Vol.802 女優 吉本実憂(映画『レディ in ホワイト』)

吉本実憂(映画『レディ in ホワイト』)

OKWAVE Stars Vol.802は映画『レディ in ホワイト』(2018年11月23日公開)主演の吉本実憂さんへのインタビューをお送りします。

Q まずは主演が決まった際のご感想をお聞かせください。

A吉本実憂主演ということで嬉しいと同時に、また大塚祐吉監督とご一緒できることも嬉しかったです。『罪の余白』に出演した際に大塚監督にビシバシと鍛えていただいて(笑)、作品に携わる中でとても信頼をしています。

Q 台本の印象はいかがだったのでしょう。

A吉本実憂台本の第一印象は「名古屋で新入社員として働く女の子の話」だったのですが、大塚監督のことなので、絶対に役に一癖あるだろうと思いました。リハーサル期間が4日間あって、自分の演技プランを持っていくと大塚監督からは「それは違う!」となって、やはり癖のある、変な女の子になっていきました(笑)。3日目までは彩花のキャラクターが頭に入ってこなくて、監督も私の気持ちにリンクされていて、二人でどうしようと沈んだ気持ちでした。4日目にいい意味で開き直って演じてみたところ、彩花のぶっ飛んだキャラクターを作ることができて、撮影に臨むことができました。

Q 彩花のキャラクターについてどう感じましたか。

A映画『レディ in ホワイト』吉本実憂客観的に見て、彩花のような子がいたらイラッとするかもしれません(笑)。私は、久住小春さんが演じた來未のような立場で試写も観ていました。台本を基に、そこからいかに人をイラッとさせるかという部分を考えながら演じました。
彩花のユーモアのセンスはうらやましいです。彩花は怒るとその相手をいじろうとするので、そんな時に出てくるブラックユーモアがすごいなと思いました。普通の人だったら言ったらいけないことなのに、彩花はそれが言えるのでうらやましいなと思いました。
実は彩花が思うようなことを私も心の中では思ってしまうので(笑)、彩花の気持ちに共感するところも多かったです。私はまずは人の話を聞いてそれを肯定してやってみようとしますが、彩花はいやなことにははっきりと態度に出すので、それを表に出すか、出さないかの違いなんだと思います。みんなが心の中では思っていることを出せてしまうのが彩花なのかもしれません。

Q 共演者とのお芝居の様子をお聞かせください。

A吉本実憂波岡一喜さんと吹越満さんとはリハーサルができなかったのですが、現場で演技を合わせてみると、リハーサルでは出てこなかったアイデアもたくさん出てきました。波岡さんの演じた松山翔平は「こんな人のいる会社ある?」というくらいひどいキャラクターですよね(笑)。波岡さん自身はオフの時は優しくお話ししてくださるのですが、いざ翔平役になると目がバチッとあがって怒鳴り散らすので、オンとオフがすごくはっきりしていました。それを受けてリハーサルのときよりも「絶対、私の方が正しい!」という気持ちを強く出して演じました。そういったところは現場で作っていった部分です。
酒田部長を演じた吹越さんはこの作品を通じてとても尊敬する方になりました。彩花として言葉がどんどん出てくる不思議な力を持っていて、ベテランの方ならではの引き出していただく力のすごさを感じました。演じていてすごくやりやすくて楽しかったです。

Q 感情の振り幅がすごかったですね。

A吉本実憂1シーンに1ポイント、彩花の仕草など、何かしら変なことを入れようと監督と決めていました。撮影が進むに連れてレパートリーを考えるのは大変になりました(笑)。でも、途中で気づいたのですが、彩花の性格は大塚監督そっくりなんです。だから大塚監督の動きを取り入れて仕草を考えたりもしました。

Q 翔平と彩花のやり取りもエスカレートしていきます。

A吉本実憂例えば、翔平に彩花が頭を下げたシーンでは、翔平から「明日から黒い服着てこい」と言われてそこから大声で二人のやり取りが始まりますが、台本には数行しか書かれていないんです。カットがかからないので演じ続けるしかないですし、波岡さんも仕掛けてくるのでほとんどがアドリブでした。それを使っていただいているので嬉しかったです。黒いビジネススーツのことを彩花は「喪服」と言い返してますが、実はそれもアドリブで出てきた言葉なんです。

Q 印象的だったシーンについてお聞かせください。

A吉本実憂彩花は同僚だと思っているけど、本当は先輩の猪瀬役の矢本悠馬さんと、ショットグラスでお酒を飲んでいるシーンの光がとてもきれいでした。そのお店のシーンは下からあおるように明かりを点けて、スモークも焚いていました。スモークが煙たくて、撮影は大変でしたが、完成した映像の雰囲気はすごくいいなと思いました。
それと、黒澤はるかさんとの共演シーンです。『罪の余白』でも共演していますが、黒澤さんはミステリアスな雰囲気で、かつ大塚監督とも似ていて、演じる上での恥のようなものを持っていないんです。だからどんな役を作って来られるのかなと思っていたら、想像以上でした(笑)。私自身、引きつけられてしまって、彩花が助けられている気持ちが乗り移って思わず涙がこぼれて止まらなくなってしまいました。後で何で泣いているんだろうと自分でも思いましたし、黒澤さんのお芝居と私の涙の間に挟まれた矢本さんの表情があのシーンをよく物語っていると思います。そもそも、登場人物中、普通の人が猪瀬くんしかいないので、矢本さんがこの作品をまとめてくれているんだろうなと思いました。

Q 現場の雰囲気はいかがでしたか。

A吉本実憂吉本実憂彩花と翔平の言い合いのシーンもみんなが暖かく見守ってくださっていました。彩花が踊り狂うシーンでは、私がやりやすいように他の人も周りで踊ってくれていました。いつもは厳しいことばかり仰る大塚監督ですが、これもきっと作品やシーンをいかに面白くするかを考えてのことでしょうけれど(笑)、テンションを上げられるように配慮していただいた優しさを感じました。
この作品に出ているキャストは大塚監督が選ぶだけあって、普通の人が一人もいなかったです(笑)。久住さんもちょっと変わっているし、矢本さんなんて、オフでは猪瀬と真逆なんです!

