Vol.825 女優 縄田かのん 中神円(映画『空の瞳とカタツムリ』)

縄田かのん、中神円(映画『空の瞳とカタツムリ』)

OKWAVE Stars Vol.825は映画『空の瞳とカタツムリ』(2019年2月23日公開)で共演している縄田かのんさんと中神円さんへのインタビューをお送りします。

Q 本作出演の経緯などお聞かせください。

A映画『空の瞳とカタツムリ』縄田かのん2017年に荒井晴彦さんのワークショップがあって、この『空の瞳とカタツムリ』の基になった若い人物を想定した台本と、それよりも大人向けの台本の2本が用意されていて、私はその大人向けの方に参加していました。そこで荒井さんからこの映画の夢鹿(むじか)役に、と声をかけていただきました。

中神円私はその基になった方の夢鹿役で参加していました。夢鹿役は縄田さんに決まって、十百子(ともこ)役はオーディションを行うということになったので、それを受けて選ばれました。

Q では本作の完成した台本を読まれた印象はいかがでしたか。

A縄田かのん最初は詩的で観念的で美しいセリフだと思いました。そのセリフを言える肉体にもっていくのは大変だろうなとも思いました。

中神円脚本を直したのが荒井晴彦さんの娘の美早さんで、同じ女性としてすごく共感できるセリフやシーンがあって、ぜひ演じたいなと思いました。

Q それぞれのキャラクターについてどう感じましたか。

A縄田かのん夢鹿はカオスを作っていく役で、突拍子のないキャラクターに見えるかもしれませんが、何度も台本を読んでいくうちに、誰しもが本当は持っているけど、普通なら芽吹かない部分が、いろんな環境の影響で“芽吹いて”しまったのだろうなと思いました。

中神円十百子は一見、消極的だったり弱い子に見えるかもしれませんが、強さが内側にないと夢鹿と一緒にいられる関係にはならないので、どこか一本芯が通った人間であることを見せたいと思いました。

Q お互いの印象をそれぞれのキャラクターとの対比でご紹介してください。

A縄田かのん台本で読んだ十百子の印象は夢鹿を絶対的に崇めて弱い立場にいるように受け止めていました。私はオーディションのときも夢鹿を演じていて、唯一、中神さんの演じた十百子は夢鹿にぶつかってきました。それに対して私も面白いお芝居ができたので、十百子と夢鹿が対等というか、同じ人間に見えるのが楽しかったです。中神さん自身が内に秘めているものも出てきているのだろうなと思うので、私の中では十百子と中神さんは似ている人物だと、撮影が終わった今でもそう思っています。

中神円現実に夢鹿のような女性がいたらどうしたらいいかわかりませんが(笑)、縄田さんは強気な夢鹿を演じていますが、実は繊細な方だと思いました。

Q 三浦貴大さん演じる貴也を交えた3人の関係性はいかがでしたか。

A映画『空の瞳とカタツムリ』中神円夢鹿と貴也の方が仲が良くて、二人は付き合っていると十百子は思っていて、夢鹿が私を一緒にいさせてくれている、と考えました。

縄田かのん夢鹿はそんなことは思っていなくて、十百子がいることで精神が保たれていて、それは貴也に対しても同じなので、私の中では十百子と貴也ふたりがいてバランスがとれているような感じです。

Q 現場での様子をお聞かせください。

A映画『空の瞳とカタツムリ』縄田かのんスケジュールはタイトでしたが登場人物も少ないのでみんなで和気藹々としていました。

中神円みんなでご飯を食べたり、私たちは一緒にお風呂にも入りました。ボートから落ちるシーンでふたりともびしょぬれになってしまったので、その撮影後、すぐに近くの温泉に行ったんです。

縄田かのんそのシーンでやりきった気持ちになれたので、ふたりで温泉に入って、より仲良くなれました。

Q 監督から言われていたことはありましたか。

A縄田かのん監督からは「俺、役のことはわからないから。自分が一番わかっているでしょ」と自由にさせてもらいました。

中神円私は結構怒られました…。初日に「全然ダメだ」と言われたり、藤原隆介さん演じる鏡一との浜辺のシーンでも厳しくダメ出しされました。でも、撮影終盤になってから「あなたは十百子だ」と突然言われたので、アメとムチをたくさんいただけたのかなと思います。

縄田かのんある日、準備中に監督がひとりでいたので話しかけたら「中神はいいだろ」って言われたんですよ。

Q 全体を通して印象的だった出来事はありますか。

A中神円これまで自分が経験してきた現場ではなかったことですが、この映画の撮影では役者はモニターや撮ったものを見せてもらえませんでした。私たちが演じたものを完成するまで見ることができなかったので、完成した映画を観たときの感動は大きかったです。

縄田かのん最後の方に独白シーンが出てきますが、どう撮られているかわからなかったので、完成した映画を観てすごくびっくりしました。
私は風景がすごく記憶に残っています。そのときの匂いや温度や色をよく覚えています。そういうものを感じ取れるような環境づくりをしてくれていたのかなと思います。リハーサルのときから何度もカメラを廻していて、それこそ飽きるくらい繰り返した先に違うアンテナが張り出すような感覚で、相手と向き合ったときに想像していなかったものが出ていく瞬間が何度もあったのが印象深いです。

