OKWAVE Stars Vol.786は映画『私の奴隷になりなさい第2章 ご主人様と呼ばせてください』主演の行平あい佳さんへのインタビューをお送りします。
Q 本作に魅力を感じてオーディションを受けられたとのことですね。
A行平あい佳オーディションの話を聞いた際に、官能小説自体が初めてでどんなものか全く想像できていませんでしたが、原作を読んでみると、純文学のような繊細な描写がされていて、人の感情の揺れ動きが描かれているのが印象に残りました。映画の脚本を読むと、脚本もまた純文学的だと感じました。それがもし映像になったら、映画の中に出てくる「赤い部屋」は格好いいだろうなといったいろいろな妄想が働いて、絶対にオーディションを受けたいと思いました。この作品の文学性と格好良さにすっかり惚れてしまったので、オーディションでも熱弁を奮ってしまいました(笑)。
Q 明乃役に決まった時はどう感じましたか。
A行平あい佳オーディションの時、城定監督はあまり話さず、じっと芝居を見ているような感じで。手応えなんて全くなく、マネージャーさんに「ダメだったと思います…」と電話しました。でもその数時間後には「さっきのオーディション受かったよ」と連絡頂いたんです。驚いている間に、顔合わせや本読みが始まり、気づいたら撮影が始まっていました。喜びは撮影中に湧いてきました。
Q 明乃役の役柄をどう受け止めましたか。
A行平あい佳明乃の印象は男性目線か女性目線でも変わってくるとは思います。私は明乃は普通の人なのかなと思っています。突飛なことをしない子で、心の中に微かに動くものがあるのだけど、それに目を向けることがなかったのだろうなと。だから、演じる時も突飛なことはしないで、普通の人が性愛に目覚めていく、ということに重きを置きました。
Q ご自身との共通項などはありますか。
A行平あい佳私も大学時代くらいまでは石橋を叩いて渡るような生活をしていたので、こういう題材は自分とは無縁だと思っていました。私の場合は映画と出会って、最初は作る側に身を置きましたが、映画とは自分にこんなに必要なものなんだと気づきました。明乃の場合は性愛に情熱を向けますが、それは対象物が違うだけで、きっかけのようなものは共通していると思いました。なので誰もが明乃とは似たところがあると思います。
Q 撮影にあたってはどんな準備をされましたか。
A行平あい佳監督から「不安な点はないですか」と事前にもよく聞かれて、「このシーンはこういう可能性はないですか」とちょっとでも思ったらすぐ聞けるいい環境でした。監督は女性の身体や性愛を撮ることのプロ中のプロだと聞いていましたが、本当に頼れる方で身を委ねることができると感じました。役や作品のことを一緒に話す時間がとても長く取れたので、とてもありがたかったです。
Q 現場の雰囲気はいかがだったでしょう。
A行平あい佳とにかく明るかったです。誰かしらがゲラゲラ笑っていることも多かったですし、裸になることへのケアもしていただきました。現場では女性スタッフが多かったので、ちょっとした絆ができて、居心地が良かったです。体当たりのシーンでテイク数を重ねている時も、ベッドに寝ている目線の先に女性スタッフがいると安心できたので、思いつめることもなくて良かったです。本当に素敵な現場にいさせてもらったなと思います。
Q 「ご主人様」である目黒役の毎熊克哉さんとの共演はいかがでしたか。
A行平あい佳毎熊さん自身は事務所が同じなのと共演したこともあるので、安心感がありました。一度だけ、明乃の気持ちが掴みきれなかったことがあったんです。目黒さんが明乃の自宅に初めて来て、メイド服で迎えるシーンですが、その時の明乃の気持ちをどう作るのか迷いがあった時、毎熊さんが私の様子に気づいてすぐに話を聞いてくれました。そんなこともあって、すっかり甘えてしまっていました。
Q 「ご主人様」と呼ぶことについて、何か思うところはありましたか。
A行平あい佳普段は使わない言葉ですけれど、びっくりするくらい自然に出てきました。明乃と目黒さんの関係が深まって、明乃は首輪をつけられたり、隷属関係の階段をどんどん上がっていくにつれ、私も「この人についていけばいいんだ」と自然と思いました。私の前には毎熊さんがいて、明乃の前に目黒さんがいるという感じでした。