Q 彩花を演じたことで、とくに仕事への意識という点で、何かご自分の中で変化などはありましたか。

A吉本実憂彩花はありのままに発言して思ったとおりに行動しているので、周りからはぶっ飛んでいるように見えますが、もし会社に彩花みたいな人が一人でもいたら、その会社はずいぶんと変わるんじゃないかなと思いました。
私自身は彩花を演じたことで、今までも演じる上で恥ずかしいと思うことはあまり無かったのですが、とことん恥を捨てることができました。また、彩花を演じる前は、格好悪い役への怖さがありましたが、彩花という人間を生きることで、演じていて格好悪くても、完成した作品が良いものになればいい、と思えるようになりました。それからは、どの監督にも、怖がらずに演技プランを提案できるようにもなりました。
とくにそう感じたのは彩花が踊り狂うシーンです。もしも2年前の自分だったら演じられなかったかもしれません。

Q 彩花は就職をしてターニングポイントを迎えますが、ご自身でターニングポイントだと思う出来事はいかがでしょう。

A映画『レディ in ホワイト』吉本実憂一番は全日本国民的美少女コンテストを受けたときですが、昨年1月に「クズの本懐」という作品に出演させていただいた際に、役に合わせて髪を短く切ったときが二番目のターニングポイントです。髪を短く切るのは小学生以来だったので、それこそ初心に返るような気持ちで、そこからは自然に演じられたり、人と接せられるようになったので、自然体で生きていくきっかけになりました。

Q 彩花のテーマカラーは白ですが、ご自身のテーマカラーと着るものでの気分の変化など教えてください。

A吉本実憂私は黒を着ると落ち着きます。好きだからというだけなので、彩花と同じく感性だと思います。また、選ぶ洋服や髪型、メイク、すべてが表現だと思うので、それによってその日の自分が変わると思っています。
撮影中は、白い上着を汚さないかとずっと緊張していました。ですので、撮影の合間は上着を脱いで過ごしていました。最近も奮発して白い服を買ったのに、汚れるのが怖くてまだ着ることができていないんです。

Q 吉本実憂さんからOKWAVEユーザーにメッセージ!

A吉本実憂この作品は日常に近いと思います。誰でも観やすい映画だと思いますので、いろんな方に観ていただきたいです。

Q吉本実憂さんからOKWAVEユーザーに質問!

吉本実憂みなさんが今まで一番印象に残っている映画は何ですか。

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■Information

『レディ in ホワイト』

映画『レディ in ホワイト』2018年11月23日(金・祝)より全国順次公開

親の資産で何不自由ない生活を送ってきた如月彩花、新卒。ホワイト企業と思って入った会社には、なんとパワハラ全開のゲスなエリート上司が!部下はもれなく全員奴隷化がデフォルトの、脅威の体育会系!今まで味わったことのない屈辱の連続に怒り心頭の如月だったが、そのゲス上司に負けない驚きのクズっぷりを発揮するのだった。敬語は使えず、指示には従わず、キメキメの白スーツと社内でも完全に厄介者と噂され…。そんな中、時を同じくして父の会社が倒産、さらにゲス上司からの嫌がらせに加え、会社の命運を担うプロジェクトまで任され…。猛毒フレッシャーズ女子・如月はこの苦難を脱することができるのか!?

出演:吉本実憂 波岡一喜 矢本悠馬 笛木優子 宮川浩明 國本鍾建 中島広稀 久住小春 小山田サユリ いとうまい子 利重剛 吹越満
監督:大塚祐吉
配給・宣伝:太秦

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■Profile

吉本実憂

1996年12月28日生まれ、福岡県出身。
2012年、第13回全日本国民的美少女コンテストにてグランプリを受賞し芸能界へ。
2014年7月に「獣医さん、事件ですよ」(14/YTV)でTVドラマへ初出演し、女優デビュー。同年12月には映画初出演にして初主演の『ゆめはるか』(14/後藤利弘監督)が公開された。
2015年、命を弄ぶ邪悪な女子高生を強烈な印象で演じた『罪の余白』(15/大塚祐吉監督)が大ヒット。本作『レディ in ホワイト』は大塚監督との二度目のタッグとなる。近年の出演作に『HiGH&LOW THE RED RAIN』(16/山口雄大監督)、「とと姉ちゃん」(16/NHK)、「クズの本懐」(17/CX)、「ウチの夫は仕事ができない」(17/NTV)、「さくらの親子丼」(17/CX)などがある。2019年1月18日公開の映画『めんたいぴりり』にも出演する。

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スタイリスト:山本隆司
メイク:小嶋絵美