Q 心と体、両方を手に入れたいともがくキャラクターの取る行動にはどのくらい共感する部分がありましたか。

A映画『空の瞳とカタツムリ』縄田かのん私は夢鹿に共感するところが結構ありました。大切な相手の心と身体の両方を手にしたいけれど、もし手に入らない現実と直面してしまうと絶望するしかないと思います。夢鹿はちゃんとそれと向き合って絶望してしまっています。そんな夢鹿の気高さはすごいなと思います。

中神円十百子は自分で決めた潔白なルールに自分が縛られていますが、その気持ちはすごく分かります。そこから解放されたいという気持ちがあることにもすごく理解できます。

Q 本作に携わって、新しい発見や気づきはありましたか。

A中神円監督から「頭で考えた芝居はするな」と言われました。この映画を通してその場で感じたことで芝居をするということができたという実感があります。それ以来、自分が苦しくならない芝居のやり方が見えた気がしています。

縄田かのん現場の匂いや相手の体温のようなものを感じるアンテナが発達した気がします。それを活かせる現場だったと思うのと同時に、そこでは太刀打ちできなかった何かがあるということも学んだ現場でした。今回アンテナを立てることができたので、初めての長編の撮影でそんな体験ができたありがたさと、それを使って表現しなければならないという次の試練が与えられたという気持ちでいます。

Q 本作のタイトルに対して思うことはいかがでしょう。

A縄田かのんタイトルを聞いたときはあまり内容とのリンクについてはピンときていませんでした。撮影が終わってからぴったりだったなと、後から気づきました。恋矢を刺すということや、空の瞳の意味するものとか、題名を表しているなと思いました。

中神円私はのほほんとした雰囲気を感じていたので、爽やかな青春モノだと思いました。タイトルと内容の濃さのギャップに驚いてもらえると思います。

Q OKWAVEユーザーにメッセージ!

A縄田かのん主要な4人のキャラクター全員に共感できるところがあると思います。その4人があるきっかけで関係性が崩れたり強くなったりします。この映画で疑似体験をしていろいろ思うところが出てくると思います。本当は直面したり絶望を感じていてもうやむやにしている人もいると思います。そんな人の心にふれる何かがあればいいなと思います。

中神円“誰もが一度は通る痛み”というキャッチコピー通り、とくに日常に疲れている人に共感していただけると思います。学生の方や若い世代の方にもぜひ観ていただきたいです。

Q縄田かのんさん、中神円からOKWAVEユーザーに質問!

縄田かのん皆さんが昔からずっとやっていることは何ですか。ちなみに私は料理です。

中神円昔からずっとやっていること、私は阿波踊りです。
私からの質問は、皆さんが繰り返し観たくなる映画は何ですか。ちなみに私は『下妻物語』です。中学生の時に観てロリータという存在を初めて知って衝撃を受けたので、今では冒頭からセリフが言えるくらい何回も観ています。

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■Information

『空の瞳とカタツムリ』

映画『空の瞳とカタツムリ』2019年2月23日(土)池袋シネマ・ロサ他全国順次公開!

祖母の残した古いアトリエでコラージュ作品を作りつづける岡崎夢鹿は、消えない虚無感を埋めるため、男となら誰とでも寝る生活を送っていた。
一方、夢鹿の美大時代の友人である高野十百子は極度の潔癖症。
性を拒絶し、夢鹿にしか触れられない。そして二人の友人、吉田貴也は、夢鹿への想いを捨てきれないまま堅実に生きようと努めていた。学生時代、とても仲の良かった三人。しかし月日が経つにつれ、少しずつバランスは崩れていった。
そんな中、十百子は夢鹿に紹介されたピンク映画館でアルバイトを始めるが、行動療法のような日々に鬱屈していく。その映画館に出入りする青年、大友鏡一は、満たされなさを抱える十百子に心惹かれていくが……。
夢鹿と十百子、永すぎたモラトリアムは終わろうとしていた。

縄田かのん 中神円 三浦貴大 藤原隆介 利重剛 内田春菊 クノ真季子 柄本明

監督:斎藤久志
脚本:荒井美早
配給:太秦
公式サイト:www.sorahito.net

R15

(C)そらひとフィルムパートナーズ


■Profile縄田かのん、中神円(映画『空の瞳とカタツムリ』)

縄田かのん

1988年9月28日生まれ、大阪府出身。
主な出演作に映画『女が眠る時』(16/ウェイン・ワン監督)、『ハッピーサッド』(17/中島教奨監督)、『鈴木家の嘘』(18/野尻克己監督)、舞台『安部公房の冒険』(14/演出・荒戸源次郎)、ドラマ『歴史秘話ヒストリア 龍馬が愛した女』(13/NHK)、『KBOYS』(18/ABCテレビ)など。

http://www.anore.co.jp/canon_nawata/

中神円

1993年7月30日生まれ、東京都出身。
2015年よりスカウトを経て、芸能活動を開始。
近年の出演作は短編映画『世界で一番最後の魔法』(18/森田博之監督)、MVビッケブランカ「ウララ」等。特技は幼少時より続けている阿波踊り。

https://www.instagram.com/1yen2yen3yen/?hl=ja