OKWAVE Stars Vol.813は映画『ふたつの昨日と僕の未来』(2018年12月22日公開)主演の佐野岳さんへのインタビューをお送りします。
Q 台本の印象をお聞かせください。
A佐野岳時間軸や世界が変わるようなパラレルワールドを扱った作品は元々好きなので、この作品の台本を読んで、人の成長をファンタジーで描くとこんなに壮大になるんだとワクワクしました。また、ファンタジーではあるけれど主人公が不器用ながらも前に進んでいこうとするのはリアリティのある作品だとも感じました。
Q 幅広い役柄を演じてこられましたが、今回の海斗は等身大の役柄ですね。
A佐野岳突飛なキャラクターよりはこういう等身大の役の方が演じやすいです。海斗には共感できるところも多かったです。僕はサッカーをやっていて怪我をして大会に出られなかったり、最終的にはプロになるのをあきらめたので、マラソンランナーだった海斗が怪我でオリンピックに出られず挫折や親の期待を裏切ってしまったと思っていることは自分自身にリンクする部分もありました。
Q 2つの世界を行き来して、同じ人物でも記憶が塗り替わることで人柄も変化する繊細な演技が求められていたかと思います。
A佐野岳パラレルワールドの記憶が加わることで別の人物に見える違和感は意識しましたが、ベースはこちらの世界なので、別の人物のようになるというよりは自分自身が更新されるような感覚で演じていました。こちらの世界では亡くなっている人が向こうの世界では生きているのを目の当たりにしたときに、どのくらい驚けばいいのかという絶妙なラインは大森監督と話し合いを重ねました。また、この映画はふたつの世界のことを分かりやすく全ては見せずに、いま見えるものとそこにはないけれど見えてくるものの按配が素敵だなと思いました。
Q 愛媛県新居浜市でのオールロケについてはいかがでしたか。
A佐野岳自然が豊かですごくいいところでしたし、地域に根づいて生きている人たちを描く映画で、実際に地域の方々がいらっしゃるのがオールロケのいいところだと感じました。空気感も説得力が増しますし、食事も美味しかったです(笑)。何度か出てくる「どてやき」のお店は実際にあるので、撮影期間中に何回か行かせていただきました。そのときも台本はずっと持ち歩いていて、地元の方と触れ合いながら言葉のイントネーションなどを参考にさせていただいていました。
他にはふぐざくという新居浜の名物が美味しかったです。ふぐの切り身と皮をカワハギの肝で和えて、ポン酢ともみじおろしで混ぜて、さらにシメには湯豆腐を入れて食べるのですが、格別に美味しかったです。
Q 方言での表現はいかがだったでしょう。
A佐野岳大森監督が愛媛県出身なので、都度確認していただきました。セリフ以外でも伊予弁を使うようにしていたので、地元の方々からは「ネイティブだね」と褒めていただけました。伊予弁は関西弁とも広島弁とも言葉も違いますし、イントネーションなどは本当に現地の方のご協力あってのもので、本当に助けられました。
Q お父さん役の神保悟志さんとの共演をはじめ、現場の雰囲気はいかがだったでしょうか。
A佐野岳神保さんは懐が深くて安心して芝居ができました。撮影期間中に一緒に食事をした帰りには「佐野くんが息子役でよかったよ」と言ってくださり、とても嬉しかったです。他のキャストの方とも、とくに家族のシーンでは実際に家族と話している感覚を出すように意識したので、現場の空気感みたいなものは画面に映っていると思います。映画は表情や芝居の奥にある雰囲気が見えるものなので、俳優部として現場を盛り上げようと思い、エキストラの方々も巻き込んで「みんなでやりましょう!」という雰囲気を作ることを意識するようにしていました。
とくに新居浜太鼓祭りのシーンは撮影のために5,000人くらいエキストラの方に来ていただいて、太鼓台も20台出していただきました。とにかく地元の皆さんの太鼓愛がすごかったです。太鼓台がグラウンドに並ぶのは圧巻でした。あのシーンは皆さんの協力が不可欠でしたし、ボランティアで毎回ケータリングもご用意頂いたりと、本当にお世話になりっぱなしでした。
Q ご自身では好きなシーンはいかがでしょうか。
A佐野岳どてやきのお店で彼女の真里乃と飲んでいるときに海斗が「どてやきちゃん♪」といい気分で歌っているシーンです。監督から「何か歌って」と言われて即興で作りましたが、生活感があって好きです。
Q 本作に携わって、新しい発見などはありましたか。
A佐野岳最初に台本を読んだときは、最後に海斗が下す決断とは逆の方を自分だったら選ぶと思いました。それが現場に入ってやっていくうちに、海斗とリンクすることが多くなって、海斗の決断に共感できるようになりました。この映画では周りの人たちとの関係性を大切にすることが描かれていますので、撮影後は自分もまたがんばろうという気持ちになりました。いろんな方に観ていただいて、背中を押せるような作品になっていればいいなと思います。
Q もしパラレルワールドに行けるとしたらどんなことをしてみたいですか。
A佐野岳高校時代くらいまで戻って2年くらい留学したいです。いろんな国を観て回りたいですし、英語が話せるといいなと思います。逆に消したい過去は、友達との約束に1時間くらい遅れているのに髪をバッチリキメて現れるような人間だったので、そういうところは上書きしてなくしたいと思います(笑)。
Q 佐野岳さんからOKWAVEユーザーにメッセージ!
