OKWAVE Stars Vol.829は映画『シスターフッド』(2019年3月1日公開)主演の兎丸愛美さんへのインタビューをお送りします。
Q 女性の生きづらさを題材に、ドキュメンタリーとフィクション両パートに出演されていますが、まずは出演の経緯をお聞かせください。
A兎丸愛美4年くらい前に突然西原孝至監督から連絡がありました。最初は東京で生きる女性の映画が撮りたいとのことで、私とBOMIちゃんのドキュメンタリーを撮るという話でした。それまで西原さんとは面識もなかったです。映画の撮影後にフェミニズムのトークイベントに参加させていただいたときに、フェミニストの方たちが話していた女性としてと生きづらさのお話を聞いて、それは当時のわたしが抱いていたことで、それで出演の話が来たのかなと思いました。
Q 実際、生きづらさを感じることはありますか。
A兎丸愛美ヌードモデルを始める前には感じていました。それで裸になることをはじめたのですが、じゃあ裸になったら生きづらさを感じなくなったのかというと、そういうわけでもなく。生きづらさから解放されるために裸になったのに、それを言葉にしたら前のように戻ってしまう気がするので、映画の中では「今は生きづらさを感じていない」と話しましたが、そこだけは唯一の嘘です。でも、生きやすくはなったと感じています。以前と比べて好きなことをして自由でいられますので。
Q 4年前の撮影ということで今見て変化を感じることはありますか。
A兎丸愛美4年前の自分を映画として観ると、もはや今の自分がフィクションなのではないかと思ってしまうくらい変化を感じました。4年前の自分はむしろどこか狂気じみているというか、怖かったので、今の自分はそれなりに成長できているんだと再確認できました。
Q 撮影はどんなふうに行われたのでしょう。
A兎丸愛美ドキュメンタリー部分は、密着取材というようなことではなく、3回くらいの撮影だったと思います。ただ、西原さんは私の活動を見ていてくれたようで、映画の中に出てくる私の写真展のことも、私から伝える前に西原さんの方から撮らせてくださいと言ってくださったので、すごく気にかけてくださっていたと思います。
Q フィクションパートについてはいかがでしたか。
A兎丸愛美毎年のように西原さんから「今年中に完成する」と言われていたので正直な話、この映画が完成するとは思っていなかったです(笑)。フィクションパートを作ると聞かされたときは、西原さんのことはすごく信頼していますし、台本を読んでおもしろいなと思いましたが、私は劇中でも兎丸愛美のままなので、どういうスタンスでいればいいのだろうと思いました。西原さんはそのままでいいよと言ってくださったので、フィクションパートでも演じている感覚はなかったです。
Q 完成した映画をご覧になって他の方の発言などはどう感じましたか。
A兎丸愛美出ているみんなが葛藤を抱えていますが、私には西原さんそのものにしか見えませんでした。私たちを通して自分を見つめていたのかなと思います。BOMIちゃんが幸せについて語っている部分は私も昔から思っていたことなのですごく共感できました。ヌードモデルをやっていると悲観的に見られることもあるんです。“幸せは自分で決めるもの”だということをみんなあんまりわかっていないのかな、とびっくりすることがこれまでに何度もありました。
Q この映画はどんな方におすすめしたいですか。
A兎丸愛美自分はいま幸せなのかな、と不安に思っている人、かな(笑)。私自身もそうですが、幸せであることにも不安を抱くことはあると思います。またダメになると思ってしまうような葛藤を抱えている人に観ていただきたいです。
Q 本作への出演を踏まえて、今後どんな生き方をしていきたいですか。
A兎丸愛美ヌードモデルについての夢や目標があるわけではないので、「いつまでやるの」と言われることもあります。私は今年27歳になるのですが、「そろそろ服着なよ」「そろそろ勢いだけではできないよ」と言われたら、多分やり続けると思います。「これからも脱ぎ続けなよ」と言われたら服を着ると思います(笑)。世間に逆らいたいわけではありませんが、流されるように生きているのが嫌になってヌードモデルになったので、昔の自分と一番遠いところにいたいという気持ちがいつもあります。
Q ご自分は自由であったり、解放されていると感じますか。
A兎丸愛美自由ではないですね。でもそれはマイナスなことではなくて、守りたいものや大切なものが増えてきたから、そこまで自由に表現することは難しくなりました。でも、そんなに苦ではないです。
Q 兎丸愛美さんからOKWAVEユーザーにメッセージ!
A兎丸愛美この映画を観たときには感情を抱かなくても、いつかこの映画のことを思い出す時が来ると思います。自分の将来や生き方に悩んだときに、この映画はその人の背中を押してくれるんじゃないかなと思います。
■Information
『シスターフッド』
2019年3月1日(金)アップリンク渋谷にて公開ほか全国順次公開
東京で暮らす私たち。
ドキュメンタリー映画監督の池田は、フェミニズムに関するドキュメンタリーの公開に向け、取材を受ける日々を送っている。池田はある日、パートナーのユカに、体調の悪い母親の介護をするため、彼女が暮らすカナダに移住すると告げられる。
ヌードモデルの兎丸は、淳太との関係について悩んでいる友人の大学生・美帆に誘われて、池田の資料映像用のインタビュー取材に応じ、自らの家庭環境やヌードモデルになった経緯を率直に答えていく。
独立レーベルで活動を続けている歌手のBOMIがインタビューで語る、“幸せとは”に触発される池田。
それぞれの人間関係が交錯しながら、人生の大切な決断を下していく。
兎丸愛美 BOMI 遠藤新菜 秋月三佳 戸塚純貴 栗林藍希 SUMIRE 岩瀬亮
監督・脚本・編集:西原孝至
製作・配給:sky-key factory
公式サイト:https://sisterhood.tokyo/
©2019 sky-key factory
■Profile
兎丸愛美
1992年生まれ。19歳のとき、裸の遺影を撮られたことをきっかけに写真の魅力にとりつかれ、2014年にヌードモデルとしてデビュー。2017年4月に初の写真集『きっとぜんぶ大丈夫になる』を玄光社より発売。同年発売のサニーデイ・サービスのシングル「クリスマス」のジャケット写真でカメラマンデビューも果たした。2016年の舞台「幽霊」以降、女優としても活動している。
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