OKWAVE Stars Vol.814はこまつ座「どうぶつ会議」に出演の大空ゆうひさんへのインタビューをお送りします。
Q 本作の題材についてどう感じましたか。
A大空ゆうひ「こまつ座の幻の作品」とお聞きしていました。井上ひさしさんが劇団四季のためにエーリッヒ・ケストナーの絵本を原作に書かれましたが、こまつ座では初めての上演とのことです。登場するキャラクターのほとんどが動物で、根底にはケストナーのメッセージもあります。
原作の絵本を知っていたとしても、これをどう舞台で表現するのだろうと思います。作る側は手探りにはなるだろうなと思いますが、人類への警告を内包しつつも、ユーモアがあってかわいい作品になるんじゃないかと、ワクワクしています。このチームに入れたことが光栄ですし、嬉しいです。
Q 演じられるキャラクターについてお聞かせください。
A大空ゆうひ私は栗原類くん演じるライオンの兄のアロイス役を演じます。弟は日本のサーカスに居て、私が演じる兄ライオンのアロイスは、動物たちのまとめ役のような役どころです。雄ライオンを私が演じることでの面白さを出せるといいなと思っています。一方で、動物であることや、雄か雌であること、年齢といったことにとらわれすぎないようにできればいいなとも思います。お客様が観て、何がライオンらしさになるのか模索していますが、根底から自分の思いが出てくればアロイスとしてのエネルギーも出てくると思っています。
Q 共演者の方々についてはいかがでしょうか。
A大空ゆうひ皆さん表現力も豊かですが何より個性的なチームだと思います。稽古をしているとみんなが動物的に見えてくるんです。本能的に自由になったり、人間という枠に縛られない何かをみんなそれぞれが違うところで持っています。人間役の方々もイキイキとされていて、動物役以上に動物的ですし面白いので、どこに行きつけるのか、ぜひ見届けていただきたいです。
Q 音楽劇とのことですね。
A大空ゆうひ国広和毅さんがいろんなエッセンスをそれぞれの歌に入れてくださっています。アフリカぽかったり、ケチャの雰囲気もあれば、シャンソンの要素も入っていたり、日本の民謡のようなものもあります。音楽的にも国境がない、難しいけれども可能性がある懐の広い音楽になっていると思います。
この「どうぶつ会議」は観ている皆さんにも参加してほしい作品です。子どもだけではなく、大人も子どももその境がなく一緒に参加してもらえるといいなと思います。心を解放してもらえるように楽しさを伝えないと…ですよね。
Q 舞台上はどのようになるのでしょう。
A大空ゆうひ普段お客様が見慣れている客席の他に、舞台に囲われたステージシートという客席があります。舞台の使い方がいつもと違うものになると思いますし、自分もステージシートから観てみたいなと思う面白そうな装置だとも思います。いろいろな仕掛けが作品の中にあると思います。
Q 原作は第二次世界大戦後に書かれ、1971年に初演されましたが、現代にそのまま通じる内容です。この作品をいま上演することについて思うことをお聞かせください。
A大空ゆうひ今起きていることと変わっていないというところには考えさせられます。この作品で嘘をつかない、ということはすごく難しいことです。自分たちはテクノロジーに助けられていますし、もしかすると空気が汚染されることと引き換えにして、工場で作られたものを使っているかもしれません。人間が「それをやめよう」と言えるのかどうか、自分の普段の生活を改めて考えてしまいます。そのような警告を誰かが発し続けていても、どこかあきらめもあるのかもしれないとも感じています。少し前は地球温暖化についてのニュースももっと多かったと思いますし、この作品で言われている以上に現状が悪くなっているような恐怖も感じます。新国立劇場の小劇場で私たちがお芝居をして、少しでも何かが伝わればいいなと思います。動物たちが「人間ってどうしてなんでしょうね」というセリフが出てきますが、井上先生は子どもたちのことをすごく心配しているんだろうなと思います。子どもたちが大人になった時、地球がどうなっているのか、100年後の地球は本当に存在するのか?人類がかかえるむずかしい問題だからこそこの作品に皆さんが参加することで考えるきっかけになればいいなと思います。
Q 普段から舞台で大事にしていることは何でしょう。
A大空ゆうひそこに生きる、ということです。稽古を始めたばかりの時期は役が入っているというよりはセリフを読んでいる感じですが、ある時にそこに生きることができる瞬間が来る。嘘のない瞬間を大切にしたいと思っています。
Q 大空ゆうひさんからOKWAVEユーザーにメッセージ!
A大空ゆうひこの「どうぶつ会議」は3歳から100歳まで楽しめる作品です。名作の多いこまつ座の初めて作る作品ですが、親子で色々なことを考えたり、話せるきっかけをくれる作品だと思います。子供の頃に初めて観る舞台の記憶って鮮烈ですよね。何か舞台の魅力を感じるきっかけにもなったら嬉しいです。とくにたくさんのお子さんに観ていただきたいですし、親子や三世代で観に来ていただきたいです。初めて舞台を観るドキドキ感のようなものを感じていただいて、演劇を観るきっかけにもなればいいなと思います。
Q大空ゆうひさんからOKWAVEユーザーに質問!
大空ゆうひ私は動物に例えるとネコっぽいと言われることがよくあります。
皆さんは自分を動物に例えると何だと思いますか。その理由も教えてください。
■Information
こまつ座「どうぶつ会議」
2019年1月24日(木)〜2月3日(日)新国立劇場 小劇場 THE PIT
世界中のどうぶつたちが子どもたちのために立ち上がりました。
人間の大人たちは世界中にいろんな問題があるのに戦争ばかり、これじゃあ人間の子どもたちがかわいそうだ、と抗議をしますが、頭の固い大人たちには届きません。
困ったどうぶつたちは、人間の子どもたちに話を聞いてもらうことにしました。
そんな中、日本のとあるサーカスでは、頭をひねらせたどうぶつたちが劇場にやってきた子どもたちを閉じ込めて、お話を始めます。
一か月前のある暑い日の夜に始まったものがたりを…。
作:井上ひさし
演出:田中麻衣子
音楽:国広和毅
出演:栗原類 池谷のぶえ 田中利花 木戸大聖
李千鶴 横山友香 谷村実紀 長本批呂士 中山義紘
立川三貴 片岡正二郎 高田賢一 前田一世
上山竜治 大空ゆうひ
入場料(全席指定・税込み)
・ステージシート(途中入退場不可。こまつ座のみ取り扱い)7,000円
・S席5,000円
・A席(こまつ座のみ取り扱い)4,000円
・学生割引(中学、高校、大学、各種専門学校、演劇養成所の学生対象。全席種共通)3,500円
・子ども(3歳〜小学生。全席種共通。こまつ座のみ取り扱い)2,500円
※3歳未満のお子様のご入場はご遠慮ください。
こまつ座 03-3862-5941
こまつ座オンラインチケット:http://www.komatsuza.co.jp/
■Profile
大空ゆうひ
東京都出身。
1992年宝塚歌劇団に入団。月組、花組を経て、2009年に宙組男役トップスターに就任し絶大な人気を誇る。12年『華やかなりし日々』を最後に宝塚を退団。13年蜷川幸雄演出『唐版 滝の白糸』で再出発を果たす。以降、舞台や映像作品で活躍しながら、音楽ライブの開催や朝日カルチャーセンターの講座『表現者ノマド』のMCとして表現者を招いての対談を定期的に行うなど、多彩な表現活動を展開している。こまつ座では『円生と志ん生』に出演。