Q 役に入り込みすぎて、役が抜けない、ということはありませんでしたか。
A行平あい佳撮影当時は気づいていませんでしたが、やはりエロスへの振り幅いっぱいだったので、撮影後も体の重心がずっとそちらにある感覚でした。この映画の撮影の後、写真集「掌花」の撮影があって、それが終わった時に初めて「私はもうエロスについて考えなくていいんだ!」と気づきました。
Q ご自分の中に隷属という要素はありますか。
A行平あい佳私は毎熊さんと向き合って、自然と明乃として奴隷になっていきましたけれど、目黒さんのように「ご主人様」と呼ばれる方はもっと大変なんだろうなと感じました。全部主導権を握っているのは向こうですが、私は絶対にそちら側にはなれないなと。絶対に隷属する側の人間だということが、この映画を経てわかりました(笑)。ご主人様の苦労については『第3章 おまえ次第』で描かれているので、そちらにも注目ですね。
Q 本作出演を経て、新しい発見はありましたか。
A行平あい佳観ていただくと、刺激的なものがかなり多いな、という印象もあるかもしれませんが、起きていることはそんなにアブノーマルなことではないです。だから、身近なところにこういう世界もあるんだなあという気付きもありました。明乃はそういうベクトルに行きましたけれど、自分が我を忘れてしまうくらい夢中になってしまうものがある、という方向に転じてこの映画を語ることもできます。そういう、まだ自分にないもの、ないと信じ切っているものを勝手に掘り出してくれる映画だと思います。そのことで自分のことが楽しくなってくれたらいいなと思います。
Q 本作の見どころをお聞かせください。
A行平あい佳刺激的な映像の中に、しっかりと人間模様が描かれています。明乃を導入として精神世界を楽しむキッカケになる作品かなと思います。アーティスティックな映像の中に、時折、文語体のような台詞もあり、文学の匂いを楽しんでいただけると思います。『第3章 おまえ次第』と両方観ていただいた際は、明乃や目黒さんの印象がまた変わるかもしれません。みんなどこかで繋がっているけれど、ずっと同じ場所には居られないような。
Q 今後の抱負についてはいかがでしょう。
A行平あい佳まずはこの映画と一緒にどこまでもいく、というのが大前提ですが、その後は、映像の中にちゃんといられる女優でありたいです。映像部の方々が真摯にやられているのと同様に、私も俳優部としてできることをやれるようになりたいです。
Q 行平あい佳さんからOKWAVEユーザーにメッセージ!
A行平あい佳昨今の映画の中ではかなり攻めている内容だと思いますが、その中に組み込まれている人間模様や、自分の中でもやもやしている情熱のようなものを見つけることができる映画だと思います。私たちは艶っぽくエロスを全面に出してはいますが、繊細に職人魂をぶつけて作りましたので、映画として楽しめる作品です。ぜひ映画館に足を運んでいただいて、先入観なく、ストッパーを外して新しい世界を見つけに行きましょう。
■Information
『私の奴隷になりなさい第2章 ご主人様と呼ばせてください』
大手広告デザイン会社で仕事をする目黒は、婚約者のいる身でありながら、ある日清楚で保守的だがどこか妖艶な雰囲気を持つ人妻・明乃に出会い、強引に口説いて関係を持つようになる。見立て通り明乃はどんどん積極的なり、逢瀬にのめり込んでいくが、ある日突然、目黒の会社に明乃の夫が訪ねてくる。夫は、社会的制裁の代償として、妻との関係を続け、調教し、詳細を報告するよう伝え、その日から夫の指示のもと更なる調教が始まった。それは、ふたりにとって泥沼の恋愛にも似た破滅への道となり、明乃は自分でも抑制できないほど奴隷としての素養を開花させていくのだが…。
毎熊克哉 行平あい佳
百合沙 三浦誠己
監督:城定秀夫
原作:サタミシュウ「ご主人様と呼ばせてください」(角川文庫刊行)
主題歌:ボンジュール鈴木「渚のシンドバッド」
製作・配給:KADOKAWA
R18+
© KADOKAWA 2018
■Profile
行平あい佳
1991年8月8日生まれ、東京都出身。
早稲田大学を卒業後、フリーの助監督として2年間撮影現場で働き、その後絵コンテライターに転身。同時に念願の女優業も開始し、現在に至る。往年のにっかつロマンポルノ看板女優・寺島まゆみの実娘。