OKWAVE Stars Vol.756は映画『四月の永い夢』(2018年5月12日公開)主演の朝倉あきさんへのインタビューをお送りします。
Q 台本を読んでどう感じましたか。
A朝倉あき監督の中川龍太郎さんが詩人としても活動されているからか、セリフとト書きの間に何かが見えてくるような台本でした。読んでいて、登場人物の一人一人に人間らしい部分があったり、とても丁寧に作り込まれているので共感できるところが多かったです。初海というキャラクターを通して、中川さんが作った情景豊かな世界を生きたら、どんな風になるのかなという興味が湧き上がりました。
Q 演じた初海というキャラクターについてはどう受け止めましたか。
A朝倉あきなかなか一言で言い表せない人物です。見る人によっては、とても柔らかい印象の女性に見えますし、とても芯の強い女性にも見えます。いろいろな女性像に見えるのが面白いですが、私自身は、自分の気持ちや愛する人との関係に真摯に向き合おうとする、真面目な女性だと思いました。今だけまっすぐ考えているのか、昔からそうなのかははっきりと描かれていませんが、以前は教師をしていて、楓ちゃんとのシーンにそんな一面が見られます。それが本来の彼女らしい面なのかもとも思いました。
とても透明感のあるキャラクターだったので、私らしい部分を入れることはあまりしなかったです。その場の流れをしっかりと感じて臨もうと思いました。
Q 初海とご自身には共通点や違いなどはいかがですか。
A朝倉あき私の中ではだいぶ違うなと思いました。一番そう感じたのは三浦貴大さんが演じる志熊と初海が二人でいるシーンです。私としては「気持ちはどっちなの!?」と、とてももどかしかったです(笑)。初海にしてみれば、志熊との出会いで自分の一番見たくない面と向き合うことになるのですが、私自身はもやもやしていました(笑)。でも、中川さんはその「もやもやしたどうしたらいいのか分からない感じ」を撮りたかったと思うので、それはそれで良かったのだと思います。
Q 中川監督とはどんなお話をして臨みましたか。
A朝倉あき私自身はお喋り好きで、話し始めると勢い良く話す方なのですが、監督からは初海が喋る時のトーンは落としてほしいと最初に言われました。初海というキャラクターを映画を観ている方により身近に感じられるようにという意図だったと思いますし、私自身のことを見抜かれたのかなとも思いました。ボソボソと話すことでキャラクターにより寄せられるということでもありがたかったです。
撮影中は、初海がはっきりと感情を表しているのは冒頭と最後のナレーションだけで、言葉で感情を表すシーンはほとんどないので、仕草や表情での細かな調整をしていただきました。
Q 共演者の方々についてお聞かせください。
A朝倉あき皆さん魅力的で、お会いする前は早く現場でお芝居したいという気持ちでいっぱいでした。実際にお会いすると皆さんナチュラルで穏やかな方ばかりでした。初海の元教え子役の楓ちゃんはこの作品の中で一番はっちゃけた役ですが、演じた川崎ゆり子さんは私と同い年で、すごく女の子らしい方でお話ししていて居心地がとても良かったです。三浦さんはいつも自然体でその時の状況を見てゆっくりと合わせてくれて、見守っていただいているような感じがして、お芝居をしていて安心感がありました。高橋惠子さんとの共演は刺激的でした。他のキャストの方は声でキャスティングしたと中川さんから聞いていました。実際、高橋さんの声を聞きながらお芝居をしていると新たな扉が開くような感覚になりました。こちらの気持ちも高まるような、素敵なお芝居を目の前で見ることができました。
Q ロケーションがどこも美しいところでしたね。
A朝倉あき冒頭の桜は春に撮っていますが、それ以外は全て夏に撮影していて、とくに富山はいい季節に行くことができたなと思います。緑生い茂る中でお芝居ができて良かったです。
Q ラジオが小道具として活かされていました。
A朝倉あき私もラジオ番組を2年くらい前からもたせていただいて、自分でやってみてラジオの良さに気づいて聴くようになりました。初海のような一人のまったりした時間をラジオとともに過ごす気持ちというのもよく分かります。演じる際はそんな私がいつも楽しんでいるように演じました。
Q この映画をどのように受け止めてほしいですか。
A朝倉あき初海が一人では解決できなくなってしまった問題とゆっくり向き合う映画です。今まさに何かを抱えていたり、ほどけなくなってしまったものをいったん置いてがんばっていらっしゃる方に寄り添う手紙のように受け止めてもらえたらと思います。
Q 朝倉さんご自身は初海のように一歩前に進めないような時期はありましたか。
A朝倉あきいっぱいありましたし今でもあります。私の場合はとりあえずやるべきことをやるしかないという気持ちで過ごしました。立ち止まるなら立ち止まる、何かをやるならやる、ということがあまり自分自身を傷つけずに前に進める方法なのかなと思います。
Q モスクワ国際映画祭では国際映画批評家連盟賞、ロシア映画批評家連盟特別表彰のダブル受賞と、海外の映画祭にて受賞されましたが、そのことで思うことはありましたか。
A朝倉あきとても普遍的な万人に共通するようなテーマを扱っている作品だからこそ、海外の方にも届く何かがあったと思います。中川さんをはじめ、この映画にかけたみんなの成し遂げたものだと思います。
Q 朝倉あきさんからOKWAVEユーザーにメッセージ!
A朝倉あき観てくださる方の心の奥底に届くような、とても丁寧な映画ができたと思います。肌さわりや風やにおい、温度を感じられるような、中川さんが作った映像作品を劇場で感じていただいて、休まるような時間になればいいなと思います。
Q朝倉あきさんからOKWAVEユーザーに質問!
朝倉あきこの映画では、初海には長い休みがあって、最後に富山に行きますが、皆さんが行ったことがないところで、休みを取って行ってみたい場所はどこですか。
それと、私もですが、初海はマンガ好きで、マンガを読んでいるシーンが出てきます。皆さんが好きなマンガともし実写化されるとしたら理想のキャストをぜひ教えてください。
■Information
『四月の永い夢』
3年前に恋人を亡くした27歳の滝本初海。音楽教師を辞めたままの穏やかな日常は、亡くなった彼からの手紙をきっかけに動き出す。
元教え子との遭遇、染物工場で働く青年からの思いがけない告白。そして心の奥の小さな秘密。
喪失感から緩やかに解放されていく初海の日々が紡がれる。
出演:朝倉あき 三浦貴大 川崎ゆり子 高橋由美子 青柳文子 森次晃嗣 / 志賀廣太郎 高橋惠子
監督・脚本:中川龍太郎(『走れ、絶望に追いつかれない速さで』)
配給:ギャガ・プラス
http://tokyonewcinema.com/works/summer-blooms/
©WIT STUDIO / Tokyo New Cinema
■Profile
朝倉あき
1991年生まれ、神奈川県出身。
2008年、『歓喜の歌』でスクリーンデビュー。「とめはねっ! 鈴里高校書道部」(10/NHK)にてTVドラマ初主演。NHK連続テレビ小説「てっぱん」、「純と愛」や「下町ロケット」(TBS)などの話題作へも出演。映画では『神様のカルテ』(11)、『横道世之介』(13)、スタジオジブリのアニメ映画『かぐや姫の物語』(13)のヒロイン・かぐや姫の声も演じた。その他、舞台やラジオなどにも活動の幅を広げている。