や生活費を稼ぐべく風俗で働いていた。そんな中、葉子は客としてきた雪村に出会う。彼は将来の夫になる人だった……。しかし、ある日、彼の真実を知ってしまう……。
そんな体験を実際に持つ雪村葉子さんが35歳になって執筆した手記を元に、その半生をたどる衝撃のストーリー。彼女は日々何を見て、何を感じ、何に対して復讐しているのか。あの男達への思いは……。

出演:平塚千瑛、西川可奈子、隆大介、佐野史郎 ほか
監督:和田秀樹
原作:雪村葉子(ブックマン社)
脚本:黒沢久子

http://watashihazettaiyurusanai.com/

(C) 2018 『私は絶対許さない』製作委員会


■Profile

平塚千瑛

平塚千瑛(映画『私は絶対許さない』)1986年8月6日生まれ、山形県出身。B型。
女優、グラビアモデルとして活躍中。

https://twitter.com/chiaki_hira2ka
https://ameblo.jp/chiaki-143x