A佐野岳この映画はつながりを大切にしている作品です。いまはスマホなどで簡単につながれますが、この映画では同じ世界にいなくてもつながっていられるということや人との関係の大切さが描かれていますので、それを感じてもらえたらいいなと思います。僕には自分なりの解釈がありますが、観ていただいた方それぞれの解釈で映画は完成するものだと思いますので、たくさんの方に観ていただけたらと思います。
Q佐野岳さんからOKWAVEユーザーに質問!
佐野岳この映画で主人公の海斗は今いる世界と、理想が実現している世界を行き来しますが、どちらかにしか残れないとしたら皆さんは今いる世界と理想が実現している世界とどちらを選びますか。理由も付けてご回答ください。
■Information
『ふたつの昨日と僕の未来』
2018年12月22日(土)シネマート新宿ほか全国順次ロードショー
マラソンランナーとしてオリンピックを目指していた海斗。しかし、怪我を理由に現役を断念する。その後は市役所に勤め、無気力な日々を過ごしてきたが、とうとう彼女の真里乃にも見放される。そんなある日、観光案内で訪れた山の中で大雨に見舞われ、逃げ込んだ先に不思議な坑道を見つける。雨を避けようと中に入ったはずが、なぜか坑道の外へ。そこは同じ場所だが雨が止んでいる。その瞬間、経験したことがないはずの記憶が駆け巡った。交差する記憶に混乱しながら街に戻ると、喧嘩していたはずの真里乃とは順調に交際し、オリンピックの金メダリストとして街の英雄に!?市役所では、事故で亡くなったはずの父・悟が上司として働いていた。家に帰ると、生きていたはずの祖母
・智恵子の遺影があり、とっくに亡くなったはずの祖父・哲夫が現れる。訳が分からない海斗に哲夫から驚きの真実が告げられる。2つの世界の狭間で揺れ動く海斗。果たして彼が進む未来は?
佐野岳
相楽樹 菅谷哲也 菅野莉央 鶴見萌
久保田悠来 / 宮地真緒 / 榎木孝明(特別出演)
神保悟志 / 岩本多代
監督・脚本:大森研一
主題歌:水樹奈々「サーチライト」(キングレコード)
配給:キャンター
愛媛県新居浜市市制80周年記念作品
(C)2018「ふたつの昨日と僕の未来」製作委員会
■Profile
佐野岳
1992年4月3日生まれ、愛知県出身。
第24回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストでグランプリ受賞。2013年に『「また、必ず会おう」と誰もが言った。』で映画初出演・初主演。さらに同年「仮面ライダー鎧武/ガイム」(テレビ朝日)にてTVドラマ初主演。その後もドラマ・映画・舞台と活躍の場を広げ、2017年には大ヒットドラマ「陸王」(TBS)に出演し話題となる。その他の出演作に「下町ロケット」(TBS/15)、『仰げば尊し』(TBS/16)、映画『HiGH&LOW THEMOVIE』シリーズ(17)。『報復〜かえし〜』(17)など。2018年は映画『honey』『となりの怪物くん』『純平、考え直せ』などの話題作に出演。またAmazon プライムドラマ『MAGI 天正遣欧少年使節』が1/17~世界180以上の国と地域で一斉配信予定。
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